舞園「超高校級のヌケーター?」   作:ゼフィガルド

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122時間目:ニュー学式!!

「イヤァ。助かったよ。このままじゃ、オブジェクトになる所だったよ」

 

 皆で引き抜いた白黒ツートンマスコットはぺこぺことお辞儀をしていた。

 その周囲には操縦不可能となった機体から出て来た、白黒のマスコットのバリエーションと思しき5体のマスコット。

 

「この、クソモノダム!! いきなり銃撃する奴がいるか! イカレてんのか!」

 

 肩パッドを付け、ボディの左半分が青く塗装されたマスコットが声を荒げてブチギレていた。

 何処となくロックな雰囲気を持つ『モノキッド』は先程の喧嘩の続きを再開せんとばかりに息巻いていた。

 

「オ父チャン 見テル。ケンカ ヤメヨウ」

 

 無機質な機械音声で諫めようとしている様に見えて、相手を煽っていた。こちらは左半身が緑色に塗装されており、名前も『モノダム』と言うことから他のマスコットと比べてロボットらしさが強調されていた。

 

「自分から仕掛けといて、面の皮厚すぎやろ!」

 

 モノキッドと同じ様にブチギレているのは、ボディの左半分が虎柄に塗装されているマスコット『モノスケ』だった。丸眼鏡に関西弁と。ナニワの商人を彷彿とさせる装いだった。

 

「皆! 喧嘩は止めて! 話が進まないわ!」

 

 そんな血気盛んな連中を止めに行ったのが、紅一点……。なのだろうか?

 左半分が桃色に塗装され、お花の耳飾りを付けているのは良い。セクシーなブラを装着しているのもいいのだが、声質がどう聞いても『男』の物だった。

 ただ、そう言うことを突っ込んでいたら話が遅々として進まないと判断されえてか、とりあえず『モノファニー』は女性であるという認識で全員が頷いていた。

 

「で、なんで。オイラ達喧嘩していたんだっけ?」

 

 そうして、必死に収めようとしていた話を蒸し返すバカが居た。

 5匹の中央に立っており、ボディの左半分が赤色に塗装されている。首に巻いたマフラーもあって、何処となくリーダーっぽい雰囲気はあるのだが、他の4匹に比べると、どうにも頭がよく無さそうだった。

 そんな『モノタロウ』は判断を仰ぐようにして、壇上に君臨している白黒マスコットの方を見ていた。

 

「オマエラに任せていても進まないので、ボクが進めます。皆さん! 入学、おめでとうございます! オマエラは栄えある『才囚学園』の新入生となりました。ボクは学園長の『モノクマ』です!」

「才囚学園? 希望ヶ峰学園じゃないのかよ?」

 

 入間が不服そうに述べた。超高校級と言えば、然るべき機関で育て上げられ、才能を磨き上げ、世界を担っていくという責任がある訳で。こんな訳の分からない所に連れて来られては不満も生じる。

 

「はい。この学園はオマエラの為に作られたものですからね。希望ヶ峰学園もキャパがあるのですよ」

「こんな寂れた学園がオレ達の為にだって?」

 

 顎髭を生やした威勢の良い男子が詰め寄った。

 超高校級の宇宙飛行士と言うこともあり、道へと突っ込んで行く度胸を見せる『百田 解斗(ももた かいと)』の質問に答える様にして、モノクマはあっけらかんといった。

 

「そうだよ。オマエラには、ここでコロシアイ学園生活をして貰うんだから」

 

 静まり返った。何を言っているのか、理解できない。という空気の中、超高校級のコスプレイヤー『白銀 つむぎ』が聞き返していた。

 

「こ、コロシアイって。冗談、だよね?」

「冗談ではありません! オマエラがこの学園から出たければ、殺し合って貰っています! ルールは」

「最原ちゃんGO!」

 

 モノクマがルールを開設しようとした所で王馬が号令を掛けると同時に、最原がスケートボードに乗って突っ込んで行った。

 気持ちよく解説を仕様としていたモノクマに命中し、先程と同じ様に壁にめり込み、プリティーなお尻を晒す羽目になっていた。バタバタと動いていたが、今度は誰も引き抜く気は無かった。

 

「ちょっと!? なんか重要そうなことを話していたのに良いんですか!?」

 

 極当たり前の様に学園長に暴行を働く狼藉を見て、オーバーリアクションをしている男子は何処かメカメカしかった。超高校級のロボ『キーボ』の反応は実に有機的だった。

 

「大丈夫だよ。終一は神ってるからねー!」

 

 褐色銀髪のエスニックな雰囲気を纏った超高校級の美術部『夜長アンジー』は、最原を怪訝に思うことも無く素直に受け入れていた。果たして、このトンチキな事態まで受け入れているかどうかは別として。

 

「オ父チャン ハ ケガヲ シタ ノデ。代リ ニ オラ ガ ニュー 学園長。トシテ 皆ニ 説明 スル」

「オメェみたいなサイコパスに出来る訳ねぇだろ!! ここはミーに任せな! 次代を牽引するのはロックの役目だぜ!」

「アホか! 反体制が権威になってどないすんねん! やっぱり、ここはワシに任せるべきや!」

「バカ言いなさい! 男子になんて任せてられないわ!」

 

 父親思いなモノクマーズどもがあさましい権力争いに身を投じている中、モノタロウだけが頑張って壁にめり込んだモノクマを引き抜こうとしていた。

 

「父ちゃーん!!」

「み、皆。本当に放っておいていいの?」

 

 全員が体育館を後にしようとしている中、赤松を閉じ込めていたロッカーを破壊する程の巨体を持った超高校級の昆虫博士『獄原ゴン太』はモノクマの方を見ていた。彼に続くようにして、白銀も言った。

 

「私も。さっき言い掛けたことが気になるし。一旦、話を聞いてみない?」

「駄目よ。こういう状況で、相手の話に耳を傾けるのは悪手よ。子供のわがままと一緒」

 

 ツインテールの黒髪少女、超高校級の保育士『春川 魔姫(はるかわ まき)』がバッサリと切り捨てた。恐らく、ワガママな相手の対応には慣れている故だろう。ちょっと、肝が据わり過ぎている気もしたが。

 

「いや、聞く必要ないでしょ。あのヤバイ機体は最原君がぶっ壊してくれたし、閉じ込められているんなら出口を探した方が有益っすよ」

 

 今までは、渋々交渉のテーブルに着いていたのか、天海の変わり身は早かった。多勢に無勢で趨勢が悪いと思ったのか、白銀が他の人間にも声を掛けた。

 

「真宮寺君はどう思う?」

「僕はさっさと出たいから、聞く気もないヨ」

 

 軍服の様な制服を着た瘦身の男。超高校級の民俗学者である『真宮寺 是清(しんぐうじ これきよ)』もモノクマの話を聞く気は無さそうだった。

 

「逆に聞くけれど。白銀ちゃんはそんなにコロシアイの話を聞きたいの?」

 

 王馬が聞いて来たが、これは敢えてこんな聞き方をしたのだろう。

 もしも、コレで頷けば自分が『コロシアイ』に興味があると言っている様な物で、集団から不信を買ってしまう。相手を尊重している様に見えて、同調圧力で封殺するつもりであるらしい。

 

「白銀さん。不安になるのは分かるけれど、そんな状態こそ最も付け込まれやすいのよ。大丈夫、私達で脱出方法を探っていきましょう」

「う、うん」

 

 飴と鞭と言わんばかりに繰り出されたら、従う外無かった。

 こうして、才囚学園の入学式は新入生全員にボイコットされるという、初手不祥事をキメていた。

 

~~

 

 こうして、16人の不良共が『才囚学園』を調べるにあたり、探索個所を提案して来たのはゴン太だった。

 

「さっき、校舎の裏でマンホールを見つけたんだ。中を覗いたら、広い空間が広がっていたんだ……」

「よっしゃ! それじゃあ、早速皆で探索してみようぜ!」

 

 百田がノリノリで賛同して、皆が一斉に後者の裏こと『ボイラー室』に向かった。彼の証言通り、そこにはマンホールがあった。

 

「いやいや、怪しすぎるでしょ。罠じゃない?」

 

 これまた白銀がビビっていた。彼女の怯えが他にも伝わったのか、赤松も弱気になっていた。

 

「そうだよね。ちょっと、都合が良過ぎるというか。こんな分かりやすい所に」

「つまりこの学園は出入りウェルカム。とんだビッチってワケだ!」

「皆。こっちだよ」

 

 変な感じにテンションがハイになっている入間の戯言は全員からスルーされ、本来はオープナーを使わなければ開かないであろうマンホールの蓋は、ゴン太の怪力で開かれていた。

 地下に降りる梯子を伝って行くと、広い空間に出た。すると、一同の目を引く物があった。『出口』と書かれた看板がドンと立っていた。

 

「絶対罠だよコレ。きっと、この世からの『出口』とかそういうオチなんだ。私は詳しいんだ」

「さっきから、白銀ちゃん。ビビり過ぎて、むしろこの学園に籠りたいの? ってレベルだけれど、大丈夫?」

 

 恐らく、彼女は人一倍ビビりなのだろう。先程までは王馬も揶揄していたが、見ていて可哀想になる位だったので、逆に心配し始めていた。

 

「とりあえず進んでみたらどうっす? もしも、モノクマがコロシアイをさせたいなら、ここで全員が死亡する様な造りはしていないと思うんっすよね」

 

 天海は碌に説明も聞いていない『コロシアイ』という単語を担保にしている様だった。もしも、デスゲームを開催しようとして全員がトラップに引っ掛かって死亡。となったら、盛り上がりもクソも無い。

 

「とりあえず、俺が先に行ってみる」

 

 星が代表して看板の先へと進んだ。まるで横スクロールアクションに出てくるような光景が広がっていた。開く床や、爆発するトラップ、噴き出す炎。国民的に有名な某配管工のゲームを彷彿とさせた。

 超高校級のテニス選手と言うこともあって星の動きは機敏だったが、設置されているトラップはどれも『いじわる』な物で、彼の反射神経があっても避けれずに、爆弾を食らっていた。

 

「星君!?」

「エ”エーイ!?」

 

 赤松が悲鳴を上げ、隣では白銀が奇声を上げていた。が、星はドローンの様な物に運ばれて、入口へと戻されていた。

 

「どうやら、死ぬことは無いらしいな」

「16人全員でやれば、いつかは突破できるかもしれねぇしな。うっし! 全員で行ってみっか!!」

 

 百田の提案は強ち見当外れと言う訳ではない。目の前でギミックやトラップを見れば、少なくとも後ろにいる人間は回避できる。巻き込まれて一緒にリタイアする可能性も無くはないが。

 

「攻略するつもりなら、列の前方には運動神経が良くない組を詰めて罠発見用に使って、後半を攻略用に運動神経が良い人らを詰めるのが良いと思うけど」

 

 王馬が実に実践的な攻略方法を提案して来た。だが、百田は首を横に振っていた。そして、最原の肩に手を置いた。

 

「最原! 先頭はオメーに任せた!」

「自分で提案しておいて、それ?」

 

 あまりに堂々と言う物だから、春川から冷めた視線が送られていた。だが、彼の意見に賛同する者もいる。

 

「百田の意見には賛成じゃ。最原には魔法が掛かっておるからな」

「うんうん! 神っているからね!」

 

 夢野とアンジーからスピリチュアルな賛同が得られた。根拠とかは1つも無かったが、何故か賛同する者が出て来た。

 

「夢野さんが言うなら間違いありませんね! 男死なのが気になりますけど!」

「最原ちゃんはやってくれるって、オレ、ずっと前から知っていたからね」

「あの、皆さん。マジでそれ言っています?」

 

 茶柱と王馬も無責任に頷くモンだから、空気に染まり切れていないキーボはひたすら困惑する外無かった。常識人の弊害である。

 

「とりあえずやってみましょう。失敗しても命を取られることは無いのだから」

 

 真面目な東条まで言い出したのだから、挑戦しない訳にはいかない。かくして、最原を先頭にして、この無理ゲー横スクロールアクションの攻略が始まった。

 

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