風紀の狂犬   作:モノクロさん

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誤字報告ありがとうございます。
訂正させて頂きました。


地下回廊へ

「身体の方はどうだ?」

 

「そうですね。回復に専念できたので、大分良くなりましたよ。それに、ヘイローの方も少し回復したみたいです。神秘一発分の使用も可能です」

 

「そうか。それは良かった。だが、無理はしないでくれ。特にその神秘の使用は控えた方が良い」

 

「それが出来たら良いのですが、そうは言ってられませんからね。必要と判断すれば使いますよ」

 

 暫し仮眠を取っていた小鳥が目を覚まし、今後の作戦を考える。

 

 ミカというイレギュラーにより、アリウスの自治区に侵入する事は可能ではあるが、彼女と再び接敵した場合、戦闘は避けられないだろう。

 

「目的は変わらず、アツコさんの救出ですね」

 

「あぁ、アリウスのバシリカに向かい、姫を救出する。その目的は変わらない」

 

「ミカについては、どうしますか?」

 

「出来れば戦闘は避けたい。私達で対処して、退ける事が出来たとしても、その後がない」

 

 敵対するのはミカだけではない。アリウスの生徒達にマダムと、アツコを救出する為に障害となる壁が、あまりにも大きい。それを掻い潜ってアツコを救出するのは、至難の業だ。だからこそ……

 

「サオリさん。確認したい事があります」

 

「なんだ?」

 

「アツコさんの事ですが……」

 

 アツコの事について知るべき事がある。小鳥の話に耳を傾けるサオリ。

 

 いくつかのやり取りの後、小鳥は納得した様子で、サオリに1発の銃弾を渡した。

 

「……これは」

 

「使うタイミングが必ずあります。少なくも、マダムは私を警戒していますし、出し抜くなら貴女が最適でしょう」

 

「……そうか。分かった」

 

 小鳥から銃弾を受け取るサオリ。それと同時に、小鳥のヘイローの一部が、ガラス細工が割れる音と共に砕けた。

 

「……小鳥」

 

「必要なタイミングだっただけです」

 

「…………」

 

「心配しなくても大丈夫ですよ。休んで回復した分、使っただけなんですから」

 

 納得は出来ていないといった表情のサオリに、小鳥は咳払いを一つ漏らし、話を続けた。

 

「話を戻します。バシリカに向かうとして、正面から向かうのは得策ではない筈です。何か策はあるのですか?」

 

「……1つある。アリウスの旧校舎だ」

 

 話を聞くと、かつて聖徒会がアリウス分校を建設する際、バシリカと分校を繋ぐ地下回廊を作ったとの事だ。

 

 聖徒会……恐らくはユスティナの事だとは思うが、小鳥の記憶では、アリウスはユスティナから弾圧を受けていた筈。

 

 サオリの説明に付け足すように、ミサキもその時の詳細を説明した。

 

 彼女達はトリニティ連合に反対したアリウスを最も糾弾した立場でありながら、自治区外の脱出と再建を主導。

 

 糾弾しておきながら自治区外の脱出と再建を主導する。その行動の矛盾と真意は分からないが、彼女達が残した地下回廊は利用できる。

 

 他のアリウスの生徒達やミカと遭遇する事なく、アツコの元に辿り着ければ、それだけで救出の成功率が上がると言うものだ。

 

 唯一の懸念すべき所は、その回廊を如何に短い時間で見つけ出す事が出来るかという点との事。

 

 それでも、リスクを減らす事を考えれば、その案に乗るべきだ。

 

「分かりました。私はその案に乗りたいと思います」

 

「他に最善の手はなさそうだし、今の戦力を考えたら、それが1番なのかもね」

 

「ほ、他に方法もありませんから……それとも、バシリカまで強行突破しますか?」

 

 一般の不良生徒であれば不可能ではないだろうが、相手はサオリと同じく、幼い時から訓練を施された生徒達と、個の武力で他を圧倒する神出鬼没のミカ。

 

 安全を考慮するのであれば、旧校舎まで赴き、地下回廊からバシリカを目指した方が得策だろう。

 

 サオリの提案に、皆が賛同する。

 

「では、決まりだな」

 

 サオリはそう言うと、皆が思い思いに立ち上がり、荷物を整理する。そして、準備を終えた事を確認し、サオリは皆に声をかけた。

 

「では、これより旧校舎に向かう。此処からそう遠くはないが、なるべく目立たないように移動するぞ」

 

「分かりました」

 

「了解」

 

「は、はい。分かりました」

 

 3人の同意を得たサオリは、先導として歩き出す。目指すはアリウスの旧校舎。

 

「よし、行こう」

 

 サオリの言葉に応じるように、小鳥達もそれに続いた。




おまけ
今回のストーリーでレンが取引した(する)相手とその内容集
・黒服
レンの神秘の計測とマダム(ベアトリーチェ)が使用している神秘の妨害システムの効果と今後の改善点の提供。
神秘(クロノス)の全力使用により、マダムの妨害を難なく突破&マダムに気付かれる事なく彼女が隠していた秘密を暴露。
なお、その内容は……

・小鳥
小鳥に内緒で匿名の人物をアリウスに派遣(小鳥はその事を知らない)
抱き枕の権利。好きなタイミングで1回、レンを抱き枕にして寝ても良い権利。なお、それを実行した日の夜、小鳥が心配するレベルで無防備だった為、日和ってしまい、寝息を立てるレンの横で、腕立て伏せとスクワットを朝までやる羽目となり、寝起きのレンがドン引きしたもよう。

・クロノス
本気を出す。
レンを自身の謎空間(という名の自身の住居(レンの中))に招待する事。沢山サプライズを用意しているのだが、その内容は、前もって相談された小鳥が謎空間に招待され、内容を確認するも、小鳥でさえドン引きしたし、なんなら少し前のおまけでレンの『クロノス以下』発言に深い悲しみを感じるレベルのものを見せられた。




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