ボーダー隊員は帰郷を目指し 作:ボーダー技術開発室職員
ホンゴーさんに頼まれて、急いで降りて、走って、あのフネに向かいまして――その、そばの
というのも、ホンゴーさんのフネのそばに、
なんで『エンジニア部』があのフネのそばにいるのかは、なんとなく予想はできてます。
そもそも、フネが『エンジニア部』の部室のある区画の空いていたスペースに置かれていますし、加えて――
『北郷斗和が学区内で生徒襲撃および破壊活動が確認された。事態の収束のため、本人の拘束および拠点である飛行船をおさえるよう行動を』
『セミナー所属・黒崎コユキは飛行船の搭乗口の解除に向かうように』
――こんな感じのモノが、私にも送られているんですよね。
というか、この『セミナー』名義で送られてきたその指示に、私は首をかしげました。
いや、だって、ホンゴーさんが暴れ出したんじゃなくて、ネル先輩がケンカを売ったのが先でしたよね? それはまぁ、ホンゴーさんもガラスとか色々と壊してたっぽいですけど、それにしても……事実と違う内容な気がして、素直に従わなきゃいけないのかわかんないですよぉ。
でも、間違いなく『セミナー』名義での指示なんですよね。なので、私が指示を無視してしまったら、また怒られちゃいますよね? いや、上でホンゴーさんがユウカ先輩と電話してた感じからして、この指令はユウカ先輩が出したわけでもないですし、事情を説明してユウカ先輩から指令を取り消すなりして……できなくても、私は怒られないですよね?
「なら、まずはユウカ先輩にコンタクトを取って――」
――――
今、聞こえてきたかのように、思い出した言葉。
今は何もなくても、このまま私がココから離れている間に、エンジニア部が何かしてしまったら……もしも、無理やり穴開けたり壊したり、分解してしまったりしたら……
そう、私は何日か前にしたホンゴーさんとの会話を思い出し――――
―――――――――
「ホンゴーさーん、つねづね思ってたんですけど……」
壁に備え付けられた点いていないモニターと、壁と一体化してる机みたいなでっぱりを指さします。
「コレって、何ですか? パソコンにしてはゴツイですし、なにか色々と付いてますけど」
一番大きなモニター以外にもいくつか小さなモニターもありますし、それ以外にもプラグとかを繋ぐッぽい箇所やそれとは別に取り出し口みたいなものも下の方についてて……わかるようでわからないんですよね。
「まぁ、ほぼ同じですよ。多少普通のパソコンにはない機能が付属してますけど」
私が触れるよりも先に、歩いてきたホンゴーさんが何か操作をし――起動したのか、画面がぼんやり明るくなり、色々と映され始めました。
「遠征艇の制御やメンテナンス等の情報系でもアクセスできますし、鹵獲前からあった出撃や分解といった『トリオン兵』の関連の管理とかもできます。他には、普通に文字データや映像記録の作成・保存とかですね」
「映像? 今も何か観れますか!?」
「漂流中に日記代わりに毎日撮ってた分しかありませんよ」
ホンゴーさんの「観ても面白くないですよ」という言葉に、私は落胆して――ふと、これまでに聞いてた話と合わせて疑問をもちました。
「エネルギーに限りがあったのに、ですか?」
確か、ココに滞在してるのもエネルギー補給が目的でしたし……話では、ココに着陸するまではアテの無い旅状態だったって聞きますし、実際に、今、「漂流」なんていってましたし。
じゃあ、わざわざ映像撮るためにこういうの起動したりしていたら、余計なエネルギーを使っちゃって限りがあるはずなのにもったいないんじゃないですか?
「時間感覚がおかしくならないためのルーティーンという意味合いもありますが、最悪、自分自身が帰れなくても……なんとか、むこうに届けられるようなタイミングがあってか、あるいは誰かが届けられるようなことがあったとして、何もなかったら悪いから、むこうでも書いて残しておきましたけど、日記というか遺書的な物を撮ってこうかなと思いまして」
「へぇー……え?」
「あくまで自分の意志でやったことだとか、案外漂流中も楽しくやれてるとか、時間がある時に考えたトリオンを利用した新技術についてとか……。あっ、キヴォトスに着いてからも、毎日撮ってますよ」
「遺書」なんて中々聞かないし聞きたいとも思わない言葉や、『トリオン』とか聞いたことのない単語とその新技術についてなんて……なんていうか、その――
「それ、私が聞いてもいいヤツなんですか?」
「一部は詳しく教えられないけど、こうして言う分には問題ないですよ。それに……よくよく考えてみると、自分しか知らない状況だと
「……ホントに私でいいんですか?」
「黒崎さんだからいいんですよ。悪い人じゃあないってわかりましたから」
普段はいつもスンッとした顔をしてばかりの真面目そうなホンゴーさんが、私の目を見て笑いかけてきた。
「ついでに、観てみますか?」
「おもしろくないんですよね? それじゃあ観ませんよー」
ディスプレイをゆび指しながら言うホンゴーさんに、私も笑いながら返す。
そうして、そのまま
―――――――――
……あれ? 別に中に入れてしまってもいいのでは?
だって、アレのこと知ってる人がもっといた方が万が一には安全なような気がするし……ねぇ?
それじゃあ、こうして隠れてたのも意味なかったじゃないですか。
ついうっかり溜息を吐いてしまいながら物陰から出ていき、フネの方へと……
――――頼んだ
……あ、あの時、珍しく言葉遣いが違ってて。
怖かったりしたわけじゃありませんけど、なんというか、背がピンと伸びてしまったっていうか……雰囲気も違いましたからねぇ。
――――
「
――――よかった。ふたりに嵌められたってなったら……さすがにショックでしたから
……あー……
「不謹慎ではあるけれど、」
「でも、いいのかな……?」
「知らない技術があるのがわかってますし、ワクワクしますね!」
『エンジニア部』のみなさんの声が聞こえてきました。
けど、こう、頭の中がゴチャゴチャと、うにゃうにゃと……良いのか、悪いのか……ホンゴーさんは何をしたいのか……私がいい? ユウカ先輩じゃなくて? でも、私たちがはめてたら、ショックで……ホンゴーさんに頼まれちゃったし……ホンゴーさんのためには……?
「あぁ来たかい……コユキ?」
「ああぁもうっ! 意味がわかんないんですよぉ!?」
「「「えっ」」」
気づけば、さっきネル先輩に向けていたように
「そもそも、なんで私が開ける前提!? ピッとしてパッとで終わりじゃないですかぁ~!!」
――引き金を引いて、乱射した。
「 うわあああ~ぁああぁん!!」
―――――――――
「――といった感じで、暴れて、ボロボロに負けました……」
ホンゴーさんのフネの置かれている広いスペースの一角、私は正座をした状態でお話をしていました。
あの後、普通に『エンジニア部』の皆さんに制圧されて、縛り上げられたところにユウカ先輩が来て……そこでほぼ同時にホンゴーさんのほうでも決着が着いていて、ソッチはソッチで止めが入ったそうです。それからひとまとめにされて、誤解の解消&主要なひとたちにユウカ先輩からの簡単な事情徴収って流れの最中です。
「……うぅん。成長したと言っていいのか、変わってないのか……いや、葛藤してるだけでもマシなのかしら?」
「ユウカ先輩? ど、どうかしましたか?」
「別に、いろんな意味で泣けてきそうなだけよ」
なぜ?
でも、とりあえずこれで私への事情徴収は終わりみたいです。
なので、なんかスッキリとしてない様子のユウカ先輩は、少し離れたところにまとまって待機していた『エンジニア部』の方へと行ってしまいました。
はぁ……ようやく一息つけます。別に特別怒られたわけじゃないですけど、ユウカ先輩から放たれる圧がどうしてもねぇ。
気を抜いていると、ふと、視線を感じて……そっちの方へと目を向けました。
私より先に事情徴収が終わっていたらしいんですけど……その人たちが、何の用で?
なんというか、ものすごく何か言いたげな……でも、何も言ってこな――あ、ネル先輩が来たっ!?
「なぁ」
「は、はい!!??」
声を掛けられ、つい直立不動になってしまいます。
そんな私をどう思ったのか、なんか溜息をつかれましたが……そこにツッコむ前に、ネル先輩が話しかけてきます。
「一つ聞きてぇんだけど、アイツって本当に怪獣相手に戦ってたのか?」
「え? そりゃあまあ『ボーダー』ってそういう
疑問の意図に対して不思議に思いつつ、「そういえば」と変なところに気が付きました。
――――鹵獲前からあった出撃や分解といった『トリオン兵』の関連の管理とかもできます
出撃とか『トリオン兵』とか……何か戦うためのモノだってことはその言葉からもわかりますけど……あの感じからして、ホンゴーさんとか『ボーダー』の戦う人たちのことじゃないはずですよね? じゃあ他に戦うのって……?
それに、あのフネは鹵獲――つまりは奪ったものだって言ってました。それから改造も施したとは言ってましたけど、敵対していたのは『ネイバー』なんですからあのフネは元々『ネイバー』のモノってわけで……
人間と同じような大きさの怪獣がいる? それとも……?
「けど、対人戦慣れしてんだろ、アレは」
続けて聞こえた「どこまでウソなんだ?」っていう小さな呟きに、私は
あの、
―――――――――
デスクの椅子につきこちらをこちらに目をむけるのは、『ミレニアムサイエンススクール』で生徒会として学校運営を担っている『セミナー』の会長・
相対するは、ここ最近何かと話題になっている
そして、それとは別に、
「――つまり、戦闘ができるであろう自分に対して、その実力を図るためにあなたが『C&C』に依頼をした。そして、それによる騒ぎを聞きつけた他の方が通報したことであのような指令が出回ることになった――と」
「ええ。」
「つまんないウソつくね」
そう言い切ったホンゴウトワさんが「まぁ、今回はいいですけど」と、肩をすくめて見せてなんでもないかのように振舞います。
「で、どうでした?」
「……とても興味深い結果が得られたわ」
「そうですか、ならよかったです」
表情を変えることなく――といった様子に見えなくもないリオですが、その内心はなんとなくわかってしまいました。そう短い付き合いではありませんので。
「内容によっては断らせていただきますが、今後は荒事に関して何かあれば声をかけてください。色々と融通してもらっている身ですし、それぐらいはご協力をさせていただきますよ」
「こちらからは、「仮」ではありますけど『ミレニアムサイエンススクール』の在籍照明を出しましょう。これにより、早瀬ユウカを通さずとも金銭の受送、購買等の利用、申請を必要とする施設等の利用の許可が下りるわ」
今度はホンゴウトワさんのすました表情が崩れました。
驚き、訝しむ様子で眉が歪み……少し考える様子を見せます。
「それは、ありがたいですが……依頼以外にこちらが提供できるものはそうありませんよ?」
「ええ、そちらにも都合があるのはわかっているわ。でも、
リオの言葉に、ホンゴウトワはすぐには返事を返しませんでした。
そのふたりの静寂を、私とノアはただ黙って見つめます。
「……わかりました」
「お互い、『ミレニアムサイエンススクール』に理のある関係でいましょう」
そう、簡潔な言葉でふたりの会談は終わりました。
現状、会長は武力での優位性が危ぶまれています。
もちろん、生徒、ロボット含め全戦力を投入すればどうなるかは未確定……いえ、十中八九、消耗戦となればリオ率いる『ミレニアムサイエンススクール』が優勢でしょう。ですが、装備や情報の有無など様々な要因はありましたが、「約束された勝利の象徴」ともされるコールサイン『
そういった理由で、リオは強硬策での捕縛や排除は難しい状況となっています。
ホンゴウトワさんの方はもっとシンプルで、あの飛行船の修繕と補給のための滞在するにあたって、その安全面とライフラインの大半を『ミレニアムサイエンススクール』側に頼っています。
もちろん、飛行船ごと別のところへ逃亡し生活を新たに立て直す選択肢もあるでしょう。ですが、彼にとってこの学園の自治区の外は未知の領域。実際のところ、治安に関してはもっと悪いところもありますし……それ以上に、その自治区の管理者がどこまで未介入でいてくれるかはわかりません。もっと友好的な人たちがいる可能性もありますが、それを当てにするのは難しいでしょう。なら、わざわざ自分から『ミレニアムサイエンススクール』を出て行くというのは万が一でしかありえないですね。
それと……あとは、単純に人がいいといいますか、脇が甘いと言いますか……懐に入りやすそうなことに加え一度入ってしまえば警戒心がかなり薄れる点、情に流されやすそうな点――具体的には、
そして、
お互い、思い通りにはいかなかったものの想定の範囲内での落としどころがあって……これ以上のコトはお互いに触れず、探りつつ、自分側にとって優位に立てるタイミングを見計らって仕掛け合うことになるでしょうか? そして、私は……彼に興味はありますけども、どうしましょう?
そんなことを考えながら、ノアに連れられて出て行くホンゴウトワさんを、いつも通り電動車椅子で追いかけました。
会長室を後にした後、その廊下ですぐに彼はついてきていた私に気付き、振り返りました。
「ええっと、確か、あなたは……?」
「リオ会長と多少縁があってというのもありますが、今回は個人的に貴方に興味があり同席させていただきました」
私の
「ドローン越しの通信で止めただけですよ。改めまして、超天才清楚系病弱美少女ハッカーの
「ウソじゃない……だと!?」
今の発言といい、先ほどのリオとの会話といい、
だめもとでストレートに尋ねたところ「なんとなくわかる」とお答え頂けました。具体的には「言葉と一緒に口から黒い
とても興味深く……これからが楽しみですね♪
○
容姿:黒髪のスポーツ刈りの少年。少し目つきが鋭くなって背が縮んだ黒髪の柿崎さん…なイメージ。別に血縁とかではない。
入隊経緯:トリオン能力の高さから地方でスカウトされた。本人も年甲斐もなくヒーローものへのあこがれ意識があったため、快く承諾し入隊。本来は入隊後少ししてから支部への転属が予定されていたが、入隊式に偶然別件で近くを迅さんが通ったため
次回、ワチャワチャしながら前回使ったトリガー等の説明、今作での扱いについての説明回になる予定。
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期限:次の投稿まで
結果は、話の流れに影響があります。
アビドスでメインで関わるキャラ(学年順表記)
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奥空アカネ
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黒見セリカ
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十六夜ノノミ
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砂狼シロコ
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小鳥遊ホシノ
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EX(エクストラ)