今回は半兵衛調略の前編です。
美濃国(後の岐阜県)では、美濃を治める大名、義龍が酒に溺れ古くから仕えてきた忠臣である竹中半兵衛を襲ったと悪名が広がっていた。
襲われた半兵衛は義龍の堕落さに失望して出奔したようである。
龍興side
「殿……義龍の野郎を出しやがれ!!よくも半兵衛の信頼を裏切りやがったな!!」
お兄ちゃんが治める直城、難攻不落の城と呼ばれる、稲葉山城の門の前に半兵衛ちゃんの父親、重元さんが鬼の剣幕をしながら怒鳴り込んでいる。
「重元さん。落ち着いてください」
「だからですね。義龍様はこのお城にいないですわ」
「ああ。だから帰った、帰った」
「話にならねえ!いいから義龍のクソ野郎を出しやがれ!!」
一豊君と左近さんと高虎さんが対応してくれてますが怒りは収まりそうにありません。
お兄ちゃんの事を悪く言う重元さんに三人もイライラしている。
「はぁー私を一緒に連れていかないからこうなるデスよ」
十兵衛さんは溜息を吐きながらお兄ちゃんに対して悪態を吐くと重元さんに近づく。
「重元殿、龍様と半兵衛が書いた文は拝見されてないのですか?」
「文?なんだそれ?そんなの貰ってねえよ」
十兵衛さんの問いかけに首を横に振る重元さん。十兵衛さんは重元さんの返答に顔を歪める。
可笑しい……半兵衛ちゃんの提案を聞いたお兄ちゃんは重元さんを含む城主のみなさんに文を書いて、忍のみなさんが届けたはずなのに……
「明智光秀。まだ渡してなかったみたい」
疑問に思っていると、原因と思われるくノ一の首根っこを掴んで引きずってきた三太夫さんが現れた。
「竹中重元。義龍様が書いた文を確認して」
「文……半兵衛と義龍からか……」
三太夫さんは文をくノ一から奪うと重元さんに渡す。
受け取った重元さんは愛娘と仕える主君からの文を読んでいく。
<お父さん……今流れてる噂は全て嘘です。龍君が織田家の武将の動きを確認したい事があるからわざと自分たちで噂を流しました。
それにどれだけ私たちがアピールしても逆に手を出してくれません……龍君は優しくて強くて格好いいんです。その後は義龍について惚れ話が続く……>
<重元。まずは嘘の噂を流してごめん。これから先の未来の為にどうしても確認したい事があるから噂を流した。ただ信じてほしい……俺は半兵衛を……みんなを大切に思ってる>
「そういう事か……疑ってすまなかったな」
「いえ。誤解を招くような事をした龍様が悪いので」
文を読み状況を理解した重元さんは落ち着きを取り戻すと謝罪した。
十兵衛ちゃんは首を横に振り悪態を吐く。
「お前は私たちの恩人である義龍様に迷惑かけた……」
誤解していた重元さんの怒りが収まり話は終わりだと思ったけど、静かに怒りを燃やす三太夫ちゃんがいた。
どうやらくノ一の人が文を届けるのが遅かったみたい。
「はい。頭領」
「死んで」
くノ一は自分の失態に覚悟が出来てたのか目を塞ぎ、三太夫ちゃんはクナイを構え殺そうと動く。
「やめて!!!!」
私の制止の声に三太夫さんは動きを止める。
「龍興様……止めないで。こいつは文を渡すのが遅れて義龍様に迷惑かけた……」
「うんそうだね……でもお兄ちゃんはそんな事望んでないよ」
「そうかもしれない……でも私は許せない」
冷静な三太夫さんの怒りからどれだけお兄ちゃんの事を大切にしているのか分かる。でも……お兄ちゃんはそんなことを望まないし、私も三太夫さん……お姉ちゃんに味方を殺してほしくない……
「お願い……お姉ちゃん」
「……!?龍興様……ごめん」
「ううん。お兄ちゃんの事を思ってくれてありがとう」
私の懇願に三太夫さんは怒りを抑え、クナイを腰に装備するとくノ一と話す。
「龍興様に感謝して……明日から訓練を厳しくするから覚悟して」
三太夫さんはそう言うと姿が消える。
くノ一の人も私に頭を下げると消える。
お兄ちゃん……みんなピリピリしてるから早く帰ってきて……お兄ちゃんと半兵衛ちゃんがいる井の口の町の方向を見て心の中で呟く。
龍興side終了……
織田家……
姫大名、織田信奈が治める尾張国(後の愛知県)清州城では。軍議が開かれており尾張を治める姫大名、信奈と姫武将二人と元美濃国を納めていたが追放された斎藤道三がいた。
「竹中半兵衛が出奔したでござる」
未来である令和から転移して来た少年、相良良晴の家臣である蜂須賀五右衛門は織田信奈に美濃で起きた事件を報告に来ていた。
「ふーん……義龍がね……蝮、どう思う?」
「酒に溺れ半兵衛を襲ったじゃと?あやつに限ってありえんな」
「デアルカ」
事件を聞いた信奈は義龍の父親である道三に問いかけると、道三はキッパリと否定した。
「勝家殿は斎藤義龍殿について詳しかったですよね?」
「ああ。戦場で見たけど強くて凄かったよ。それにそんな愚かな事をする義龍殿は嫌だ!!」
信奈の姉のような存在の女性、丹羽長秀、あだ名は万千代と呼ばれる。
長秀は勝家に問いかけると、勝家は嬉しそうに義龍についての武勇伝を語りだし、今回の報告された悪名、酒に溺れ女遊びをする義龍の姿を想像してしまうと悲鳴を上げる。
「そうね。あの化け物がそんな愚かな真似する訳ないわよね。どんな目的があるか知らないけど……明らかに罠だわ。無視よ、無視。はい!この話は終わり!!」
勝家についての武勇伝を聞いた信奈は手を叩くと話を終わらせるが五右衛門が言いずらそうに報告する。
「それが……相良氏たちは竹中半兵衛を調略に向かったでござる」
「……はぁ!?何勝手な事をしてるのよ!!あの……アホサル!!!!」
言いづらそうに主君の良晴の行動を報告した五右衛門。
信奈は目をキョトンとさせ意味が分かると顔を赤くしながら怒鳴る。
清州城では女の子の怒鳴り声が聞こえたと噂されていた。
義龍side
俺と半兵衛は稲葉山城を出ると井の口の町に向かい、井ノ口こ町に着くと空き家を買い半兵衛と二人で生活していた。
「龍君、ご飯のおかわりはどうですか?」
「ああ。貰うよ。……美味しいな」
「ふふふ。ありがとうございます。いっぱい食べてくださいね」
半兵衛が朝食を作ってくれて俺と半兵衛は食べていた。
料理が美味しく何杯でも食えそうだ。半兵衛は笑顔を浮かべながら俺を見ていた。
「どうした?俺の顔に何かついてるか?」
「くすん、くすん……このまま龍君と暮らせたら良いのに」
「……無理だ」
「ええ!?そう……ですよね……龍君は私なんかと一緒にいたくないですよね」
半兵衛は涙目になりながらも珍しく大声を上げるが俺は首を横に振る。
「そうじゃない。俺も半兵衛と暮らすの楽しいよ。みんなと一緒に暮らせたら良いと思う。平和な日の本ならなおさら……でも実際には違う。今は戦国の世だ。俺は美濃国の当主だから。半兵衛たちだけじゃなくて……俺を信じてくれたみんなを守らないと……いや、絶対に守る」
(ふふふ……だからこそ貴方に惹かれたんですよね……優しくてお馬鹿さんで、鈍感な男の子……)
「我が殿。私が……私たち家臣が殿を精一杯支えます」
三つ指を床に突き半兵衛は俺の目を真剣に見ながら答える。
「半兵衛……ああ。ありがとう。頼りにしてる」
「はい!」
「でもな……」
「ふぇ?」
「殿って呼ぶなって言っただろ?」
「ひ、ひぃ!!い、いぢめないで!!」
三つ指突く半兵衛の顔を潰すように両手で悪戯をすると可愛らしい悲鳴が聞こえる。
次の日……
次の日、義龍と半兵衛が住む家には猿顔の少年と伊達男と姫武将二人が訪れる。
「たのも!!」
「サル。私より先に行くな!」
「うるせぇ!!女たらしなんかに用事はねえよ!どっかに行け!!」
「やれやれもてない男の嫉妬は醜いものだな」
「何だと!?」
猿と呼ばれる少年と伊達男は言い合いをしていた。
「鮎美味しい」
「良晴さんも浅井さんも落ち着いてください。朝から迷惑ですみゃあー」
後ろにはサル顔の少年に買って貰った串に刺してある焼かれた鮎を美味しそうに食べる、姫武将と喧嘩を仲裁する姫武将の姿が見られる。
太閤と呼ばれる天下人、豊臣秀吉の運命を持つサル顔の少年のイベントが始まるのであった。
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次は後編です。半兵衛ちゃんとサル顔の少年との出会いです。半兵衛ちゃんはどうするのか楽しみにしてもらえると嬉しいです