貞操逆転世界で俺はチョロ可愛いをしてるらしい   作:黒鉄48号

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…………え、夢じゃないよねこれ?


第四話 何事も準備が大事

(まずいな……)

 

 

 2日目の2時限目。俺は早くもグロッキーになっていた。

 山田先生との復習や一夏のサポートのおかげで少しずつ単語は覚えてきたのだが、根本的に理解不能な箇所があるのだ。こう、めちゃくちゃ複雑な公式を用いないと解けない数学の問題みたいな物が。

 

 

 ……ただ、こうなると不思議なのは初めてISを動かした時だ。一気に諸々のセンサーから情報が流し込まれたのを何故か理解できて、呆けた女子の群れを文字通り飛び越して入口まで移動した。まるで使い慣れた道具を手足のように操るような、あの懐かしい感じ。

 けれども、教科書を読むと未だに1%も理解できる気がしないのだ。俺があいつを動かしたのはもしかしたら夢ではないのか、なんて考えてしまうほどに。

 

 

(うーん……)

 

 

 そして俺が怪文書とにらめっこをしている間にも授業は進んでいく。山田先生は相変わらず時々詰まりながらも、生徒たちにISの基本知識を教えていた。

 

 

「というわけで、ISは宇宙での作業を想定して作られている為に操縦者の全身を特殊なエネルギーバリアーで包んでいます。また生体機能を補助する役割もあり、ISは常に操縦者の肉体を安定した状態へと保ちます。これには心拍数、脈拍、呼吸量、発汗量、脳内エンドルフィンなどが──」

「あのー、先生。それって大丈夫なんですか? なんか、体の中をいじられてるみたいでちょっと怖いんですけど……」

 

 

 クラスメイトの1人がやや不安げな面持ちで尋ねる。確かに、機械側から人体に干渉してくるなんてロボット物の敵機体みたいだもんな。

 俺としてはロマンに感じるが、人によっては不安に思う要素なのかもしれない。

 

 

「いえいえ、そんなに難しく考えなくて大丈夫ですよ。そうですね……例えば皆さんブラジャーをしていますよね。あれはサポートこそすれ、それで人体に悪影響を及ぼすことはないわけです。もちろん自分に合ったサイズを選ばないと形崩れしてしまいますが──」

 

 

 ……ふと、俺と目が合う。山田先生は一瞬きょとんとして、数秒おいてからボッと赤くなった。

 

 

「え。えっと、いや、その、み、三上くん達はしていませんね。分かりにくいですね、この例え。あは、あははは…………」

 

 

 彼女は誤魔化すように笑うが、そのせいで生徒たちの視線が俺と一夏に一斉に向けられた。

 その大半は胸部に集中しており、思わず腕組みして隠すと一部の女子は黄色い声を上げる。見せ物じゃないんだぞこの野郎!

 

 

「んんっ! 山田先生、授業の続きを」

「は、はい!」

 

 

 織斑先生の鶴の一声で浮ついた空気が霧散する。山田先生は教科書を危うく落としそうになりながらも話の続きに戻った。

 

 

「そ、それともう一つ大事なことは、ISにも意識に似たようなものがあり、お互いの対話────つ、つまり一緒に過ごした時間で分かり合うというか、ええっと、操縦時間に比例してIS側も操縦者の特性を理解しようとします」

 

 

 なるほど。これまたロマンに溢れた能力である。女性しか動かせないのに男の子が大好きなもの詰め合わせって感じなんだなISって。

 

 

「それによって相互的に理解し、より性能を引き出せることになるわけです。ISは道具ではなく、あくまでパートナーとして──」

「先生っ! それってつまり、彼氏彼女のような感じですか!?」

 

 

 先ほどとはまた別の女子が挙手しながらそう言い放った。目には妙な熱気が宿っており、山田先生は若干引き気味になりながらも答える。

 

 

「そ、それはその……どうでしょう。私には()()がないので……」

 

 

 段々と下がっていく声量に合わせて教室の雰囲気も暗くなっていく。

 

 

 ……ここで一度振り返っておくが、この世界は貞操逆転している。つまりIS学園の生徒は出会いという言葉と無縁な女子校で必死に勉学に励み、己の実力と運でどうにかここまでやってきたわけだ。

 そしてそこの教師が『自分に彼氏はいない』と言い放ったのである。絶望なんて言葉で表せないほどのダメージを受けたのは確定的に明らかであった。

 

 

「もうだめだぁ、おしまいだぁ……私は一生独身なんだぁ……」

「レズにはなりたくないよぉ……」

「山田先生でも駄目なんだから私なんて到底……」

 

 

 ほぼ全員が生気の抜けた表情で怨嗟の言葉を漏らしていく。こういう時こそ織斑先生の出番なのだが──

 

 

「カレシ……カレシッテナニ……?」

(一番ダメージ受けてるー!?)

 

 

 真っ白に燃え尽きてへにゃへにゃになっていた。いやまあ確かに一夏が時たま「まーた千冬姉が合コン行って爆死したんだが」って愚痴ってたから彼氏いないのは知ってたが、まさかこんなボロボロになるとは。

 ……よし、一肌脱いでやるか。俺がみんなから見えるよう椅子の上に登ると、自然に視線が集まってきた。そしてさらに練習を重ねたアイドルスマイルを浮かべて彼女らに話しかける。

 

 

「大丈夫ですよ皆さん! 全員可愛いですしそれぞれにいいところありますから! なんなら今から自分と──アギャアアアアアー!?」

「勇、それ以上はやめろ」

 

 

 後頭部にメキメキと痛みが走ったと思ったら一夏のアイアンクローだった。なんで普通に立つだけでここまで届くんだこの野郎、身長よこしやがれ。

 そんな思いを胸に秘めながら親友の手を引き剝がそうとわちゃわちゃしている内に、段々と教室の雰囲気が戻っていく。

 

 

「私が可愛い……? いいところ……?」

「彼氏を作れるかもしれない……って、こと!?」

「……山田君、今度の合コンはいつにする?」

「そうですね、日曜日にあのお店で──って今する話じゃないですからね織斑先生!」

 

 

 和気藹々……を通り越してワイワイガヤガヤといった感じだが、暗いよりはマシだろう。

 その後は山田先生が必死にみんなを落ち着かせて、少しばかり駆け足で授業を進めたのだった。

 

 


 

 

 授業が終わって休み時間。相変わらず俺たちの周囲には女子が集まっており、各々が好き勝手に質問を投げかけてくる。

 

 

「ねえねえ、三上くんさぁ!」「織斑くん、今日のお昼ヒマ? 放課後ヒマ? 夜ヒマ?」「はいはーい、質問しつもーん!」「尻派? 乳派? それとも太もも派!?」「クール系と可愛い系はどっちが──」

(うっっっっるせぇ!!)

 

 

 こいつら俺のことを聖徳太子と勘違いしてるのだろうか。2人同時でも聞き取れなくなるんだからもうちょっとタイミングをずらして来てくれよ。

 心の中で愚痴る俺とは対照的に、一夏の方は実に手際よく女子たちを捌いていた。

 自己紹介以外に好みや趣味を聞いてくる質問にはきちんと答え、下心が強い問いかけには俺と過ごす時間を盾にしてそれとなくはぐらかす。そんな中、1人が興味深い質問を投げかけた。

 

 

「そういやなんだけどさ! 千冬お姉様って自宅ではどんな感じなの!?」

「あ、俺も気になる! 教えてくれよ一夏!」

「え。あー、うん。結構だらしな──」

「そこまでだ貴様ら」

 

 

 ……いつの間にか一夏の背後に織斑先生が立っていた。足音一つ立てずにいきなり現れたことに十数人全員が驚いていると、彼女は「休み時間は終わりだ。戻れ」と鋭い視線を向けてきたので女子は全員一目散にいなくなった。

 ……このタイミング、もしや個人情報をバラされたくなかったのでは? というか、あのゴミ袋だらけの部屋ってまさか千冬さんの──

 

 

「三上、お前は織斑から何も聞かなかった。いいな?」

「アッハイ」

 

 

 いや目つきこっわ。マジで人を切り殺せそうなレベルなんだが。まあなんだ、これ以上この話題には触れないでおこう、まだ2度目の死を迎えたくないし。

 そんな風に考えていると、彼女はとてつもない爆弾をぶん投げてきた。

 

 

「ところで織斑。お前のISだが準備まで時間がかかる」

「……は????」

「予備機がない。だから少し待て。学園で専用機を──」

「専用機!?!?」

 

 

 俺は思わず織斑先生に飛びついた。専用機、それはロマン。老若男女全てが大好きな魔法の言葉である。○○専用△△とか嫌いなやついないだろ?

 

 

「専用機ってことは……専用機ですか!?」

「だからそう言っているだろう三上。どこぞの政治家みたいな口調になっているぞ」

「……専用機か」

 

 

 俺に釣られて大騒ぎしている周囲を他所に、一夏はひどく冷静だった。そんな中、人混みを搔き分けるようにオルコットさんが俺らの方へとやってきた。

 

 

「1年生のこの時期に専用機とは。委員会は随分とあなたに目をかけているようですね。…………まあ、訓練機などと戦ってはわたくしとブルー・ティアーズの実力を見せられませんし、喜ばしいとも言えますわね」

「本当にそう思うか? もしかしたら専用機とは名ばかりのデータ収集機能だけ強化したでくの坊かもしれないぞ」

「そこは安心しろ織斑。確かに用意した機体は倉持(くらもち)技研の試作機止まりだったものだが、きちんと改修して提供される」

 

 

 ……え、なにそのロマンの権化? 試作機を改造とかもろに主人公機体じゃん! めちゃくちゃ羨ましいんだけど? というか俺にはなにかないの?

 

 

「──織斑先生、質問を。三上さんに機体の提供などは?」

「……あー、うん。私たちから委員会に確認を取ったが、『結果を出していない者に渡すコアなどない』の一点張りでな。ゆえに三上、お前は訓練機での戦闘となる」

「…………わかり、ました」

 

 

 一夏は試験官を倒したから専用機で、そうじゃない俺は一般機。なるほど、IS委員会というやつは実に合理的なシステムらしい。

 まあ確かに、微妙な低レアよりもデフォで強い高レアの方を育てるのが基本的に正しいものな。

 

 

「だがな三上、そう悲観しなくともいい。今回の決闘で良い結果を残せれば、企業から声がかかる可能性も十分にある。そしてそれはここにいる全員にも同じことが言えるぞ」

 

 

 織斑先生の言葉で周囲が色めき立つ。IS操縦者にとって専用機持ちになることは、野球で例えるならメジャーデビューして大活躍ぐらいに魅力的なのだ。

 そんな中、1人の女子がおずおずと先生に質問した。

 

 

「あの、すみません。気になったんですけど、教科書に出てくる篠ノ之(しののの)博士って、もしかして箒さんの関係者なんでしょうか……?」

(シノノノ博士? 誰だっけそれ……)

 

 

 慌てて手元の教科書を確認してみるとすぐさまその人物は現れた。

 明るめの紫ロングヘアーで、たれ目っぽく可愛らしい顔つき。首から下が写ってないことも相まってなんとなく胡散臭い雰囲気のある写真には、こんな説明書きが付けられていた。

 

 

『篠ノ之(たばね)。ISを生み出した天才にして、世界で唯一ISコアを製造できる人物。現在行方不明であり、捜索が続けられている』

 

 

 ……髪色違くね、と一瞬思ったものの一夏と千冬さんを見比べて考え直す。実はこの2人も同じ黒髪ながら、前者は青っぽく後者は緑っぽいのだ。であるならば、姉妹でこれぐらいの差はあり得るのかもしれない。

 そんな風に自分を説得している中、織斑先生は誰もが知ってることを子供に教えるような口調で答えた。

 

 

「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ」

「ちょっ、先生!?」

 

 

 一夏が責めるような声色で彼女に反応したと同時、クラス全体が湧き上がった。

 

 

「ええええーっ!? す、すごい! このクラス有名人の身内がふたりもいる!」

「ねえねえ箒さんっ、篠ノ之博士ってどんな人!? やっぱり天才なの!?」

「篠ノ之さんも天才だったりする!? 今度ISのこと教えてよっ!」

 

 

 授業中だというのに箒さんの元へ女子がわらわらと集まる。なんだか可哀想に思えるが、女体の塊を見たせいであの時の恐怖がフラッシュバックして動けない。

 そんな中、ついに彼女は堪忍袋の緒が切れたのか大声で叫んだ。

 

 

「あの人は関係ない!」

 

 

 自己紹介の時の大騒ぎよりも遥かに巨大な声量。それに驚いたのか、女子達は一斉に箒さんから距離を取った。

 

 

「……大声を出してすまない。だが、私は()()()ではない。教えられるようなことは何もない」

 

 

 そう言うと、彼女は席に座って窓の方をむいてしまった。気まずい雰囲気の中、女子たちはそれぞれ困惑や不快感を浮かべながら席に戻っていく。

 ……にしても、家族なのに『あの人』呼ばわりか。箒さんは博士のことをだいぶ嫌っているようだ。その理由を知りたいと一瞬思ったが、流石に失礼過ぎる。

 

 

「……さ、さて、授業を再開する。山田君、頼むぞ」

「は、はい!」

 

 

 山田先生は心配そうに彼女の方をちらちら見ながらも授業を進めていく。やはりプロなんだなと思いながら、俺は教科書の文章に悩まされるのだった。

 

 


 

 

(どうすりゃいっかなぁ…………)

 

 

 時間は過ぎて放課後。昨日よりも短い復習を終えた俺は食堂で購入した惣菜パンを片手に散歩をしていた。

 3時限目のひと悶着の後、何人かの女子は箒さんに謝りに行こうとしたものの彼女に強く睨まれるせいで何も言えずにいた。見かねた一夏が昼食に誘ったもののこれすら跳ね除けて独り屋上へ。

 その後もずっとクラスの雰囲気は悪く、居心地が良くなかったのでこうして気分転換をしているというわけだ。

 

 

「……美味いな、これ」

 

 

 出来合いのピザトーストを食いながら舌鼓を打つ。ちょっと冷めてるのでチーズが伸びることはないのだが、食べにくいあの脂っぽい硬さもない。ゆえにもしゃもしゃとすぐに平らげてしまう。

 

 

(さて、どこに行こうかな……っと、ここは?)

 

 

 ビニール袋からソーセージ付き焼きそばパンを取り出して食べようとした瞬間、目に付いたのは『整備室』と書かれた電子看板だった。機械扉の向こうからは作業音と女子の声が聞こえており、まだまだ必死に働いているようだ。

 そういえば織斑先生が訓練機の一斉メンテナンス中とか言ってたな、なんてことを考えている内にふと思いつく。

 

 恐らくだが、破損や故障があまりないISであればもう修理は終わっているはず。もしかしたら1つぐらい、使えそうなやつがあるのでは?

 

 

(あてが外れたとして、修理状況を把握できるのは大きいはず。となれば……)

 

 

 覚悟を決めた俺はドアにカードをかざし*1、教室のものよりゆっくりと開いたそれの中に入り込む。

 

 

「失礼しまーす!」

「あ゛ぁ!? いま忙し──って男の子!?」

「マジで!?」

 

 

 顔やら服やらどこかしら汚れた女子たちが一斉に俺の方を見てきた。一瞬ビクッとなるが、ここで折れてはどうしようもない。笑顔を維持しながら部屋に入り、目的の質問をする。

 

 

「あのー、すみません。俺、三上勇って言いまして。来週の月曜日に用事があってー、そのために訓練機を使いたいんですけど──」

「駄目よ」

 

 

 俺の要求をピシャリとはねつけたのは、黄色いヘアバンドとポニーテールが特徴の眼鏡女子だ。襟元には3年生であることを示す赤いリボンがついており、どうやらリーダー格らしい。

 

 

「三上さんだったかしら? 織斑先生から要求があったから来週の決闘までに機体は用意するわ。だけど、それより前の利用は許可できないわよ」

「……理由を聞いてもいいですか?」

「理由? 規則だから──じゃあ納得しなそうね。ISは極めて精密な機械、小さな問題が大きな事故を引き起こすのもざらにある。まだ五体満足でいたいでしょう?」

「…………」

 

 

 冷たい言葉だが、根っこにあるのは技術者としてのプライドとこちらへの気遣いだ。とはいえ、こちらも引き下がれない。

 どうにかIS操縦技術を高められなければ、そもそもオルコットさんと『勝負』すらできないかもしれないからだ。

 

 

「……せめて、せめて1日だけ。試合の前日に使わせてもらうのは?」

「それも駄目。あなたにとってはたった1回の操縦でも、私たちにとっては数時間のメンテナンスと同義なの。みんなもそう思うわね?」

 

 

 彼女が周囲へ問いかければ、整備員たちはうんうんと揃って首を縦に振る。まあ確かに、仕事を増やされることほど嫌なものはそうそうないものだ。

 もはや梃子でも動かなそうだと感じて「失礼しました」と言って帰ろうとした瞬間、どたばたと誰かが急いでやってくる音がした。

 

 

「あるわよ、動かせる機体!」

「え、本当に──」

 

 

 振り向いた瞬間、俺は思わず言葉を失った。

 雑に纏められながらも艶のある黒髪、着崩された制服によって露になっている大きな胸部、煤よごれが引き立たせる色白の肌。そして、作業に使っていたらしいゴーグルの下から現れた真っ赤な瞳。

 ──美人、しかも性癖のど真ん中を剛速球でぶち抜くタイプ。IS学園(ここ)に来てしばらく感じていなかった種類の興奮を俺が覚えている中、眼鏡の先輩は黒髪少女へと近づいていく。

 

 

鬼月(おにづき)さん、今なんて?」

「動かせる機体がある、というか出来上がったのよ。リヴァイヴで、あとは軽く動かしてチェックするだけって感じ」

「なっ……初心者にそれをさせるつもりなのあなた!? しかもリヴァイヴなんて入試じゃ貸出がそもそも行われてないのよ!」

(リヴァイヴ…………あー、ラファール・リヴァイヴのことか)

 

 

 たしか学園の訓練機2種類の片割れで、打鉄と比較して機動力と火力に優れたISだ。フランス製で同国の戦闘機(ラファール)との混同を避けるため、関係者からはもっぱらリヴァイヴと呼ばれているのだ。

 山田先生曰く第二世代IS*2の最高傑作とも言われる程の代物らしいが、装甲の薄さと装備の癖の強さゆえに初心者向けとは言い難いとのこと。

 

 

「確かにそうね──ところで(うつほ)ちゃん、三上くんの入試データは見たの?」

「えっ? いや、忙しいから見てないけれど……」

「彼、打鉄よりはリヴァイヴが向いていると思うわ。それに安心して、最終チェックはまた別の子にやらせるもの」

「…………そこまで言うのなら、任せるわ。ただし責任は鬼月さんが持つことよ」

 

 

 そう言い残すとウツホさんは「作業再開!」と周囲に指示を出しながら機体ハンガーの方へと向った。

 そして彼女と入れ替わるように黒髪の先輩はこっちに近づいてくると、汗を拭いてから手を差し出してくる。

 

 

「初めましてね、三上勇くん。私は鬼月いのり、整備課第2班の班長をやっているわ…………ここで話すのもなんだから、部屋まで来ないかしら?」

「い、行きます! 行かせてもらいます!!」

 

 

 もはや俺の興奮はピークに達していた。先輩の大きな手に引かれて移動する間、騒がしいはずの作業音が微塵も気にならないほどだ。

 そして『鬼月』と達筆な文字で書かれた半紙を張られたドアを前にし、うきうきしながらその中に入るのだった。

*1
一部の部屋では寮で使うカードキーの提示が求められる。

*2
換装装備(パッケージ)を前提とした設計を行われた機体全般のこと




 長いので一旦ここまで。どれぐらい貞操逆転させるかも探り探りで思案中。
 感想とか指標にするかもしれません。

ムフフなif、読みたいですか?

  • いる
  • いらない
  • そんな物より本編優先して♪
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