訂正させて頂きました。
今回の更新は短めです。
サオリが放った銃弾により、ベアトリーチェの身体がぐらりと揺れ、地面へと倒れた。
長きに渡り、アリウスを支配していた彼女の時代は、傲慢な性格が災いし、『死』という絶望の前に終焉を迎えたのだった。
これで、アリウスに関わる因縁に終止符が打たれる事となったのだが、サオリは静かに、頭上に君臨するフェネクスへと視線を向けた。
かつて、エデン条約の式典にて相対した時、その圧倒的な実力を前に、サオリは手も足も出ず、恐怖に打ちのめされたのは記憶に新しい。
再び、かの悪魔の毒牙が、自分達に向けられるのではと、サオリは内心恐怖した。
だが、フェネクスはベアトリーチェが倒れた事を見届けると、満足げに頷き、静かに瞳を閉じた。
そして、その身体が光の粒子となって消滅する最中、小鳥は忌々しげに呟いた。
「あぁ……本当に最悪な気分ですよ」
その言葉は、誰に向けられたものなのか。それを知る術はない。
しかし、それとは別に、小鳥の意思とは関係なくこの世界に顕現したフェネクスは、サオリに変化を齎した事は間違いなかった。
フェネクスが、サオリの内に何を見出したのか。そして、ベアトリーチェが残した最後の言葉の意味とは……。
『天使』
ベアトリーチェは確かにそう言った。
何を思い、その言葉を紡いだのか、それもまた、彼女以外に知る事はないだろう。
ただ、小鳥やレンという、神秘を用いる2人の事を知るサオリ達ならば、そこから1つの可能性に至る事が出来る。
(私にも、神秘とやらが発現したのか? それも、アレの口ぶりからして、小鳥と同じ……)
サオリは、フェネクスがこぼした言葉と、ベアトリーチェの最期の言葉を思い返しながら、その可能性に辿り着いた。
もしもそれが事実ならば、自分は小鳥達と同じ立場となり得る。
ゲマトリアと呼ばれる組織。ベアトリーチェが所属していた組織の研究対象。
組織の人間が、サオリの神秘に興味を示し、今後狙われる事となれば、その被害は自分のみならず、アリウススクワッドのメンバーにも、そしてアリウス分校の生徒達にも危害が及ぶだろう。
(ままならないものだな。明日を手に入れたというのに)
ベアトリーチェの支配から解放され、自由の明日を手に入れて尚、問題は山積みだ。
今までは、彼女の命令に従い、その指示が例えどのような内容であったとしても、当然のものとして受け入れ、実行してきた。
だが、これからは違う。自分で考え、悩み、そして、その判断には責任が伴う。
初めは苦悩する事となるだろう。だが、その苦悩は人として己を成長させる糧となる。
今までのやり方で全てが解決する事はない。これは、自分にとって良い機会なのだと、考えを改めた。
先ずは何をするべきか。
ベアトリーチェという恐怖でアリウスを支配した独裁者は倒した。その事をアリウス自治区の皆に触れ回るか、それとも……。
「……サッちゃん」
「……アツコ」
いや、もっと大事な事があったじゃないか。これは、私達にしか出来ず、そして今、このタイミングでなければならない大事な事だ。
サオリの元に、ミサキとヒヨリが集まってくる。皆、穏やかな表情を浮かべ、サオリを見つめていた。
そして、2人の視線がサオリからアツコへと向けられると同時に、サオリは漸く穏やかな表情でアツコに告げた。
「おかえり、アツコ」
「……うん。ただいま。みんな」
サオリの言葉に、アツコも笑顔で、その言葉に答えた。そして、3人の元に駆け寄り、抱きしめあった。
おまけという名の次回予告。
まだまだやるべき事が沢山残っているエデン条約編。
小鳥はヒナと相対し、互いに胸の内を吐露する。
そして、黒服の指示でレンちゃんは『時』を司る神秘を発動する事に……
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