ボーダー隊員は帰郷を目指し 作:ボーダー技術開発室職員
日が傾きだした、いわゆる「放課後」といわれる時間帯に、本日の仕事を終えていたオレは
そして……
「このサイズの的を700m離れていても命中させられるのか」
約束の相手だった
「はい、この距離で動いてないなら大抵当てられますよ。けど……」
割れた的、その損傷が最も激しい
けっこうズレている。具体的な数値で言えば、中心から13cm程度向かって右上に。
『狙撃手』から転向して『万能手』になっていたとはいえ、狙撃の腕にはそこそこ自身があった。少なくとも『キヴォトス』に来る前の……独りになる前のオレならこの程度の距離なら誤差5cm以内はかたいだろう。
「十分な腕前だと思う」
「そう、ですかね」
「ああ」
「それに、キミの強みは身軽さにあると私は思う。その機動力を活かした戦術はこの訓練では測れないよね?」
「それは、まあ。確かに、自分、いわゆる
なお、残り5割のうち2は当たらない、3はシールド等で防御されるである。
それに正確には「調子がいい時」ではなく「『
「それなら、わざわざ狙撃銃じゃなくて、普通にハンドガンとか別の銃器か何かで戦えばいいんじゃないですか?」
「だろうな。特に
狙撃場所のすぐ後ろから聞こえてきた声
その主は、普段からオレと一緒に行動することの多いコユキさんと、
もっとも、一緒に狙撃するというわけではなく、コユキさんとの時間つぶしのためたまたま持ち歩いていた小型の
そのコユキさんと
でも、かといって何も言いたいことが無いわけでもない。例えば、
と、いうわけで……ちょいと振り返って
「まず「
「そのあたりに関しては、
もっとも、あの時は事前情報ほぼ無しの状態で『グラスホッパー』での高速跳躍移動・実弾ではない曲がる射撃『
まぁ、それはそれとして、だ。
「だから、狙撃手は近づかれないように立ち回る……例えば、「そもそも居場所がバレないようにする」、「音や射線から悟られてもいいよう射撃後は移動する」といった具合にですね。もし近づかれたらほぼ負けですから――――と、その前提を認識して近寄ってきた相手を狩れるのが、
「ホンゴーさん、そんな上手くいくものなんですか?」
「大抵は。とはいっても「接近戦ができる」とわかってて近づいてくる相手の場合は生き残ることを最優先で動きます――今のオレのように孤軍奮闘必至の立場だと、ただ逃げるだけじゃどうしようもないけども」
実際のところ、よっぽど機動力に差があったりして逃げ切れる自信が無い限り、接近されての逃げはあくまで時間稼ぎにしかならない。で、戦いにおいて時間稼ぎをする意味は、「味方が来る可能性がある」又は「味方が有利な状況を長引かせる」といった状況が主だろう――つまり、味方がいてこそであり、今のオレのような味方がいない状態じゃあ、なぁ?
「――よし!」
と、何を思ったのか、声と共に勢いよく立ち上がった
「今、狙撃用の装備ってヤツになってるんだろ?だったら、今から実際にやってみようぜ!」
「えっ」
「んだよ?接近戦もできるんだろ?あーだこーだ説明するより、実際に遠距離も接近もできるところ見せてみたらいいじゃねぇか」
なるほど……言いたいことはわからなくもない。
それにしても、
戦えるかどうかで言えば、
ついでに言うと、一番安定するのは『
そもそも、いちおうオレが勝てた初戦に加え、この前の演習場での手合わせからわかったが……正直に言って
初戦で勝てたり、演習でもそこそこやれていたのはあくまで『トリガー』に慣れていないから。そのため、どのポジションでのトリガー構成であったとしても、「初見殺し」のようなトリガーそのものや戦術を用意することができる間はかなりの確率で勝てるだろう。
逆に、オレとしては
そういう意味では、今日の『
「しませんよ。先約があります」
「ですよね」と
「ええ……というわけだから、ごめんね、リーダー」
「っちぇ。続きやんぞ」
「はーい」
こちらもこちらで、今度は的を動かしての狙撃演習を行おうかとその内容について
――――演習場一帯の照明が落ちた。
「停電……?」
まぁ、まだ日が暮れるまで猶予がある時間であるため、照明が消えたところで
と、そんなことを考えているうちに照明が点灯した。復旧したのだろう。
オレの感覚的にはどことなく近未来的な雰囲気を感じる『ミレニアムサイエンススクール』だが、その印象通りというかやはりこういう面でもハイテクっていうか、万全の状態でフォローが効くようになっていたりとかするのだろう。
って、感心してたら
……こ、こんどこそ大丈夫……か?
雷が落ちたときなんかは、一瞬パチパチッって点滅してから消えるとか聞いたことはあるけど、今のはそれにしては間隔が長かったような気がしなくもない。むしろ、誰かのイタズラで照明のスイッチをいじられたと言われた方が納得するくらいだ。
そこまで考えて、ふと脳裏によぎったのはオレが使わせてもらっているケイタイを遠隔で乗っ取っていた
けど、このタイミングでこんなことをする意味は無いと思うんだが……なら、なんなんだろう?
「これって普通、じゃないですね……?」
「そうですかぁ?」
真っ先に反応を返したのはコユキさんで、そこまで気になっていない様子だ。
「いや、確かにおかしいな」
そう肯定したのは
「可能性としては、エンジニア部とかそのあたりが瞬間的に大量の電力を消費したとか……爆発音は聞こえてこなかったし」
まるで過去に似たような事例があったかのような物言いになんとなく察してしまった。
あと、他の可能性についての判断基準は
ともかく、だ。
さっきあんなことを言った後で
「少し気になりますし……とりあえず、
「ええ。まずはそれでいいと思う」
―――――――――
「私の方にもすでに報告は来ているわ。異常の原因を詳しく調べるために人員を手配したわ」
まだ、することがあって残っていたのか、あるいはさっきの一件があって戻ってきたのか……とにかく、
「原因がわかってないんですか?」
「実際に運用するにあたって、大体のリスクは想定されてるのよ」
オレの問いに帰ってきたのは、少しズレたものだった――が、言いたいことはわかる。
そもそも、どんな物でもシステムでも実際に取り入れる前に考えられるトラブルをあらかじめ予測し、そのトラブルへの対策・対応を決めておくものだろう。そうやってリスクマネジメントを行っておく、あるいは利益よりリスクの方が高いとして取り止めるなんて選択をするわけだ。
この様子からして、今回は――
「けど、今回の状況では
――想定外、だったと。
なんでも、今回の停電はシステム面での問題による一時的なものだったそうなのだが、プログラムに問題があったわけでも外部からの攻撃等の干渉があったわけでもないそうで……
「だから、人員を割いて詳しくと……
「ええ、ありがとう」
「とりあえず、今のところは大丈夫よ」とのことなので、とりあえず今日はこれで解散という流れになった。
けど、本当になんとなく……なんとなくなのだが、『大規模侵攻』当日の朝の時のような嫌な予感がぬぐい切れなかった。
次回、本編プロローグ開始…ごろのお話の予定。
○美甘ネルの強さ
単純な強さで言えば、相手にもよるが『ボーダー』ソロランク上位勢の多くといい勝負ができる。侵攻で登場した『近界民』相手だと厳しくなる。『ブラックトリガー』に対しては勝ち目がまず無い。
ただし、今作では「神秘持ちの攻撃がトリオン体に通る」という独自設定があるため、耐久力を考慮すると『鉛弾』などの行動不能にする方法がないとネル先輩がやや優勢かもしれない。
ホンゴウトワは手札が割れてしまえば、構成しだいではあるもののトワ本人の想定以上の8:2くらいでネル先輩が勝つ。
アンケート機能利用
期限:次の投稿まで
結果は、話の流れに影響があります。
例:戦闘の流れや勝敗、出回る情報、関わる人物など…
※以下参考情報※
○攻撃手
●メイン
・弧月
・+(旋空)
・シールド
・《FREE TRIGGER》
●サブ
・スコーピオン
・+(カメレオン)
・シールド
・+(グラスホッパー)
○銃手
●メイン
・アステロイド(
・メテオラ(AR)
・シールド
・《FREE TRIGGER》
●サブ
・レイガスト
・ハウンド(
・シールド
・+(バックワーム)
○射手
●メイン
・バイパー
・アステロイド
・シールド
・メテオラ
●サブ
・ハウンド
・アステロイド
・シールド
・+(グラスホッパー)
○狙撃手
●メイン
・アイビス
・イーグレット
・シールド
・+(グラスホッパー)
●サブ
・ライトニング
・エスクード
・シールド
・+(バックワーム)
○万能手
●メイン
・スコーピオン
・アステロイド(
・シールド
・バイーパー
●サブ
・レイガスト
・+(スラスター)
・シールド
・+(グラスホッパー)
プロローグ~アビドスあたりで使用される予定のトリガー構成
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攻撃手(アタッカー)
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銃手(ガンナー)
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射手(シューター)
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狙撃手(スナイパー)
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万能手(オールラウンダー)