風紀の狂犬   作:モノクロさん

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今回は少し短めです。


狂乱の宴 開幕

 眼下に広がるアビドスの自治区を見下ろしながら、狂乱の不死鳥は鼻歌混じりに笑みを浮かべた。

 

 楽しい宴の準備は整った。

 

 耳を澄ませばゲストの皆が列を成し、宴の時を、今か今かと待ち侘びている。

 

 さぁ、始めよう。

 

 宴の時間だ。

 

 皆には仲良く平等に、最初のドカンが始まりの合図。

 

 狂乱の不死鳥はポケットから携帯の端末を取り出し、画面に表示されたボタンをタップした。

 

 轟音と共に、アビドスの街から爆発と共に火の手が上がる。

 

 轟々と黒煙が舞い上がり、建物という建物がガラガラと音をたてて崩れ落ちる。

 

 さぁ、みんな。始まりの合図が鳴り響いたぞ。

 

 狂乱の不死鳥は高らかに両手を広げ、謳い上げる。

 

 楽しい宴の始まりだ。さぁ、皆で踊ろうではないか。

 

 楽しい宴の始まりだ。さぁ、皆で声高々に笑おうじゃないか。

 

 始まりの合図を聞いたゲスト達の身体が震えている。

 

 あぁ、ごめんね。待ち侘びていたよね。時間がかかっちゃって本当にごめんね。

 

 さぁ、歌おう。私と共に。

 

 さぁ、踊ろう。私と共に。

 

 朝日が昇り、黒煙が上がる街並みを、一羽の鳥が見下ろしていた。

 

 その鳥は、鼻歌混じりに、アビドス自治区の街並みを見下ろしながら、高らかに謳い上げる。

 

「さぁ、宴の始まりだ」

 

 その言葉は誰に向けたものなのか。それを知る者は一人もいない。

 

 その鳥は、朝日に照らされながら、ゆっくりと銃を掲げて、銃口を街へと向けた。

 

「楽しもうじゃないか。歌い狂え。踊り狂え。力尽きるその刹那まで」

 

 そして……引き金を引いた。

 

「はっはっはっはっ!!」

 

 笑い声が木霊する。その笑い声は何処までも響き、そして消えていく。

 

 消えゆくその声の余韻に浸りながら、狂乱の不死鳥は朝日に目を細めながら呟いた。

 

「さぁ、始めよう」

 

 ゲスト達が動き出す。

 

 狂気に染まりし宴の幕が、アビドス自治区を侵食する。

 

 怒号と悲鳴、破壊と蹂躙。

 

 アビドス自治区は地獄へと変貌する。

 

「あぁ、楽しいなぁ」

 

 狂乱の不死鳥は嗤う。

 

 アビドス自治区に、狂気が満ちる。

 

 改変された未来。改変された人々の記憶。在るべき未来を構成するべき過去の記憶の記録の改変が齎した地獄絵図。

 

 これが、小鳥とレンが齎した最悪の結末……否、この世界そのものが異様だったのだ。

 

 狂乱の不死鳥。彼女というイレギュラーが、小鳥とレンが訪れた事により、この世界は狂い始めた。

 

 本来ならば、彼女達が訪れた事で、救済される筈の世界だった。

 

 それを、彼女が捻じ曲げたのだ。

 

 故に、この世界は崩壊へと導かれたのだ。

 

 一頻り笑い声を上げた後、狂乱の不死鳥の頭がガクンと垂れ下がる。

 

「あぁ、そうだよね。うん、分かってるよ。私ならそうする。絶対に。それなら話は簡単だよね? その為に用意した場所なんだ。うん、うん、罠なんて仕掛けてないよ。だってそれじゃあフェアじゃないもんね」

 

 狂気に染まった笑みを浮かべ、狂乱の不死鳥が呟く。

 

「さぁ、私。終わらせようじゃないか。お前の仲間はもう使えない。それなら私を倒すしかないもんね。うん。分かるよ。だって私だもん。私だったらそうするからね。分かりやすいでしょ? おあつらえ向きの場所も用意したんだ。誰にも近付かせないよ。あぁ、でも、ヒナ先輩は別かなぁ。あ、そうだ。ヒナ先輩が見たら驚くかな? 私が2人いたら驚いて、笑って、笑顔になってくれるかな? そしたら沢山遊びたいなぁ。心ゆくまで遊びたいなぁ……だって」

 

 狂気に染まった笑みをそのままに、狂乱の不死鳥が顔を上げる。

 

「私ならそうするからっ!!」

 

 狂喜に歪む笑みを貼り付け、狂乱の不死鳥は、銃を空高く掲げて叫んだ。




感想ありがとうございます。
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お盆にかけて、作品が出来次第、更新していきたいと思います。
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