風紀の狂犬   作:モノクロさん

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狂犬ちゃんとあだ名

 ヒナがエデン条約に向けて動いている。そのサポートをすべく、小鳥は週に2回程度の風紀委員の活動を3回に増やした。

 

 小鳥の仕事は専ら不良生徒達が起こすトラブルの解決であり、ヒナの負担を僅かながらも減らす要因ともなっていた。

 

「不良生徒の制圧かんりょ〜でありま〜す。オツオツ〜」

 

 路地裏で不良生徒達が違法改造された銃火器を販売している。その報告を受けた小鳥は風紀委員を数名連れての現場急行。

 

 そして、その報告通り、違法改造された銃器を装備した不良生徒達と遭遇した小鳥は、瞬く間に不良生徒達を制圧した。

 

「相変わらず、すごい光景ですね」

 

 屍累々。ある者は壁に何度も顔面を叩きつけられ、ある者は顔や喉、胸と気絶して尚も銃床で殴られ続けた事による痣で埋め尽くされていた。

 

 風紀委員のメンバーはそんな光景を見て、顔を青ざめさせている。

 

「これくらいは普通でありますよ」

 

「いえ、どう考えても普通じゃありませんから」

 

「え、そうですか? 銃で撃たれて負傷するのと殴られ蹴られて負傷する……どちらもそう大差ないと思うのですよ」

 

 寧ろ弾を消費せずに制圧出来たから経費が浮いて超ラッキーとケラケラ笑う小鳥に、風紀委員のメンバーは苦笑いを浮かべる。

 

「と、談笑はこれにて終了。そろそろ本部に戻るでありますよ。やる事はまだまだ沢山あるのですからね」

 

 小鳥はパンパンと手を叩き、倒れている不良生徒を二人担ぎ、路地裏を出る。

 

 他の風紀委員もそれぞれが不良生徒を抱えて護送車に放り込むと、小鳥の後に続いた。

 

 護送車に乗り込み、本部への帰路に就く。その車内で、風紀委員のメンバーは小鳥に話しかけた。

 

「あの……小鳥ちゃん」

 

「はいはい、なんでありますか?」

 

「今更ですが、小鳥ちゃんのマスクや服や銃に返り血が付いてますけど、大丈夫ですか?」

 

「ん? あ〜、大丈夫でありますよ。この程度なら直ぐに落とす事が出来ますし」

 

 そう言って小鳥は、備え付けられていたタオルを取り出し、マスクを拭う。

 

 服は洗濯いきだなと思いながら愛銃に付着した血を拭くなか、風紀委員の1人がその様子を見ながらボソリと呟く。

 

「その見た目ですと、小鳥ちゃんのあだ名が的を得ているなって思いますよ」

 

「ん、あだ名ってなんですか?」

 

「えっと……生徒達が小鳥ちゃんの事を畏敬の念を込めてあだ名をつけてるみたいです。特に最近だと『血塗れの狂犬』とか『赤い死神』とかがありますよ」

 

「ほぉ、それは中々面白いですね。他にも何かあるのですか?」

 

 思いの外、あだ名が付けられる事に抵抗がなかったからか、それとも、帰路に着くまでの時間を潰したかったのか、小鳥の隣に座る風紀委員の子は、最近耳にした彼女のあだ名を思い出す様に羅列する。

 

「最近だと『ゲヘナのエリザベート』とか、『鮮血の狩人』に『イカれた戦闘マシーン』。後は『レッド・クリフ』とかも……あっ」

 

「……あっはっは。成る程、成る程。赤壁と書いて返り血を浴びた絶壁女と。このあだ名を考えた人は天才でありますなぁ。はっはっはっは……必ず見つけ出して血祭りに上げてやりますよ。拳でね」

 

「あ、あの、小鳥ちゃん。私がつけたあだ名ではないので、その握った拳を下げて下さいね?」

 

「えぇ、勿論であります」

 

 迂闊な風紀委員が怯えながらそう言うと、小鳥はにっこりと笑い、握っていた拳をゆっくりと下ろしていく。

 

 そして、ゆっくりと深呼吸をして、小鳥は口を開いた。

 

「さて、先程の件は情報部に問い合わせるとして、本部に戻ったら後は不良生徒達を救急医療部に引き渡すとして、他には…」

 

 そう言いかけた後、車内に携帯の着信音が鳴り響く。風紀委員に支給された緊急連絡用の携帯だ。小鳥は携帯に手を伸ばし、電話に出た。

 

 そして、暫く受け答えをした後、電源を切り、ふぅっと息を漏らした。

 

「また不良達が悪さを?」

 

「ん〜まぁ、不良と言えば不良なのですが……そうですねぇ」

 

「違うんですか?」

 

「何と言うか……まぁ、色々とあるのですよ」

 

 そう言って、小鳥は肩を竦めると窓の外へと視線を向け、ボソリと呟く。

 

「便利屋68がまたやらかしたみたいです」




次回はなんだかんだいって初めてのネームドとの戦闘になります。
※ヒナとの戦闘は細かな描写がなかったのですカウントされません。
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