夢を見ていた。
「家族麻雀なんか大っ嫌い。私が知ってる麻雀で一番つまらない!」
十才の宮永咲は泣きながら叫んだ。
何をやっても認められず、否定されることにとうとう我慢の限界を迎えたのだ。
今の照ならわかる。プラマイ0は咲からのSOSだったことが。いじめられっ子が出す、サインのようなものであったのだ。
残念ながら、当時の照と両親はそれに気づいてあげられなかった。
親戚も集まってやる麻雀でも咲の打ち方は否定された。
否定される理由、それは嶺上開花にあった。咲がカンをすれば嶺上開花が発動する。照も何度かは阻止できたが、やはり滅多に出ないはずの役が頻繁に出るのは、言うまでもなく異常な出来事だ。それを大人が見たらイカサマだ、おかしい、と騒ぐのは必然だったのかもしれない。
咲が家族麻雀を嫌いになるのは、まあ当然の話か。
叫んだ日から咲は家族麻雀をしなくなり、中学生になるとインターミドルチャンピオンの座を一年生でありながら獲得し、その勢いのままにと東京の白糸台中学校へと転校した。全寮制もあって、それとは別に家族と仲がよろしくなかった咲は一人で行ってしまった。
それから咲はインターミドルチャンピオンの座を独占した。活躍をテレビで見ることはできても、現地へ駆けつけることのできない照には苦しいものがあった。
家族麻雀で散々傷つけておいて優勝おめでとうとは言えない。この事については両親も同様であり、咲に嫌われ憎まれるのは自業自得と受け入れて関係の修復を諦めてしまっている。
たった一人の妹を傷つけておきながら、それでも麻雀が大好きと打ち続けていることに嫌悪感を抱くことがある。本当に自分には麻雀を打つ資格があるのか疑う時もあるが、やめてしまったら咲と仲直りする道が完全に途絶えてしまうのでやめるわけにはいかなかった。
せめてと、照は強くなった所を見てほしくてインターハイチャンピオンとなった。咲から何かを言われることはなく、休みで帰ってきても咲は家族を無視する。
憎しみはそこまで根深いのかと、一度は諦めかけた照であったが、立ち直るきっかけ、そして仲直りへの道ができたことで再び道を歩く。
そうしたのは咲が置いていった栞を挟んだ本だ。開くとありきたりながらも「私に勝ったら許す」という台詞があった。どんな思いで咲が言葉にしないで、これを残したのかは不明だが、やるしかなかった。
「私は今度こそ勝つんだ」
弱かった宮永照はいない。インターハイチャンピオンとして高校生の頂点に立ち、妹に勝つために麻雀を打つ宮永照がここにいる。
こんな感じですかね?正直二次創作は初めてなんで、難しいものがあります。新鮮で楽しいですけど。