諏訪大戦にでんせつポケモンが参戦するそうです   作:タニコウ

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今回から、新章です。この作品は、諏訪の伝説とか神話を結構取り込む予定です。この章は諏訪の一年神主についてです。結構闇深なので、調べてみてね。本当に諏訪であったことなのかは知りません。曖昧だからこそ、好き勝手書けますし。

諏訪子様強化回

言わなくても分かると思いますが、本作では諏訪子様含めた諏訪陣営は魔改造されます。ご了承下さい。



最後の一年神主編
でんせつ、製鉄する


 

 古くから伝わる日本での製鉄技術と言えば、皆さんはたたら製鉄を思い浮かべることでしょう。砂鉄や鉄鉱石を炉で木炭を燃料にして、たたらと呼ばれる鞴を使って空気を送ることで、低温で燃焼を効率的に行うことで純度の高い鉄鋼を取ることが出来る製鉄技術です。この技術は、古くから――それこそ、ボクが今いる古代の弥生時代から続いていると言われています。

 

「颯希ちゃん、火はもう少し弱くていいよ」

「分かりました!」

 

 実際、それは正しくて、今現在ボクの目の前でたたら製鉄が行われているんですよ。ただ、使う材料は砂鉄ではなくて、諏訪湖の湖底で取れた湖沼鉄ですけどね。湖沼鉄というのは、土が湖とかに入った時に土砂に含まれてる鉄分が沈殿して固まったもののことですね。沼鉄鉱とも呼ばれているらしいです。

 ボクは、村の鍛治師のおじさんの指示通りに炉の中に手を入れて炎の調整をします。おじさんはたたらを踏んで送る風の量を増やしました。

 

「いやー、それにしても颯季ちゃんと洩矢神には頭が上がりませんねぇ」

「わう?どうしてです?」

「もしかして、また私威圧してた?」

 

 ボクも諏訪子様も村の人と結構親しくさせて貰ってるのですけど……。シキちゃんのお父さんの魂を御霊に変えたあの儀式以降、ボクは前までと大して変わりませんでしたが、諏訪子様は今もボクの後ろで製鉄を見ている様に、この1ヶ月でかなり村の人との距離を詰めていまして、それなりに親密になっていた筈なのですが……。

 

「いや、そう言う意味じゃなくね、今までとは比べるまでもなく製鉄作業が楽になったんよ。洩矢神が湖沼鉄の土を少なくしてくださったから一回で多くの鉄が取れるし、颯季ちゃんが火の調整をしてくれるから時間を短く出来てね。お陰様で、畑を見る時間が出来たんよ」

「そうなんだ。なら良かったよ」

「そうだったんですね!お役に立ててるみたいで良かったです!」

 

 凄かったですもんね、諏訪子様。手に持った湖沼鉄がもぞもぞと蠢いたかと思ったら、泥の部分が無くなって一回り小さくて、しかも水分が結構減ってたんですよ。

 こうして実際に見ると『坤』を創造する程度の能力って凄くないですか?ボクも大概ですけど、諏訪子様も十分ヤバいですよね。

 

「よし、出来た。颯季ちゃん、後は頼めるかい?」

「ゆっくり冷やすんですよね?任せてください!」

 

 おじさんが炉から取り出した、まだ熔けたままの鉄をボクの前に置いてくれます。ボクは、それに手を突っ込んでゆっくりと出来るだけ一定速度で温度を下げていきます。いやー、チー特性の『炎熱操作』さんはこう言う時に便利ですね。温度を上げるのも下げるのにも使えますし、何となくの温度も分かりますから、細かい管理が出来て凄く助かりますね。

 おっと、そろそろ鉄が固まり始めそうですね。ですので、ボクは入れ物から手を抜いて表面に手を掲げる感じにして温度を下げていきます。一応、どうして最初に手を鉄の中に入れていたのかについて説明しておきますと、外から冷やすと外と内側でちょっぴりムラが出ちゃって耐久性の面で結構な差が出てしまうんですよね。まぁ、初めてのことなので多分関係ないですけど。別に、こうした方が多く貰い火出来るとかそういうことじゃないですからね。ほんとですよ。

 

「このくらいで大丈夫ですかね?」

「十分だよ。ありがとう颯季ちゃん」

「いえ、これくらいでしたら何時でも呼んでくださいね!」

 

 おじさんの男らしいゴツゴツとした手のひらで撫でられる感触を頭で感じながら、ボクは元気良くお返事をしました。これからも、一杯お手伝いしたいですね!

 ですが、現実はボクの気持ちとは正反対だったらしく。ボクが冷ました鉄をボクの後ろから覗いていた諏訪子様が口を開いてこう言いました。

 

「んー……これ、あんまりやらない方がいいかも。この鉄に颯季の神力が混ざっちゃってるよ」

「わう?神力が混ざるんですか?その鉄に?」

「うん、ちょっと借りるよ」

 

 諏訪子様はボクの手から鉄を手に取り、顔を近づけて観察したり、こんこんと手で叩いてみたりと色々と行いました。

 

「ねー、この鉄貰ってもいい?」

「別に問題ないっすけど、何に使うんです?」

「んー?ちょっとねー」

 

 そう言うと、諏訪子様は手に持った鉄を強く握って砕きました。……砕きました!?

 

「ちょ、ちょっと諏訪子様!?何やってるんですか!」

「まぁまぁ、見てなってー」

 

 それと同時に、諏訪子様は神力を解放しました。解放された神力は満遍なく砕かれた鉄の破片達に吸い込まれていきました。神力の込められた鉄達は独りでに寄り集まって来ました。

 

「来て、洩矢の鉄の輪」

 

 諏訪子様が神力を地面に向けて放つと、地面からぽこんと鉄で出来たフラフープが……あれ?ちょっと太くないです?刃もないですし、何かドーナツみたいですね。

 

「これに、この鉄を入れれば――」

 

 諏訪子様はドーナツみたいで不恰好な高速回転している神具に、精錬したばかりなボクの神力が込められているらしい鉄を押し付けて、粘土みたいにして全体的に混ぜていきます。そこから、一度ぐにゃぐにゃと1つの鉄の塊になりました。

 

「廻れ、洩矢の鉄の輪」

 

 諏訪子様が神力を放つと、ただの鉄の塊がまるで轆轤に置かれて遠心力で外側へと追い出されていく粘土のように薄く伸ばされていき、真ん中にはぽっかりと穴が空きどんどんと穴が広がります。やがて、刃が出来て鋭い輝きを放ち始めました。諏訪子様の神具である『洩矢の鉄の輪』です。ですが、以前見たそれとは違う点が1つ。

 

「諏訪子様、刀身の色が違いませんか?」

「うん、そうだね。……にしても、これ結構使えるかも」

 

 刀身の色が白く日光を反射する綺麗な鈍色ではなく、その色は薄い黄色で日光を反射してキラキラと金色に輝いているように見えました。それを、諏訪子様はいつもとは違い、気円○みたいに、手から離して宙に浮かせた状態で、手のひらと刃が垂直になるようにして構えました。

 

「うーん、何て喚ぼうかな……うん、決めた。『噴かせ、洩矢の鉄の輪』」

 

 諏訪子様の言葉に黄金の神具は応えるように回転数を増やしていきます。どんどん速く、鋭くなっていく神具ですが、その色は刃の先端から徐々に赤みを増していきキュィィインという歯医者でのトラウマが蘇りそうな音を響かせます。そして、

 

「燃え上がれ、洩矢の鉄の輪!」

――神具『洩矢の鉄の輪・(ほむら)

「凄いです、諏訪子様!」

「熱っつ!凄いけど熱い!」

 

 ボワッと音を立てて神具は赤化して炎を纏いました。キュインキュインと廻る炎はまるで刃のように細く鋭くなり、刃が伸びたかのように感じられました。おじさんが凄く熱そうですね。まぁ、結構離れてますけど今『貰い火』発動してますからね。熱くて当然です。

 

「灼き尽くせ、洩矢の鉄の輪!」

 

 諏訪子様は郊外の森林の方へ向くと、その手を森林へ向けて思いっきり振り下ろしました。諏訪子様の神具はゴォォオッ!と凄まじい音と共に地面を削りながら周囲の草花をその炎と余りある熱で焼き付くしながら突き進み、通った跡はまさに草の一本もない無毛の大地な焦土と化しました。それが森まで続き、そして

 

 爆発と共に森の一角が消し飛びました。

 

「…………」

 

 余りの威力にボクとおじさんが絶句してしまいました。それがいけなかったのでしょう。現在進行形で目を子どものようにキラキラ輝かせている諏訪子様を、ボク達は見ていなかったのですから。

 

「うん、威力は十分。創るのも颯季の神力がある私なら出来る。後は……やっぱ数だよね」

 

――神具『洩矢の鉄の輪・炎』×3

 

 ボクとおじさんの意識が戻ったのは、ぽぽぽんと土の中から複数の神具が飛び出してきた音でした。歯医者の音を鳴らしながら炎を吹き上げる3つのフラフープ。それを満面の笑みで掲げる諏訪子様。

 

「諏訪子さ――」

「いっけー!」

「ま……間に合いませんでした……」

 

 

 これ以来、ボクの炎を製鉄作業で使うのは鍛治師の生涯最後の作品を作る時。諏訪子様が生み出した鉄鉱石とボクの炎で作る、お社に奉納する集大成の最高傑作を造る時にだけ使われることになりました。

 これは、あまり思い出したくない出来事ですが、これだけ伝えておきましょう。――「森が1つ消し飛んだ」とだけ言っておきますね。





引っ越し準備忙しい……。お仕事も忙しくなるし、更新頻度下がるかもしれません。ゴメンネ

次回 でんせつ、お見舞いに行く
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