今日は二本投稿します。筆が進めば三本投稿出来るかも?その代わり短いけど許してください。
「颯希、お前やるじゃねぇか!」
――『ブレイズキック』
ボクの炎を纏った蹴りと勇儀さんの妖力を纏った蹴りがぶつかり合います。流石は鬼というべきで、足の骨がミシミシと悲鳴を上げています。ですが、ボクの力もなかなかなものなので、勇儀さんも同じだけのダメージが入っていることでしょう。
「うっらァッ!」
「ぐっ……!」
訂正です。勇儀さんには全然ダメージが入ってませんでした。互いの蹴りの反動を利用して、勇儀さんが軸足を入れ替えた左足での回し蹴りをしてきました。
ボクは、右腕を盾にして、回し蹴りを受けます。勿論、その程度の防御で守り切れるほど、山の四天王は甘くありません。ボクは、ボールのように容易く蹴り飛ばされ、何度か天地が分からず身体をぶつけながらブッ飛ばされます。
――『火炎放射』
気付いたら部屋が広くなっていたのか、壁をぶち抜くことなく勢いが衰え始めて、ボクは手を床について跳ねるようにして起き上がり、ついでに追撃を仕掛けようとした勇儀さんへと炎を吹き掛けて妨害します。
「次はボクから行きますよ!」
「はは!掛かってきな!」
――『ニトロチャージ』
ボン、ボボンとボクの身体の内側から爆発音が何度もします。その度に、身体から炎が吹き上がりボクの身体を少しずつ包み込みます。全身が炎に包まれると同時に湧き上がる力を込めて、走り出します。
――『炎のパンチ』
「なっ……くそっ!」
ボクは、全身の炎を右腕に集め、勇儀さんに向かって握った拳を振り下ろします。『ニトロチャージ』によって、1.5倍になったボクの速度に勇儀さんは一瞬反応が遅れました。ですが、そこは山の四天王。咄嗟に両腕を交差させて庇います。そして、ボクの拳が勇儀さんの両腕にぶつかり、
炸裂。
ドンっと、大きな音を立てて炎は爆炎となって、暴れました。ボクの髪は爆風で乱れ、勇儀さんは防御ごと体勢を大きく崩されました。チャンスです。
「さっきの仕返しですよ!」
――『ブレイズキック』
――『二度蹴り』
ボクは、再び右足に炎を纏わせて勇儀さんへと跳びかかり、その腹部へと足を振り下ろします。体勢が崩れている勇儀さんは、防御など出来る筈がなく腹部へとボクの足が直接吸い込まれていきます。
「かはっ……!」
肺が圧迫されて空気を吐き出した勇儀さんが吹き飛ばされていきます。ですが、ボクの攻撃はまだ終わっていません。着地すると同時に駆け出し、『素早さ』が上がったボクは宙にいる勇儀さんへと追いつき、もう一度炎を纏った蹴りを喰らわせます。今度は、上手いことに脇腹へとクリーンヒットし、勇儀さんは遠く離れた壁へと吹っ飛ばされていきました。
ドカンと大きな音を立てて勇儀さんが壁にぶつかりました。当然、ボクの『ブレイズキック』二発分の威力に耐えられるほどの耐久力が壁にあるはずもなく、勇儀さんは壁の向こう側へと消えていきます。
「ふぅうっ……ふぅぅうっ……」
ボクは、高まりに高まった体温によって熱くなった炎混じりの吐息を吐き出し、新しい
「っ疾ィッ……!」
ほら、こうしてさっきよりも速くなって戻ってきました。ので――
少々早いですが、第二ラウンドの開始です。
――――――――――
私が吹き飛ばされたと気付くのには時間が掛かった。突き破られた壁から零れ落ちる木屑によって捉え難くなった視界が目の前の強敵を収める。
不知火颯希。そう名乗った、文字通りこっちまで燃えてきそうな戦いをする神獣を見る。率直に言うと私は颯季を神よりも神みたいな奴だと思った。萃香から聞いた限りだが、人の死に悲しむ程の私ら
まさに、身内には限りなく身近で甘く、外敵には溢れんばかりの力と野生を持って容赦なく殲滅する。そんな、ひ弱で脆弱な人間達を守るためだけに存在しているような奴だと。
だが、いま拳を交えて分かったことがある。
「アイツ、私に尊敬を――純粋な好意を向けてきやがった」
意味が分からない。この言葉に尽きる。だが、
「面白ぇっ!今はそれだけで十分だ!」
意味が分からないのなら、こてんぱんに打ちのめしてから聞けばいいんだ。その考えに至った私は、立ち上がって膝や腕を曲げたりして身体の状態を確かめる。
何本か骨が折れていたが、生憎と私は鬼だ。鬼特有の豊富な妖力を使った再生力で、あっという間に骨を繋げる。軽く手を振って、痛みが消えたのを確認した私は膝を曲げて力を溜める。
「さっきまでのは、様子見だ。なんて、ブッ飛ばされてちゃカッコつかねぇが、次はそう簡単にゃいかせねぇ……よッ!」
私は、颯季という最高に愉しめる相手に向かって真横に跳ぶようにして最高速で駆け出した。私が嫌いな、不意打ちにならないかと一瞬思いはしたが、そんなことはないと私の直感が言っていた。
ああ、最ッ高だ!
飛び出した私の目の前には、一切の油断無く全身から炎を吹き出しながら拳を構えて私を見据える颯季の姿だった。黒の瞳と私の瞳が交わる。颯季の目が語っていた。この程度で終わるわけがないだろう?と、不敵な笑みと共に伝えられたそれに、私の顔は無意識に獰猛な鬼らしい笑みを浮かべているのだろう。
「っ疾ィッ……!」
私は、身体強化に回す妖力を一段階強くした。
勝負はまだ始まったばかりだ。
次回 閑話天才少女の独白
シキちゃん視点でのお話です。17時頃投稿予定