「諏訪子様!ボクは今、怒ってます!」
諏訪子様の指示の元、シキちゃんと諏訪子様を乗せてボクが走ること30分ほど。山に入って山頂付近まで登ったところにある開けた場所――ミシャグジ様と戦った場所に来ました。と言うか、諏訪湖の方を見て思ったんですけど、ここってアングル的に守矢神社の奥宮が出来る場所じゃないですかね?これって、聖地巡礼ではなく、聖地を創るってことになるんでしょうか!?
まあ、そんなことは良いんです。実は今、ボクは猛烈に怒っています!もう、それはかんかんですよ。もしボクがカイリューだったら、『かみなり』を落とすくらいには怒ってます!
諏訪子様を詐欺罪と名誉毀損で訴えます!理由は勿論お分かりですね!?純粋なボクの心をあんな
「あー、はいはい。颯季はここを撫でられるのが好きだねー。ごめんね、お詫びに沢山撫でてあげるからさー」
「わふわふ♪……久しぶりにワザップジ○ルノができたので許しちゃいます~」
まぁ、今の諏訪に法律もクソもないんですけどね。今回は仕方ないので、顎をこちょこちょと撫でてくれる諏訪子様に免じて許してあげちゃいましょう。
「そうやって、簡単に許しちゃうからダメなんじゃないですか?」
……それを言ってはいけませんよ、シキちゃん。
気を取り直して、ボクと諏訪子様は向かい合って軽く相談と言いますか、何処にシキちゃんのお父さんのお墓を建設するのか話し合います。
「んじゃ、颯季。穴を掘ってくれる?」
「えーっと、何処にですか?」
「うーん、そうだね。村が見えるし、この方角だったら何処でもいいんじゃない?」
「適当ですね、諏訪子様……」
「いいんだ、それくらいで。もうその亡骸に宿ってるのは私の信者じゃないし魂も宿ってないからね、今から創るのは宿っちゃった神力を出さないようにする蓋だよ。変に凝った物を創っても所詮は無用の長物になるだけさ。私は石で軽く祠を創っとくから、颯季は穴を掘ってくれる?シキは……出来ることないから警戒でもしてて」
諏訪子様はそう言うと、ぽこぽこと石を産み出してはぐにゃぐにゃと粘土みたいに造形して、気に入らないのかガラスみたいにぱりんと割って壊してを繰り返し始めました。適当で良いと言った割には、大分丁寧なお仕事をしてますね。諏訪子様のそんなところがボクは大好きです!
作業に集中したのか無言になった諏訪子様。残されたボクとシキちゃんは互いに見つめあってからどちらともなくふっと笑う。
「では、ボクも始めようと思います。索敵の方、お願いしますね?」
「はい。任せてください、颯季さん。お気をつけて」
「勿論です」
ボクは、地面に向かって穴を掘り始めます。……素手で。とは言え、以前も言ったようにポケモンの穴を掘る速さは尋常じゃないです。ですから、人一人分の骨を埋めて余りあるだけの穴はすぐに掘り終えました。
ですから、ボクは穴からひょっこりと顔半分を出して諏訪子様に報告をしました。
「諏訪子様ー!終わりましたー!」
「浅すぎ。もっと、地面の底まで掘って。出来れば、螺旋状にして村の近くの麓に外へ繋がる横穴を掘る感じで」
「わうー……何をなさるつもりなんですかー?」
「地下集合墓地……颯季の知識で言うならカタコンベかな、死者が眠るのは地底の奥深く。それ以外は、墓地に見せかけた要塞さ。地下に張り巡らされた迷宮はそれだけで武器になる、特に私にとってはね。私の能力さえあれば――」
諏訪子様がそこまで言うと、ボクが穴を掘った穴の側面にズズズッと石が生えてきて、更にニュルニュルと気の根っこのような物が石の壁を補給するかのように縦横無尽に根を張りました。木の根っこが空中の水分を吸収したのでしょうか?梅雨前のちょっぴり湿った空気が、若干乾燥した感じがします。
「この通り、災害にも強くすることが出来るし、湿度も取り除けるから、重要資料の保存とかにも使える。尤も、地震やら土砂崩れなんて私の領域では起きることはないんだけどね。後は、この石をわざと消してそこから能力で地盤を緩くすれば、中に入ってきた塵芥を一瞬で排除することも出来るって寸法なわけ」
「……な、なるほど」
か、考えることが悪役過ぎますよ諏訪子様!?こんなの、地下の実験場まで追い詰められた映画の悪役が『よくもここまで追い詰めてくれたな。だが、お前ももうここまでだ』とか言いながら自爆スイッチを押すみたいなことやってますよ。
とは言え、大地を司る『坤』を創造する程度の能力を持っている諏訪子様にしてみれば、地の利を活かしたとても良い作戦だと思いますので、ここは諏訪子様の言う通りに穴を掘り進めましょう。
そして気合充分になったボクは、地中をぐるーっと円を描くように螺旋状に掘り進めている訳なんですけど。時たま、ガツンとボクの手に大きな岩がぶつかるんですね?邪魔じゃないですか、ですから最初は『岩砕き』でもしようかな。と、思ってたんですけど。
「あ、また岩です」
――バキッ
ボクが岩に当たった瞬間に岩が割れて、さらさらと砂みたいに粉々になっちゃうんですよ。え?馬鹿力?失礼ですね、そもそもこれってボクがやってる訳じゃないですからね?じゃあ、誰がやったのかと言うと、まぁ皆さん分かりますよね。ここ、
「ありがとうございます、諏訪子様」
―― フリフリ
ボクがお礼を言うと、目の前の地面が隆起して腕のような形を模してヒラヒラと手を振ってくれました。……ここって、結構地下深くなんですけど、どうやってボクの場所を探知してるんですかね?
まぁ、そこら辺は別に気にすることでもないでしょう、だって
「今気付いたんですけど、諏訪子様が遠隔で掘ればすぐに終わるんじゃないですかね?」
――✕
そう、さっきみたいに離れた位置にある岩を壊せたり、土から腕を生やせるならボクは要らないのではって思ったんです。ボクのそんな呟きに、即座にボクの両脇の地面から土の腕が生えてきて、ボクの目の前で腕を交差させてバッテンを作りました。
「出来ないってことですか?」
――△
ボクがそう言えば、土の腕はバッテンから三角に形を変えました。これはどういうジェスチャーなんですかね?…………あ、もしかして。
「出来るけど、消費が激しいってことですか?」
―― ️
続けたボクの言葉に、土の腕は握り拳に親指だけを天に向けた所謂グッドサインをして肯定の意味を伝えてきました。
…………
「消費が激しいなら、無駄遣いを止めた方が良いのでは?」
――
ボクが何となく思った、所謂正論を諏訪子様にぶつけてしまったのですが、これは……怒ってる、んですかね?どんな感情かはちょっと分からないですけど、不機嫌感を感じるブーイングをした後に、手を振って土の腕がパラパラと砂になって消えました。
――
「わふ?ここまででいいんですか?」
―― ️
そんなこんながあって、四時間近くが経過して日も落ちようとしている頃に、諏訪子様の腕がまた生えてきてストップを掛けられたので、そこで腕を止めました。
「ちょっと疲れましたね、少しだけ休憩していきましょうか」
ボクは身体をぶるぶると震わせて、長い髪の毛や服にこびりついた土汚れを振り払ってスッキリすると、ぺたんと地面に座ります。何か、前世はそんなこと無かったんですけど、この女の子の身体になってから、崩した座り方が女の子座りになったり、気付けば内股になってたりするんですよね。不思議なものです。
「ひゃぁぁぁぁああああっ!?」
「わう?なんでしょう?」
そんなことを考えていたら、頭の上から女の子の声が……もしかして、ラピ○タみたいに親方!空から女の子が!?とか言った方がいいんでしょうか?……ここ天井もある洞窟の最深部なんですけどね。
そして、ボクの頭上の地面がボコッと音を立てて消え、それと同時に骨壺を大事そうに胸元で抱き締めたシキちゃんを抱えた諏訪子様がシュタッとカッコよくスタイリッシュに着地しました。はえ~、随分と華麗な着地でしたね。ここが山の頂上から3000メートルは下らない程の地下であると言う点を除けばですけど。
「颯季、お疲れー」
「わ、わうー。諏訪子様、シキちゃんが危ないですからもう少し配慮してあげてくださいよ」
「んー、気を付けるー」
諏訪子様は、こんな紐なしバンジーをした浮遊感で少しふらふらとしているシキちゃんをポコッと生やした岩の腰掛けに下ろすと、ボクの側にきてボクの頭を撫でながら労いの言葉を下さいました。ですが、流石に先ほどの光景はよろしくないので、ちょびっとだけお小言を返します。まぁ、当然のことながら諏訪子様には効いてないんですけどね。
「んじゃ、さっさと骨を埋葬して帰るよー」
諏訪子様の言葉に、ボクがさささっと人一人分の穴を掘ると、シキちゃんがその穴に壺ごとお父さんの遺骨を置きました。ボクとシキちゃんが手を合わせ終わると、諏訪子様が土を産み出して壺を覆って埋めてしまいました。
「今まで、ありがとうございましたお父さん。安らかに眠って下さい」
そう言って、シキちゃんはボクと諏訪子様と共に新しく出来た諏訪の地下墓地を立ち去りました。
「まあ、○○は今もシキの家にいるからさっきのはただの独り言なんだけどね」
「すーわーこーさーまー!?」
「いてっ……」
不敬かもですけど、諏訪子様の頭にぺしっとチョップを落としたボクは悪くないと思います!
いやー、本当に時間がないですね。積み上がったゲームにアニメ、小説の執筆とそして労働。これだけでキツキツなスケジュールなのに、欲望に負けてアコギを買っちゃったんですよね。ギターたのじぃ。
初心者も初心者だからまだドレミの歌の主旋律をたどたどしく弾くくらいしか出来ないですけど。でも、日々上達してるのが分かって、メチャクチャ楽しいんですよね。取り敢えず、ドレミの歌を弾けるようになったら、スキマスイッチさんの奏を練習したい。コードとか覚えないと。
次回 でんせつ、米を噛む
颯季は0才ですが、お酒回です