舞園「超高校級のヌケーター?」   作:ゼフィガルド

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140時間目:二度目のトラブル

「最原クン 手伝ッテ 欲シイ コト ガ アルンダ」

 

 クロの書から得た情報の共有とモノクマからの補足説明を終えた頃、モノダムから話し掛けられた。昼間にモノファニーから悪評を聞かされまくっていた最原だったが、嫌そうな表情を浮かべることも無く用件を聞いていた。

 

「入間 サン ノ 研究教室 ノ 修繕 シタインダ。ココハ 学園 ダカラ ネ」

 

 彼女の研究教室が爆散する理由を作った最原としても断り辛い要請だった。

 現在の入間と言えば、研究も開発も出来ず、カジノコインもスったので、することが無さすぎてAVルームに入り浸っている。

 

「ソレニ 入間 サン ニ AVルーム ヲ 占領 サレルト 困ル。 皆ガ イルブリード ヲ 見レナイ」

 

 急に手伝う気が無くなったが、最原の中に在った罪悪感がどうにか彼を動かした。だが、気になることがある。どうして自分を? と言うことだ。

 

「ソモソモ 研究教室 ガ 爆破 サレタノハ 君ノ セイ。ダカラ 今度ハ 君ガ 入ッテモ 大丈夫 ナ 物ヲ 作リタイ カラ 付キ合ッテ 欲シイ」

 

 なるほど。実の所、最原も自分のヌケーター体質の全容を把握している訳ではない。その耐久実験の為に自分が必要とされるなら、むしろ付き合うべきだと考えていたが、ジィっとモノダムの方を見ていた。

 

「ア オイラ ニハ 触ラナイデ ネ。裁判 シタク ナイデショ?」

 

 うっかり、モノダムを破壊しようものならどうなるか。先程、モノクマが言っていたルールにどの様に干渉するか、気になる所もあったが好き好んで殺そうという気にはなれない。

 話している内に、研究教室跡地に辿り着いた。既に2機のエグイサルが作業をしており、1機のエグイサルが待機中だった。

 

「おぉ。なんや、モノダム。最原の坊やを連れて来たんかいな」

「ソウダヨ。チェック 作業 ニ 当タル ネ」

 

 モノダムに案内された最原は、修繕を終えている個所のチェックをしていた。

 自分が触れても、異常挙動を起こさないか、回転を始めたり、壁や天井を貫通したりしないか。今の所は大丈夫そうだった。

 

「ヨシ。コレデ 君モ コノ研究教室 ニ 足ヲ 運ベ ソウダネ」

 

 他のモノクマーズに比べて、モノダムから発せられる音声は抑揚が無い為、感情が読み辛い。探偵としての性か、相手の思惑を読み取ろうとしていた。

 

「君ハ 入間 サン ト 仲ガ 良イ ダロウ? 赤松 サン ノ 部屋ニ 邪魔 シテイタラ 彼女 ニモ 悪イ シネ。チャント 然ルベキ 場所 デ 過ゴス ベキ ダヨ」

 

 意外なことに。出て来た言葉は、モノクマが言う所の助手生徒らしい物だった。

 現状、女性陣における入間の評価は低い。尊大な物言い、協調性、TPOが見当たらない態度が祟ってのことである。それは彼女が迸る情熱(リビドー)を処理する場所がない故だろう。

 

「ロボ ハ ロボ 同士 デ 人 ハ 人 同士 デ 一緒ニ 過ゴス スベキ ダト 思ウヨ」

 

 腑に落ちた。恐らく、モノダムはモノファニーの動向を把握しているのだろう。

そこで、彼女が頼りそうな自分を近くにいる奴にくっ付けて選択肢を減らそうとしているのだと。

 その為にやっていることが研究教室の修繕だというのなら止める必要もないし、助手生徒の立場を鑑みても穏当な方法だ。ならば、素直に従えば良い。最原は同意を示す様に深く頷いた。

 

「分カッテ クレテ 嬉シイ ヨ。天海 クン ノ アドバイス 通リ ダ」

 

 人の機微に疎そうな彼がこんな行動を起こせたのは、やはり入れ知恵あってのことか。彼の気遣いに感謝しつつ、修繕された施設に触れても特に問題は無さそうだ。

 開発する為の機器だけではなく、恐らく入間が開発した発明品の数々も修復されている様だった。1つずつ触って確認していくが暴走する様子はない。内装の修繕はほぼ完了しているので、後は外装だけなのだろう。

 

「ネェ。仲直リ ッテ ドウヤッタラ 出来ル ノカナ?」

 

 うーん。ちょっとあの光景を繰り広げた上で仲直りがしたいというのは、虫が良いを超えてもはやサイコパスレベルだが、自分の尻拭いをしてくれた相手を無碍にする訳にもいかない。

 だが、うっかり手を出しちゃった相手から許して貰える方法なんて思い浮かばない。ここからは探偵の仕事と言うよりも弁護士の仕事になって来るので、知り合いを紹介する位しか出来ない。

 

「ウゥ オイラ ハ 自分 ノ 性欲 ガ 憎イ!」

 

 普段無機物な癖に嫌な所で有機物みたいな仕草を見せて来たので、声を出せたら『きっしょ』という言葉が吐き出されていただろう。

 だが、先程の会話にあったリビドーと言う言葉を思いついた。君がこれからテクニックを披露するのはベッドの上ではない。スケートパークだ! ギュ……という音が鳴りそうな位に表情を引き締めて、最原はモノダムにスケートボードを差し出していた。

 

「コレ 乗ッタラ モノダム ジャナクテ モノレカ ニナル」

 

 きっとご機嫌になってメロディーを口ずさみたくなるさ。と言わんばかりに、点検が終えたら表で一緒に滑るつもりでいた最原はゴキゲンな様子で点検作業を進めていた。

 この研究教室が使える様になったら、入間も少しは落ち着くだろうか? あるいは『出来たぞ! 最原のパンツを転送する装置だ!』みたいな展開になるかもしれないが、手持ち無沙汰でいるよりはずっといいだろう。

 

「最後 ダヨ」

 

 教室の中央。最原には使用方法が想像も付かない巨大な機器が設置されていた。果たして、触れても大丈夫なのだろうかと一度モノダムの方を見た。

 

「大丈夫 ダヨ」

 

 もしも、自分が再びこの教室に足を運ぶことがあればうっかりと触れてしまう可能性はあるのだ。それなら安全の為に確認はしておいた方が良いだろう。

 念の為、電源が入っていないか、稼働状態ではないかも確認しておいた。能力関係なしに触れて危ない物かもしれない。……というか、入間を連れてきた方が良いのではとも思ったが。

 

「モシモ 上手ク 修理 デキテ ナクテ 爆発 シタラ 最原 クン ガ クロ ニ ナッチャウヨ。オイラ ハ 爆発 位 ナラ 耐エラレル」

 

 至近距離で食らうであろう自分の心配をしてくれない辺り、やはり彼には気遣いとか優しさがイマイチ足りない気がした。

 目視で確認できる範囲では問題無さそうだ。手を置いた瞬間、ガコッという音が聞こえた。探偵としての本能が警鐘を鳴らした。直ぐに離れようとしたが、全身が縮こまった様にして動けなくなっていた。まさか、自分はハメられたのかと思った刹那。

 

「最原 クン!」

 

 いつの間にかブーツを装備していたモノダムが彼にドロップキックを食らわしていた。幾ら小さくとも、それなりの質量がある彼が体重を乗せて蹴り飛ばせば、最原位なら簡単に吹っ飛ぶ。

 壁際まで吹っ飛ばされた彼は直ぐに周囲の状況の把握に努めた。瞬間、全てが手遅れだと言うことに気付いた。

 

「何や!? えらい音したけど……」

「何があったの!?」

 

 異常を聞きつけてやって来たモノスケとモノファニーが見た物。

 教室の中央に鎮座する巨大な機器の前で、全身から黒煙を上げてこと切れているモノダムの姿だった。

 

~~

 

『死体が発見され……おま。今度はモノダムかよ』

 

 夜中にも関わらず死体発見アナウンスが流れたので生徒達に緊張が走り掛けたが、被害者がモノダムだったので、王馬が言った。

 

「調査は寝てからでいい? オレ8時間しっかり寝たいタイプなんだよね。頭を使う裁判とかは、ちゃんと万全な状態で当たりたいからさ」

 

 くそねみーって言うのに、呼び出しやがってと言う不満が見て取れる様だった。特にブチギレていたのは入間だった。

 

「てめぇえええええええ! 何、オレ様の研究教室事故物件にしてんだコラァアアアアア!!」

「酷いわ! 修繕していたのに、あんまりな物言いよ!!」

 

 モノファニーもコレにはキレ返していた。現場にはモノクマも駆け付けて、盛大な溜息を吐き出していた。

 

「ねぇ、なんでモノクマーズを殺すメリットが無いって説明したのにまた死んでんの? オマエらバカなの? アホなの? GTAをプレイしたら、とりあえず通行人殺すタイプ?」

「で、でも。コレで例のタブレットの件は大丈夫、なんだよね?」

 

 被害者がモノダムだったこともあって、白銀はホトケの心配より自分のことを優先していた。あんまりにあんまりじゃないだろうか。モノクマもくっそ渋い顔をしながら頷いていた。

 

「しょうがないっすね。これも事件っすからね」

「そんで、また事件現場に最原か……」

 

 星も頭を抱えていた。前回の事件は事故だったが、今回は何とも言い難いシチュエーションだ。

 

「最原君。今回は本当に何が起きたか分からない感じ?」

 

 赤松からの問いかけに最原は頷いていた。前回の事件は最原も一部始終を見ていたが、今回は本当に何が起きたか分からないのだ。

 つまり、自分が犯人であるかどうかすら判断できないので調査に力を入れなくてはならないのだが、夜中だったこともあり皆の集中力は無さそうだった。

 

「流石にこんなグダグダな状況で学級裁判やっても盛り下がると思うんっすよ。明日の朝から再開って訳にはいかないっすか?」

「オマエラ、デスゲームに巻き込まれている自覚ある?」

 

 天海も眠そうにしていたので、ついにモノクマが苦言を呈する段階に至っていた。あまりにぶー垂れ文句垂れて来るので、モノスケが溜息を吐きながら言った。

 

「父ちゃん。こいつらの愚痴に付き合うの面倒やから、明日まで現場の保全はしておくさかい、明日にせぇへん?」

「オマエ、兄弟が死んだっつーのに……」

 

 一応、兄弟であるモノダムが死んだというのにモノスケはあんまり傷心も辟易模して無さそうだった。ただ、面倒くさそうにしていた。

 起きている奴は文句言うし、言わない奴は半分寝ている。夢野とアンジーなんかは正にそうで、2人は茶柱に世話されていた。

 

「2人共鼻提灯を作っていますよ。可愛いですね」

「あっそ」

 

 急に話題を振られた春川はスルーしていた。

 かくして、民主主義的提案により、モノクマとしては大変不本意であったが、事件の調査は翌朝に行われることになった。

 

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