諏訪大戦にでんせつポケモンが参戦するそうです   作:タニコウ

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次回予告?うるせえ知らねえ、今回はのんびりお休み回じゃ。

本当は村まで行く予定だったんだよ?でも、諏訪子様がダメだって言ったんだもん……。



でんせつ、ご主人に常識を説かれる。なお、ご主人は――

 

 ――『朝の陽ざし』

 

 時刻はお昼丁度ですが、ボクはミシャグジ様の大きな頭の上で朝の日向ぼっこをしています。諏訪子様も横になったボクのお腹の上に頭を置いて横になっています。何故、ボク達が今こうして諏訪子様の村に帰らずのんびりしているのかと言いますと、偏にボクが『ギガインパクト』の反動で動けないのが理由です。恐らく、『聖なる炎』で浄化したとは言え、祟り神であるミシャグジ様の瘴気に直接当てられたのが大きいのでしょう。

 ですので、こうしてボクが回復しようと地面に横たわって日差しに当たりながら休もうとしたところ、諏訪子様の調伏を受けたミシャグジ様も一緒に回復出来ないかと考え、ミシャグジ様の頭の上に乗せて貰い休んでたところ、諏訪子様もやって来て全員でのんびりと休んでいる訳です。ここら辺は先ほどの戦いで妖怪、動物問わず生き物がボク達しかいませんから、最悪眠っちゃっても問題ないですしね。

 

「そう言えば、諏訪子様。1つ聞いてもいいですか?」

「んー?どうしたのー?」

 

 ボクは、気持ちのいい青い空を眺めながら傷が回復するのを感じつつ諏訪子様に話しかけます。諏訪子様もまた、空を見たまま返事を返してくれました。

 

「諏訪子様が治める村の人達は食べていけてるんですか?」

「あー、ミシャグジさまが暴れて作物取れないんじゃないかってこと?」

 

 そうですね、諏訪子様が言うには畑が荒らされたらしいので、もしかしたら食い扶持を繋ぐことが出来ないのではないかと思いましてね。ボクはきっと、そこら辺の話は無知なのですが、せめて何か出来ることがあるんじゃないかと思ったんです。

 

「うーん、実はその事はミシャグジさまが配下になったから、そこまで気にすることじゃないのよね」

「え?そうなんですか?」

「うん、ミシャグジさまの力を使えるようになったみたいなのよ。ちょっと見ててね」

 

 諏訪子様は身体を起こして、ミシャグジ様との戦いで土の栄養が枯れて死んでしまった砂地の辺りに指を指します。指先に神力を集めた諏訪子様を見守っていると、白くなっていた土地が徐々に色を取り戻し、赤黒くなり、最終的には真っ黒でふかふかな土が出来ました。肥料とかなしでこれですか。凄いですね。この力に名前を付けるなら――。

 

「豊穣の力ですか?」

 

 ボクが諏訪子様に聞くと、足を胡座に組み換え、腕を組み首を捻って言葉を紡ぎました。

 

「豊穣と言えば豊穣の力なんだけど、豊穣とは、ちょっと違う感じがするんだよね」

「わうー……難しい話で分からないです」

 

 さっき、諏訪子様が見せたのは豊穣の力だけど豊穣の力ではなくて、でも豊穣なわけだから豊穣で……あう???………………取り敢えず、諏訪子様の言葉が纏まるまで待つのが吉ですね。こらそこ、ボク自身分かってるんですから、思考停止とか言わないで下さい。

 

「……颯希は、私と戦った時に私が使った植物を覚えてる?」

 

 考えが纏まった諏訪子様は組んでいた腕をほどいてボクの方を向きながら問いかけてきました。諏訪子様が使っていた植物と言いますと、あのボクが火炎車で蹴散らした蔓の鞭のことでしょうか?

 

「それ……」

 

 わふ?何か諏訪子様の機嫌が悪くなりましたね、どうしてでしょうか?もしかして、ボクに諏訪子様の攻撃が全く効かなかったのに不満を感じてるのでしょうか?別に(くさ)ボク(ほのお)で相性が悪いのは当然なんですから気にすることは無いんですけどね。

 

「そうなんだけどー、颯希の神様としての威厳がないじゃん」

 

 諏訪子様はいじけるようにボクのくすんだ金色の尻尾をもふもふしながらそんなことを言いました。諏訪子様は既に素晴らしい神様であられるのに、態々気にするようなことなのでしょうか?威厳なんて、ボクと諏訪子様が出会った時からずっと感じていますよ。

 

「そー?ならいいわ」

 

 諏訪子様の機嫌が直ったようで何よりです。まだ、気持ち良さそうに尻尾を触ってるのも気にしません。何なら、続けてください、ボクも気持ちいいので。でも、話は戻してくれません?

 

「あ、ごめんね。えっと、どこまで話したんだっけ?」

「ボクと戦った時に諏訪子様が使った植物についてですね」

「あー、じゃあ颯希。さっき私がいじくったところ見ていて」

 

 いじくったと言うのは、黒くなった土のことですかね?ボクがそちらの方に目を向けると、ボクの尻尾に顔を埋めている諏訪子様から神力が放たれました。それと同時に黒い土からぴょこんと幾つもの植物の目が生えてきて、そのままにょきにょきと天まで伸びていき、ある一点を超えた辺りで一気に枯れていきました。

 

「わふ?枯れちゃいましたよ?諏訪子様」

「もう一回、土を見てみて」

 

 土、ですか?ボクがもう一度土の方を見ると、そこには黒かった土はなく、黄土色になったかぴかぴの土に変わっていました。成る程、諏訪子様の植物を創造する能力には土の栄養を使うんですね。ですが、それならミシャグジ様の力を使ったらどうなるんでしょうか?

 

「ミシャグジさまの力では、植物は創れないよ」

 

 そう言った諏訪子様は、ボクの尻尾から今かぴかぴになった土へと目を向け、もう一度指を向けて神力を使いました。また、さっきまでの黒くてふかふかの土になるのかと思いましたが、土は黒くなりましたが依然かぴかぴのまま変わりませんでした。

 なんとなくですが、ボクも分かってきた気がします。諏訪子様の植物を創る能力も、ミシャグジ様の土に栄養を与える能力もどちらとも豊饒の力なのでしょう。ですが、どちらの能力も豊饒の力として欠点があり、植物を育てる上で最も重要な水分を与えることが出来ない。つまり、今の諏訪子様お一人では村に豊饒の力を与えることは出来ない。ということですね。

 

「そーゆーこと。でも、水と天気さえどうにか出来れば私自前の能力とミシャグジさまの力を使えば村の作物は大丈夫だと思う」

 

 天気?これ、もしかしたらボクの出番ではないですか?

 

「天気ってお日さまのことですか?」

「そーだよ。水は近くの湖から曳いてくればいいから、村人が雨ごいすることもないし。まー、私に天気を操る力はまだないけどね」

 

 流石にないものねだりになっちゃうよねー。と、笑いながら諏訪子様は続けました。ボクは諏訪子様(ご主人)の神獣ですし、望みを叶えるべきでしょう。

 

「出来ますよ」

「…………ふぇ?」

「ボクの好きな時間に何時如何なる時でも日本晴れに出来ますよ」

「あーうー、ちょっと待って颯希。今、とんでもないこと言ったね」

「シャァァ……」

 

 そこまで言って、諏訪子様は両手の人差し指で蟀谷を抑えながら、あーうーと唸っています。心なしかミシャグジ様も何処か困惑している気がします。もしかして、ボク結構まずいこと言っちゃいましたかね?でも、所詮天気をちょっと晴れにするだけですよ?これが、生きているだけでずっと天気を砂嵐にしちゃうバンギラスみたいなのがいるんでしたら流石に問題ですけど、ボクの場合はせいぜい数時間晴れにするだけですよ。

 

「ギシャァァァアアアッ!」

「わうーっ!?み、ミシャグジ様どうしたんですか!?」

「うーん、ミシャグジさまも颯希に色々言いたいんじゃないの?」

 

 突然、鳴き声を上げながらボクを頭の上から振り下ろしたミシャグジ様。傷が癒えてなかったら危なかったですね。そして、諏訪子様は空中に避難していたのか、またミシャグジ様の頭の上に座って、ボクのことを見下ろしています。

 

「取り敢えず聞きなさい、颯希」

 

 諏訪子様は、先程までののんびりとした雰囲気を変え、真剣な顔つきになられました。どうやら、大事なことのようなのでボクも居住まいを正して聞く姿勢を取ります。

 

「まず、颯希。颯希のいた世界がどうだったかは知らないけれど、この世界では天気を変えるなんてことは神でもほんの一握りの神しか使えないそうよ」

「そうだったんですね、知りませんでした。申し訳ありません、諏訪子様……」

 

 危なかったですね。もし、諏訪子様に伝えないでサプラーイズ!などとふざけたことを言いながら『日本晴れ』を使っていたら危うくチート転生者あるあるのあれ?またボク、何かやっちゃいました?をやるところでした。

 ボクがしょんぼりと落ち込んでいるか、頭の上のウインディ耳も尻尾も力なく落ち込んでいます。それを見たからか、諏訪子様が慌てて言葉を発しました。

 

「別に、颯希が悪いわけじゃないよ。ただ、今みたいに颯希が天気を変えれるってことを他の人に言ったり、頻繁に使っちゃうのはダメってこと。それに――」

 

 諏訪子様は、ミシャグジ様から離れてボクの目の前に降り立ちました。今、一瞬見えた白い布は脳の奥深くに葬り去って、ボクは諏訪子様の目を見つめました。

 

「使い方さえ間違いなければ、颯希の力はとても頼りになるの。その、何時でも晴れにする力を適切に使うことが出来れば、天気を操って有利を取ってくる上位の神が攻めて来ても私達の領地を守れるかもしれない。勿論、寒さに怯える必要もないし、作物が水害とか大風で台無しになることもない」

 

 ここまで言い切った諏訪子様は、一瞬で元のほんわかとした先程までの諏訪子様に戻りました。

 

「だから、その力を正しく使って欲しいな」

「分かりました!諏訪子様」

「んふふー、わかったならよろしー」

「わふわふっ、ど、どうして撫でるんですか?諏訪子さまぁ……」

 

 諏訪子様は、ボクのウインディ耳やら腰まで伸びるくすんだ金髪が乱れるのも気にせずにわしゃわしゃと撫でます。諏訪子様に撫でられただけでさっきまで元気の無かった耳と尻尾が立ち、尻尾に関してはぶんぶんと元気に振られています。――ひゃんっ!

 

「わ、髪柔らか、耳もふもふ。これ私、癖になりそう」

「ふぁ……そこ、もっとにゃでてくだしゃいー……」

 

 や、やばいです。耳の付け根が、きもちいいでしゅ――。

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――

 

 

 

「シャァァア!」

「ん?なに、ミシャグジさま。今、忙しいんだけど」

「シャアア」

「ん?颯希を見ろって?」

「あうー、しゅわこしゃまー」

「………………ふふっ」

「わうー?もう、おわっちゃうんでしゅか?しゅわこしゃま」

 

「……颯希がこう言ってるし、もうちょっといいよね」

「シャア……」

「だいじょーぶ、だいじょーぶ。ほんとーにちょっとだけだから」

 

 

 

 

 

「しょこはだめでしゅよー、しゅわこしゃみゃー」

「……かわいい」

 

 

 

 

 

「んっ……わふー……ごろごろ……ん」

「んふふー」

 

 

 

 

 

「しゅわこしゃま、だいしゅきでしゅー」

「…………」

 

 太陽が一番高くにあった時間から既に西に傾いてそれなりの時が経っていた。颯希は既に完全に腰が砕け主に凭れ掛かってしまい、頬は赤く染まっていた。目もとろんとだらしなく蕩けてしまっていて、半開きになった口からはよだれが地に垂れ橋を繋いでいて、服や髪は乱れに乱れていた。

 そんな颯希が思わず口に出してしまった、自身の主への純粋な好意の言葉。颯希を撫で回す手が自然と止まる。思い出すのは、今日と言う神としての長い生の間で決して忘れることはない長い一日。

 自身のことを敬い信仰するが、畏れ、恐怖し何ひとつ知ろうとしない信者達。だが、それでも信者達に神として必死に尽くしてきた。生まれたばかりの未熟な神であるが故に、嘗めて攻め込んでくる強いとは言えない無駄に数だけが多い妖怪達を退治し、未熟な能力で彼らに恩恵を与えて来た。それでも、彼らは変わらない。自身がどれだけ明るく振舞い話し掛けても、返ってくるのは畏れ(恐怖)と言う名の信仰。そう、どうしようもなく孤独だったのだ。

 

 そんな中で出会った不知火颯希(暖かな太陽)。自身を肯定し、心地良い信仰を捧げられ、あまつさえ敵対した自分に協力してミシャグジさまと言う祟り神と戦ってくれた。そして、戦いの最中で自身に変わり、祟り神の瘴気をその身に受けた。何故、そんなことをしたのか問い詰めたかったし、心配だってしたかった。だが、関わった時間の短さ故に行動に移すのを躊躇った。余計なお世話だと思われたくなかったのだ。実は嫌われているのではないか?

 自身の神としての勘は颯希がそんなことは思わない。颯希は好意を持って接しているのだと伝えていた。実際、颯希に対して友人だと伝えた時には喜んですらいたじゃないか。

 しかし、神としてではなく、一人の人間の赤子と変わらない程度の時間しか生きていない心が疑い、不安を訴え続けていたのだ。もしかしたら、上手く心を隠しているだけではないか?何よりも、そんな疑いを持っていて、颯希を本当に信じることが出来るのだろうか?と。

 

 だからこそ、ついさっき颯希の口から出た自身への好意の言葉。その言葉が、不安や疑惑を纏めて吹き飛ばすには十分だった。自身に抱き着き寄りかかる颯希の顔を見る。長い思考をしている間に疲れて眠ってしまったのか、目は閉じて安らかに寝息を立てている。軽く頬を突いたり、軽く摘まんでみたりする。だが、起きない。何なら、笑みを浮かべて頭を自分の肩へと押し付けてくるではないか。警戒しながらで無ければ眠れないような野生で生きて来た彼女がだ。流石に自分と出会って一日で野生を捨てることはしないだろう。

 ならば、何故颯希は目を開けないのか、考えなくても分かった。颯希の好意の証明、裏切られることのない底抜けの信頼。それからの思考は一切不要だった。自分がなんと答えるか?そんな分かり切ったことを考える必要があるのだろうか?いや、ない。

 

 自身を抱く颯希の両腕の上から同じように颯希の背中へ手を回す。そして、颯希が起きないであろう目一杯の力を込めて抱き締める。

 

「はぁっ……」

 

 吐いた吐息は熱を帯び、颯希のうなじへと掛かった。口元は自然と笑みを浮かべ、瞳にも悦楽の色がありありと見られた。そして、半分開かれた口から舌が出て、若干乾燥した唇をペロリと濡らす。そうして、自分の唾液で艶めかしく輝く口が動いた。

 

「私もだいすきだよ。颯希」

 

 こうして、洩矢諏訪子は初めて心の底から信じる(信仰する)モノを手に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャァッ……」

 

 絶賛、全身熱を帯びている諏訪子。だが一方で、側にいたミシャグジさまはと言うと、体温は春の陽気で高い筈なのに何故か寒く感じて頭をとぐろの中に突っ込み、決して顔を出さないようにして寒さに震えているのだった。

 





不知火=小さな火の玉
小さな=大きくない=大勢で使うモノではない=個人用=私の
火の玉=太陽

颯希=皐月=暖かい

不知火颯希=私の暖かい太陽


おかしい。諏訪子様をここまで重くする予定なんて無かったのに……。でも、僕はこのくらい重い方が好みです。重たい諏訪子様大好きです。
この諏訪子様は絶対にカエルではなくヘビですね。ヘビーなヘビです。間違いない。


次回こそ村に行く
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