インフィニット・ストラトス ~緑翠の人魚姫~ 作:夏梅ゆゆゆ
メモ書き
・ブースター
原作中の基本にして最強機能。
燃料を急速に失っていく代わりに行動速度を跳ね上げてくれる。正にト〇ンザム状態。
本作ではエーテル機関の駆動域全部にシールドエネルギーのすべてを直結し、無理矢理に機体性能を上げている。
原作ではすべての機体にこの機能が備わっているが、本作で現状配備済みなのはあんまりエーテルを使わないから機関のキャパがスッカスカなヴェルトールのみ。
とあるISの発着場……そこに、傷ついた機体を伴った四人のIS乗りが降り立った。
「おう、速かったじゃねぇか!」
その四人の元へ、皮肉気な笑みを浮かべたどこか肉食獣を思わせる風体の女性が歩み寄ってくる。
「……ええ、任務が失敗したおかげでこんなに早くなってしまったわ」
その言葉に四人のうちの一人……ワンドナイトから降りてきた目を固く閉ざした蒼髪の女性が、その見えないはずの目で皮肉気な女性を見据える。
「チッ……ケルビナ、てめぇは相手にしててつまんねぇな……相変わらず」
「そう? ごめんなさいね、オータム。 性分なの」
そう返された女性……オータムは興味なさげな顔をした後、後ろに続いてきた四人のうちのソードナイトから降りてきた一人に目を付けると、口角を釣り上げながら体を揺らして近づいていく。
「おやおや! これはこれはドミニアちゃんじゃありませんかぁ!?」
「…………」
ドミニアと呼ばれた白髪の女性は、オータムの言葉に無言で返す。
「新入りのくせにぃ? 仕事貰っておいてぇ? 挙句に失敗ですかぁ? 爆笑もんだなぁおい!」
「…………」
「ケッ、てめぇらみたいな役立たずが居る場所はここにはねぇんだよ……ああ、もっと役に立たないごくつぶしが居たっけな!」
「……っ!」
ドミニアはオータムの言葉に反応し、胸倉を掴み上げる。
「……おいおい、そんなに怒るなよ。ただの事実だろ? 役立たずの閣下サマっていうのはよ!」
「貴様ッ……!!」
「───そこまでよ、二人とも」
発着場にハイヒールの靴音が響き渡る。
そうして、その場に現れたのは絶世の美女と呼んでも差支えのないような金髪の女性だった。
「ドミニア、その手を放しなさい」
「…………」
「聞こえなかった? これは命令よ」
「…………チッ」
ドミニアが胸倉を放す。
その衝撃でたたらを踏みながらも、絶えずに嘲笑の色を浮かべるオータムは現れた女性に先ほどの嘲笑うかのような声音を一変させ、甘えるような声色で話しかける。
「スコール! もう戻ってたのか!」
「ええ、寂しい思いをさせてしまったかしら?」
「そんなこと……」
「ふふ……でも、あんまり寂しかったからって彼女たちに噛み付いては駄目よ? 彼女たちも私達の同士なのだから」
「……わかったよ」
「うん、良い子ね」
不満げに口を尖らせながらも、不承不承といった風に了承するオータム。
それを見ていた他の面々のうち二人……銀髪をツインテールにした、カップナイトに乗っていた女性、トロネ。それと桃色の長い髪を持ち、シールドナイトに乗っていた女性、セラフィータ。
先ほどから会話に参加していなかった彼女たちはひそひそと声を抑えて話す。
「……ねえねえ、トロネちゃん」
「……んだよ、セラフィータ」
「セラフィー知ってるよ、あれってショーニセイアイってやつだよね!」
「ちげぇよ! なんだそのロリコンまっしぐらな名称!? 同性愛だ同性愛っ!」
「あはは、そうとも言うよねっ!」
「そうとしか言わねえよ!?」
「……てめぇらさっきからウルセェぞ!! こっちに聞こえてんだよゴラァッ!!?」
「やっべバレたっ!」
「にっげろぉー!」
「あらあら、顔を真っ赤にしちゃって……可愛いわ」
「……ちょっかい掛けたあの二人が悪いのは分かってるけど、もう少し人目を憚っていちゃついてくださらないかしら?」
「あら、それは無理な相談ね」
「……一応聞くわ、どうして?」
「ジャパンにはこういった諺があると聞いたことがあるわ────」
ケルビナへと振り向いたスコールは、どこか誇らしげな顔をして言い放つ。
「───可愛いは、正義」
「……………………はぁ」
額を抑えて深くため息をつくケルビナ……そんなところで、ドミニアが居ないことに気付く。
「……またあの子は」
「あら、どこにいくのかしら?」
「ちょっと子守のお仕事よ」
そう言い放ち、ケルビナは発着場を後にする。
「……彼女も大変ね」
「───てめぇらいい加減に、捕まりやがれッ!!」
「わわ!? IS使うのは卑怯だよぉ~!」
「うおっ、アブね!? 今俺の髪に掠ったぞおいッ!?」
「当ててんだよぉ!!!!」
「よ~し、こうなったらセラフィーもIS使っちゃうぞ~!!」
「マジでてめぇらふざけんなよッ!?」
「……私も、いい加減にこれをどうにかしないとね」
スコールは深いため息を吐いた。
▼
「……ここに居たのね、探したわよ?」
とある町の展望広場……そこに居たドミニアは、同僚の声に気付きつつもそちらへ顔を向けず、声だけで返答する。
「何の用だ」
「別に? ただ、少し貴女と話そうかと思って」
「……好きにしろ」
その言葉を最後に、しばしの静寂が二人の間に流れる。
その静寂の中、ドミニアは無心にその広場から見える町を見下ろす。彼女は、この町に滞在している期間のみだが、ここから見えるこの景色を割と気に入っていた。
景色を眺め続けること十数秒……静寂を破ったのは、ケルビナだった。
「貴女、後悔している?」
「……何のことだ」
「この組織に入ったことよ……あの人の意思を除けば、ここに入るメリットよりもデメリットの方が大きかったと思うのだけれど」
「…………」
「あの人の傍に居ることなら、ここ以外でも出来たはずだったのよ」
「……それ、でも」
ドミニアは少し俯きつつ、掠れた声で答える。
「それでも、私は閣下の決定に従いたい……それが、全てだ」
「そう……まあ、私達は貴女に着いて行くだけよ」
「……何故、そうまでして私に関わろうとする?」
「そうね……半分は貴女と同じ、閣下の為かしら」
「もう半分は?」
「貴女よ貴女……見ていて危なっかしいんだから、私達が着いて無いとどんな無茶をしでかすかわかったもんじゃない」
「…………」
その言葉に、少なからず驚きを覚えた。
彼女……ケルビナとは以前からチームで動いていたが、こんな風に自分を気に掛けるような性格じゃないと思っていたからだ。
「なんですか、その顔は? 確かに、鬼ごっこしていた二人はあまり頼りにならないかもしれないけど……」
「ああ、いや……そういうわけじゃないんだが……」
若干しどろもどろになりつつも、どこか照れくさいような気がして、顔を背けつつも頬を掻く。
「その……ありがとう、な」
「……ふふ、ほら戻りますよ? 帰ったらあの勝負の反省会やらなくちゃいけないんだから」
その目が閉ざされたままの顔に柔らかい笑みを浮かべつつ、ケルビナはドミニアの手を引いて歩き始める。
「ふっ、次は負けんさ」
「はいはい、言ってなさい」
軽口をたたき合いながら、帰路に就く二人。
そんな二人の頭上にはいつの間にか、空には夕闇が広がっていた。
一番星を、携えて。
メモ書き
・ドミニア
白髪のロングヘアー、若干褐色の肌を持った軍人気質な女性。
とある人物に忠誠と敬愛、思慕を捧げている。
他の三人の仲間たちとは以前からの同僚。
四人の中でもリーダーシップに秀でる。
・ケルビナ
蒼髪のショートカット。常に眼を閉じているが、何かしら特殊な眼を持っているらしく、日常生活から戦闘まで何の問題もない。
四人の中の参謀ポジション。
・トロネ
銀髪ツインテール。一人称は俺。
若干天然が入っているが、頭は良い。しかし、セラフィータのせいでよくツッコミに回る。
四人の中の切り込み隊長役。
・セラフィータ
桃髪の長髪。巨乳。
実力はあるが、天然。超ド級の天然。別名アホの子。
実は四人の中のリーダーだったりする。(リーダーシップがあるとは言ってない)
四人の説明が控えめなのはネタバレ防止のため。
原作でズッコケ四人組だった彼女たちを出すのもこの作品のもう一つの目的だったりします。
……原作のセラフィータとトロネのやり取りを考えた人は天才。