風紀の狂犬   作:モノクロさん

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狂犬と立ち位置

 あぁ、もうメチャクチャだ。

 

 これ、多分風紀委員会の攻撃だ。

 

 狙いは便利屋68かな?

 

 そういえば、少し前に一個中隊を動かしているって話があったけど、まさか、アビドスまで……。

 

 あ、違うなこれ。

 

 多分目的は先生だ。便利屋68の逮捕は建前だ。先生を囲う為に、便利屋68をだしにしたな。

 

 誰が主犯だ?

 

 イオリちゃんやチナツちゃんは違う、他の風紀委員のメンバーも違うしヒナ先輩に至っては絶対に有り得ない。

 

 となると、後は1人しかいないじゃないか。

 

 アコちゃん輩先……流石にライン越えだよ。此処が自治区外とはいえ、これはやり過ぎ。アビドスの子達だって、『自治区の外だから仕方ないね、しょうがないね』なんて言う筈ないじゃないか。

 

 小鳥ちゃん、悲しくなってきたよ。

 

 あぁ、でも、擲弾兵の皆、上手になったなぁ。さっきの砲撃、アルちゃん達を狙ったんでしょ?

 

 ドンピシャだったよ。風紀委員会に入りたての頃は、上手く狙えなかったのに随分成長したね。

 

 まぁ、私と違って、皆、真面目に頑張ってたからね。凄いよね。本当に凄い。

 

 さて、どうしようかな。流石に擁護出来ないし、私も擁護出来るような立場じゃないし。

 

 かといって、イオリちゃん達とは戦いたくないし、今から便利屋68や対策委員会ともやり合いたくないし……。

 

 どうしよっかなぁ……。

 

 取り合えずは……そうだねぇ……。

 

 アルちゃんには謝らないといけないなぁ。折角、庇ってくれたのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・対策委員会と先生視点

 突然の事だった。

 

 アビドス校の近郊で爆発を感知した対策委員会のメンバーとシャーレの先生は、カタカタヘルメット団の襲撃かと思い、装備を整え、現場へと向かった。

 

 しかし、到着してみれば、其処にはカタカタヘルメット団の姿はなく、代わりに便利屋68の面々と私服姿の一般生徒―彼女が馬乗りでハルカを抑え込んでいて、それを遠巻きに見ている他の便利屋68―という謎の光景が其処に広がっていた。

 

 場所は柴関ラーメンがあった所。ラーメン屋は跡形も無く、瓦礫の山へと変貌していた。

 

 恐らく、先程の爆発は柴関ラーメンを爆破した時のものだろう。

 

 その惨状を目にし、対策委員会の面々は怒りに震えた。自分達の自治区内で、こんな暴挙が許されるのか。そして、便利屋68もそうだ。一食の恩義があったにも関わらず、恩を仇で返すような真似をする集団に、怒りを抱かずにはいられなかった。

 

 対して、便利屋68と一般生徒の遣り取りを見た先生は、彼女達が知己の仲ではないかと思い、こっそりタブレットの中に眠るアロナに一般生徒の所属を調べるように指示を送っていた。

 

 その結果、一般生徒はアル達と同じくゲヘナ学園に所属する風紀委員会の一員である、不死川 小鳥であると分かり、今回の騒動が、便利屋68と他校の一般生徒との小競り合いではないと理解した。

 

 その上で、彼女達が何故、柴関ラーメンを爆破するに至ったかを問おうとした先生だったが、それよりも先に、アルが全てを吐露―恐らく、彼女を庇っている―し、全ての怒りの矛先を自分達に向けられるよう、話を持っていかれた。

 

 小鳥の目的は分からない。それでも、アル達が庇うという事は、それなりに事情があるのだろう。それと爆発の因果関係は分からないが、アル達を前に、それを問い質すのは憚られた。

 

 しかし、小鳥の行動により、状況は一変する。

 

 アルとカヨコ、二人の襟を掴んで引き倒した後、彼女達を守るように前に出て、両手を広げたのだ。

 

 次の瞬間、アルとカヨコが立っていた場所に向かって、何かが降り注いだ。それが擲弾兵による砲撃と奥空 アヤネから報告が上がり、便利屋68と小鳥を狙った人物が、彼女達と同じゲヘナの、そして小鳥が所属する風紀委員会と聞いた時、先生は漸く、この事態の異様さに気付いた。

 

 黒煙が立ち込める中、便利屋68と小鳥の安否は不明。

 

 対して、両陣営を砲撃した件のゲヘナの風紀委員会は一個中隊の規模。

 

 仮に便利屋68を逮捕する為に出向いたとしても、規模が大きすぎる上に、他校の自治区で事を起こすのは、明らかにやり過ぎだ。

 

 だからこそ、先生を含めた対策委員会の面々が困惑した。これは一体どういう事なのかと。

 

 だが、その疑問に答えたのは、他でもない、先程砲撃を受けた小鳥からだった。

 

「失礼、貴女方はアビドスの対策委員会で、其方にいるスーツ姿の貴方はシャーレの先生でありますね?」

 

 煙が晴れた先には、私服の所々が煤けてボロボロではあるが、それ以外特に目立った傷はない小鳥と、砲撃を免れたアルとカヨコの姿。二人とも、突然の事に驚いてはいたが、自分達を庇った小鳥に驚いている様子だった。

 

「先ずは謝罪させてください。この度の柴関ラーメン爆破は私個人の落ち度にあります。本当に申し訳ありませんでした」

 

 そして小鳥は、深々と対策委員会に頭を下げる。

 

「申し遅れました。私は風紀委員会に所属する不死川 小鳥と申します。ですが、今回の柴関ラーメン爆破と風紀委員会との関係は無く、あくまでも私個人の問題である事を、どうかご理解いただきたい」

 

 その言葉に、アルは小鳥を止めようとするも、小鳥は小さな声で『ごめんねアルちゃん、ありがとう』と言い、アルに口を挟ませなかった。

 

「そして、先程の砲撃は私が所属する風紀委員会によるものです。此方に関しては、私の口から発言する事が出来ない状態にあります。故に、この件に関しては、彼女達を指揮する立場の者に答えてもらう義務があると思われます」

 

 柴関ラーメンの件はあくまでも、小鳥の問題。正確には、小鳥と便利屋68の問題である、風紀委員会とは無関係。しかし、先程の砲撃に関してはゲヘナの風紀委員会のものであるため、この件に関しては彼女達を指揮する者の問題。

 

 二つの事案を一括りにしないで、それぞれの責任を明確にした小鳥は、彼女達を指揮する者の名を口にした。

 

「そうでありましょう? アコ行政官殿」

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