欠片達 作:グランベル
「フシュルルル
私はゴルベーザ様の配下にして『土のスカルミリョーネ』
…さぁ、貴様等の力を見せよ!」
そう言って
…なんでこうなったんだろうなぁ
内心俺は深いため息をつきながら無理矢理テンションを上げていた
----
ゴルベーザ
割と世間に知られている某ロングシリーズの第4作において、序盤からその名前は頻繁に登場
終盤になって漸く敵ではなく、黒幕に操られていた事が判明した黒衣の魔道士
…魔道士だよな?
名前を知らずとも、このセリフを知っている人はいると思う
いいですとも
これは終盤、物語の黒幕と思われていたゴルベーザが実は月にいる人物に操られて各地のクリスタルを手に入れんが為に動かされていた事が判明。月の民の長老であるフースーヤと共に月の地下渓谷の先に待ち受けていたゼムスを倒す際の名(迷?)台詞である
シリーズにおいて、最強クラスの魔法であるメテオ
この物語においては知性の高い黒魔法の使い手が多い為に
まぁ、実のところ無属性ではなくこの作品の場合、聖属性であったりするので聖属性吸収の敵には効果がなかったりする訳なんですけどね
カンスト気味のこの魔法を2人同時に唱える事により『Wメテオ』となる。なお、ダメージ限界突破などという概念は当時無かった為にカンストとなりました
これを受け、ゼムスは
このゼロムスは非常に面倒な事に外装は聖属性吸収というもの
やっている事自体はゲスの極みでしか無いのに、何でそうなったのやら理解に苦しむ所ではある
本質を照らし出す為にはクリスタルの力を引き出さねばならないのだが、長い事ゼムスに操られ悪事に手を染めたゴルベーザではクリスタルの力を十全に発揮する事が叶わなかった
逆にメテオで返り討ちにあい、2人とも瀕死の重傷を負う事になる
意識を取り戻した
だが、どの様な理由があったとしても地球と月双方に混乱をゴルベーザが齎したのは事実
その為、ゴルベーザはフースーヤと共に長い眠りにつく事を選び、セシルと別れる
----
専用のBGM
明らかに他の敵キャラクターよりも作り込まれたグラフィック
個性的でありながらも、最後まで忠を捧げた四天王
純粋なキャラとしても、ネタ要員としてもゴルベーザは魅力的なものだったのではないだろうか?
それはそうとして、だ
明らかにゴルベーザの方がプレイヤーの印象が強い。
…強くはあるんですけどね?
ゴルベーザの手足となったのが『ゴルベーザ四天王』
アンデットを操り、一度セシル一行に倒されてもアンデットとして再度襲いかかった『土のスカルミリョーネ』
軍事大国バロンの国王を亡き者とし、バロンの軍事力を以ってクリスタルを集め、死して尚セシル一行を滅ぼさんとした『水のカイナッツォ』
ゴルベーザの拠点であるゾットの塔において最後の砦となり、自身が敗れてなおもゾットの塔の自爆によりセシル一行を倒さんとした『風のバルバリシア』
地底において、バブイルの塔と奪ったクリスタルの守備を任され強力な忍術を操る者達の国であるエブラーナを滅ぼした武人『火のルビカンテ』
その他にもバロンの近衛隊長ベイガンやゾットの塔においてセシル一行に立ち塞がったメーガス三姉妹
世界中において暗躍したと言っても決して過言ではない
----
そして彼等は一度敗れたものの、ゼムスによって再び雪辱の機会を与えられる事となり、地上を破壊せんとした封じられた巨人『バブイルの巨人』の内部においてセシル一行に立ち塞がる
…が、いかんせん彼等には明確な弱点がありそれに対して多大なダメージを与え得るリディアとフースーヤがパーティにいる事もあり、そこまで脅威に感じる者はいなかったのではなかろうか?
----
そんなゴルベーザ四天王の中でも印象が薄かったと思われる筆頭が『土のスカルミリョーネ』
セシルの血塗られた過去との訣別、暗黒騎士から
その直後にセシルがパラディンとなり、テラが魔法を思い出す(一部除く、メテオはMPの関係上使用不可)
そのスカルミリョーネが私な訳でございまして
…うん。まぁ、なんと言いますか今風に言えば『踏み台』ですかねぇ(ため息)
某アプリで見事にプレイアブル化されたルビカンテやバルバリシア
軍事大国であり、飛空挺団『あかいつばさ』を有し序盤からその存在感を示していたバロン王に成り代わったカイナッツォ
それに比べて何とも地味な役割と言えるでしょうね
死してなお、セシル一行を滅ぼさんとしたカイナッツォやバルバリシア。武人として全力の死合いを求めたルビカンテ
それに比べるとなんだかなぁ。と思わざるを得ないのが私スカルミリョーネ
確かに暗黒騎士であるセシル相手ならば、配下のスカルナントはゆういに立てる。が、いかんせんセシルは単身で試練の山に挑んだのではなく、
特に未完の大器であるパロム、ポロムはレベル上げをする事によりバランスブレイカーとなり得るだけの才能があります
ポロムは白魔法、パロムは黒魔法をそれぞれ扱い、テラよりも使い勝手は良かったりします。
ですが、続編にあたる『ジ・アフター月の帰還』において、スカルミリョーネは真月にて再登場
「私もまた、青き星の生命の一つ」
と主君であるゴルベーザや宿敵であるセシル相手に印象深いセリフを残しています
仮にゴルベーザがゼムスに操られていたとしても、それでもスカルミリョーネなりにゴルベーザに対して心から従っていたのかも知れません
----
そんなスカルミリョーネに私はなってしまった様です
…なんで?
俺何か前世で大罪犯しましたか?
…と嘆きたくなりますが、私にとって思い出深いFFⅣの世界であればまぁヨシとします
なお、イージータイプは擦り切れる程やり込みましたし、続編のジ・アフターも一通りプレイしました
が!関連書籍を網羅する事は遂に叶わず、DS版やノーマルタイプのプレイにPS版もプレイしておりません!
叶うならば原作キャラと関わりたく思いましたが、
…まぁ、マップ画面上のキャラはモブと同じフード姿なんですけどね?
----
さて、スカルミリョーネの大きな特徴として挙げられるのが
『土の』と付いているにも関わらず、それっぽいモノが無かった事でしょうか?
まぁ?アンデットを従えてたり、自身がアンデットとなって襲いかかるのでその辺は土要素なのかも知れませんが
因みにお付きのスカルナイトもおりまして、暗黒騎士であるセシル相手ならば優位に立てるでしょう
…セシル単体ならば、ね?
----
しかしながら、世の中そこまで甘くはありません
元々ミシディアの水のクリスタルを奪ったという過去を持つバロンの暗黒騎士であるセシル
本人は既にバロンに寧ろ反抗していると言った所で、それを素直に信用するには余りにも彼と彼の率いていた飛空挺団『あかいつばさ』がミシディアの魔道士達にした行ないは非道に過ぎました
故に試練の山で過去との決別をしようとするセシルに対してミシディアもそれ相応の対処をせねばなりません
ミシディアの長老はセシルの中にある葛藤や苦悩を見抜けていたとしても、それをミシディアの住民全てが支持する訳ではありませんからね
そこで長老は双子の魔道士であるポロムとパロムをセシルに付けました。未だ若いと言うよりも幼い2人ではありますが、その潜在能力はミシディアにおいても屈指のもの。加えて姉であるポロムは歳にいる似合わない落ち着きと考え方を持っています。年相応の奔放さのあるパロムの抑え役としてセシルもそこまで不思議に思う事のない人選と思われるでしょうし
…問題なのは、この2人魔道士としては優秀なんてレベルではなく初期のレベルこそ低いものの育てれば育てるだけの高火力或いは高すぎる支援能力を発揮してくる事
プレイヤーとしては非常に有り難い存在ではあるのですが、実際に敵対する側としては勘弁して欲しいと思う次第
あとそれなりに使い勝手の高い賢者までいるときた
----
物理攻撃と防御は任せろ!
暗黒騎士セシル
黒魔法とふたりがけで敵を薙ぎ払う!
双子の弟魔道士パロム
白魔法で味方をサポートしつつ、隙あればふたりがけで支援します!
双子の姉魔道士ポロム
火力も支援能力もそこまで無いが、どちらも出来るぞ!
賢者テラ
----
とまぁ、要約するとこうなる訳
幸いにもテラの魔法が解禁されるのはセシルがパラディンになってからなので、あたおかな超火力で焼き払われる事は…
………ないよね?(滝汗)
余談となるがこの人物、かつてプレイヤーとしてしていた頃はクエイクでスカルナントを一掃していたりする。スカルミリョーネ?そりゃもう
リリスちゃんは経験値的にも、リンゴ的にも美味しゅうございましたからね?効率の良いレベリングには良い獲物でしたね
山頂付近でしかエンカウント出来なかったのが少し残念ではありましたが
…でも回復ポイントがすぐそばに有るのは素敵な事だと思います
FFⅣでは経験値は戦闘終了時生存しているメンバーの数で割るシステムだった
ゆ え に
や『おねえちゃんとおとうとのたのしいしゅぎょう』
なんて無法を繰り返したもの
と言っても状況的には一刻も早くバロンの暴走を止めないといけない
そうセシルは焦っていると思うので、足を止めるとしてもそこまでの期間ではないと思うのです
----
ま、そこら辺は完全に運任せとなるわけでございまして
「頼むぞ、スカルミリョーネ」
「お任せをゴルベーザ様」
例えどの様な事であろうとも、こっちも退けないんだよね
操られていようが、俺は確かに
俺は固く決意するとゾットの塔を後にした
----
「くっ、剣が通じない!?」
「セシル!あれはアンデットじゃ
お主の剣ではどうにもならぬ。後ろのフードの人物を叩くのじゃ!」
「パロム、アンタは」
「分かってるって
纏めて焼き払えば良いんだろ?」
(あらやだこの幼子物騒)
セシル達との戦闘に入った訳だが、一応俺なりに鍛えたスカルナント2体を前衛に、2体を中衛とし俺は後列から魔法を放つ
一応多少火に対する耐性をつけさせているものの、それでどうにかなるとも思えないのが本音だ
何せこちらは
回復手段もない
もう少し時間があれば、ルビカンテに頭を下げてでも鍛えてもらう様に頼みたかったのだが
…無理か
ルビカンテはエブラーナ攻略と地底のバブイルの塔の守備や地底にあるジオット攻撃なども考えにゃならん
俺よりも遥かに忙しいのは明白
カイナッツオはバロン王に成り代わっているから接触するのも無理だろう。…いや、カインを利用すればワンチャンあったか?
バルバリシアならゴルベーザ様の力になりたいと話せば万一可能性はあったのかも知れない
今更の話か
さて現実逃避はこれくらいにしておこう
セシルは予想の範疇。テラは魔法よりもその豊富な知識と経験の方が寧ろ怖い
となると注目すべきはやはり
「大丈夫ですか、今回復します!
『ケアルラ』」
流石にふたりがけは使わんか。火力は絶大だが、2人の手を完全に止めるのはメリットよりもデメリットの方が大きい
レベルが低く、まだ火力や回復力が不足している時ならばいざ知らず
…となると、来るか
「くらえっ!『ファイラ』」
ぐっ、予想はしていたがやはり堪えるな
…スカルナント達は
中衛の2体が倒れたか。となるともう前衛も保たんな
まぁそれでも
…負けられん
「『サンダラ』!」
俺にも通すべき筋があるんでな!
----
「おっしゃあ!」
「パロム!油断しないで」
「じゃが後2体。このまま押し切るぞ
『ファイア』!」
「はあっ!」
敵のアンデット2体がパロムの魔法で崩れ落ち、続くテラの魔法で更に前衛の1体も地に伏した
僕もフードの人物に斬撃を繰り出す
しかし
「『サンダラ』」
その反撃は激烈なものだった
「…うっ」
「セ、セシルさん今回復します、からっ」
「ちくしょう、なんて威力だ」
「ぐ、ぬ」
相手の放った魔法は一瞬にしてこちらを半壊状態へと追いやった
皆満身創痍であり、僕もまた意識が朦朧としている
もう一度は受けきれない
そう思えるほどの一撃だった
「『ケアルラ』」
「負けるかよ『ファイラ』!」
ポロムの回復に続いてパロムの魔法が相手の残った前衛とフードの人物を火に包んむ
「…まだだ
まだ終われ」
そうしてフードの人物は力尽き倒れた
ギリギリの戦いだったと思う
パロムの魔法がもう少し弱ければ、ポロムがケアルラを習得していなければ
テラの指摘がなければ
負けていたのは僕達の方だったのかも知れない
「皆ボロボロじゃ
逸る気持ちはあるじゃろうが、まず一度体勢を立て直さぬか?」
「そう、ですね」
テラの言葉に僕は頷くとパロムを僕が、ポロムをテラがそれぞれ背負い一度結界へと戻った
----
一夜明けた早朝、僕達は橋の向こうに見えた不思議な建造物へと向かう事とした
橋のところまで来て、違和感に気付く
あの人物の死体がない
「別に不思議な事ではなかろうて
この辺のモンスターは凶暴なものが多いからの」
テラはそう言うが、どうにも不安が残る
「あんちゃん、考え事はあとにしなって」
「セシルさん。今は前に進む事を考えるべきでは?」
「そう、だね」
2人の言葉に自分を無理やり納得させると僕達は橋を渡りきった
何があそこにあるのか不安と期待の入り混じった奇妙な気持ちを僕は抱いていた
「…やはり力及ばなかったか
だが、私とてあの方に救ってもらった身。例え自らをアンデットとしてでもお前達を止めねばならん」
僕達の背後からそんな声が聞こえてくるまでは
「なんじゃと!」
「改めて名乗ろうか
我が名は土のスカルミリョーネ。覚悟せよ」
そしてスカルミリョーネ戦いが始まった
不意を打たれてしまい、一瞬判断が遅れてしまう
「さて、人数が多い以上手数を減らさせてもらうとしようか
『呪いのうた』」
「うわあっ!」
「きゃあっ」
「ぐ、意識が朦朧とする
パロムにポロム気を強く持て!そうでなくば意識を失うぞ」
スカルミリョーネの放った何かにより、僕達全員意識が朦朧としてしまった
「加減はせんぞっ!」
「パロム、ポロム下がれっ!」
スカルミリョーネの攻撃を僕は何とか2人の前に出て剣で受ける
「…流石は音に聞こえた暗黒騎士
敵ながら見事なものだ。…だがっ!」
スカルミリョーネは大きく腕を振り払い、それに合わせて僕も間合いをとった
「くそっ、やられたんなら素直に倒れとけって『ファイラ』!」
「ぐぬっ、子供の癖にやるっ!『猛毒ガス』」
「いかん!ポロム、儂は回復をするからエスナで皆の状態異常の回復を!」
「分かりました!」
パロムの放つ炎に包まれても平然と反撃する
これがゴルベーザの部下の力なのか?
スカルミリョーネの強さとこれから対峙するであろうゴルベーザやその部下達の強さを思わず想像して身震いした
だが、こちらは4人
しかも回復役と攻撃役の分担が出来ている。その上テラの適切なアドバイスもあり
「…く、くははははっ!
見事だ」
スカルミリョーネはその異形の体躯をボロボロにしながらも、笑う
そして
「負けておめおめとゴルベーザ様の所へ戻るつもりなどないっ!」
後ずさり、そして崖からスカルミリョーネは落ちていった
「…ゴルベーザ様、申し訳ありません」
そう小さな声で此処にはいない人物に詫びながら
----
「…スカルミリョーネの奴、死にやがったか
……けっ、弱い癖に最後までゴルベーザ様の為に戦いやがったか」
バロン城で
「弱く醜いスカルミリョーネ
でもゴルベーザ様に対する忠誠、確かにこのバルバリシア見届けたよ」
ゾットの塔で
「スカルミリョーネ
…最後の最期までゴルベーザ様に尽くしたか。その精神に敬意を」
バブイルの塔で
残された四天王達は牙を研ぐ
----
「スカルミリョーネが討たれたか」
「はい、ゴルベーザ様」
ゴルベーザはバルバリシアからの報告を聞くと仮面の裏で
(敗れたかスカルミリョーネ)
ほんの少しだけ表情を歪ませた
----
崖から落ちながらスカルミリョーネはこれまでの事を思う
訳の分からないままにこの世界へと紛れ込んでしまい、しかも人とは決して相容れない悍ましい姿
フードで顔を隠したとしても、周囲からの不審の目は消える事なく残り続けた
カイナッツオの様な器用な真似は出来ず
バルバリシアの様に突き進む事も出来ず
ルビカンテの様に己を磨き上げる事に懸命になれなかった
ゴルベーザに拾われた時、自分が感じたのは原作の中で死ぬ自分よりも安堵だった
死ぬ事も恐ろしいが、誰にもその価値を認められる事なくいつか死ぬのもまた恐ろしかった
ゼムスに操られてしまっていても、ゴルベーザは敵対者には冷酷だったが味方には寛大であり続けた
例え自分は唯の
他の者達よりも圧倒的に弱くとも
それでも自分なりの生き方を貫いたのだ
悔いはある
だが、嘆く事はない
「ゴルベーザ様
申し訳ありま」
次の瞬間、何かが叩きつけられた様な音と共にスカルミリョーネと呼ばれた男の意識は闇に包まれ、二度と戻る事はなかった