舞園「超高校級のヌケーター?」   作:ゼフィガルド

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124時間目:最高のボディ

「最原! 外はどうだった!? 助けは呼べそうだったか!?」

 

 入り口まで戻って来るや、百田から聞かれたが、最原は首を横に振るばかりだった。何かを察したのか東条が尋ねた。

 

「最原君。それは、この学園が世間から隔離された場所にあると言うこと?」

 

 最原が頷いた。大半の人間がショックを受けていたが、そうで無い人間も多数いた。天海もその一人だった。

 

「ある程度、予想通りって感じっすね。こんな所に俺達を拉致できるんですから、人気のない場所位は用意できるでしょうよ」

「コロシアイに乗って外に出た所で野垂れ死ぬ様な環境なんだろうな。趣味が悪い」

 

 星も悪態を吐いていた。やはり、そう上手くは行かないらしい。すると、王馬が手を叩いていた。直ぐにモノクマが出現した。

 

「モノクマ。この状況でもコロシアイさせる?」

「はい。最原君が喋れないみたいなんで、本当に特別ですが、彼の功績を労って外の光景を見せて上げるよ」

 

 近くのモニタに映像が映し出された。巨大な船が海上を移動しており、別視点のカメラでは自分達も映っている。自分達は海上に閉じ込められている。

 モノクマの言わんとしていることは察したので、話題を逸らすべく天海が質問した。

 

「この船はいずれどこかの港に到着するとかは無いんっすか? 食糧補給とかでも寄港する必要はあるっすよね?」

「無いよ。16人の食糧位、補給の必要もないですしね。大人しくコロシアイに勝てば、ちゃんと地上に戻してあげるからさ! うぷぷぷぷ!」

 

 人を不快にさせる文言だけ残して、モノクマは姿を消した。

 自分がゴールに辿り着いたことで皆の不安を煽っただけではないかと、最原が落ち込んでいると、王馬が彼の肩を叩いた。

 

「大丈夫だよ、最原ちゃん。モノクマは強がっていたけれど、この学園が海上にあるのは終盤辺りでバラしたかった内容だろうし」

「そうね。こんなデスゲームを開催する連中のことだから、私達を絶望させる為の演出として使うつもりだったのでしょうね」

「そうっすね。コロシアイ終盤になって、メンバーが減った所で『実は外に出ても海上』でした。なんて、なったらやるせないっす」

 

 加えて、東条と天海から補足とフォローが入った。モノクマはこんな状況だから起こる不測の事態を期待している様だったが、この学園が海上にある。なんて、大掛かりな仕組みは、こんな序盤に分かって良い物では無かったハズだ。

 

「そう考えたら、最原がゴールに辿り着いたことにはちゃんと意味があったって訳だ! よくやった!」

 

 バシバシと百田が最原の背中を叩いていた。一先ずの不安は和らいだが、自分達が置かれている状況が非日常的であることには変わりない。ここからの脱出が不可能だと分かるや、一同は校舎の方へと引き返した。

 

~~

 

「うめぇ! やっぱり、一仕事した後の飯は格別だな!」

 

 入間がスコーンを齧りながら、咀嚼された内容物を撒き散らしつつ叫んでいた。先のデスロードで喘ぎ声を上げて脱落することが仕事だと思っていたらしい。

 皆が真っ先に向かったのは、食堂だった。モノクマも言う様に食糧の心配は無いらしく、冷蔵庫には新鮮な材料がぎっしりと詰め込まれていたので、東条がスコーンを焼いて、紅茶を淹れてくれた。

 

「まず、校舎の探索から始めたいと思うのだけれど、先のデスロードでケガをしたり、疲労していたり、動くのが厳しい人はいる?」

 

 ティータイムには相応しくないかもしれない話題かもしれないが、こんな非日常的な事態の中に在るからこそ、少しでも日常に寄せようという東条の気遣いが見て取れた。恐る恐る、手を挙げたのはキーボだった。

 

「あの。実は、さっきから少し調子がおかしくて。僕は欠席させて貰っても良いでしょうか?」

「えぇ、大丈夫よ。入間さん、キーボ君のことを診て貰える?」

「ちゃんと、ツイているかまでしっかり確かめてやるから安心しろよ~!」

 

 口を開けば下品なことばかり言うが、きっとこんな状況でもめげない為に自分を鼓舞しているのだと皆が納得していた。他には居なさそうだった。

 

「組み合わせはどうする? 万が一のことも考えて、3人以上で組んだ方が良いとは思うけれど」

 

 王馬の言わんとしていることは全員が分かっていた。東条も予想していたらしく、直ぐに探索メンバーを指定していた。

 この短い時間で、人間関係に軋轢を起こしそうな者を問題なく運用できる彼女の能力は正に超高校級と言うに相応しかったが……。

 

~~

 

「だからってコレ?」

「もぅ! 赤松ちゃんは俺達の何が不満なの!? ねぇ、最原ちゃん!」

 

 片を組まれた最原も頷いていた。ついでにスケートボードを差し出していた。ここまで仲良くなったんだから、一緒に滑っても良くないか? と言わんばかりに。

 

「主は言いました。そのスケボーを貰うには、未だ付き合いが足りないと」

 

 アンジーから異次元な方向で否定されていたが、最原も自覚しているのか。ションボリしながら仕舞っていた。

 彼女達は校舎内ではなく、中庭の探索を頼まれていた。自分達が寝泊まりする寮は確認できたのだが。

 

「なんか、建設中ってなっている所が多いね」

 

 赤松が周囲を確認した限りでは、施工中の施設が多い。エグイサルが作業を進めているようだが、彼らが言うには。

 

『こっちだって急いでんねん。あんまり急かさんといてや。何を作っているかは秘密やで!』

 

 とのことで、一体何をしているのかも分からない中。数少ない建造物で目を引く物があった。如何にも『研究所(ラボ)』と言った見た目で堂々と建っており、周囲にはコンテナの様なオブジェクトが設置されている。

 

「美兎がいそうだねー」

 

 見りゃ分かる。と言うことで、訪れた一同はノックをしたが、返事は返って来ない。鍵は掛けられていない。サッーと血の気が引いた。

 

「入間さん!?」

 

 慌てて押し入った赤松が目にした光景。それは、手術台の様な物に寝かされたキーボ君に……。

 

「うぉっ、すっげぇ体(ボディ)。こんなエッチなフォルムしている癖に人間を自称するなんて、人類に申し訳ないよね。オラッ! リミッター解除と言え!!」

 

 入間は自分の体を押し付けて、ゴツゴツした彼の全身を堪能していたので、闖入して来た4人全員に引き剥がされた後、正座させられていた。

 

「とんでもないロボハラですよ!! 親方に通報させて貰いますからね!!」

「んひぃいいい。何でもするから許してぇ……」

 

 突如としてセクハラされたキーボは当然ぶち切れ、入間も涙と鼻水を垂らす、顔面土砂崩れ芸を見せながら、不用意な言葉を添えて謝罪していた。

 

「最原ちゃん。今、何でもするって言っていたよ。もう、アレするしかないよね」

 

 王馬に促された最原は、先程断られたスケートボードを取り出していた。今、何でもするって言ったよね? という無言の圧があったが。

 

「そう言う押し付けはしないの!! 入間さん。人が嫌がることはやっちゃ駄目だよ? それと女の子が何でもするなんて言っちゃ駄目!」

 

 赤松は取りあげたスケートボードを一旦脇に置いといて。正座させられている入間と視線を合わせて、優しく諭していた。

 

「おー。ママとの光景みたい!」

「あの。2人共同級生では?」

 

 アンジーは楽しそうしているが、あまりの前提の狂いぶりにキーボは困惑するしかなかった。一方、被害者を放って感極まっている入間は赤松に抱き着いていた。

 

「ごべんんんんん!」

「あの、私じゃなくてキーボ君に……」

「そうですよ!! 僕に謝って下さいよ!!」

「ひぃいいい!」

 

 これまた話がややこしくなりそうな構図になり、落着しようとしていた話は蒸し返されていた。再び争い始めた連中を傍目に、最原は研究所(ラボ)内をウロウロしていた。

 その一つを手に取ろうとしたが、彼が触れる直前。まるで、機器が自分の意思を持ったかのように高く飛び跳ねた。そして、ピンボールのように周囲の機器にぶつかっては跳ね回っていた。

 

「お、おい。ダサイ原。何してんだよ!?」

 

 流石に、怒られまくっている彼女も不可思議な現象が起きていることには気づいたらしい。研究所(ラボ)内で起きている異変はまるで感染するかのように、入間の発明品達に不可思議な挙動を起こしていた。

 

「おー。終一、神ってるねー」

「付喪神とかそのあたりかな?」

「暢気なことを言っている場合ですか!?」

「早く外に!」

 

 アンジーと王馬がケラケラと笑っていたが、キーボと赤松に促され全員が脱出した頃、ラボ内における彼女の発明品は超が付くほどに暴走を始め、まばゆい光に包まれた。

 

「ひぃいいいいいい!!! 逃げろ!! 爆発するぞ!!!!!」

 

 入間が悲鳴を上げ、全員が距離を取ったタイミングを見計らったかのように。彼女の研究所(ラボ)は大爆発を起こした。これが初日の出来事である。

 

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