斎藤義龍の野望   作:侍魂

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すいませんお待たせしました。



伍の巻 島左近と藤堂高虎と山内一豊

 

龍興side

 

小春改め、斎藤龍興が異世界転移して数年が過ぎました……でも驚きです。男ばかりだったはずの戦国武将が、この世界では姫武将といわれる、女の子になってるなんて……小学生三年生で、まだ学校では歴史の教科は習いませんが、友だちが戦国ゲーム好きで、付き合っている内に私も好きになりました。私はいわゆる歴女という女の子です。ちなみに好きなゲームは格好いい男の子たちが戦国時代で活躍する、戦国pasaraと戦国武装です。

 

「十兵衛さん、私が龍興ちゃんのお世話します!」

 

「半兵衛はゆっくり書物でも見てやがれば良いです! 龍興様のお世話はこの明智十兵衛光秀に任せるデス!」

 

「十兵衛さんは、小姓として龍君のお世話をしてあげればよいでしょう!」

 

「チ、チ、チ……今の私は小姓から昇進して家臣となったのデス! 半兵衛こそ軍師らしく戦に備えて作戦でも考えてやがれデス!」

 

 半兵衛ちゃんがお仕事の事を言うと、十兵衛さんが人差し指を左右に振りながら心外だと言う。

 

(本当に異世界に来ちゃったんだな……)

 

 何故異世界って分かったかというと、目の前で喧嘩する女の子たちがいるからです。あの二人はゲームでも有名で自己紹介した時にすぐに分かりました。

 

私と同じ銀髪で、美少女の半兵衛ちゃん。私より年齢が上ですが小柄で守ってあげたくなる美少女です。

 

「龍興ちゃんは困った事、分からない事はないですか?」

 

「大丈夫です! ありがとうございます!」

 

「そうですか……良かった。何か困った事がありましたら言ってくださいね」

 

 めんこ……美濃弁で人見知りする女の子、みたいですがそんな様子は見えず、私の信頼を得る為、ずけずけと付き合ってくれてます。訳を聞くと……昔、とある男の子が信頼を勝ち取るために何度もお話ししてくれました……だから私は仲良くなりたい子には頑張るって決めたんです……くすんくすん。私の義を龍興ちゃんに見てもらうので覚悟してください、と優しく微笑んでくれました。

 

 もう一人は金管を髪飾りにした大和撫子のような美少女の十兵衛さん。

 

「龍様の妹なのですからしっかりするですよ! 何かあればこの十兵衛にいくらでも言いやがれです」

 

この人は時々空気が読めないような気がします。しかし自分の為に無理をして頑張ってくれた母親に恩返しをする為に頑張る優しく努力家な女の子です。

 

 美少女が多いな!? 喧嘩の原因は私の取り合いをしてます。私の為に争わないで!!と言いたいところですが、本当の目的は違います。出会って数ヶ月ですが、お二人が分かりやすいので理解できました。私の義兄の取り合いみたいです。

二人が言い合いを続けてると、襖が開き、私たちの視線が集中する。黒髪の男の子が部屋に入ってきて二人の肩を叩きながら笑い私に話しかける黒髪の男の子。

 

「良い奴らだから龍興の世話をしてくれるんだ」

 

「あはは……そうだね」

 

私は義兄の頓珍漢な答えに苦笑いする。違うよ。お兄ちゃん。それはお二人がお兄ちゃんに好意を持ってるからだよ。このアニメに出てきそうな鈍感系主人公の黒髪の男の子は斎藤義龍。

 義理のお兄ちゃんで突然異世界に飛ばされて泣いてばかりいた私を優しくギュッと抱きしめて義理の兄妹として受け入れてくれて助けてくれた人。

何とこの人も私と同じで今から遠く離れた未来……令和から来たみたいで、正確には違って転生みたいですが……友だちと見に行った高校の剣道の全国大会で余裕で勝利し優勝した男の子。綺麗な剣技で友だちは見惚れていたけど、私にはお兄ちゃんが何だか寂しそうにしてる印象だった。

 

「あっ悪い鍛錬してたから汗臭いかも」

 

お兄ちゃんは外で鍛錬をしていて沢山汗をかいたので、鼻息が荒くなった二人に気づくと謝罪する。

 

「い、いえ全然、もっと嗅ぎたいなって……っ// た、龍君が頑張った証なので私は気にしません!!」

 

「もっと近くに来ても良いですよ龍様~ 私は気にしないデス」

 

 半兵衛ちゃんは本音を言ってしまい、顔を赤らめると慌てて建前を言い、十兵衛さんは隠すこともなく素直な気持ちを言う。

 

「あはは。そんな分けないだろ……水浴びしてくる」

 

「うん分かった!」

 

お兄ちゃんは二人の主人だから臭いのを無理して大丈夫と言ってると思い身体を洗いに水浴びしに行く。

 

「龍君……」

 

「龍様……」

 

「「それにしても……良い匂い(デス//)でした//」」

 

 顔を赤らめて物欲しそうな顔でお兄ちゃんの出て行った先を見つめる変態さんたち。

 って!? 私をこの変態さんたちと一緒に置き去り!? 

 

義龍side

 

さて水浴びでもしに行くか……うん? 城を出たときから感じてた視線。気のせいと思って放置してたけど……更に強くなったな。

 

「俺の跡を完全につけてるな……まあこの人数なら放置してもいいか」

 

 俺は鏡栗毛に乗り走らせ、稲葉山城から下山した先にある大きな川、長良川に到着する。

 

「相変わらず綺麗な川だ」

 

 着物を脱ぎ身体を洗っていると、殺気が向けられ、視線を向けると、突然槍を使って襲いかかる紫色の髪の女性がいた。

 視線に気づいていた俺は近くに置いていた刀を鞘から素早く引き抜くと、刀を下段から上段に振り上げ、槍を空高く打ち上げる。

 

「お前、俺が城を出た時からずっと跡を付けていたな?」

 

「ふふふ気づいてるいらっしゃるとは流石は美濃の鬼神様。わたくしは島左近。よろしくお願いしますわ……しかし油断しすぎですわ」

 

「はあっ!!」

 

 左近が口元を手で抑えながら笑うと、岩場に隠れて機械を探り隙を見せた俺の背後から一気に刀で斬りかかる赤髪の少女。

 

キンッ!!

 

「知ってたさ」

 

当然俺は赤髪の少女の視線にも気づいてたので、刀を背中に移動させて振り返る事も無く刀を刀で受け止めた。

 

「左近……」

 

「ええ。高虎。やはり凄いお方ですね」

 

 左近と高虎はひざまずく。

 

「わたくしは島左近です! 千人斬りを果たし、戦場に降臨した美濃の鬼神と天下に名を轟かせた斎藤義龍様にお仕えしたいと思います!」

 

「アタシは藤堂高虎です!! 同じく義龍様に仕えたくて来たぜ!」

 

 俺に仕えたいという島左近と赤髪の少女、藤堂高虎……

 確か島左近は、後に天下分け目の関ヶ原の戦いで有名な石田三成、三成に過ぎたる者あり、佐和山城と島左近って言われる程の武将。藤堂高虎は城作りの名人として有名な武将だったな……それにしても……二人も女の子になってるとはな。

 

「へえ大将。アタシの身体に興味あるのかい?」

 

「興味ないよ」

 

「へへへ! それはそれで傷つくぜ」

 

 男だと思っていた二人が姫武将になっていたので、ついじろじろと見てしまい、高虎は手で身体を隠しながら悪戯を思いついたように聞いてきて、左近は横から弁護する。

 

「そうですわ。貴方のような貧相な身体に殿方が興味ある訳ないですわ」

 

「何だと!? お前みたいな巨漢に言われたくねえよ!」

 

「巨漢ですか……頭にきましたわ。義龍様にお力を拝見してもらうため、良い機会ですわ! ここで討ち取らせてもらうことにしますわ!」

 

「上等! それはアタシの台詞だ!!」

 

 売り言葉に買い言葉、口論がヒートアップした二人は互いに得物を構え武器を振り下ろそうとすると……

 

「いい加減にしろ」

 

 殺気を放ち恐怖した二人は構えていた武器を停止した。

 

「俺に仕えたいと言って、お前らが殺し合ってどうする?」

 

「すみません」

 

「悪い」

 

「どうしてもというなら……俺が相手になってやる!!」

 

「「え?」」

 

 俺は刀を構え二人に襲いかかる。二人は得物である槍と刀を持ち抵抗するが……無駄に終わり森の中に二人の悲鳴が響き渡る。

 

「はあ、はあ……やっぱり大将化け物だぜ」

 

「ええ。わたくし実力がある方なのですが……」

 

「アタシもだぜ!」

 

 義龍と戦い息を乱しボロボロな二人が元凶を見ると無傷で背伸びをしていた。

 

「「絶対に勝て(ねえ!)ないですわ!」」

 

 二人の気持ちがシンクロした瞬間である。

 

「すいません!」

 

 汗をかきながら慌てて走ってきた黒髪の少年が俺に尋ねてきた。

 

「無礼者! このお方をどなたと思われる!」

 

「美濃の次期当主である、斎藤龍興様だぞ!」

 

「……!? 義龍様!? ご、ごめんなさい!」

 

 二人が俺に近づく黒髪の少年に告げると、少年は、俺に気づき慌ててひざまずく。

 

「気にするな。それより俺はお前らが家臣になる事認めてないぞ」

 

「何だと!?」

 

「当たり前だろう? 俺の命を狙ったお前らをどうして家臣にしないといけない」

 

 俺の正論に目に見えるように焦り出す二人。左近は脳内で思いついた策を俺たちに伝える。

 

 

「ごもっともなご意見……ならば誠心誠意、害がない事を知ってもらう為に人肌脱ぎましょう! ……高虎ちゃんが」

 

「アタシがかよ!? その大きな胸の左近の方が良いじゃねえか!」

 

 左近の自分を売る発言に、辺りに鳴り響くほどのツッコミを入れる。

 

「巨漢なわたくしより、殿方に好かれる細い身体をした高虎の方が良いと思いますわ」

 

「お前根にもってるだろ!? 悪かったって!」

 

 戯れる二人に少年はためらいを見せる。

 

「あ、あのう……」

 

「そこの二人は気にしなくていい……それより慌ててどうした?」

 

「それが……千代ちゃん……女房が人攫いたちに攫われたんです……今追いかけてて」

 

「奥さんが……方角は?」

 

「あっちの方です」

 

「分かった。お前名は?」

 

「山内一豊です」

 

 山内一豊。後の土佐藩藩主……それにしても男の武将か……当たり前だがこの世界に転生して初めての出会いに感動する。

 

「一豊……俺も手伝うよ……後ろに乗れ」

 

「えっ?」

 

「いいから行くぞ」

 

 身体が日差しに当たり乾いてきたので着物を着ると、近くで大人しく水を飲んでいた鏡栗毛に乗り、唖然としていた一豊の手を引っ張り無理矢理後ろに乗せる。

 

「左近、高虎! お前らは後から追いかけて来い」

 

「義龍様!!」

 

「大将!」

 

後ろで俺の名を呼ぶ二人を気にせずに鏡栗毛を疾走させる。

 

「大将行っちまったな……どうするよ?」

 

「当然追いかけますわよ」

 

バーン!!

 

銃声が鳴り響き足下を見ると銃弾が打ち込まれていた。発砲された場所を確認すると、十兵衛が火縄銃を構え、半兵衛は札を持ちいつでも式神を召喚出来るようにしていた。

 

「龍様は何処にいやがるデスか!!」

 

「答えてください……貴女方と龍君が戦った事は分かってます」

 

 半兵衛は先程の戦いの所為で出来た欠けた岩場や他の現場を見て推理したようだ。

 

「おい! アンタら!! いきなり火縄を発砲ってふざけてんのかよ!!」

 

「ふざけてるのはお前たちです!! 早くどこに居るのか案内しやがれデス!!」

 

「高虎、抑えなさいですわ」

 

「十兵衛さんも抑えてください……この人たちが龍君の居場所を知ってるのは確実ですから」

 

 突然襲いかかった十兵衛に切れる高虎。十兵衛も義龍様の身に何かあったと思うと焦り、中々話さない高虎に苛立ちを見せる。そんな両者を左近と半兵衛が止めるが……一触即発の雰囲気である。

 

「半兵衛さん、十兵衛さん! この人たちは関係ないと思います!」

 

「失礼ですが……この女の子は?」

 

半兵衛たちに言われて岩場に隠れていた龍興が飛び出すと、喧嘩を仲裁する為四人の間に入り謎の少女の登場に左近が問いかける。

 

「このお方は斎藤龍興様です……龍君……斎藤義龍様の妹です」

 

「へえー大将の妹ねえ~ ……妹!?」

 

「まーあ……驚きましたわ」

 

 半兵衛が、龍興が義龍の妹君だと説明すると、惚けたように吹いていた高虎は絶叫し、左近は上品に笑みを浮かべるが驚きの余りフリーズする。

 

 

 

鏡栗毛を馬走する事数分後・・・大勢の盗賊たちと縄に縛られた少女がいた。

 

「千代ちゃん!?」

 

「落ち着け……」

 

 大切な奥さんの身が危険なので一豊は焦燥の念が動かして駆け出そうとするが、俺は腕を掴んで止める。

 

「義龍様」

 

「俺があいつらの前に出て隙を作る。お前は奥さんを助けろ」

 

「義龍様……しかし義龍様にそんな危険な真似を……」

 

 美濃国の偉い人を囮にして万が一を想像した一豊は躊躇う。

 

「心配するな。俺は美濃の鬼神だぞ。あいつら程度、俺が全員斬る」

 

「義龍様……ありがとうございます!」

 

 俺の言葉に一豊は安心したのか深く頭を下げた。俺は堂々と大勢いる盗賊たちのど真ん中に歩いて行く。

 

「おい。お前ら。その子を離せ」

 

「何だてめえ。この人数差が分からないのかよ?」

 

「ははは! うつけが」

 

 俺の言葉を聞いた盗賊たちは失笑する。

 

「うつけね……」

 

「がは!!」

 

 油断している盗賊たちに刀を振るうと数人を殺害した。

 

「アンタら敵って事で良いんだな? ……いいぜ。てめえら全員俺が……叩き斬る!!」

 

「……ち! やれお前ら」

 

頭領の指示で手下たちは一斉に襲いかかる。

 

「覇王御剣流・・・三の太刀……守亀」

 

 焦らず鞘に収まれた刀の柄を持ち、深く深呼吸し息を吐くと、刀を鞘から引き抜き、自身の周りを円上に切り裂くと、囲んでいた手下たちは一気に血を吹き出して倒れる。

 

「お前! こっちには人質がいるのにいいのかよ!?」

 

 俺の実力を間近に見た頭領は恐れ捉えていた少女を人質にしようとするが……

 

「人質……何処にいるんだ?」

 

「何だと!?」

 

 俺に視線が釘付けになっていた隙を突き、一豊が千代を上手く救出していた。

 

「上出来だ。その子は頼んだぞ! 一豊!」

 

「はい!」

 

 俺の言葉に元気よく返事をする一豊。俺は目の前の大勢の敵たちに視線を戻す。

 

「美濃の鬼神……斎藤義龍……参る!」

 

「ひぃ……こいつが美濃の鬼神……て、敵はひ、一人だ!! や、やれ!!」

 

 俺の名乗りに恐怖した頭領は言葉を噛むが手下たちに指示した。手下たちは一斉に襲いかかり、俺は敵たちに向かって駆け出す

 

「これが……戦場で見た美濃の鬼神……」

 

「凄え……」

 

半兵衛、十兵衛、龍興と合流した左近、高虎たちがその場に着くと大勢いた盗賊たちが倒れていて周りは血の海である。

 

「龍君!!」

 

「龍様!!」

 

「よう半兵衛、十兵衛」

 

 二人は涙を流しながら俺に抱きつき二人を受け止める。

 

「もう心配したんですよ!!」

 

「ご無事で良かったデス!」

 

「半兵衛……十兵衛……ごめんな……ありがとう来てくれて……」

 

 二人の目元に流れた雫をそっと拭き取り謝罪すると安心した二人は可愛らしく笑みを浮かべる。

 

「もう安心したみたいだから離れてくれ」

 

「いいえ……まだ駄目です!」

 

「心配掛けたのでこのままいてほしいですぅ!」

 

「ご迷惑(ですか)でしたか?」

 

 二人は上目遣いで俺に尋ねる。

 

「迷惑じゃないよ」

 

 俺が頷くと二人は安心したのか抱きしめる腕に力が入る。流石に心配かけた二人を無理に引き離す気にはなれないな。それに美少女の二人に抱きしめられるのは嬉しいしな。まあ、これが大切な友だちだからだと思うと残念だけどな……

 

 

「あはは!お二人は相変わらずだな……」

 

 ハルが俺に近寄ろうとすると、ハルの足下からガサガサと動く。

 

「……!? ハル!! 来るな!!」

 

「美濃の鬼神の妹か……せめてこいつだけでも道連れに……」

 

「へっ?きゃあ!?」

 

 足下に転がる頭領が起き上がりハルに襲いかかる。間に合うか……刀を握るおうとするが距離がありすぎて間に合わない。

 

「危ない!」

 

「龍興ちゃん!」

 

「大将の妹に触るんじゃねえ!!」

 

 近くにいた一豊が切りつけ、左近が突き刺しとどめに高虎が頭領の首を取る。

偶然なのか、それとも運命なのか……この場にいた四人は後に義龍四天王と呼ばれこの先の未来俺を支えてくれる。

 

「ありがとう。妹が世話になったな」

 

「い、いえ……僕の方こそ千代ちゃんを助けてくれてありがとうございました」

 

「よ、義龍様ありがとうございました……いっ痛い……」

 

 妹を助けてくれた事に礼を言う俺に対して一豊と千代も深く頭を下げて礼を言う。千代は足を捻ったのか怪我をしてるようで顔を歪める。

 

「千代ちゃん!? 大丈夫!?」

 

「うん……大丈夫だよ」

 

「歩けるか?」

 

「は、はい何とか……!?」

 

 心配する一豊に返事を返す千代。俺が問いかけると歩こうとするが駄目みたいだ。

 

「一豊、馬には乗れるよな?」

 

「は、はい! 乗れますが……」

 

「お前らは鏡栗毛に乗ってけ」

 

「貰ってもいいんですか?」

 

「馬鹿をいうな。貸しだ……必ず返しに来い」

 

「はい!! 恩に着ます!!」

 

 優しく鏡栗毛に千代を乗せると駆け出させる一豊と、見えなくなるまで頭を下げ続ける千代。

 

「俺たちも城に帰るか」

 

「「「はい! はいデス!」」」

 

 返事を返す半兵衛たち。

 

「あのう」

 

「アタシたちは……」

 

 不安そうに自身たちの処遇を問いかける左近と高虎。

 

「何をしてる? お前たち。一緒に来ないのか?」

 

「うふふ。よろしくお願いしますね。義龍様」

 

「よろしくな大将!」

 

 俺の言葉に月のように美しい笑みを浮かべる左近と太陽のように眩しく笑う高虎がいた。

 この日、島左近と藤堂高虎は俺に仕え、そして数日後に山内一豊も仕官しに来るのであった。鏡栗毛を返しにきたが、気性の荒い鏡栗毛自身が一豊と千代の事を気に入ったようなのでそのまま上げた。

 

 

数年の年月が経つ、美濃の鬼神、斎藤義龍。天才軍師、竹中半兵衛。副将、明智光秀。島左近、藤堂高虎、山内一豊、斎藤龍興の四人は義龍四天王と呼ばれた。

 

数年後・・・

 

数年の年月が過ぎ……戦国最強と呼ばれる武田信玄が東美濃にある岩村城を奪う為に1万の軍勢を率いて攻めてきた。親父殿の命令で迎え打つ事になった俺たち義龍軍は一万の兵を率いて岩村城に陣を敷き睨み合う義龍軍と武田軍。

 

「あれが武田の騎馬隊……」

 

「龍君何だか楽しそうですね」

 

 楽しそうに見ている俺に兵衛が尋ねると答える。

 

「おう。戦国最強と呼ばれる武田の騎馬隊と戦えるなんて楽しみで仕方ない。それに天才軍師半兵衛の策を信じてるからな」

 

「龍君//」

 

 外が暑いからなのか顔を赤くする半兵衛。そんな半兵衛に対抗してか十兵衛が俺と半兵衛の間に入る。

 

「龍様! 龍様! この十兵衛が必ず活躍しますデス!!」

 

「また貴方ですか!? 邪魔をしないでください!!」

 

「邪魔などしてないデス!! 羨ま……ゴホン、戦場でイチャつくなです!!」

 

 半兵衛と十兵衛はいつも通り言い合いをする。

 

 

「相変わらずだな。軍師殿に副大将殿はよ」

 

「そうですわね。貴方も羨ましいんではなくて?」

 

「あ、アタシはそんな事はねえよ!?」

 

「うふふ。顔を赤くしてお可愛い事。わたくしは半兵衛ちゃんと十兵衛ちゃん、お二人が羨ましいですわ」

 

 左近と高虎はコソコソと話をしている。

 

「お嬢様、何か気になる事でも?」

 

「あっ、一豊さん。武田信玄が攻めてこないのは何かの策を閃いたからだと思うの」

 

「何かの策ですか……」

 

「例えば……」

 

 口を閉ざして何かを考えてる龍興に一豊が聞くと、大人しい武田軍に不信を抱き未来の知識から読みとった龍興の考えを言おうとすると半兵衛が答える。

 

「啄木鳥の戦法ですね。武田信玄の軍師山本勘助が案を考案して川中島で使ったとされる策の」

 

「はい!」

 

 天才軍師半兵衛は過去に川中島の戦いで使った策を知ってたのでその戦法を言うと龍興は頷く。

 

啄木鳥の戦法とはその名の通り、啄木鳥が木の穴に入った虫を捕らえるために、木を突っついて穴から追い出す習性をヒントとしたことから山本勘助が思いつく。

 敵陣に自身の部隊を進軍させるなどして、敵軍を挑発しておびき寄せ、敵軍がそちらに気を取られている間に、その背後から本隊が一気に攻撃を仕掛ける戦法。

 

「でもその策は越後の龍、上杉謙信に破られた筈ですし、そんな策をあの最強といわれる武田信玄が使うのかな?」

 

「恐らくですが、余程策を破られない事に自信があるからで使われるのか、それとも嫌な思い出があるから過去を乗り越える為に使われるのか……くすん、くすん。少なくとも夜中には私たちの背後に移動した武田の別働隊が襲撃するかと思います」

 

 龍興は一度破られた策を使うか半信半疑であるが、半兵衛は必ず信玄は使う事を予想して義龍に進言する。

 

「啄木鳥の戦法か……ならば別働隊が周りこんでる隙にそのまま本体を奇襲するぞ」

 

「はい! 龍君、私に策があります!」

 

 俺の号令に返事を返す半兵衛たち。半兵衛は何かの策を思いつき俺に伝える。

 

「分かった。作戦は半兵衛に任せる!」

 

「はい!」

 

 時間になると俺たちは出陣して武田軍に奇襲を仕掛け激しい戦闘が行われる。

 

 プロローグに戻り、俺はこの戦場の大将武田信玄に三度切りかかるが、信玄が持っていた鉄製の軍配で受け止められる。

 

「貴様名は?」

 

「俺は斎藤義龍」

 

信玄は俺の名を問いかけ俺は名乗る。

 

「貴様が美濃の鬼神か……アタシの名は、甲斐の虎、武田信玄。やるじゃないか! このアタシに斬りかかるとは……謙信以来だ」

 

 自身の名を名乗ると新たな好敵手を見つけたように不適な笑みを浮かべる。

 

「信玄様!」

 

「何だ昌信」

 

 武田四天王の一人、逃げ弾正と呼ばれる高坂昌信が慌てて信玄に戦況を伝える。

 

「お味方総崩れです! 逃げましょう!」

 

 どうやら半兵衛が指揮をとり背後に周っていた敵を迎撃する為に「十面埋伏陣」という独特の戦法を使い撃退したようだ。

 これは、敵が通ると予想される場所に、あらかじめ伏兵を仕込ませて置き、敵兵が通り過ぎるのを待って、背を向けたところを全方位から攻めるという手法。

 

「何!? 仕方ないな……義龍! 決着はいずれつけるぞ!」

 

「ああ」

 

 信玄は撤退していく。俺たちはあの戦国最強と呼ばれる武田信玄に勝利したようだ。

 

「みんなご苦労だったな……カチドキを上げるぞ……エイエイ」

 

「オー!!!!!」

 

 俺たちは拳を空に向けて大声で勝ちどきを上げる。そして帰投していく。

 

信玄との戦から数日が過ぎ……親父殿が大うつけと評判の織田信長……いや、姫大名、織田信奈に正徳寺で会見を申し込む。

尾張風雲児と呼ばれる少女と豊臣秀吉の意思を受け継ぐ未来から来た猿との出会い。

 

「お前が天下を治める程の大器なのか見定めさせてもらうぞ……織田信奈」

 

「龍様!! 行きましょう!」

 

 俺の護衛として着いてくる十兵衛の呼び声に頷き親父殿と共に聖徳寺に向かっていく。

 

 

小話 妖刀と運試し

 

 井ノ口の町に兄妹水入らずで買い物に来た義龍と龍興。

 

「おじさんその刀は売ってるのか?」

 

「その刀? お兄さんその刀は止めた方がいいよ。その刀は妖刀、龍牙。大勢の人間を呪い殺してきたのさ」

 

 店員のおじさんの話では妖刀、龍牙の持ち主は不幸な事故があり、例えば健康な人が突然口から血を吐いたり、自害をしたりと持ち主の居なくなった妖刀はこの刀屋に流れついたみたい。

 

「そうかじゃあ、俺の運と妖刀の呪いどっちが強いか勝負といこうか」

 

「「へっ?」」

 

 私とおじさんの間抜けな声。お兄ちゃんは妖刀を空高く投げると、右腕を横に伸ばし、投げられた妖刀は上空をクルクルと回り落下してお兄ちゃんの腕を切……らず見事に避けて地面に刺さる。

 

「呪いに打ち勝ったな。今日からこの刀、龍牙は俺の物だ」

 

 不適な笑みを浮かべるお兄ちゃん……ロロロロ・ロロかよ!? 海賊王を目指す麦わらの一味みたいな事をするお兄ちゃんについツッコミを入れてしまう

 こうしてお兄ちゃんは名刀虎御前と妖刀龍牙、二刀流で戦場を暴れ回る。お兄ちゃんの姿を見た人たちは鬼が金棒を得た。もしかしたら現代で使われたことわざ鬼に金棒はここからきたのかな?




次は遂に主人公たち登場です。

好きなヒロインと見てみたいヒロインの話

  • 竹中半兵衛
  • 明智光秀
  • 島左近
  • 藤堂高虎
  • 斎藤龍興
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