ボーダー隊員は帰郷を目指し   作:ボーダー技術開発室職員

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原作開始前
第1話


(じん)さん――自分が帰ってこなかった時には、荷物の処分とか頼んでいいですか」

 

()()()()()()()()?」

 

「最初に()()時は他にもあったんですけど……今は単独でどこか行って、帰りの遠征艇に俺がいない()が一番強く()()()()()

 

 

 風もなく、シンと静まった夜。

 とある建物の屋上で、額までサングラスをあげた男性――(じん)悠一(ゆういち)――と、黒髪をいわゆるスポーツ刈りで整えた少年が、ふちの手摺に並ぶ形で星空を眺めつつ会話をしていた。

 

 

「1番いい未来じゃないからなんとか変わらないかと今日まで色々試してみたんですけど、良さそうな未来の画はどんどん見えなくなってきたんで、今のうちに(じん)さんには話しとかないとって思って、それで……」

 

「……斗和(トワ)的には何番目?」

 

「3、4くらいでしょうか。自分1人の犠牲は必要経費としても、それ以外の被害や成果をふまえるともっと良い未来に続くルートが最初は見えてましたけど、今は他はもっと悪くなる感じです」

 

「やっぱり精度が違うっぽいね」

 

 まるで、答え合わせをするかのように、目の前にはない()()について語り合う二人。

 うつむき気味な斗和(トワ)と呼ばれた少年に対し、こちらも普段のおちゃらけた雰囲気を感じさせず落ち着いた雰囲気で言葉を返す(じん)

 

「1番だよ。単独で動いた先で獅子奮闘して逃亡まで成功する……斗和(トワ)が確定したと思ってるその未来は。だから、お前は自分を信じて動けばいい」

 

 そう言った(じん)は、頭上のサングラスをかけ、口元に笑みを浮かべてみせながら――――

 

「おれの副作用(サイドエフェクト)がそう言ってる」

 

――――斗和(トワ)が何度も聞いたことのある、お約束ともいえるセリフを言って見せた。

 

 

「1番だなんて……気休めでも、嬉しいです」

 

「嘘言ってた?」

 

「ないです。たぶん、ですけど」

 

 ()()()()()()()()()迅に、クスリッと吹き出して首を振る斗和(トワ)の目尻には、光るものがあった。

 

 

「すみません」

 

「いや、謝るのは――」

 

「自分、どこかで安心してるんです。誰が犠牲になるか選ぶより自分が犠牲になるのを選ぶほうがすごく、心が楽で……でも、迅さんにとっては……これからも――」

 

 

 斗和(トワ)の口からは嗚咽が漏もれだし、目尻からは涙が次々にあふれ頬を濡らす。

 その姿に、(じん)は目元をサングラスで隠したまま、優しく頭を撫でる。

 

 

「お前がまたおれ達と会えてる未来は見えてない。確定してないからか、ありえないからか……ずっと先だからかはわかんないけどね」

 

「……」

 

「けど、今日、見えたものもある。離脱したその先でもお前は独りにはならない」

 

 隣にいる後輩に語り掛けるように――同時に自分に言い聞かせるように――言葉を紡いていく。

 

「見たところ、おれが会ったことがない「誰かたち」といっしょにいて、どいつも悪い奴じゃないっぽいから。きっと力をかしてくれるはずだ。だから――」

 

 

 

諦めるなよ、斗和(トワ)

 

これまでの経験と、サイドエフェクトがきっとお前を助けてけてくれる。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 見慣れた()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の天井。懐かしさを感じ始めてしまっている過去を夢に見ていたことを感じつつ、ふと周りを確かめる。

 

「……ん、朝か」

 

壁には、外の様子を見ることができる窓は無いが、ベッド端に置いておいたアナログの目覚まし時計に目を向け、朝と判断することはできた。そのままの流れで、セットしていたまだ鳴っていない目覚まし時計のタイマーを止め……そこからのんびりと朝の支度を始める。

 

 清潔さとある程度の見た目を整えたうえで――特に必要はないのだが――「ふぅ」と息を吐いて一旦姿勢を正した。

 

 

「トリガー、起動(オン)

 

 

 イメージと共にいつもの言葉を発する。すると、一瞬視界が光に包まれた。

 部屋着と言われればしっくりくるグレー色基調のスウェットから、白地にオレンジのラインの入った服――見る人が見ればボーダーの訓練生であるC級隊員の隊服を改造したものだとわかる――へと変わったことを確かめた。

 

 

「さて、今日も生き抜いていきますかっと」

 

 

 自分に言い聞かせるように呟き、オレは遠征艇から出発した。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 学園のとある一室へとたどりついたオレを待っていたのは、白を基調とした制服――そのためわざわざ自分もC級隊員の隊服に設定を変えて色合いを寄せた――を身にまとった女子学生だった。

 

 

「うん、ぴったり10分前」

 

「おはようございます、早瀬(はやせ)さん。」

 

「ええ、おはよう」

 

「本日もよろしくお願いします」

 

 オレのあいさつに笑顔で返す青髪の学生。訪れた部屋の主であるその人は早瀬(はやせ)ユウカさん。この学園、『ミレニアムサイエンススクール』の生徒会組織『セミナー』のメンバーで、オレが主にお世話になっているひとだ。

 

 早瀬(ユウカ)さんは――正確には彼女が所属している『セミナー』――もろもろの事情で「この世界」に、そして『ミレニアムサイエンススクール』の敷地内に迷い込んだオレと、オレが乗っていた遠征艇を多少のごたつきがありながらも受け入れてくれている。しかも、最低限の説明をしたオレに対し、要求してきたことはある程度の監視体制と『セミナー』での簡単な仕事の手伝いだけ。オレとしてはありがたいことではあるけれど、いろいろと甘いと思わざるを得ない。

 

 趣味が「暗躍」な迅さんに連れまわされ、あちこちに首を突っ込むこととなった結果、ボーダー運営、上層部や裏側をいろいろと知った。さらに自分が持っていた『副作用(サイドエフェクト)』の影響もあり、知りたくもないことや悪意も人並み以上に知ってきた気でいる自分としては……おせっかいかもしれないけど、もう少し警戒とかしないにしても、事務的に対応とかしてもいいんじゃないだろうかと思ってしまう。早瀬(ユウカ)さんの根の真面目さや優しさが滲み出してしまっているんだろう、油断させようとしているっていう線もあるけどそんな感じはしないし――

 

「嘘は言ってない、ぽいもんな」

 

「……? どう――」

 

 

ドッカーーーーンっ!!

 

 

「「…………」」

 

 

 気が抜けてしまっていたのか、ついこぼれてしまっていた呟きに何か言いかけた綾瀬(ユウカ)さんの言葉は、ガラス張りの外壁を揺らす突然の轟音に止められた。

 

 目を合わせたまま、数秒の沈黙の後――――早瀬(ユウカ)さんの大きなため息をきっかけとして、再びこの部屋の時間は動き出す。

 

「また、余計な費用が……っ!」

 

キヴォトス(ここ)って銃撃戦とか当たり前って聞いてますけど、もしかして今の爆発も襲撃とかなんですか?」

 

「そうなら、通報があるでしょうけど、方向からしてきっとエンジニア部だから違うとおもうわ。……原因には心当たりがいくらかあるもの」

 

おそらくは、はじめてじゃあないんだろう。似たようなことが過去にもあったのだろう。その証拠とでもいうべきか、早瀬(ユウカ)さんの表情には「驚き」の色は無く「呆れ」の方が濃く表れている。もちろん大半を占めているのは「怒り」だけども。

 

「なら、その想定で行動し早々に解決して通常業務に戻れるようにしましょう。お供します。」

 

「そうね……ほんと、猫の手でも借りたいもの」

 

 ……何度もいうが、よくわからない部外者の自分を結構すんなりと信用してくれているみたいなんだよね、早瀬(ユウカ)さんって。個人的には嬉しいことではあるけども、もう少し警戒と化していた方が……いやまぁ、取り調べとかも無しに学園内においてくれてる時点で大概か。

 そんなことを考えながら、ツカツカ(ドスドス)と怒気を感じさせる足音を立て歩く早瀬(ユウカ)さんの後をついていった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 結局、エンジニア部が散らかした場の片づけに参加し終えた後、改めて早瀬(ユウカ)さんの指示を受けここまでの数日と同じく雑務の手伝いへと移行したわけだ。

まぁ、その後は特にこれといった問題も無く夕方までお手伝いをして、食事も摂らせてもらった。

 

 

 ()()……なんだか、早瀬(ユウカ)さんは他の人と何か慌ただしくしていることもあったが、オレには関係ないことだ。

 協力をお願いされない限りはこちらからは何もしない。なんとなく、学園運営や内部事情に関わるんだろうと予想できたから、手伝いと同じく関わらないほうがお互いのためなんじゃないか。現状、むこうがオレの事情を探ったり要求をしてこずに学園(ここ)にいさせてくれているのだから、少なくともその間はオレの方からも内情を詮索したり首を突っ込まないようにするのが誠意ってものだって考えからの判断だ。

 

 

 

 それで、今日学園内でやるべきことをやり終えて、生活の場となっている改造遠征艇に戻ってきたんだけど……

 

 

「すぴー……すぴー……」

 

 床に散乱する見覚えのある携帯食(おかし)の包装。

 口元に食べかカスをつけたまま、ベッド上で大の字になって寝息を立てている桃色髪の学生。

 

「……どうなってるんだ?」

 

 ありえない侵入者に、首をかしげてしまうのだった……。

 




北郷(ホンゴウ) 斗和(トワ)
・ポジション:スナイパー→オールラウンダー(ポイント貯め中)
・年齢:15歳
・誕生日:8月9日
・身長:160cm
・血液型:A型
・星座:ぺんぎん座
・職業:中学生
・好きなもの:ヒーローもの、詰め将棋、お好み焼き

副作用(サイドエフェクト):超共感覚


(じん)悠一(ゆういち)
『ワールドトリガー』の主要人物のひとり。
「そばにいる人の副作用を感じ取り、限定的な再現がされる」というとんでも副作用もちのオリ主がいることによって、原作にはなかった未来をたくさん見ることができ、よりよい未来を引き寄せることができている。
同時に、オリ主には自分のものを含め様々な副作用を経験させる必要があったり、そのうえでの苦悩も背負わせるなど負い目を感じている部分もある。そんなこんなでなんとかうまくやっていけていたが、最終的にそのオリ主を半ば切り捨てるような選択をすることがいい未来へと繋がることを視てしまったため、迷いはあったがオリ主本人の意志を汲みとる形で選択した。
描写があれば一番曇ってるひと。なお、『ワールドトリガー』勢は過去の記憶としての描写しか予定がない模様。


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期限:次の投稿まで
結果は、話の流れに影響する場合があります。

次のタイミングで適用される副作用

  • 未来視
  • 嘘を見抜く
  • 動物意思疎通
  • 敵感知・気配遮断
  • 強化聴覚
  • 強化睡眠記憶
  • 強さ色識別
  • 身体精密操作
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