ボーダー隊員は帰郷を目指し 作:ボーダー技術開発室職員
ものすごく、いろいろたてこんでまして……でも、書くのは楽しいです。
「先手!必っ勝!!」
「な!」
スケバン生徒の構えた銃を見て、オレはまずデカくてゴツイ
さらに、その調子近距離まで近づいたところで、『レイガスト』のシールド越しに右手の『
「ぎゃぁふん!?」
「やりやがったな!ヘイローが無いからって手加減してや――」
黒の長髪をひとつにまとめて縛ったスケバン生徒が、右手に持つ
「『スラスター』!」
シールドモードを解除し、持ち手とわずかなブレード部分のみとなった『レイガスト』を
「うわぁ!って、ちょ、マジ!?いいぃっ!」
投げ『レイガスト』に腕が跳ね上げられたスケバン生徒に、投げるとほぼ同時に駆け出したオレが接近し、その体のど真ん中に向けて、先ほどの生徒に対してと同様に
ガキンッ!!
――――と、ほぼ同時に、オレの側頭部近くに甲高い音が響いた。
「楯が無くなったのに、狙撃を!?」
さきほどまでより離れた位置から
そんな驚いているスキに、右手のメイントリガー
「『バイパー』」
「ハっ!?何それ聞いてなーー!?」
分割されたキューブが弾として射出され、一度広がってから閉じるような、囲い込むような軌道でスケバン生徒へと殺到し――直撃。その意識を刈り取った。
「制圧完了っと」
他のふたりのスケバン生徒の意識がないことも確認。軽くかかえて彼女らをコンビニ前の一カ所に集めたうえで、その武器である銃を取り上げて手の届かないようにしておく。
「それで、『ヴァルキューレ』は?」
「あの、えっと……その……」
コンビニの出入り口から顔を覗かせていた店員ちゃんに声をかけたところ、おずおずと出てきたのだが、なにやら言葉を詰まらせて目を泳がせていた。
「遅くなりそう」とかそういう感じかと思ったが……そんな風でもない。チラッと見える彼女の未来からしても、どうにも『ヴァルキューレ』の生徒らしき人が来る未来が見えない。オレが『ヴァルキューレ』の生徒に見たことがある人がいないから、ちゃんと見れずに場面を理解できていないって可能性も考えられなくはないけど、どうにもしっくりこない。それに、
そこに引っかかり、これまでの流れを思い返してみると、ふと思い当たることがあった。
オレにとっては慣れで「そういうもの」って感じだが、普通は未来なんて知りようがない。もし言い当てる人がいたとすれば、むしろ「何か仕組んでマッチポンプしてるんじゃ?」とさえ思ってしまうくらいあやしむだろう。
オレだってそう思ったし、そう思われたりもしたから理解はできる。
つまり――――
「あー…コホン。ええ、そうですよね。あやしいですものね」
――――襲撃してきた不良生徒と裏で繋がっているのでは?と思って、オレの言われた通り通報することに迷いが生じたのだろう。冷静に考えれば、オレが襲撃者の一因だとしても通報がいいに決まってると解るだろうが……いきなり意味不明なことを言われて、襲撃があったとなれば混乱して判断力もなお鈍るか。
けれど、こうして遠慮なく不良生徒を倒して警察組織につきだそうとしてるところを見て「さすがにない」と気付いたのか、こうして申し訳なさそうに申し出てきたのだろう。
反省しつつ、気持ちを切り替えるついでに、未来視と戦闘の高まりでちょっと荒めになっていた言葉遣いを丁寧な物へと意識的に変えた。
「す、すみません!!」
「いやいや、大丈夫ですよ」
勢いよく頭を下げて謝ってくる店員ちゃんに、つい「思うところもありますし」という呟きがこぼれてしまう。
「思うところ、ですか?」
「あー…彼女たちは「お礼参り」とか言ってたりはしましたが、具体的にどういった理由で襲撃してきたかが気になりまして」
そう、いくら先生本人がいないことを事前に知っていたとしても、こんな3人なんて規模で正体を隠したりせずに襲撃するのはどうにも……もちろん、自分も先生本人やその立場、持っている戦力・権力については
なので、襲撃にはそれなりの理由があるとは思うのだが……?
「あのー…たぶん…なんですけど」
「もしかして何か心当たりが?」
「は、ハイっ。わたしも当時はココにいなかったから詳しくは知らないんですけど…えっと、このあたりの区域は前はもっと治安がわるかったそうです。でも、連邦生徒会長が『シャーレ』の設立にあたって区画整備と治安改善を推し進めたそうで…」
「なるほど。その時に拘束か追い出されたかした人って可能性が考えられるんですね。とはいえ、先生本人にというよりは連邦生徒会に、って感じでしょうか」
動機としては、いちおう繋がらなくはないが……うむぅ、どうにも納得はできない。そこは、オレの中の世間一般と『キヴォトス』との環境の違いからの齟齬か?
「にしても、もったいない気もしますね」
「もったいない、ですか?」
「はい。彼女たちの事情は知りませんが、生徒であるのなら先生には変に反発したりせずに取り入ったりしたほうがよっぽどお得でしょ。もちろん、ある程度は「授業」とか学生としての振る舞いを求められるだろうけど、そんなに拘束されたりはしないだろうし」
不思議そうにしていた店員ちゃんだったが、オレの言葉を聞くにつれ徐々に不安そうに…そして声として出てきていないが「本当に?」といった疑問が顔に出てきていた。
「犯罪はもちろん、
「そうなんですか?」
「オレ自身は生徒じゃないし、件の先生さんご本人のことや指導方針についても又聞きで詳しくは知らないけど……そうじゃないと、自分の知っている生徒の大半が大変な指導を受けることになりますから」
「いったいどんな人なんですか、その知り合いってひとたち…」
具体的には、コユキさんやエンジニア部あたり――というか、
C&Cの人たちも特別悪いわけじゃない…と言いたいところではあるが、
ついでにではあるが、
と、まぁそんな問題がありがちな生徒ばかりであることを考えると、ある程度の癖は容認して、最低限のマナーやモラルのもとで生活できるよう指導するのがおさまりがいいだろうってことから、そういった引き締め方をするだろうって予想だ。……少しばかり規模的観測を含んではいることは否めない。
「実のところ、その先生に会いたかったんですけど、今日はいらっしゃらなかったんですよね。どこに行ってるんでしょうか」
「先生なら、たぶん今日も『アビドス』に行ってるんだと思いますよ」
「アビドス、というと『アビドス高等学校』ですか?」
「はい。ついこのあいだも、
「遭難?」
飲み物が大切そうなことは、以前に『アビドス』の校区内に立ち寄ったことがあるのであの砂漠然とした様子からもわからなくもない。しかし、遭難となるとわけがちがう。
「えっと、なんでも、道や建物が砂に埋もれてたりしてよくわからなくなったとか」
「…なるほど」
そう言われて、思い当たることはあった。
オレが学区内に行った時も、探していた「店」の場所が確信を持てなったのは、店がもうやってなくて見た目も風化してたって言うのもあったけれど……確かに、道のりも含め砂に埋もれたところもあったりしたことも要因のひとつだった。なので、納得がいった。
にしても、遭難しても無事だったのか。
となると――
「『アビドス』に行くとなれば、自分も気を付けないといけないですね」
「あのー…」
オレの呟きに返ってきた言葉は、ついさっきオレたちが話しているそばで――おそらく本人たち的にはオレに気付かれないようにコッソリ目を覚ましてから様子をうかがっていた――スケバン生徒たちからのものだった。
「『アビドス』のあたりならウチらが案内できるけど?」
起きたことに驚いた様子の店員ちゃんと、地べたに座った体制のままのスケバン生徒たちとの間に入る位置となるよう一歩踏み出しながら、オレは彼女たちに言葉を返す。
「襲撃したから無いとは思うけど、『アビドス』の…あるいは元生徒だったりする?」
「違うけど、ソコん近くの『ブラックマーケット』には何かと縁があるから、ちょっとは知ってるんすよ」
「『ブラックマーケット』!?」
「その名前からなんとなくはわかりますが、そんな驚くことなんですか?」
またまた驚いて、今度は声を上げた店員ちゃんに、オレは聞き覚えの無い言葉について尋ねてみた。
「もちろんですよ!かなりアブナイところだって噂で、単純な治安の悪さなら『ゲヘナ学園』も負けていませんが、裏の闇の深さは他の追随を許さないって…!」
「自分としては、『キヴォトス』の治安自体が大分アレだと思ってるんですけど……それ以上って、正直、よくわかんないですね」
どれだけ恐ろしい場所なんだ?そこは。
加えて、それと並べられ比較される『ゲヘナ学園』って学校もどうなってるんだ?それは学校としての機能はちゃんと生きている場所なのか?
「しかも、最近はかなりアブねー感じなんだけどなー」
「というと?」
「『ブラックマーケット』ん中でも力がある金融会社に銀行強盗が入ったんすよ。あの『マーケットガード』がいるってのに、それで成功させてかなりの額を奪ってったって」
「ついでに言うとー、『アビドス』の方もアブナイよー。
「他の学校の自治区で、ですか?」
店員ちゃんの反応からして、そのゲヘナの風紀委員の行動はかなりとんでもないことらしい。
あと『便利屋』、か。詳しくは知らないが、その名前からして、様々な依頼を受けてくれる何でも屋みたいなものだろう……そして、『キヴォトス』でってなると、十中八九銃撃戦とか襲撃なんかも請け負ったりするんだろう。
なので、パッと思い浮かんだのは、オレが以前武器破壊して追い払った傭兵じみた集団のことだ。彼女らは『アビドス高等学校』を襲撃するために動いていたが、彼女たちが――あるいは、彼女らも依頼を受けた側だったとすればその雇い主が『便利屋』とやらにも襲撃の依頼したのでは?という考えが思い浮かんだ。
…だが、戦ったっていうのは他の学校の風紀委員会ときた。どういうことだろう?
可能性としては、『アビドス』と『ゲヘナ』の生徒会長あるいは風紀委員長のような上層部に繫がりがあったりして、その縁で救援を要請し…とか、あるいはもっと個人的な繋がりでとかだろうか?
それらの理由でないとすれば……他の人のうちの庭でケンカしてるようなものだろう?どう考えてもまともな状況じゃないからなぁ。さっき考えたような理由以外だと、そもそもの前提――例えば、スケバン生徒たちが言っている情報とか――が違っているか、その人たちが『キヴォトス』の中でも特別常識破りだったり?
まぁ、それはそれとして……
「そんな『アビドス』に案内してくれると?」
「なんか用があるんしょ?なら慣れた道案内がいた方がいいだろ」
「そうそう。腕っぷしがいいのはわかったけど、ソコ以外はそうもいかないっすよね?」
「だからーそのー…『ヴァルキューレ』にはちょっと……」
なるほど。そういう魂胆か。
確かにメリットはあるっぽいが、それ以上にデメリットもあることは忘れてはいけない。
今回に関しては、機動力が下がる点。多少のトリオン消費を容認することで『グラスホッパー』――物体を反発する板のようなものを発生させるトリガー――を使い高速移動、あるいは空を
「いや、案内はいらないです」
「「「えーっ!」」」
――と、案内無しで行った方がいいな。
移動速度的な点は言わずもがな、迷った時でも帰る他に上へ跳んで周囲の確認や校舎のような特徴的な建物の捜索もできる。おおよその位置さえわかれば砂漠然とした環境であっても目的地へと向かうことは難しいことじゃぁない。
そして、目的地である『アビドス高等学校』なら、お好み焼き屋を探した時のようにある程度昔の情報であってもそんな問題はないだろう。ちゃんと学校としてあるわけだし、校舎が動くわけもあるまいし。
それに、ちょっとしたところではあるが
「というわけですので……お三方は、また今度ここに来て、先生に会って心を入れ替える
「「「え」」」
「ほ、本当にそんなことで見逃してもらえるん?」
「うん。あなたたちは『ヴァルキューレ』に連れていかれない。先生は生徒を導けるついでに人手が増えて…いわゆる
「えーっと、アンタは?」
「いいことやった気になってメシがウマく感じる?……まぁまぁ。とにかく、気が変わらないうちに今日はこれまでにして、今度先生に会いに来てあげてください」
「お、おう?」
「大丈夫なんですか、あんなこと言って」
「ええ。「もったいない」云々の話をしていた時にはもう起きて話を聞いてましたし…ちょっと痛い目みつつも、なんだかんだ先生のもとでチカラになってくれますよ。もちろん、あの人たちもそこそこ楽しんでいけますよ――
「???」
首をかしげる店員ちゃんの様子に「まぁそうなるよね」と苦笑いをしつつ、気持ちを切り替える。
未来に向けてのちょっとした
……これまでに何度か震えたケイタイからは、あえて意識をそらしておこう。どちらにせよ、明日は普通に仕事、お手伝いなので会うのだから、今日くらいは、ね。
目的地は『アビドス高等学校』。だが、念を入れて、まずは
―――――――――
「おおぅ…」
『
その
アレだろうか?
ついさっき、スケバン生徒の一人が言ってた「アビドス自治区内での『便利屋』と『ゲヘナ風紀委員会』との戦闘」ってヤツの痕跡なのか?思っていた以上に一般市民にも影響がありそうで、実際にその戦闘に巻き込まれた人たちのことを考えると、不安でならない…特に、生徒以外はそんな丈夫じゃないって聞くし。
「大丈夫かな、あの大将は」
「ん、大将ならこの前退院して、今は屋台でお店を再開してる」
「へぇ。元気そうでよかった……で、君は?」
声の聞こえた先――右手の方へと目を向けると、そこにいたのは犬耳のような耳を頭に生やした女子。
制服を着ていることからもわかるが、おそらくは生徒。目がいくのは先ほどまで乗っていたのか、手で押しているロードバイクだろう、だが――
「あー……これは、いってる場合じゃないな」
――オレには見える、未来の可能性に頭を抱えそうになった。
アンケート機能利用
期限:次の投稿まで
結果は、話の流れに影響があります
女先生は……?
-
クールで大人な雰囲気のOL系
-
生徒と距離が違いハキハキ系
-
責任はあるけど浮き沈みのあるダウナー系
-
男装が似合うスレンダーな塚系
-
テーマ「大人の責任」が迷子な合法少女
-
見た目完璧中身ポンコツ残念系
-
ホンゴウが既視感をおぼえる病弱系
-
空手をやってそうな肉体系
-
先生は『先生』