インフィニット・ストラトス ~緑翠の人魚姫~   作:夏梅ゆゆゆ

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やっと機体が登場。
原作が遠いお………


新天地 新たなる日々

「────ぐっ、がっ、くそっ!」

「どうした一夏!お前の覚悟はそんなものなのか!」

 

ドイツ軍内、練兵場。

そこで、一夏と千冬はお互いに模擬刀を持ち、切り結んでいた。

 

「ま、だまだぁぁぁぁ!!」

「いいぞ、その意気だ!」

 

何故、この二人がこうして切り結んでいるのか……………その発端は、一夏のとある言葉が関係していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────二人が模擬戦をする数日前。

急なドイツへの引っ越し────といっても一年間限定という契約だが────から一ヶ月がたったころのことだ。

一夏は、日本に残してきた友人達にメールを送りつつ、やっと慣れてきたドイツの生活に一息ついていた。

 

「………にしても、本当に急な話だったなぁ………」

 

いつも千冬の即断即決、といった性格に付き合わされている一夏だが、今回のことは流石に即決すぎるだろう、と思う一夏であった。

友人達………鈴や弾、数馬といったいつもの面々や、ほかの知り合い───数回しか会ったことのない弾の妹までもが、こんな急な引っ越しに困惑しながらも一夏との別れを惜しんでくれたのだ。

正直、ホームシックのようなものも感じずにはいられなかったが、それよりも新生活にあたってのあれこれや、留学扱いとなる通信制学校の手続きなど、息をつく間もないような日々だったのでそこまでのものは感じずに済んだ。

それより、今の当面の考え事は─────

 

「………エメラダも、専属パイロットとやらになっちゃうし………」

 

─────エメラダのことであった。

そう、千冬の期限付き軍属とは別に、エメラダも専属パイロット所属───しかも、あの(・・)社長がいるシェバト社の専属になる、といった重大な出来事があったのだ。

その関係で今もエメラダはシェバト社でデータ収集の最中である…………一夏は、そのことに一抹の焦燥感を感じていた。

 

「(エメラダ…………)」

 

────彼女を……エメラダを、守る。

そう心に決めた一夏であったが、具体的な方法はまだ思い浮かんでいなかった。そんな状況の中、エメラダがこんなことになってしまい、どこか、彼女が遠いところに行ってしまうかのような感覚を覚えて、焦りを感じていたのだ。

 

「こんなんじゃ………いつまでたっても、変われない、よな」

 

そして、一夏は真剣に、一心に守れる強さを得るための方法を模索する……………そして、一夏は一つの答えを見出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(その答えが…………これとは、な)」

 

千冬は一夏の剣を捌きながら、内心で苦笑する。

『俺を、強くしてくれ!』…………千冬が軍の教導から帰ったその日、一夏はそう、千冬に言った。

所詮は中学生の浅知恵……結局は、純粋な形での『力』を望んだのだ。

しかし、千冬はそのことについてとやかく言うつもりはない………むしろ、その『力』を欲する理由に弟の成長を感じ、心の中で歓喜したほどだった。

 

「(まさか、お前がこの年で『守りたい』などと言うとは思わなかった………)」

 

そう、弟が求めたのは『守るための力』。

それについて、千冬が弟にしてやれることはほとんどない。それはどんな形であれ、自分で身に着け、鍛えなければならないものだからだ。

だが、ほんの少しでも弟の力になれるように────千冬は剣を振るう。

 

「(────取りあえずは、誘拐犯などに負けないようにする程度には鍛え上げてやろうかっ!)」

 

………『力』は所詮、それを振るうものによって善にも悪にもなる。

ただ、千冬は弟がその『力』で道を間違えないことを既に知っている………故に、一夏が望む、純粋な『力』を与えるために剣を振るい続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───そんな、弟が姉から熱血指導を受けているころ。

シェバト社にある研究室の一室で、エメラダは以前とは少し形を変えたペンダント────一度、彼女の体内に取り込まれ、ISの解除と共に再度現れたそれ(・・)を眼鏡をかけた男性に手渡していた。

 

「……………やはり、このペンダントはIS───正確に言えば、その待機形態にあるものとなっているね」

「待機、形態?」

「ああ、IS………特に、誰か個人に最適化されたものは携帯できるサイズの物に小型化できるようになるんだ。その状態を待機形態と言うんだけど……まあ所謂、専用機持ちの特権ってところかな」

 

男────エメラダの書類上の親族でもある、二コラ・バルタザールはそう言うとペンダントを後ろのスタッフに渡し、エメラダに向き直る。

 

「取りあえず、ISの簡単な検査結果が出るまで少しかかるから、紅茶でも入れるよ」

「え?………うん……じゃなかった、ハイ」

「ははは、余り硬くならなくてもいいよ?書類上とはいえ、私は君の父親なんだから、ね」

「ハイ……じゃなかった、うん」

 

そのエメラダの言葉に柔和な笑みを浮かべると、二コラは備え付けの紙コップにインスタントの紅茶を淹れ始める。

 

「本当はこんな状況でじゃなく、もっと普通に君とは挨拶したかったんだけど………慌ただしくして、ごめんね?」

「ううん、仕方ないから…………気にしてない」

「そうかい?そう言ってくれると助かるよ」

 

実際、このISの検査へたどり着くまでに入念な身体検査がかなりの量あったので、ここまでISの検査が遅れてしまったのだ。

体には別状はなかったが、それでも状況が状況なため仕方がないといえば仕方がないにしろ、ここまでやらなくて良いのでは?、と畑違いの二コラに思わせるほどのものであったのだ…………それを嫌な顔もせずに受けきったこの少女に、二コラは素直な賞賛を抱いていた。

 

「よし、出来た……どうぞ」

「ん、ありがとう」

「加減はどうかな?」

「…………うん、温かくて美味しい」

「はは、それは良かった」

 

そんな風に、和やかに親子(仮)がティータイムを楽しんでいると、一人の研究員が室内に入ってきて、二コラに書類を渡す。

 

「────部長、検査結果が出ました」

「うん?………うん、了解した。すぐに向かうよ」

「………?」

「ああ、エメラダさんも来てくれるかな?道中で検査結果を説明してあげるよ」

「ん、分かった………あと、さんはいらない」

「………うん、了解。その代わり、私のことも気楽に呼んでね?」

「分かった……二コラさん」

「じゃ、いこっか……エメラダ?」

 

そう言って、研究員に先導されつつ二人は歩き始める。

 

「じゃあ、早速説明するね………機体名称は、クレスケンス。珍しい全身装甲(フルスキン)型のISらしいね」

「珍しいの?」

「うん、私の知る限りだと数種しかないかな………他には、頭部に翼型の武装が付いてたり………エーテル機関?っていう独自のシステムが搭載されているね………っていうかこれ、出力とかも含めると余裕で第三世代型ISだなぁ………」

「………第三世代?」

「ああ、ISは幾つかの世代で目指した用途ごとに分けられているんだ………これは今、試験段階中の特殊兵装実装を目指した第三世代に相当するって訳だね」

「へぇ………」

「他にも色々あるけど、兎に角、自分で動かしてみるのが一番早いかな?………っと着いたみたいだね」

 

そう言って、たどり着いた場所は─────整備場だった。

多数のISがラックに並ぶ中、一つ、異彩を放つ物がある。

 

 

「これが…………クレスケンス…………」

 

 

そこには、以前自分達を救った、機械天使が居た…………

 

 

 

 

 




設定メモ書き

・二コラ
原作では、シェバトでも屈指の技術力を持った科学者。
本作でもそれは変わらないが、外見や性格については原作でもよく分からないままなため、捏造である。
なお、一人の娘を持つパパであり、エメラダの書類上の親となった人物でもある。やったねニコちゃん、娘が増えるよ!



クレスケンスについては次回。
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