風紀の狂犬   作:モノクロさん

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狂犬はテロには屈しない

 廃ビルを不法占拠していた不良生徒達を拘束してから次の日。小鳥は廊下の窓辺に寄りかかり、外を眺めていた。

 

 側から見れば黄昏ている様に見えるがその実、『アコちゃん輩先に怒られちゃった。ピエン』と、特に何かを考えているわけではない。

 

(風紀を守るものが風紀を乱す行為はやめなさいって……ちょっとSGを満足いくまで撃ち続けただけじゃないですか。それを言うなら、アコちゃん輩先の服装だってばっちり風紀を乱しているじゃんよ)

 

 控えめに見ても立派なたわわの果実を実らせている上に、果実が横にはみ出しているじゃないか。

 

 あの隙間はなんだ?

 

 排熱か? 冷却システムの代わりなのか? 風紀とは一体なんなのだ?

 

 それ以前に、私にもあんな果実があったら……くぅ……。

 

 と、自身のぺちゃぱ……スレンダーな胸元を触ってみる小鳥。すると、そんな小鳥に声をかける者がいた。

 

「何してんの? そんな所で」

 

「おや、イオリちゃん。おはようございます。見ての通り、窓辺で黄昏ながら、この世に真の平等は存在しないと悟り、世界との和平交渉を棄却した所であります」

 

「ごめん、言ってる意味よく分からない。それと、ヒナ委員長が探していたよ。何でも、温泉開発部の件について話があるって」

 

「あぁ……なるなる。カスミちゃんの護送の件でありますかな」

 

「多分ね。ヒナ委員長は別件で忙しいから、代わりに小鳥ちゃんがって話じゃないかな」

 

「そういう事なら了解であります。と、言いたい所ですが、私はどうやらカスミちゃんに嫌われてるでありますからなぁ。悲しみであります」

 

「え、そうなの?」

 

「ですです。まったくもって理由がわからないでありますよ」

 

「前の護送の時に何かしたとか」

 

「前の護送……う〜ん」

 

 イオリの言葉に、小鳥は腕を組みながら頭を捻る。しかし、特に思い当たる節はない。強いてあげるなら……。

 

「キャリーケースにしまって運んだくらいでありますかな?」

 

「え、何それ怖い」

 

「ヒナ先輩…委員長からカスミちゃんは頭がキレるから油断しないようにって言われていたので」

 

 と、当時の事を懐かしむ様に語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、カスミちゃん。この中に入って下さい」

 

「えっ……き、君は何を言っているのだね? これって旅行に使う……」

 

「はい。耐爆、耐衝撃に優れた特注品であります。この中に入れば、カスミちゃんの安全は確保されたも同然ですので。ささ、早く早く」

 

「い、いやいや、流石にそれは人道に反するのでは……ち、ちょっと待ちたまえ!! 無言で、無言で詰め込もうとしないでくれたまえ!!」

 

「はいはーい、それじゃあ、しまっちゃいますので抵抗はしないで下さいねぇ」

 

「あ、あの…ちょ……やめ……」

 

「あ、そうそう。隠し持ってる爆弾を爆発させても良いですけど、これ、内側にも耐爆機能がありますので、無駄な抵抗はしないで下さいね」

 

「っ!! な、なんでそれを」

 

「それと、多分後少ししたら温泉開発部のメンバーが襲撃しやすそうなポイントがいくつかあるので、その辺りでカスミちゃんを担いで移動します。結構揺れると思うのでお大事に」

 

「ま、待ってくれ!! 話を聞いて……」

 

「ほなな〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その後、何度か温泉開発部のメンバーの襲撃を受ける度に制圧して、メンバーの名前の確認と、今後襲撃予定の人数の確認でカスミちゃんに確認を取ってたら、少しずつ大人しくなっていって……酷いと思いませんか? まるで私をお化けか何かみたいに」

 

「なるほど。その状況だったら小鳥ちゃんに怯えるなという方が無理があるよ。というか、小鳥ちゃんって結構容赦ないよね」

 

 イオリの言葉に、小鳥は心外だと言いたげに首を傾げた。

 

「えぇ……だって、相手はテロリストですよ。テロに屈するなんて、それこそ、風紀委員の沽券にかかわりますからね」

 

「そういう事を言える小鳥ちゃんも大概だと思うんだけど」

 

 イオリはそう呟くと、小さく溜息を吐いた。

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