クソボケな元先生は今日も行く   作:富竹14号

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 ニワカの癖に無茶苦茶なんとなくで書いた、反省はしている。

 ぶっちゃけ暇潰し、呪術の方を優先する気満々なので続きは気分が乗ったら書く予定ではある。


プロローグ

 

 

 例え話をしよう…よしんば死んだと自覚したその後に、何事も無かったかのように目が覚めてしまったとしたら…どうする?

 

 もしも、事故でも火災でも災害でも…なんでもいい、不幸が自分にやってきて、それで諦めて目を閉じたその後にその閉じた目が開いてしまったら…どうする?

 

 奇跡的に助かったと喜ぶのだろうか…じゃあその過程で、受けたはずの傷が無くなっていたと知った時、同じように助かったと喜べるのだろうか?

 

 なんで生きてるんだろうと疑問に思うのだろうか…傷も無ければ火傷も無い、そもそもそれらの感触すら覚えていない…それでなんで生きてることに疑問なんて持てるだろう、起こったことへの証拠と成り得る実感を伴わないで疑問なんで持てるのだろうか?

 

 夢だったのだと胸を撫で下ろすのだろうか…ではその目が覚めた先で目に入ったモノが自分の全く知らない景色であった時、果たしてあれは夢だったのだと確信を持って言えるのだろうか?

 

 

 …結論が言おう…()にはそのどれもが出来なかった。

 

 

 俺は目が覚めた時、自分が助かったのだと素直に喜べなかった、傷も無ければ火傷も無い自分の身体を見て、俺は生きて帰ってこれたのだと喜ぶことが出来なかった…何せ、生き残ったという実感を得る為の証拠が何処にも無かったのだから。

 

 生きていることにも疑問を覚えなかった…理由は同じだ、何処まで行っても実感が沸かないのだ。

 

 傷も無ければ火傷も無い、痛みも無ければ何かしらの症状があったわけでもなく、ましてやそれらの感触すら俺は覚えていなかったのだ…実感しろと言う方が無理があるように思った。

 

 何が起きたのかは覚えている、その過程で俺がどういう風に死んだのかも全て覚えている…でもその時の痛みと苦しみを俺は一つたりとも覚えていないのだ、即死ではなく死ぬその最後の瞬間まで俺は苦しみ続けていたはずだというのに。

 

 だったらあれは夢だったのだと、そう開き直ることも俺には出来なかった…だって俺が目を覚ました先で見たのは俺が全く知らない光景だったから。

 

 澄み渡るような青空の下でそびえ立つ無数の高層ビル、俺が目覚めた場所から見下ろしたその景色から感じた確かな未知、呼ばれ慣れない名称に着た覚えの無い服…全てが俺の逃避を邪魔してきた。

 

 これは現実なのだと、これは嘘偽りの無いリアルなのだと突き付けるように。

 

 これこそが夢なのだと逃げることも出来た…でもそれも俺には出来なかった、頬を抓った時に感じた痛みがそれを証明した、証明してしまっていた…だから俺は、これが否応無い現実であるのだと…そう認識するしかなかった。

 

 

 それからはもう、苦難の連続であったように俺は思う。

 

 飛び交う銃弾、爆ぜる地面と砕けるコンクリート、銃声と爆音と戦車が道路の物品を踏み潰す音…そんな光景が当たり前に量産される世界の中で、俺はただ走り続けるしかなかった。

 

 頬を掠めた時に感じた痛み、そこから染み込んでくる死への実感と恐怖、訳も分からぬままに進行していく状況への困惑と恐れ、立場上向き合わねばならない子供の闇と暗く陰鬱とした過去への不安と焦り…それら全てを飲み込んで、俺はただひたすらに進み続けた。

 

 先生と、そう呼ぶ声に応えなければならないという使命感と自身への強迫観念、子供を助けることが当たり前と認識する思考と他人のこと等放っておけと叫ぶ生存本能…一歩間違えれば狂ってしまうのではないかと思える程のソレの中で俺は闇雲に我武者羅に前へと前へと進み続けた…だってそうでもしないと何処かで崩れてしまいそうだったから。

 

 俺は何時も不安に思う、一定の問題が片付いた後に考えてしまう…俺はあの子達の為になれたのだろうかと。

 

 問題を片付けると言葉にするのは簡単だ、けど実際にそれで問題がキチンと丸々解決したことは殆ど無い、大抵はなんとか問題と子供達との折り合いの隙間を見つけて解決したように見せていただけなのだから。

 

 俺は本当に必要だったのか、もしかしたら俺が居ない方が上手く行っていたのではないだろうか、俺が居なかった方が彼女達は幸せになれたんじゃないだろうかと…ふとそう思ってしまうのだ。

 

 そうほんの少しでも考えてしまえばもう後戻りは出来ない…ほんの少しの後悔と恐怖と不安が積み重なり、何時かそれが爆発するのではないかと怯える日々を、俺は過ごした。

 

 そうして俺は……ここまで走り続けてきたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お見事です、『先生』」

 

 

 そう、俺を呼ぶ声が聞こえた。

 

 視界が揺らぐ、肉体の端々から迸る激痛に次ぐ激痛、足も腕も手首さえも動かそうと思っても動かせない、痛みとは別に肉体的な部分が既に死んでいるのかもしれない。

 

 目元に血が入り込む、頭から伝うように流れ落ちてきた血液が視界に入り込み、次第にそれが目の中へと入り込んでいき俺の視界を赤く染め上げた。

 

 内側から響いてくる痛み、呼吸をしようとしたら苦しくなる、恐らく内臓の何処かがやられているのだろうと、そんな何処か他人事のように自身の状態を考えてみたりする。

 

 そんな中で、そいつは悠然と俺の前に現れた。

 

 

 コツリ、コツリと靴音を鳴らし、余裕の態度で俺の前へと姿を現したその存在、その男の姿を俺は視界に捉える。

 

 黒服…そうとしか呼びようの無い姿をした男、上も下も真っ黒なスーツに身を包み、特徴的な仮面のような顔をしたその男が、パチパチと拍手をしながら俺の方へと向かってくる。

 

 

「お見事、お見事ですよ先生、貴方は確かに成し遂げました、ヘイローどころか欠片の神秘も持ち得ない貴方が大業を成し遂げた…えぇ、素晴らしいと素直に言わせてもらいましょう」

 

 パチリパチリと拍手を鳴らし、何処か大袈裟にそう言ってみせる世間一般で言う所の悪い大人は、そう言いながらも何処か得体の知れない気配を漂わせながら、俺へと歩みを進めてくる。

 

 

「えぇ、えぇ、実に素晴らしい、それ以外の言葉が浮かび上がって来ない程度には素晴らしいことであるとは思います…思いますが、その上で一つ問いましょう…先生、何故貴方は───」

 

 

 

───一人で、()()に挑もうと等と思ったのですか?

 

 

 そう言った瞬間、男から…本人曰く黒服から感情的な圧力が放たれた。

 

 怒り…そう言葉にするのならば怒りだろう、何故こんなことをしたと、そう言いたげな様子でズカズカと先程までのような落ち着いた様子からは想像出来ない程の荒々しい歩き方で俺の側へと寄って来る。

 

 

「…一人じゃないだろ、お前に協力して貰ったし…なんなら()()()()()()達だって居た」

 

 思わず…だろうか、抗議でもするみたいに痛む内側を無視して言葉を絞り出す、目の前に佇む黒服へと向けて俺は違うと言ってみせた。

 

 

「えぇ、確かに私も彼女も協力しました…しかしそれは最初だけ、多次元バリアを破壊した時だけです…そこからは、全て貴方一人が成し遂げた…もう一度聞きます───」

 

 

 何故、一人でやったのですか?……そう淡々と突き付けるように言葉を放つ黒服の姿に、俺は思わずと言ったように吹き出した。

 

 馬鹿みたいだ、だってそこには今の今までに存在していた不気味さを感じられない、あるのはただひたすらの疑問と怒りの感情…おかしいな、お前は敵だったと思うし俺を気に入っていたとかでもなかったと思うんだけど。

 

 それにしても、何故…何故と来たか……馬鹿だよお前は、それはお前が一番知っていることだろうに。

 

 

 だって俺は───

 

 

「───偽物だから」

 

 

 何の迷いも躊躇いも無く、堂々とその言葉を口にする、口端から流れ出る血潮を気にもせず、笑みすら浮かべて俺は至極当たり前のようにそう言ってみせた。

 

 息を飲む音が聞こえる…きっと気の所為であろうその音を気にもせず、俺は吐き出すように言葉を捲し立てた。

 

 

「前に言ったよな、俺は偽物だって…俺もそう思うよ、俺みたいなのが先生だなんてのがそもそもの間違いなんだ」

 

「だってそうだろう? 先生が生徒を殴るかよ、先生が生徒を斬るかよ、先生が生徒の希望を圧し折るなんてことあるかよ……ある訳がねぇだろ?」

 

「俺はあの子達を救ってやれなかった、助けてやれなかった…今でもミカはトリニティに帰れてないしサオリ達だって明日に希望を見れやしない」

 

「何も出来なかったなんて言わないさ、俺でも出来たことはあったって今でも思ってる…でも、それとこれとは話は別なんだ、結果としては俺は何にも出来やしなかったんだ」

 

 

 

 口から血を吐き出すように言葉を捲し立てる、早口で言葉を捲し立てる度に過る過去の光景、泣いて絶望の表情を浮かべる誰かの姿が湧いては消えて湧いては消えてを繰り返す。

 

 何時か言われた言葉が、俺が偽物であるという言葉が如実に突き刺さる、来るはずであった本物が居たという事実が俺の心を揺さぶり砕いたあの時が、嫌に懐かしく感じてしまう。

 

 荒んだ、生徒に当たらなかったのが奇跡的だと思えるくらいには荒んだ、俺なんていらなかったじゃないかと喚き散らして泣き散らして、俺さえ居なければ全部上手く行ったんじゃないかと壁に頭を打ち付ける日々…あの時は痛かった。

 

 だから、だから───

 

 

 

「俺は偽物だ、だから偽物なりに出来ることを考えた、それで思いついたのがこれだった…それだけ、それだけなんだよ、黒服」

 

 

 そう、言葉を締め括った。

 

 偽物なりに出来ること、俺が俺なりに出来ること、それを考えに考え抜いた先で浮かび上がったのがこれだった…幸いと言うべきなのか、俺にはそれが出来るだけの()があった。

 

 まぁ、結果としてこうなっているわけだが。

 

 

「…生徒達のことはどうするのです? 彼女達は───」

 

「───俺が居なくなれば、本物が来るんだろう?」

 

 何処か、行き先の無い感情を吐き出すように口を開く黒服の言葉に被せるように言葉を放つ、まるで反論なんて許さないと…そう言うみたいに。

 

 そんな俺の言葉に黒服はほんの一瞬、何処か呆然としたような様子で俺を見据え、責めるような声色で俺へと語りかけてくる。

 

 

「…来るかどうかも分からない、確信どころか可能性すら見えないソレに懸けると言うのですか、貴方は」

 

「来るさ…分かるんだよ、なんとなくではあるけど、絶対に来るって分かっちゃうんだよ…なんでかは知らないけどさ……分かっちゃったんだよ」

 

 

 そうじゃなきゃこんなことしてない…そう締め括って、喉に溜まっていたらしいナニかを吐き出す。

 

 べチャリと飛び散る赤色の塊、ぜぇぜぇと荒く息を吐く俺の姿に黒服が膝を折って俺へと視線を合わせてくる…目が何処にあるかとか俺は知らんけど。

 

 

「…悲しみますよ、彼女達は」

 

「かもな…けど大丈夫だろ、あの子達なら…俺のことなんか平気で乗り越えていくさ」

 

 

 そう、きっと大丈夫、泣いても苦しんでも…きっとあの子達は乗り越えていく…というか、もしかしたら悲しむことすらしないかもしれない。

 

 

「また利用しますよ、彼女達のことを」

 

「やろうとした所で何も出来ないだろお前には、前とは状況がまるで違う」

 

 

 断定したような口調で俺は言い切る、お前には出来ないと有りもしない確信を持って黒服へとそう告げる。

 

 状況が違う、以前とは違ってカイザーはもう無いしコイツに手を貸すような奴が居るとも思えない、よしんばやったとしてもそしたらそしたらでウチの生徒達はもう迷うことはしないだろう。

 

 誰もお前を守らない、その果てにあるのは何をしようが最後にはボコボコにやられて終わりという結末だけ…なんだろう、喜劇としては凄く面白そうだ。

 

 

「…生きたくはないのですか?」

 

「生きたいさ、死にたくなんてないし痛いのも嫌だ、誰が好き好んでそんなことをするものか」

 

 

 そう、叶うことなら生きていたかった、生きて今まで通りの日常を送っていたかった、誰もが笑顔になれるであろう場所で生きていきたかった、死にたいなんて一度たりとも思ったことはない。

 

 

「ならば───」

 

「でも…それと同じくらい、もう良いかなって思ってもいるんだ」

 

 

 生きたい、死にたくない…そう思ってはいても、考えてはいても、心の底からそう願っていたんだとしても…それと同じくらい、もうここで終わっても良いかなって、そう思ってしまう自分がいるのだ。

 

 俺が終わったその先に、あの子達の笑顔があるのなら、あの子達の未来を作ってくれる人が来てくれるなら、それでも良いんじゃないかなって…そう思ってしまっているのだ。

 

 

 ……馬鹿だろう…偽物なりに先生を全うしようとか言ってたのに、やってることは責任から逃げることと変わらない、本当に偽物なりに成し遂げようとするなら最後の最後まで無様に続けていれば良かったのだ。

 

 …でも無理だった、一度そういうもしもがあるのではと考えてしまうと最早止められない、偽物である俺が居なくなれば本物がやってくる…そう感覚的に確信してしまったが故に、俺は自身の居場所を見い出せなくなっていった。

 

 俺が居ない方が生徒達は幸せだった…その事実がある限り、俺は俺を認められないし認めない…結局の所は、単なる自己中心的な理由なのだ、俺がこんなことしでかした理由なんて。

 

 

「…もういいだろ…行けよ黒服、ここに居たらお前も死ぬぞ」

 

 

 投げ出すように早く行けと吐き捨てる、爆音に次ぐ爆音が耳元へと届き、更にそこからパラリと天井部分から煙と残骸が降ってくる…ここも終わりが近いのだと、直感的に悟った。

 

 別にこいつが死のうが俺としてはどうでもいい、コイツはなんだかんだと協力してくれているが結局の所は敵以外の何者でもないのだ、寧ろ俺としては死んでくれた方が嬉しいまではある。

 

 …だが、それでも俺の我儘に最後まで付き合ってくれた奴だ、忠告くらいはしてやらないと割に合わないだろう。

 

 そう思っての発言だったのだが…肝心の黒服がまるで動こうとしない、膝を折って俺へと視線の高さを合わせたまま一向に動き出そうとしない。

 

 逃げねば死ぬ…そんなことは俺が言わなくても分かっているはずなのに、何故だか黒服は一歩たりともその場から動こうとはしなかった。

 

 

「…何やってんだお前、早くしないと本当に───」

 

「───何時か約束しましたね…もう二度と生徒には手を出さないと」

 

 唐突に口を開いた黒服は、何処か達観したかのような声色でそう告げると、俺の隣へとその腰を下ろして壁に身体を預けた…まるで、逃げる気など更々無いとでも言うように。

 

「お前何して───」

 

「約束を守るのは大人として当然のことなのでしょう? …このまま帰ったら私は約束を破りますよ」

 

 当の貴方が居ないのですからね…そう言って、黒服は悪戯が成功した子供のような雰囲気でクックックと何時も通りの笑い声を上げた…もう、この時点で察してしまった…あぁ、コイツは最初から帰る気なんて無かったんだと。

 

 その事実に気づいて、察してしまった俺は───

 

 

「───…気持ち悪いな、お前」

 

 

 流れるように、罵倒を吐いていた。

 

 シンプルに気持ち悪いと感じたが故の言葉、普段のコイツからは到底想像出来ないようなその行動に本能的な気持ち悪さを感じたが故の罵倒。

 

 それに対して、当の黒服は───

 

 

「───それが、今際の際に言うような言葉ですか?」

 

 

 何処か呆気からんとしたような口調で笑いながらそう応え…それと同時に、俺の視界はオレンジ色に染まる。

 

 熱い、痛い…それすら感じること無く俺の身体は視界一杯に広がるオレンジ色に一気に飲み込まれ…最後には全てが黒へと飲み込まれていった。

 

 最後の最後、視界が黒く染まるその直前に俺が見たのは…何処か必死そうな表情で俺へと手を伸ばす、黒い髪の少女の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目を覚ました時、俺は砂漠のど真ん中で寝転がっていた。

 

 見渡す限りの砂漠、砂漠、砂漠…一面砂だらけのその光景を前に、俺は───

 

 

「……えぇ」

 

 

 心底困惑したような声を、無意識的に発していたのだった。

 

 

 





偽物先生

 二次創作あるあるのキヴォトスにやってきたオリ主先生、本人が自称するように本当に偽物の先生、お陰でアロナが余所余所しい。

 本人なりに無茶苦茶頑張ってたし恩師の真似して先生しようとしてたけど、誰が言ったか偽物発言と本物が別にいる発言のせいで悩みに悩んだ挙げ句の果てに開き直って命を放り投げた男。

 因みに、ブルアカ二次創作あるあるな神秘もクソも無い癖に馬鹿みたいに強いタイプの先生。


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