翌日、フユネ=77さんに監視されながら集合場所に来た。
「お、シュテルメアー、お前で最後だぞ」
「? 少ないような多いようなですねぇ」
どうやら遅かったらしい。まぁ仕事が長引いたのは僕にはどうしようもないことなので事情の説明と謝罪だけ軽くして、着いた瞬間から疑問に思っていたことを口にする。
「で、なんで臥竜点睛さんは1人で来たんですか?」
昨日ギスって解散して以降の行動は知らないけれど、少なくとも彼のパーティーメンバーは僕等に良い印象を抱いてなかったはず。
「んー、そこの征服人形の件はアンタに非はないだろ。それの話で揉めた後置いていかれた」
「まぁその通りではあるが、わざわざ俺達側に来るとか……アンタも変な男だな」
「んはは、まぁそこの雑魚が面白かったからな」
「自分には面白いより怖いが勝ってるけどな」
どいつもこいつも失礼な奴らである。
というかシロミ魚さんからの僕への評価は今、怖いなのは問題かも。もう少し能力をアピールする方が良いかもしれない。……フユネ=77の監視がな……狙いが結局わかっていないのが問題だ。いや想像はついたけどさ。
「まぁ臥竜点睛さんがそれでいいなら特に言うことはないですねー、僕等だけで行きます?」
「おう」
「肯定:クターニッドの封将であればこのメンバーでも勝率は高いと思われますわ」
「うん……うん……、ちなみにフユネ=77さんはどう戦うんですか?」
「報告:
銃火器あんの!?!?
確かシャンフロwikiには存在の示唆はされているもののまだプレイヤーが使えるようになる気配はないと書いてあったはず。あーいや、征服人形関連が出回った後プレイヤーにも使えるようになるとか?
「コレ聞かなかったことにした方が良いやつ?」
「ライブラリ的にはぜひ根掘り葉掘り聞きたいところだな」
「……否定:質疑応答の気分ではありませんの」
「嫌ってさ」
「くっ……」
何故僕を睨むシロミ魚さん。フユネ=77さんを睨んでくれ。
「あ、昨日の夜に銃器解禁されたぞ。新大陸の海に出現したリヴァイアサンってエリアで入手可能らしい」
「まじ!?!?」
「へ!?」
「肯定:リヴァイアサン内であれば
「ほーん」
・本日28回目
魔法を使えないのはやはり厳しいものがある。
避けて、避けて、うわっ、フェイントのバリュエーション増えてる!!!
ギリ避けた。
さぁ今回は伝えるぜ抑えきれない想いを!!!!
「大好きです!!!!!!」
吹き飛ばされた。
「なぁ……コイツなにがトリガーで今行ったんだよ?」
「俺に聞くなよ」
「
「せやな」
「君達は抑えきれないほどの好意を他人に抱いたことはないんですか!?」
「んーーーーーーーー出力のされ方の問題じゃね?」
「?????」
「…………そういえば」
大きな溜息をこれみよがしについたシロミ魚さんが話題を変える。ありがたいような腹立たしいような。
「その征服人形のフユネ=77さんの簡単な呼び方を決めないか? 戦闘中に呼ぶには長すぎる」
「…………肯定:エルマ=317がサイナと呼ばれている話を聞きましたの。それに似た形が
「ナナさんね」
「そうなりますの」
よろしく、と手を差し出せば、しばらく迷った顔をしたフユネ=77改めナナさんが渋々と言った様子で手を握った。アイドルなんじゃないのかこの征服人形。
ちなみにだが、試しにとばかりに手を差し出したシロミ魚さんとキリキリ舞いさんは拒否されていた。僕への好感度が特別低いわけじゃないようで何よりである。
「話は纏まった。とにかくアンモーン・オトゥー厶がいる封塔に向かおう。連携の確認は道中ですればいいだろ」
「あいあいさー」
「肯定:試し打ちする相手はいくらでもいましてよ」
◆
「おーおー、意外と遠かったな……」
「シュテルメアは雑魚だが、雑魚狩りに関しては強いな……範囲魔法最高」
「そうだな。雷の効かない相手は苦手とは言え特化型なだけはある」
「褒められてます?」
褒めてる褒めてると口を揃えて言う男3人にコイツラいつのまにか仲良くなってやがると舌打ちして、封塔の最上部へと視線を向けた。
「報告:通常通りアンモーン・オトゥームの存在を確認しました」
「あぁ、僕も視認してます」
ナナさんが見たら分かることを言うので遠回しに見たら分かると伝えたんだけど、どうやらそういうことではなかったらしい。軽く肩を殴られた。強っ。魔法職はそれ繰り返したら死ぬぞ。
「さて、まぁじゃあ予定通り俺と臥竜点睛が前衛、シラミ魚とシュテルメアが後衛、ナナが遊撃。問題は?」
「ない」「ないです」「分かった」
「
既に周囲にいた深淵の眷属こと半魚人共は駆逐した。静寂を保つ封塔内部へと……入った。
「────ッ!!!」
アンモーン……長い。人型アンモナイトがレイピアとカトラスを構えて咆哮?を上げた。
「先駆け一発……【エリア・サンダー】!」
……ん?
「っしゃ行くぞ、【ダーティー・ソード】」
あっ、これ遠距離無効かぁ……クリオネちゃんとは似て非なる感じだ。魔法は使える当たりなにか通る属性があるのかと思ったが、どちらかというと距離の問題らしい。
「シュテルメア!! 後衛から中衛に変更! 自分は回復と強化をする!!」
「おーけー……でっす【加算詠唱】」
キリキリ舞いさんがシンプルに技量でボコってる。
「報告:遠距離武装の無効化を確認、刀剣を使用しますの」
盾とメイスを装備した臥竜点睛さんがヘイトを買い、攻撃を喰らった絶妙なタイミングでシラミ魚さんがなにかアイテムを投げた。傍目から見ても回復エフェクト。この人達聞いてた話より随分強いよね。
「詠唱完了……、もう一歩前かな? 【ライトニング】ッ!」
咆哮を上げて一瞬とはいえ人型アンモナイトがスタン、やはりボス格にはスタンはすぐに切れてしまう。攻撃のタイミングで魔法を合わせればその攻撃をキャンセルするぐらいのことはできそうだが……【魔法待機】のセットからだな。
というか……ここらで使用感を試しておかないとクターニッドにぶっつけ本番ってわけにもいかないか。
「というわけで取り出しますは……コチラ」
「深海の短杖」
海の欠片を使用した短杖。
水系統の魔術に大幅な補正がかかる。切り札として自己強化魔術【海の化身ここにあり】を使用可能。海中にいる場合に限り使用者のステータスに大幅な補正をかける。
口を開けたモササウルスをそのまま短杖に巻きつけたような……伝わるだろうかこの格好良さ。その開けられた口に噛みつかれるように海の欠片が浮いている。
鍛冶でどうやってこの杖を作ったのかは謎だが、明らかに量産品ではないその見た目にまだ余裕のある皆が目を見開く。
「おま、ソレ、ユニーク武器だろ!」
「黙秘させていただきます」
「…………」
おい、みたいな顔してこっち見たキリキリ舞いさんと臥竜点睛さんが吹き飛ばされる。ちなみにライブラリでこの武器についても既に知っていたであろうシロミ魚さんだけは澄ました顔で成り行きを見守っている。
ほらもー、二人共油断するから〜。普段アホと言われる仕返しに少しだけ彼等を煽っていると、ナナさんが深刻な表情でこちらに来た。
「…………確認:
「やっぱりそうですよね〜」
予想通りだったらしい。深海のモンスターの強さが底上げされることは、やはり大きな問題だったのだろう。
「まぁいい! 質問タイムはコイツを倒した後だ!」
「質疑応答の気分ではございませーん」
「却下!!!!!!」
いつのまにやら累計10000UAを超えていました。ありがとうございます。
これからも少しでも面白いと思って頂けるような深淵探索を描いて行けるよう頑張る所存です。よろしくお願いします。
また、感想に全件返信できるわけではございませんが、めちゃくちゃ笑顔で読んでいます。ありがとうございます!!!