インフィニット・ストラトス ~緑翠の人魚姫~   作:夏梅ゆゆゆ

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最近忙しくて投稿できないですね……

というわけで数日遅れのイベント番外でお茶を濁します(白目)


番外 ハロウィンと悪戯と

「トリック・オア・トリート」

「……ええっと、エメラダ?」

「ん、トリック・オア・トリート」

 

10月31日……世間一般ではハロウィンと飛ばれるイベントが行われる日付。

そんな日に一夏は学内の食堂でエメラダから詰め寄られていた。

 

「確か、今日ってハロウィンだったか?」

「そう。こう言えばお菓子が貰えるってホンネから教わった」

「のほほんさんがこれの元凶か……」

 

一夏は苦笑いを浮かべる……というのも、織斑家ではハロウィンという催しはこれまで余り関わりの無いものだったのだ。姉は言うまでもなく、一夏とエメラダも興味を持ってはいなかった。

しかし、ここはIS学園。各国のIS操縦者たちが集まる学校であり、その生徒の中にはハロウィンが日本のようにマイナーな行事ではない国からの留学生も多くいる。故に、ハロウィンという行事がエメラダへと影響を及ぼすのも仕方の無いことなのだろう。

……元凶は生粋の日本人だったようだが。

 

「と、言ってもな……お菓子なんて用意してないぞ?」

 

一夏は参った、といった風に眉根を寄せる。

幸いにしてここは食堂だし、なんならここで甘味でも奢れば……

 

「ん、わかった。なら、イタズラする」

「……へ?」

 

……そんな思考の最中に、とんでもないことを言われた。

 

「って、悪戯? 何を……」

「…………」

 

エメラダは立ち上がり、一夏のすぐ隣まで移動する。

 

「おい、エメラ───」

「……ふぅっ」

「───ひぇあっ!?」

 

エメラダは一夏の耳元へ息を吹きかける。

こそばゆさとエメラダの顔が近くにある気恥ずかしさで顔を真っ赤にした一夏は奇妙な悲鳴を上げてしまう。

 

「な、何を……」

「ふふっ、お菓子くれるまでイタズラするから」

「おい、ちょっと待っ───」

 

一夏の言葉を振り切り、エメラダはそそくさと食堂を後にする……後には、耳を押さえて顔を赤くする一夏だけが残った。

 

「何なんだ、一体……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、今度はどうしたんだよその服」

「ホンネから借りた」

「のほほんさん……」

 

だぼだぼ服の少女が横チェキを決める幻影が脳内によぎった一夏の眼前に居るエメラダは、黒猫の仮装をしていた。

一夏が食堂から寮に戻るなり、この服装で出迎えられたのだ。なんとも頭が痛くなった一夏はこめかみを押さえる。

 

「トリック・オア・トリート……にゃん」

「なんだその取って付けた様な語尾……」

「ホンネが……」

「のほほんさぁん……」

 

あのだぼだぼ少女は幾つエメラダに変な知識を埋め込んでくれたのであろうか……ただ、少し語尾に顔が赤くなってしまったのは不覚である。

 

「……お菓子が無いなら、イタズラを───」

「わぁ!? 待った待ったっ! 有るから、ほらっ!」

「───ん、よろしい」

 

エメラダは一夏が先ほど売店で買ってきたお菓子の詰め合わせを受け取ると、満足そうな顔でそれの開封にかかる。

その姿に、振り回された自覚のある一夏は多少の苛立ちを覚え───何かを思いついたかのように、笑みを浮かべた。

 

「なあ、エメラダ」

「……ん、何?」

「俺はお菓子を渡したわけだし、そっちも当然……お菓子は有るんだろうな?」

「……へ?」

「トリック・オア・トリート、だ」

「ちょ、ちょっと待って……そんな用意なんてしてな……」

「……なるほどなるほど、トリックの方をお望みか」

「い、イチカ……?」

 

ずりずりと、後ろへ下がるエメラダ。

じりじりと、エメラダへにじり寄る一夏。

 

「───さあ、イタズラの時間だ」

 

「───ひ、ひゃぁぁ!? あは、あはははははひゃっ!? ちょ、くすぐ、くすぐらないでぇ!?!? ひゃん、わきはだめぇっ!?」

 

さあお仕置きだと言わんばかりにくすぐりの刑をエメラダに執行する一夏。エメラダはどうにか一夏の魔の手から逃れようとするが、一夏はその体でがっしりとエメラダを押さえ込んでおり、身をよじる程度の抵抗しかできない。

ナノマシンを使えばその限りではないのだが、いかんせんナノマシンを操るような思考能力は今のエメラダに無い。現実は非情である。

 

「ひゃめ、ひゃめてぇ、いち、いちかぁぁぁ!?」

「ふぅ、このくらいにしておいてやるか……っ!?」

 

くすぐりに熱中していた一夏の頭も冷え、エメラダを解放する……そこには、涙で濡れ、上気した頬で荒い息を繰り返し、服がはだけて危ないところまで見えそうになっている彼女の姿があった。

 

「はぁ、はぁ……」

「ぅ、あっと、その……」

「……イチカの、ばか」

「……ゴメンナサイ、調子に乗りすぎました」

 

その後、追加でお菓子がエメラダに渡ったのは言うまでもない。

 

 

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