自宅に戻った小鳥は、荷造りを終えると、ベッドに横になった。
耐爆・耐衝撃に優れた特注品のキャリーケース。まさかこれに、人以外をしまう事になるとは、当時の小鳥は思いもしなかっただろう。
学生服や風紀委員会に所属していた時に使用していたマスクや腕章などを除く、下着や衣服、後は銃弾を少々。手持ちは愛銃のM30と、必要最低限の物を詰めこんだ程度だ。
暫くの間、ベットで横になっていた小鳥だったが、ふと起き上がり、机の引き出しにしまってあった思い出の品を取り出す。
それは、風紀委員会の服装を纏ったヒナと私服姿の小鳥がショッピングモールで記念にと撮ったプリクラ。
ぎこちなくも笑みを浮かべながら控えめなピースサインをするヒナの隣で満面の笑みを浮かべる小鳥。
つい最近の出来事の筈なのに、今となっては懐かしい思い出だ。
これも一緒に持っていくべきか。そう考えながら、小鳥は暫くの間、プリクラを眺めた。
そして、キャリーケースにプリクラを仕舞い込むと、再びベットに横になり、目を瞑った。これまでの出来事を振り返る。思い返せば、本当に色々な事があった。特に、ゲヘナ学園に入学してからの1年間が、1番記憶に残っている。
風紀委員会に所属してから、充実した日々だった。最初は右も左も分からず、大変な事も多かったが、それ以上に、楽しかった思い出の方が遥かに多い。
特に、ヒナ委員長との思い出は数え切れない程だ。彼女の後ろをついていき、一緒に風紀委員会の仕事をこなしたり、失敗しては怒られ、成功すれば褒められた。
贔屓目に見られていたと自覚していたが、それでも嬉しかったし、楽しかった。思えばあの時から、ヒナ委員長に対して特別な感情を抱いていたのだろう。
憧憬とは違う、恋慕とも異なる。これを言葉や文字として表す事は出来ない。ただ、ヒナ委員長の事を心から敬愛し、信頼していた。それだけは間違いない。
だからこそ、別れの時は辛かった。彼女と別れた時、自分が自分でなくなるような、そんな錯覚さえ覚えた。
ヒナ委員長は最期に何を思ったのか。今となっては知る由もない。彼女はただ、最期まで、自分の事を案じてくれていた。その想いに応えたい。
自分の神秘が、彼女に害を為すのなら、その神秘を調伏する。理由も聞かず、自分を信じて見送ってくれたヒナ委員長の為に。
スッと瞼を開く。外が明るくなりはじめたのを確認し、小鳥はベットから起き上がり、身支度を始める。
選んだ服に袖を通し、鏡で自分の姿を確認する。いつも通りだ。特に問題はない。
キャリーケースを引きながら部屋の外へ出る。もうここに戻ってくる事はないだろう。そして、小鳥は扉を開けて外へと出る。その足取りに迷いはなかった。
あとがき
以上をもちまして、風紀の狂犬シリーズは完結とさせて頂きます。
そして、第二部をこのまま、本作にて進めていきたいと思います。
本作を更新するに辺り、最終回をどうするかと色々考えていましたが、書いているうちに続編を書きたいとなり、設定も新たに構成していきたいと思っています。それに伴い、本作にて僅かに登場した名無しの少女が活躍する予定です。
もし宜しければ、引き続き本作の続編を見て頂けると幸いです。
追記
本作にて、伏線や設定など、回収しているとは思いますが、未回収があるぞ…や、これはどういう意味があったのかなどありましたら、メッセージもしくはハーメルン様のアカウントを用意していますので、そちらにDMなど、宜しくお願いします。
後、第二部が始まる前に、外伝的なものも作りたいと思っていますので、そちらも是非見て頂けると幸いです。
それでは、失礼いたします。