一匹狼だった少女   作:桜水月

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桜木葵の狂いと違和感

ー佐倉愛里視点ー

今日は明日の食材を買う為にスーパーに行こうとしていた。するとその時に、あの目があった。嘘…だって転属になったって…

「雫たん、どうして?あんな事したのかな?僕は君のファンなんだ。君だって僕に会う為にこの学校を選んだんだろ?」

怖い、怖い、怖い。誰か…誰か…震える手で咄嗟に電話をかけようとするが直ぐに男に取り上げてられて通話を切られる。掛け直して来たが男が私の腕を掴む…けれど全力で振り払う

佐倉「私はあなたなんて知らない!もう…関わらないでください!」

そう言って走って逃げようとした。しかし、運悪く躓いて転んでしまった。

「どうして!?どうしてどうしてどうして!?僕らは運命で繋がれているはずなのに!?あぁ…きっと誰かに騙されたんだ!?一体誰なんだ!?いやでも、もう君は汚されてしまった!僕を拒んだ!僕の物になってくれないなら…」

狂気を孕んだ目で男は刃物を取り出した。逃げないとそう思うが恐怖で足が震えて動けない。男は刃物を振り上げた。あぁ…私ここで死んじゃうんだ。目を閉じてその時を待つ。

しかし、痛みは来なかった

「はっ?」

佐倉「あっ…あぁ」

本来は自分より小さい背中が大きく見えた。視界が涙でぼやける。いつの間にか、男は倒れていた。そして私は見た。見てしまったのだ。ポタポタと彼女の左手から赤い雫が落ちていくのを。

佐倉「ごめっ…んっ…なさい….」

罪悪感でいっぱいになる。

葵ちゃんはゆっくりと泣きじゃくる私に近づいて、左手を私から見えないようにして、微笑みながら右手で頭を撫でながら言う

桜木「絶対守るって言ったでしょ、この行動は私がしたかったからした事、だから愛里ちゃんが気にする必要ないんだよ」

それは優しい優しい声だった。

ー綾小路清隆視点ー

葵が駆け出したのを少し遅れて俺と一之瀬も走り出す。愛里の身に何かあったのだろう、葵のあそこまで焦る姿は初めて見た。一之瀬とペースを合わせながら行き、途中で警察を呼ぶように頼む。俺は、先に愛里達の方へ向かった。着くとそこには倒れた男と泣きじゃくる愛里、そしてそれを落ち着かせようとしている葵。そして葵の左手にはペティナイフが刺さっていた。

綾小路「電話は?」

桜木「あっ、してなかった」

そうして病院に連絡をする葵。警察が来る事は一之瀬が居ない事から分かったのだろう。にしても、なんでそこまで冷静なんだ?まるで、刺され慣れているかのような冷静さだ。

一之瀬「えっ…」

一之瀬は止まっていた。刃物が左手に刺さった状態の葵に倒れた男を見ればそうなるのも無理はない。

警察「どうしましたか?っ…君大丈夫かい?」

一之瀬に連れてこられた警察官は葵の状態を見て一目散に駆け寄る。

桜木「あっ、今病院に連絡したのでそのまま歩いて行きたいのですが、事情については後日でよろしいでしょうか?」

警察「えっあっ…おっ、お1人で大丈夫ですか?」

桜木「はい、私は大丈夫です。ですが、こちらの女子生徒が被害者で1番怖い思いをしたのでそちらの方をお願いしてもよろしいでしょうか?」

警察「もちろんです」

淡々と話す葵に、警官は動揺している。

綾小路「なら、俺が付き添おう」

桜木「分かった」

〜数時間後〜

病院で、葵は輸血をしてもらうことになった。その間に一之瀬と愛里が来たので、葵のいる病室に行った。

一之瀬「あの人は殺人未遂や傷害罪、ストーカー罪で逮捕になったって…」

この状態の葵を見て暗い表情で言う一之瀬

桜木「そっかぁ、これにて一件落着かな?」

この2人の暗い表情に反して葵は明るい。

綾小路「傷の具合は、どうだ?」

桜木「一週間くらいで完治するって、傷も残らないそうだよ?」

一週間?少し、いやかなり短くないか?

あの怪我なら一ヵ月は掛かってもおかしくないはずだ。それを1週間なんて、ありえない。一体どうゆうことなんだ?

愛里「良かった…」

一之瀬と愛理はそこまで意識が向かないのか疑問を持たずに、ホッとしたようだ。

 

コンコンとドアを叩く音が響いた。

 

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