できるだけ早く投稿したいと考えています。
手紙には僕を預けた理由と両親の思いが書いてあった。
{大和へ
堅苦しいので拝啓などは飛ばさせてもらう。
この手紙を読んでいるということは20歳になったのだろう、おめでとうお前も大人の中にはいるんだそのことを自覚してこの手紙を読んでほしい。
初めにお前を弥城夫妻に預け自分の手で育てられなくて済まなかった。
今のお前の両親について話そう。博正は私の後輩であり義理の弟だ。鈴音さんも優しく頼れるひとだ。
そんな彼らだからこそ信用し大和を安心して預けられたんだ。姿は見れないが元気に幸せに過ごしてくれれば嬉しいと思う。
私たちは考古学者で世界を回っている。この国で発掘したものが国の歴史を裏付けるとても重要なものだった。発掘した当時は喜び浮かれたよ。けれど、調べれば調べるほど、それが危険なものだとわかって怖くなった。世間には発表もできないようなことだ。いつ昔に起こったことが、今起こるか分からない。起こらないとも起こるとも言えない保証も確証もないし立証も実証もできない。
しかし、重要なものだ、破棄することも埋めなおすことも隠すこともできない。発掘物の存在はすでに発表していたからな。発掘してしまった後悔が頭の中をめぐって可笑しくなりそうだった。そこで、お前の安全のために孤児院に出した。
そのことで相談してあった。博正につかえてお前を養子にしてもらった。
本当はお前を守り育てていかなければいけなかった。そのぐらいのことは分かっているつもりだが、それができなかった。見捨てたと思ってくれても構わない。その位の事をした自覚と覚悟はできている。
しかし、さっきの言った発掘したものが危険すぎたためにお前と一緒にいられなかった。言い訳なのはわかっている。大和を守りきる自信がなかった。そのためにお前を弥城夫婦に託すことにした。
お前は武道を幾つかやっていると思う。お前に大切な人はできただろうか?それはお前に大切なものができたときに守れるようにと思い博正に伝えておいたものだ。大和には私みたいになってほしくないという、私のわがままみたいなものだ。いつか、役に立つ時まで頑張ってほしいと思う。
私たちのことは気にせず博正と鈴音さん幸せに生きてくれ。
それが私の願いであり喜びだ
この手紙を読んだ後あいつらに当たらないように。隠しておいてくれと頼んだのは私だ。
もし、捨てことも、隠したことも憎むなら私だけにしてくれ。
最後だが幸せになってくれ。
生き甲斐を見つけてくれ。
人生を楽しんでくれ。
短い間だったが、お前のおかげで幸せだった。
私たちの許に来てくれてありがとう。
私たちを選んでくれてありがとう。
夢を持てそれだけで人生は変わる。
P.S
一緒にある物は代々島神家の長男が大人になった時に貰い受けるものだ。大切にしてくれ。
本当に必要な時に持ち手を選び使えるらしい。これからの大和を守ってくれるだろう。
島神 晴吾・和美より}
手紙はこれで終わっていた。
封筒には、幸せそうな三人が写っている古びた写真が入っていた。
「この人たちが、本当の両親。」
もちろん写真に写っていたのは僕と本当の両親だった。裏には大和2歳の誕生日と書かれていた。
そして、手紙と写真を見てほしかったので両親に渡すと。
「本当に私たちが見てもいいのか。」
「当たり前だよ。最後のメッセージをみてほしいんだ。」
「ありがとう。」
両親が読み終わった後、残っていた小さな箱を開けることにした。
そこには、ただの良くわからない塊としか見えないものが入っていた。形は長く3cm位しかない本当に分からないものだ。思わず
「何これ?」
両親に訪ねてしまった。
「先輩が持っているところを見たことはないが、大和にとっては初めての大切なプレゼントだろう?」
「違いますよ。二つ目のプレゼントです。」
何が言いたいのか解らないという顔をしているので。
「大和という名前が最初の両親からの送り物です。」
手紙で{大和}と書いてあったことで確信が持てた。孤児院の方がつけた名前ではなく本当の両親がくれた名前だと。
「そうね。両方とも大切にしないとね。」
母さんは優しく言ってくれた。
「お前はどう思う?先輩と姉さんのこと。」
「憎んだりはしませんよ。僕のことを考えてくれた結果なのですから。」
「そうか。これからどうする。」
「何も変わりません。今までどおり生活します。母さんと父さんが増えただけですから、特に気にすることでもないですよ。」
「今まで隠していてすまなかった。」
「ごめんね。」
「気にしないと言ったばかりですよ。それに、ここまで育ててくれてありがとう。頭を下げるのは僕のほうです。」
僕は今までの感謝を伝えた。
お互いに顔を上げ向かい合った。そこには泣き出しそうな母さんと嬉しそうな親父の顔があった。
その日は久しぶりに家族で出かけ、楽しい時間を過ごした。
その夜、僕は自分の部屋で一人泣いた。
危険でもいいから一緒にいたかったことや、思い出を作りたかったことなどの愚痴を言いながら、いつのまにか寝ていた。
また夢を見た本当の両親と一緒に生活してる夢を。
楽しくてうれしかった。
でも知っていた。手紙を読んだ後に両親について調べた。行方不明になっていることが分かった。もう何年も前のことだ、生きていることはないことぐらいすぐに理解できた。
そのせいだろうこんな夢を見たのは、夢と分かりつつも話しかける。
{父さん、母さん、僕は元気で幸せです。}
{そうか、良かった。}
{これが夢なのは解ってます。少しでも一緒に過ごせてうれしかった。長くは続かない夢の中だけど本当に良かった。}
{ありがとう。}
{自分の信じることをしろ、正しいと思うことをしろ、後悔はしないようにな。}
{幸せになってね。大和}
記憶の隅に残っている母さんと父さんからの声だろう。
そして、変わらない日常が始まった。変わったことは贈り物を身につけていることぐらいだろう。