ボーダー隊員は帰郷を目指し 作:ボーダー技術開発室職員
大変申し訳ございませんでした。
『ミレニアムサイエンススクール』の学校外。自治区の境界線近く、倉庫街といった雰囲気の
何故、オレがそんなところにいるかといえば、『セミナー』からの依頼で『ミレニアムサイエンススクール』自治区内での暴動――今回に関しては、この倉庫街にある物資の窃盗を目的としたもの――を治めるためなのだが……
「ふぅ」
左腕の力を抜き、その手に持つシールドモードの『レイガスト』の下端が地面のアスファルトに当たり音をたてた。周りには、つなぎのような服とヘルメット・ガスマスク・ゴーグルをつけた女子生徒の集団が倒れている……もちろん、全員トリガーでの攻撃で気絶しているだけではあるが、戦闘不能状態である。
そんな周りを一瞥しつつ、『トリオン体』に付いている『トリオン』を用いた通話――――ではなく、耳に装着した後付けの通信機で通話をする。
「鎮圧できたよ」
『にははは、お疲れ様です!ホンゴーさんは相変わらず、お仕事が早いですねぇ』
「まぁ、この程度の質と規模なら。それで、この人たちは――」
通信先である『ミレニアムサイエンススクール』、そこでオペレーターのコユキさんの賛辞の声と、その合間や後に聞こえてくる軽い音と咀嚼音……
「――おやつ中?」
『栄養補給です!』
「そっか」
うん、まぁ、今更どうこう言うつもりもない。そもそも、遠征艇に初侵入した時もオレの蓄えのお菓子とかを食べ散らかして、のんきに寝ていたような
でも、こうして何度か『ミレニアムサイエンススクール』の『セミナー』からの依頼を受けるようになったオレをサポートするオペレーター役をコユキさんが買って出てくれたので、なんだかんだで助かっているのも確かなことだ。だから、なおのこと深く突っつきまわすつもりは無い。
と、通信機からコユキさんとは別の声が聞こえてくる。
『ホンゴウさん。暴れていた生徒の一時収容のため、ウチからの人員を送りました』
この声は……
手伝いに来ていたのか?それとも、たまたま別件で来ていたところにコユキさんの様子を見かねて手を貸したのか……ていうか、オレは気にしなかったけど、コユキさんは仕事態度的に怒られていたりはしていないだろうか?
とりあえず、どういうことか確認しよう。
「
この前、あのアビドス校区へ訪れた際に、『アビドス高等学校』を襲撃しようとしていたヘルメットを被った不良たち――後々『ヘルメット団』と呼ばれる集団だと知ったが――を撃退したのだが、その時「そういえば、悪い奴がいて捕まえたらどうしたらいいんだ?」という疑問がわいてきたことが発端となり調べた。というか、
その結果、『ヴァルキューレ警察学校』というものがあって犯罪行為や非行生徒はそこで留置されたり等々、オレの認識の中での警察のような対応をしていることを知った。
だが、今回はそうじゃないのだろうか?
『おっしゃる通り、本来自治区での問題ではその自治区を治める学校と『ヴァルキューレ』が協力の下行うものです。しかし、現在『キヴォトス』各地で不良生徒たちの活動が活発化している他、様々な問題が発生していて『ヴァルキューレ』の手が回りきっていないんです。ですので――』
「放置するわけにもいかず、自分たちの学校で対応することになったわけですか」
『はい。すでに手配していますので、少し待っていてください』
なるほど、と納得したオレは、事前に用意し持ち歩いていた拘束用の縄を取り出して、気絶しているつなぎの女子生徒たちをチョチョイと腕を中心に縛っていくのだった……。
パチッ パチッ パチッ
ちょうど不良生徒の全員を縛り上げたところで、不意に聞こえてきた拍手。
音につられ、そっちへ視線をむける――
「ご苦労様です、
――倉庫と倉庫の間、わき道から悠々と歩き出てきたのは、黒のスーツに身を包んだ
いや、人というには少々
もちろん、『キヴォトス』に来てから様々な「自分の中の常識から離れたヒト」を見てきた。ロボット系のヒトや二足歩行の獣や鳥のようなヒト、一番違和感を感じない人たち……いわゆる「生徒」と呼ばれている女子たちも、天使の輪のような光が頭上に浮いているうえに一部の生徒にはさらにケモ耳や翼、角や尻尾を
……いちおう『
しかし、今、目の前に現れた
シルエットは普通に人型だ。
黒。
着ているスーツと同じ黒い体色…いや、『黒』が人の形をしている、そう表現するほかない見た目だ。唯一、黒とは違うのは頭部で、口元にあたるであろう部分に裂け目、右目にあたる部分には穴、それらとそこから広がるヒビ割れから光のようなものが漏れていて表情のように見えている。特に右目はまるで炎のように揺らめいているように見える。
「誰ですか?」
「これは失礼しました。私は……まぁ、『黒服』とでも呼んでください。本日は『外』から来られたアナタにご挨拶にと思いまして足を運びました」
「……。」
『外』という言葉に、多少引っかかりを感じながらもソレについて問いかけることもなく眉を顰める。
一言で表すなら「胡散臭い」。
薄ら笑いを浮かべたように見える表情、不気味な見た目……もちろん、見た目だけで判断するのは間違っているのはわかっている。しかし、拭いきれない予感のようなものがある。もちろん自分で「黒服」なんて名乗るのも怪しさ満点だ。さらには、初対面ではあるがあちらが一方的に知っているっぽいのも、その怪しさに拍車をかけている。
ともかく、その怪しいヤツが何故ここに?オレに用があるのか?いや、まさか……
「もしかしてですけど、この騒ぎの黒幕さんだったりしますか?」
「おやおや、出会って真っ先に疑いですか」
「仕方ないでしょう?ご存じかはわかりませんが、ここ最近異常事態や今日のような犯罪や暴動が異様に起きているんですよ。不審者に対して多少トゲトゲしくもなります」
最低限の対応をしつつ、通信機での通信を試みて――聞こえてくるノイズに内心舌打ちをする。通信障害……いや、ジャミングか何かか。
十中八九、目の前の黒服の仕業だろう。より一層、怪しさが深まった。
「どうなんですか?黒服さん?」
「いいえ。
「我々?」
「『ゲマトリア』、それが組織の名です。以後お見知りおきを」
仰々しく頭を下げる黒服に、軽く「どうも」とだけ返しつつ思考を巡らせる。が、どうにも『ゲマトリア』っていう言葉に聞き覚えは無く、参考になりそうな知識もない。あいにく、今のところこの黒服を
「とはいえ、私個人としては『外』から現れたアナタには多少の興味はあれど、今すぐ取引をしたいというわけでもないのですよ。ですので、先ほども言ったように今日はあくまで顔見せのご挨拶をしにきただけですので」
だが、本当に
こんな胡散臭そうなヤツが、わざわざ挨拶のためだけに出歩いている……?どうにも腑に落ちない。
「そうですか。では最後にもうひとつだけ質問してもいいですか?」
「ええ、もちろん」
「この騒ぎの原因じゃないとして、その混乱に乗じて裏で何かしてるんじゃないんですか?」
「いえいえ、まさかそんなことは――」
「アンタ、つまんないウソつくね」
揺らぐ。
黒服の右目の光が、一層大きく。
「……失礼。オレなんかに挨拶に来るためだけに動かないでしょう?根本的な原因じゃなくとも、煽ったり、自分の利になるように誘導したりといった風に。そのための動きでココの近くにきたから、ついでで来たんでしょう」
「クックックッ!かの『暁のホルス』との接触は、ただの偶然だとは断言しきれず、
まるで、歓喜するかのように独りでに笑って声を上げていた黒服が、スッとこちらに向き直り、一転落ち着いた様子で語り掛けてくる。
「私たちとも異なる『外』から介入し、『生徒』ではなく『大人』でもないアナタとはどう接するべきか、少々迷いもしましたが――」
一瞬の間をおいて、先ほどよりもさらに仰々しいお辞儀をした。
「――本心から、良き関係でありたいと思いますよ」
「自分の中のいい人のハードルは高いぞ?特に大人は」
「信用は地道に得ることにしましょう。特にアナタに対しては、
『外』というと、『キヴォトス』とは別のところだろうけど……『
もしも前者なら、『
「では、先行投資として……ここで一つちょっとした情報を」
黒服が人差し指を立てて、語り掛けてくる。
「『連邦生徒会』での異常が、今日の混乱の要因なのです」
「……確か、この学園都市『キヴォトス』の行政を担っている中心的組織ですよね」
「ええ。その『連邦生徒会』での動きに異常が見られ、「連邦生徒会会長が失踪した」という噂が流れはじめています……現時点では限られた範囲で、ではありますがね」
―――――――――
「『連邦生徒会』ね」
「
そして、依頼の報告のためいつもの仕事部屋に行ったのだが……そこにいたうっすら
これを聞いているのはオレと
それにしても、ここでついさっき黒服から聞いた『連邦生徒会』の名前が出てくるとは……。
あの黒服はともかく、
「このあいだあった風力発電のシステムのダウンもそうなのだけど、ここのところ問題が起きているのは『連邦生徒会』の関わってるものばかりだったの」
「『ミレニアム』のものなのに、その『連邦生徒会』っていうのがなんで関わってくるんですか?」
他にも、「関わってるってだけで決めつけられるのか」といった疑問もあるが、流石にあの
「自治区内での事には基本そんな積極的に介入はしてこないわ。けど、大事に対しては報告とか認可とか必要なものもあるのよ。特に電力関係となると横繫がりとか多方面に影響があるから……本っ当に!色々とあるのよ!」
「な、なるほど。あとは、不良生徒とか犯罪者まがいの奴らの活発化は――先の問題が起きた際の混乱に乗じてか、単純に治安が悪化しているってだけでしょうか?」
「
同意する
けど、『連邦生徒会』に何があったらこんな問題がいくつも――いや、この何日間もの間、改善や、それ以前に何かしらのアナウンスがあったりしないほど対応が出来ていない、する気があるかも疑わしいくらいなことが気がかりではある。
「とにかく!電話もろくにつながらないし、こうなったら直接『連邦生徒会』に一言いいに行かなきゃ気が済まないわ!!」
いやまぁ、
けど、さっき考えていたように、対応する気があるかも怪しい『連邦生徒会』に何か言ったところでどうにかなるものじゃぁない気もするんだけど……
昇る
早瀬ユウカ
生徒
『連邦生徒会』
生徒
大人
生徒
狐面
暴徒
『サンクトゥムタワー』
戦車
解決 タブレット
『先生』
「っ!?」
いきなりの久々の感覚に不意を突かれ、ふらついてしまった。
「え?ど、どうしたんですか?」
ふらつき、近場のデスクに片手をついて体勢をなんとか保てた。
「ちょ、大丈夫なの…!?」
いつのまにかオレのそばまで寄ってきていたコユキさんが、デスクに手をついた方とは反対側を支えるように寄り添ってきていたことに、2,3回深呼吸をして落ち着いてからようやく気付けた。
さらに、視線の先には、さっきまで話をしていた
「大丈夫です。それよりも、『連邦生徒会』へと行くのは明日にでもしましょう。何を言うにも駆け引きするにも、十分に頭を回せなくちゃ言えませんよね?最大の成果を得るためには、一度しっかりと休息をとってからの方がいいんじゃないでしょうか?」
ついでに「ダメな方での具体的な例は、今のオレですね」と付け加え、自虐的に笑ってみせる。
数秒後。
オレの言葉を聞いてか、
――――オレに見えたものが、より鮮明なものとなった。
「予測確定……なんてな」
○「異能」と『
なんか似ている雰囲気がありながらも、当然別のものである。
そのため、黒服の言っていることは間違いとは言い切れないが、見当違いであることも確かなことである。
◯いい大人のハードル
『ボーダー』上層部。
初見の印象からのギャップもあってか、立場だけではないすごい人としてホンゴウトワもより印象深く認識している。
ただ単に優しいだけの善人というわけではなく、組織の管理職としての「大人」である有能な人たち。
アンケート機能利用
期限:次の投稿まで
結果は、話の流れに影響があります。
ホンゴウトワの今後の異性との関りや特定の個人への対応の変化が見られることにあんる予定。
※6/18 7:30※
諸事情(思い付きでの選択の追加)によりアンケートの取り直しをしました。
大変申し訳ございません。
ホンゴウトワの恋愛対象について
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一途(目標の都合でくっつかない)
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一途(しっかりくっつく)
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複数(目標の都合でくっつかない)
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複数(そのうち一人とくっつく)
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複数(ハーレム)
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甲斐性無し(実力不足)
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鈍感系主人公