呪いの世界でも がんばれ!チェンソーマン! 作:あきめんmyk
横にしていた体を起こし、体を伸ばす。久しぶりに布団のないぼこぼこの地面で寝たからか体の節々が痛む。
「って、何でこんなとこで寝てんだ俺?」
「うわっ!しかも制服のまま寝ちまってた、ちくしょーまた洗濯が大変になんじゃねーか」
汚れた制服の節々を軽く払い、辺りを見渡す。
「早く帰って飯作らねーと行けないのに、どこだここ。」
「なーんか嫌な予感がすっけどよー、まーあなんとかなるか!」
この場に何か嫌な雰囲気を感じつつも、歩き始めるのだった。
「なー伏黒、今回の任務の場所はここであってんだよな?」
「そのはずだ。」
今回の依頼は俺と虎杖の2人で行う。依頼の場所は人が続々と姿を消していると噂のある村である。人が姿を消しているのは呪霊の仕業である可能性が高いため、調査し、払うのが今回の目的だ。
任務資料を再度確認し、場所があってることを確認すると辺りを見渡す。辺りからは人気をあまり感じないが、そこまで呪力の変な流れなども感じ無い。
「その割には呪力があんまり感じないよーな気がしねー?」
「そうだな。だから今玉犬に探させてたんだが、よしこっちだ。」
玉犬に辺りを探させた結果、呪力の流れが続いている大きな工場跡へと反応を示し、中へと入っていった。その後を追うように扉の前まで着くと扉の隙間から中を覗き込む。中は日光が通ってないのか暗く、ここからではよく見えない。
「玉犬はすでに中にいるはずだ。俺が先に中を見てくる、虎杖は周りを警戒しておいてくれ。」
「おう!わかったけど何かあれはすぐ呼べよ。」
虎杖に扉前を任せると、扉を開け中へと入りこむ。扉から差し込む日光で中が明るくなると、何かの影が見える。咄嗟に戦闘の構えを取り、警戒しながら近づくと、
「んー?何だてめー。」
そこに立っていたのは呪霊なんかではなく、ただの制服を着た学生が立っていた。その青年は伏黒に目をくれずに、足元に座り込む玉犬を見ている。その青年の両手は玉犬の頭へと向けられ、慣れた手つきで撫でていた。
「そいつが見えるのか?」
まだ警戒を解かずに、青年へと近づく。
「見えるって当たり前のこときーてんじゃねーよ。こいつお前の犬だったか。勝手に撫でて悪かったな。」
どうやら俺たちと同じで呪霊を見ることができるらしい。それは生まれつきの体質か、あるいはここが呪力の反応が強いせいのイレギュラーか。青年からは強い呪力を感じ無いため後半の可能性が高いだろう。
伏黒は警戒を解かずに思考を巡らせ続けるが、青年はそんなことにも気づかずに気さくに話す。
「こいつがよー、ふらふらと倉庫ん中入ってったから後をつけてったんだぜー。逃げちまうならリードくらいつけとけよなー。」
「ああ、すまなかったな。」
どうやらたまたまこの倉庫の中は来てしまったようだ。青年が今回の依頼には関係ない事が予想できる。
「じゃあ早く出るぞ。こんなとこ暗くて危ないだろ。」
そういい早く出るように促す。いつ呪霊が動き出すかもわからないため、できるだけ早くこの場を離れさせたかった。だが青年は素直には動かない。
「んー?何だそんなに急かして。なんかここに用事でもあんのか?」
そういうと辺りを見渡し、少し何か考えた動きを見せる。すると何に気づいたのかこちらを睨みつけてきた。
「もしかして、何か金になるもんでもあんのかー!?」
「...は?」
「こんな何も無さそーなところによー。あの犬が一直線に向かって行くのはおかしーと思ったんだ!てめー、さてはあの犬使って金目のもん探してやがったな!!独り占めするきだったんだろ!」
「ちがう。ここは危険だから離れた方がいいと...」
青年はあまりにも突拍子もないことを言いながら、ずんずんと向かって来る。そして、青年は伏黒へと掴みかかり捲し立てる。
「嘘つくんじゃねー!そんな嘘、俺に通用すると思うなよ!」
「嘘じゃねぇ!」
そのまま青年と言い争いながら、揉み合いへと発展しする。何でこんな面倒なことになるんだと伏黒は内心イライラとしながらも何とか青年を連れ出そうとするが、青年は体が鍛えられてるのか上手く行かない。
「いいから早く本当のこと話しやがれ!」
しつこく伏黒に掴み掛かってくる。いい加減無理矢理にでも外にぶん投げてやろうかと考えていたその時、青年が急に叫び声をあげた。
「痛っってーー!!てめー噛みやがったな!しょうがいざいだぞ!しょうがいざい!」
「は?噛んでねーっておい!後ろ!」
男の背後で急に現れた人間が一心不乱に肩を噛み付いていた。伏黒は素早く青年の体勢を崩させた。すると、青年に噛み付く人間も一緒に倒れ込んでくる。その腹に蹴りを喰らわせ吹き飛ばすと数メートル離れたところに倒れ込む。急いで近づきその顔を覗き込むと、
「何だこいつ!」
その顔からは生気が感じられず、体のあちこちには血が染み付いていた。
「っ!玉犬!」
その倒れ込んでいた人間は不意に伏黒へと噛み付く。それを危機一髪でかわすと、玉犬で蹴り飛ばし距離を取る。肩を抑えてうずくまる青年の横まで下がり、様子を見る。幸い大きなケガをしているようには見え、一つ安心する。
「おい!大丈夫か!?」
扉の向こうから虎杖が飛び込んできた。そのまま伏黒の横へ並ぶと戦闘の構えを取った。何が起こってるかは察してくれたらしい。
「1人巻き込まれた。すぐに払って治療に連れてくぞ。」
「おう!」
2人が暗がりへと目を向けると、そこからは続々とさっきのような人間が姿を表してくる。どの人間からも生気が感じられなかった。
(この数からして被害は思ったより深刻だ。何としても早く払わないと)
覚悟を決め今にも2人は動き出そうとした時、うずくまっていたはずの青年が立ち上がり、あろうことが相手の方へと歩き出していた。
「てめー!あん時のゾンビ悪魔やろーだな!!またあん時みたいにゾンビ仲間増やしまくってんだろ!!」
青年が暗闇へと叫んだと思うと、暗闇の奥から一際大きな胴体の体に顔がついてるような化け物が姿を現す。
「あーの時はよくもやってくれたなデビルハンター!」
化け物は青年を睨みつけ、言葉を吐き捨てる。
「今度こそバラバラにして捨ててやる。みんな!殺っちゃって!」
その化け物の言葉で操られているのか、人のような怪物たちはこちらへと向かってくる。だが、それでも青年は一つも怖がる様子を見せずに、それどころか不適に笑って見せた。
「いーぜ、そっちが望むんなら、前見てーにぶっ殺してやるぜー!」
怪物達の集団に進み続ける青年に伏黒は叫ぶ。
「おい!後ろに下がってろ!危険だ!」
「あー!?てめーの方こそ下がってろ!!邪魔しやがったらてめーごと切り刻んぢまうぜ!!」
伏黒の忠告を無視してゾンビ達の前に立つ。不適な笑みを浮かべたまま、怪物達へと目線を向ける青年の右手は胸元へと向けられている。
「また俺たちに絡んできやがってよー、俺たちの邪魔ァすんなら、死ね!!」
強く言葉を吐き捨てると、青年は強く胸元から右手を引き離す。すると、ヴゥーーンと鈍い音を立てながら、体の四肢と頭部からチェーンソーが生えてくる。その姿からは元の青年の面影が消え、伏黒達の目には化け物にしか見えなかった。
「っ!何だこいつ!」
伏黒は自身の目を疑いたくなった。今まで様々な呪霊を見てきたとはいえ、このような体験は初めてであった。まさか人が化け物へと姿を変えるとは。横で同じ光景を見ていた虎杖も状況を飲み込めていないようだった。
「じゃあァ!いくぜー!!」
チェンソーの化け物となった青年はゾンビ達へと突っ込んでいくと、ゾンビ達をお構いなしに切り伏せていく。そこには躊躇など一切感じられなかった。
「なりやがったなチェンソーに!!前のようにはいかないよー!」
そう言いながら胴体だけの化け物は体から伸びた部分を手のように使うと、あたりにあるゴミ箱の蓋などあたりに散らばるゴミを投げつけ始めた。だが、チェンソーの化け物は切り伏せたゾンビの生首を蹴飛ばし、ゴミを弾き飛ばした。
「そーんなの聞くわけねーだろ!!こっちは頭も体も前よりも鍛えてられてんだぜー!!」
「ぁあー!!うざいうざい!!近づくなー!!」
「やーぁだよーー!!オラァーー!!」
チェンソーはゾンビを足場にし、化け物へと飛びかかる。化け物の胴体に体のチェンソーを突き刺し、回転を早める。あたりには血や肉片が飛び散った。
「ギャァアアアアアアアアアー!!!!」
化け物は雄叫びを発しながら、真っ二つにされていく。その叫び声からどれだけの苦痛が襲いかかっているのか想像するのは容易いことだった。そして、綺麗に真っ二つとなった化け物は床に倒れ二度と動くことはなかった。
「さぁーて残りも綺麗にすっかぁーって、あれ?」
残りのゾンビも殺そうと振り返るも、すでにそこに姿は無く伏黒と虎杖が立ち尽くすだけだった。彼らもゾンビと戦ってはいたがあの数があの数分で終わるはずないと思っていた。それに今まで戦っていたゾンビ達の死体も綺麗さっぱり無くなっていた。
「なぁーおめーらなんかしたんか?ゾンビ達が綺麗さっぱりなくなってんだけど。」
そう言いながら気さくに近づくチェンソーの男だが、伏黒たちはいまだ警戒をといてはいなかった。その警戒は先ほどまでのゾンビ達ではなく、目の前の未知の存在へと。
「おい、お前は呪霊か?それとも呪術師か?」
伏黒はチェンソーへと問いかける。呪霊であろうが呪術師であろうが強さでいえば準一級以上は確実であり、もし敵対する存在なのだとしたらここで払わなければならないと伏黒は考えていた。だが、チェンソーの男は何もピンときた様子はなかった。
「じゅれい?じゅじゅつし?何だそれ、俺はデビルハンターだぜ。」
「デビルハンター?何それ?」
虎杖はチェンソーの言う言葉に疑問を抱き、咄嗟に問いかけた。その言葉にチェンソーの青年ははぁ?とそんなことも知らないのかと呆れる顔をする。そして、教えてやると言わんばかりに話す。
「俺はデビルハンターのデンジ。」
「そして、その正体は、みんなのヒーロー、チェンソーマンだぜー!!!」
いつ考えていたのか決めポーズとともに明かした正体に伏黒達はさらに頭を混乱させた。デビルハンター?チェンソー?呪術の蔓延るこの世界に未知の存在が現れて始めるのだった。
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「ふふ、チェンソーマン。やはり貴方もこの世界に姿を現したのですね。」
不適に笑うどこか不気味な雰囲気の女。近くに謎の校舎がある森の中にいた彼女は遠くを見つめていた。それはまるで想い人に思いを馳せる少女のようだった。だが、そんな彼女の前に木の影から姿が現れる。
「ねぇ君、一体どこから来たの?」
木の影から現れたのは目元を布で隠した男。男は彼女をどこか覗き込んむように目を向けてくる。
「この辺さぁ、結界てのがあってそうそう知らない人が入り込めるような場所じゃないんだ。」
男は優しくも問い詰めるように話しつつ布の一部をめくりあげた。そこから、宝石のような綺麗な目を覗かせる。
「君、何者?」
呪術界最強の男、五条悟からの問いに、彼女は笑みを崩さず答えて見せた。
「ただの人間ですよ。ただの。」
自身の何重にも重なるような目を彼へと向ける彼女、マキマは一つ察した。この男は自身が支配できるような存在ではないだろうと。
「ふーん、まぁ何でもいいけどとりあえず、お話ししようか。」
そう言いながら五条は校舎へと向かい、その後をマキマがついていくのだった。
と言うわけで、呪術の世界にデンジ達が現れる話です。時系列は呪術廻戦は渋谷事変前くらいで、チェンソーマンの方は2部始まったくらいんとこです。
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