訂正させて頂きました。
やっほーみんな元気?
おじさんだよぉ〜。
おじさん、今日は1人でゲヘナ学園の自治区に遠出してみたんだ。
理由はまぁ……先生が欲しがってた『超合金カイテンジャーロボEX』がゲヘナ限定で発売するって話を、聞いたからなんだけどね。
なんでも、劇場版コラボ?みたいなやつで、他にも『メカペロロ』も発売するみたいだけど、購入出来るのは1人1個までだから、買うなら『カイテンジャーロボ』一択だよね。
予算については……運良く賞金首の子達を捕まえた時の報酬でなんとかなったから問題なし。
先生なら、そのお金は自分の為に使ってと言うと思うけど、先生に助けられた事への恩返しも兼ねてるから実質自分の為だよね?
とはいえ、始発の電車で来たけど、凄い人だかりだねぇ。みんな、アレが目当てなのかなと思ってたけど、会話の節々に転売とか聞こえたから、多分違うんだろうなぁ。
在庫はロボもペロロも5個ずつしかないから、売ったらそれなりの金額になるのかな?
まぁ、この手の物って欲しい人が手に入れた方が幸せになれると思うから、おじさん頑張るけどね。
と、おじさんこと小鳥遊 ホシノがシャッターが閉まっているお店の前に並ぼうとすると、周囲がざわついている事に気付き、そちらに目を向ける。
すると、そこには見覚えのある人物が立っていた。
「お、おい……あれって……」
「あぁ、なんでこんな所に風紀委員長がいるんだ?」
「や、やべぇぞ……めちゃくちゃ怖い顔してこっちを見てるぞ」
「あ、あぁ。目が血走ってるな……こえぇ」
「しかもあの傷だらけの痕……一体なにがあったんだ?」
周囲のそんな会話が聞こえてくる。そこには、ゲヘナのみならず、キヴォトスにおいて、その名を知らない人はいないとされるゲヘナ学園の最強格と称される空崎 ヒナの姿があった。
周りから畏怖の象徴とされるヒナだが、本人は至って普通にお店が開くのを待っているだけである。
アリウスでの一件による事後処理と、その他自治区の対応。そして、ミカとの戦闘で負傷した等、諸々の要因はあれど、その事を噯にも出さないのは流石である。
寧ろ、周りからの視線が集まる事に、居心地の悪ささえ感じており、早くお店が開くのを今か今かと待っている程だ。
そんなヒナだったが、視界の端にホシノの姿を見つけると、一瞬だけ目を見開き、軽く会釈をした。
それに対し、ホシノも笑顔で会釈を返し、お店のシャッターが開くまでの時間を過ごす為にヒナの元へと歩み寄る。
「やっほ〜風紀委員長ちゃん。こんな所で会うなんて奇遇だねぇ」
「……小鳥遊 ホシノ。どうして貴女が此処に? もしかして、貴女も?」
「う〜ん、委員長ちゃんがいうもしかしてが『カイテンジャーロボ』なら正解かな……って、委員長ちゃんもアレを? 意外だねぇ」
「私……というより、先生が欲しがっていたのを思い出して。先生は今、トリニティの一件で色々大変だから。それに、その一件には私も関わってたし、そのお礼もかねて」
「うへぇ、風紀委員長ちゃん真面目だねぇ。おじさんそういう所大好きだよ」
「ん……そ、そうね。でも、貴女も私と同じ理由で?」
「そうだよぉ、おじさんも先生に助けられたからさ、そのお礼にってね」
「……そう」
買う物は同じ。そして理由も同じ。
2人の間で暫し沈黙が続くが、不意にヒナから、ホシノに提案を持ち掛けた。
「提案があるんだけど良いかしら?」
「提案? 委員長ちゃんが? おじさんに?」
「えぇ、悪い提案じゃないと思うんだけど、どうかしら?」
「う〜ん、内容によるねぇ」
「そう……じゃあ」
と、ヒナはこの店の情報を提示する。
此処のお店は、通常とは異なり、早くに並んだからとて購入出来るとは限らない事。店長が気紛れで、その時の気分次第で、購入する条件が決まる事。
そして、購入者の条件が開店前に定時されるので、必要とあらば誰かと手を組む事んでいた方が、より確実性が増すという事。
「その上で提案。私と貴女の目的が先生に『カイテンジャーロボ』を購入する事だけど、別段、2人が同じ物を買う必要はない」
「つまり、互いに条件を満たした場合、どちらかが『カイテンジャーロボ』を。そしてもう1人が『メカペロロ』を買った方が先生が喜ぶと?」
「そう。勿論、貴女が『カイテンジャーロボ』を買って、私が『メカペロロ』でも大丈夫。どうかしら?」
最悪、どちらか片方しか購入権を得られなかったとしても、2人で先生にプレゼントする形にすれば良い。
どちらに転んでも損はない。ヒナらしい合理的な提案に、ホシノは目を細めて笑みを浮かべた。
「良いねそれ〜乗ったよ委員長ちゃん」
「決まりね。それじゃあ、同盟成立という事で良いかしら?」
「オッケ〜、おじさんは賛成だよ。それに、ゲヘナの風紀委員長ちゃんと手を組むなんて滅多にない経験だからねぇ。少しテンション上がってきたよぉ」
「そう、なら良かった。それじゃあ」
ヒナが手を差し出すと、ホシノもそれに応えて握手を交わす。
ゲヘナ最強格のヒナとキヴォトス最高の神秘を秘めるホシノ。2人による『カイテンジャーロボ』及び、『メカペロロ』獲得作戦が、始まろうとしていた。
無事に同盟を成立させ、安堵の息を吐くヒナ。
「正直な所、貴女が協力してくれるのは嬉しい。私の知る限り、最も頼りになるし」
「あ〜うん、そう言って貰えるとおじさんも嬉しいけど、委員長ちゃんなら大抵の事なら大丈夫なんじゃないの? 態々同盟を結ぶ必要は……」
「それがあるのよ。正直、不確定要素が強すぎて、確実に入手できる確証が得られなかった。だからこうして、少しでも確率を上げる為の手は打ちたいの」
「え……不確定要素?」
「えぇ、ほら、あそこに立っている子。私はてっきり、都市伝説かなにかと思っていたけど、実在していたみたいね」
「実在って……え?」
ヒナの大仰な言いように、ホシノは困惑しつつも、ヒナの指差す方に視線を向けると、そこには1人の生徒が佇んでいた。
トリニティの制服を身に纏い、ペロロのリュックを背負った少女。その顔はたい焼き袋で隠され、その面は伺えない。
「初めて彼女の情報を確認したのは『覆面水着団』なる集団と共にブラックマーケットの銀行を襲い、厳重な警備の中、見事現金を盗み出し逃走した。名をファウスト。その手腕は七囚人の慈愛の怪盗にも匹敵すると言われているわ」
「う、うん。それは……えっと……え? あ、あの……」
「手段を問わず、神出鬼没に現れては、その圧倒的な知謀と策略で欲しいものを必ず手に入れるキヴォトス屈指の悪のカリスマ」
「そ、そう……なんだぁ。で、でもさ、それって噂でしょ? 本人は至って普通の子って可能性が……」
「私も最初は話に尾びれがついたものかと思ってたけど、彼女の情報を纏めたモノを今貴女に送るわ。確認して頂戴」
ヒナはホシノの端末に、ファウストに関する情報をまとめたデータを送信する。
「う、うん……あ、ありがとう」
ヒナから送られたファウスト(阿慈谷 ヒフミ)の情報に軽く目を通していくホシノだったが、その情報は、どれもこれも尾びれ背びれが付くどころか、過大解釈もいいところであった。
「うへぇ……こ、これは凄いねぇ……」
「えぇ、私としても、立場上彼女を無視する事も出来ないけど、この情報も憶測の域を出ないものばかり。存在するかさえ怪しいと思っていたけど、こうして目の前に現れた以上、無視は出来ない。だから、同盟を結んだの」
ファウストが噂通りに欲しい物を手に入れる為なら手段を選ばないというのなら、その脅威度は格段に跳ね上がる。
ヒナの言葉に、ホシノは改めてファウストことヒフミに目を向けた。
本人の知らぬ所で要注意人物として扱われているヒフミを不憫に思いながら視線を向けると、不意にヒフミが誰かに手を振る姿が見えた。
その相手は、ガスマスクを装着した少女が2人。歩き方からして、相当な手練れである事が伺える。
なお、そのガスマスクを装着した少女と言うのが、白洲 アズサと偶々近くを通りかかり、アズサから協力を要請された錠前 サオリなのだが、ホシノとヒナがそれを知る由もない。
ヒフミを含む3人は、それぞれ身元を隠す為にガスマスクとたい焼き袋で隠しているのだが、ヒフミとアズサはトリニティの制服を着ている為、隠しているようで隠せていない。
唯一、身元が分からないように取り繕っているのがサオリだけと言う、何とも目立つ集団が出来上がっていた。
「話に聞いていた覆面水着団とは別の組織とも繋がりがあるみたいね。あの2人、歩き方からして只者ではないわ」
「そ、そうだねぇ……」
多分、ヒフミの友人の誰かだろうと、ホシノは結論付ける事にした。
ただでさえヒフミ1人で目立っていたのに、追加で怪しい2人が加わった事で、余計に人目を集めていた。
しかし、それを気にする様子もなく、3人は開店時間まで、その場で待つ事にしたようだ。
「お、おい、アレって……」
「あぁ、まさか本当に実在していたとはな。ブラックマーケットだけでなく、ゲヘナにも侵出するつもりか?」
「なぁ、どうすんだよ。最悪の場合あいつらを相手にすんのか?」
「私はやだよ。それに見ろよあのファウストの格好。態々ゲヘナでトリニティの制服だぜ。ありゃわざと喧嘩を売られに来たと見た」
「そ、それってつまり……」
「あぁ、喧嘩を売られた事を口実に、このゲヘナにカチコミかける気だ。あの取り巻きも、ガスマスクを付けてるって事は、それなりの装備を隠し持っている可能性がある」
「……まさか生物兵器を?」
「で、でもよ、限定品を買いに来ただけかもしんねぇだろ? 確かファウストってやつはペロペロさんっつぅアホ面の鳥を……」
「バカっ!! 『ペロロ様』だ!! ファウストの前で間違えたやつが行方不明になるって噂まであるんだぞ」
「ま、マジかよ」
「おいっ、逃げんぞ!!」
「お、おう!!」
先程までのヒソヒソ話から一変、店の周りは騒然とした雰囲気に包まれる。
流石に看過できないと判断したのか、ファウストことヒフミに、ヒナが声をかけようと、足を踏み出す。
だがしかし、それよりも先にヒフミに近付く者がいた。ホシノである。
「やぁやぁこんな所で会うなんて奇遇だねぇ」
あくまでもフレンドリーな口調で話しかけるホシノに対し、ヒフミは満面の笑みを浮かべて答える。
「あ、ホシノさん!! こんな所で会うなんて奇遇ですね。もしかしてホシノさんもメカペロロ様を?」
「うん、そんな感じかなぁ。まぁ、正確にはカイテンジャーロボとメカペロロ様の両方が欲しいんだけどねぇ」
「そうなんですね。あ、でも、確か今日の限定品は1人1個までって」
「うん、だから委員長ちゃんと私で1個ずつ買おうかなって思って。ヒフミちゃんも同じ考えかな?」
「はい。私はメカペロロ様狙いなんですけど、此処のお店は店長の気分次第で購入出来る順番の条件が変わってくるので、こうしてアズサちゃんとアズサちゃんの友人と協力して買いに来たんです」
とはいえ、場所が場所なので、身元が分かると色々と問題があるので、変装しているのですがと、苦笑まじりに話す。
「うへぇ、そっかぁ……それじゃあ、ヒフミちゃんもおじさん達と手を組む? その方が確率がもっと上がるかもだよ」
「え、良いんですか?」
「うん、おじさんは構わないよ。私達としては、最悪、カイテンジャーロボが手に入れば良いからさ。どうかな?」
「わぁ、ホシノさんが協力してくれるなんて、とっても頼もしいです!! はい、宜しくお願いしますね!!」
ヒフミが手を差し出すと、その手を取り、握手を交わす。
「うん、此方こそよろしくね〜。それじゃあ、委員長ちゃんにも伝えておくから待っててねぇ」
ホシノはヒフミの手を離し、少し離れた所で様子を伺っていたヒナの元に歩み寄る。そして、ヒフミと同盟を結んだから問題ない事を伝えたのだが、ヒナは少し渋い表情を浮かべた。
「そう……分かったわ。でも、何か怪しい動きを見せたらその時は……」
「うん、その時はその時って事で」
ひとまず、同盟を結ぶに至った経緯が不透明である事は気になるものの、ホシノに関しては信用出来ると判断し、ヒフミと手を組んだ。
「さて、同盟も結ばれた事だし、後は開店を待つだけだね」
「えぇ……でも、気掛かりなのは、今回の購入条件が何かって所ね。穏便にすんだら良いんだけど」
「そうだねぇ、おじさんもそこだけは気になるなぁ……まぁ、杞憂で終わってくれたら良いんだけど」
一抹の不安を浮かべながら開店時間を待つ面々。
最終的には風紀委員長のヒナとファウストが参加する事を知った店長が、バトルロイヤル形式で5分後に立っていた者から順番に購入する権利を与えると宣言し、1分と経たずに、同盟を結んだ5人以外が、全員倒れる事になるのはまた別の話である。
おまけ
無事に欲しい物を購入出来た面々
空崎 ヒナ:カイテンジヤーロボとメカペロロを購入出来て満足。先生に感謝されて更に満足。頭を撫でられた時、羽をパタパタさせるくらい嬉しかった。
小鳥遊 ホシノ:同じく無事に購入出来て満足。先生にも色々と感謝されたし、頭撫でられて大満足。その日は見回りの後、ぐっすり熟睡出来た。
阿慈谷 ヒフミ:メカペロロ様を購入出来て満足。アズサも欲しがっていたモモフレンズのスカルマンを購入出来たと喜んでいたので大満足。なお、バトルロイヤル中に倒れた不良がペロロ様の事をペロペロさんと言っていたのでペロロ様だよと注意した。
白洲 アズサ:ヒフミが無事にメカペロロ様を購入する権利を得たので、自分は別件で欲しかったスカルマンを購入して大満足。サオリとも、なんだかんだあったが、今ではみんなとも交流を持つ事が出来た内心嬉しい。
錠前 サオリ:突然アズサについてきてくれと言われたのでついていったら、ゲヘナの自治区だった上に、アズサの友人が同盟を結んだ相手にヒナがいたのでバレないだろうかとひやひやしていた。バトルロイヤルにおいて、アズサと共に不良集団をフルボッコにした。アズサとコミュニケーションがとれて嬉しい。
不良生徒:ペロロ様を間違えてペロペロさんと言ってしまった可哀想な犠牲者。倒れていた所を顔を掴まれ持ち上げられ、至近距離で『ペロロ様です。間違えないで下さい』とファウストに目をつけられ、泣きながらゲヘナの自治区から逃げ出した。後に逃げ場がないと絶望し、近くのコンビニで強盗未遂をしてわざとヴァルキューレに捕まった。なお、この件は不良生徒の間でファウストによる『神隠し』として噂が広まり、ゲヘナとファウストによる一大戦争の時が近いのかと誤解される事となった。
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