呪術廻戦の二次創作を書いてました。投稿することにしたらここで宣伝するかもしれません。そのときはぜひよろしくお願いします。
世界の秘密を不本意ながら人伝に知る。
槍で貫かれた肉の塊に向けて、水系統の魔法を放つ。
雷は肉が美味しくなくなるから良くないだとか言われたので水系統の魔法を中心に戦っているのだが、中々これが面倒くさい。元々水系統に対して火力を求めていないせいで高威力の魔法は詠唱が長い上にリキャストタイムが長く、そうでない魔法はダメージが低すぎるのだ。
征服人形2体の内の一体……ナナさんが銃を乱射し、レミィさんの方は何故か端っこの方でサボっている。
「同意:働いてほしいものですわね」
「心読まれてる……」
「当然ですの」
詠唱した魔法をぶつけた追加の肉にミレィさんがトドメを指す様子を眺めながら、僕は大きな溜息をついた。
「僕、海中戦闘特化なのに久しく海中で戦ってない……」
ルルイアスも海のフィールド要素を使用可能ってだけで実質陸だったし……僕の最後の海中戦闘ってまさか「海の化身」なのでは……?
そう慄いた僕は、思考を切り替えるために新たに表れた肉の塊を倒す魔法の詠唱を始めた。
◆
「で、なんでここ(リヴァイアサン)に?」
戦闘が一段落したところで、征服人形2名がノンビリした会話を広げているのを横目にしつつ、ミレィさんに尋ねる。
ここまでの道のりは急かつ、かなり……雑だったため、聞く機会に恵まれなかったのだ。具体的には船で行くと思ってたのにディープスローターって方の転移魔法で新大陸まで連行された。
送ってくれたディープスローターさん曰く、ライブラリには色々と助けてもらってるからねぇ……とのことだが、なんだろう、微妙に闇を感じるというか……後ろ暗いやり取りが見えた気がした。
……それはともかく。
「私としてはココ、リヴァイアサンへと来る開拓者の方が増えて感無量です!」
「……そっかぁ」
あと忘れてた。ミレィさんには微妙に態度が塩よりな勇魚さんもいる。彼女は僕には甘いのが少し……いや、かなり胡散臭い。なぜ……?
ちなみにリヴァイアサンはつい最近まで海底を遊泳していたらしい。まぁーた海の化身関連だよこれ。アイツ、そんな色んな所から警戒されてたのか……?
「まぁそうですねー、そろそろ説明しましょうかぁ」
「お、やったぜ。よろしくお願いしますミレィ先生」
「まっかせなさーい」
ふふん、と自慢げに笑ったミレィさんの装備が先生モードへと変更された。メガネ似合うなミレィさん。
「まずですねー、征服人形とはなにかをシュテルメア君は知っていますかー?」
えーと、ナナさんは特殊な例だとしか聞いてないな。
あとは……ある程度ネットで調べた感じだと、種類ごとに調査範囲と役割が違うような形だったはず。
「そうですよぉ、征服人形は主にこの世界の調査を担っているわけです!」
「まだなにも言ってないけど」
「ではでは、当然の帰結としてぇ、なぜ?というなんのために?という疑問が残ります! それこそ普通のRPGゲームであれば世界の危機に備えている、と言うのがメジャーでよぉ」
「ふむ。僕もその線かなと思った」
「で、す、が、彼女達は最近までは私達が見たこともなかった銃器を当然のように利用してますよねぇ?」
「あー、それはまぁそうだね。それが?」
調査と対して関係しないように見えたからスルーしていた。もしくは世界の危機に対抗するための勢力が開発していた武器だった的な?
「いいえ! ですが実はもっと前から我々はこの世界で銃器をなんども目撃していたのですよぉ!」
ナチュラルに心読まれてるんですけど……。今の口に出してないよな僕。出してないわ。心読むの流行ってるのかな。
「……?」
「あー、シュテルメア君はあまり世界観に興味を示さなさそうですもんねぇ。実は銃器って化石として結構見つかってるんですよー、復元不可でしたけど」
「へぇ」
でもそれが彼女達征服人形の役割と何の関係が……あー違う、銃器が化石になってしまうほどの古代から存在するってことか。一応覚えてる覚えてる、たしか……神代には発達した人類がいたとかなんとか。
「そう、つまり彼女達は神代時代からの遺産だというわけですよぉ。裏付けも取りました。そしてぇ……ちなみにここまでのワールドストーリーで倒されたユニークモンスターのうちウェザエモンは神代の強者、クターニッドとジークヴルムは神代の人類の実験体でしたぁ」
「あー、そういえば海の化身との戦いの途中でユニークモンスター足りうる理由について話してたっけ」
「話しましたねぇ。つまりミレィ先生が言いたいことは分かりますかぁ?」
まぁここまでヒントを貰えばさすがに。
「征服人形はなんらかのユニークモンスターに繋がっている可能性が高い」
「おぉー、満点上げましょう」
「勇魚もだけどミレィ先生も僕に甘いよね」
「…………!?!?!?」
「え、私もですか!?」
ニコニコとミレィさんの話を聞いていた勇魚は心外!みたいな反応をして、遠くで警戒してくれていたナナさんがなんか凄い顔をしている。
「否定:貴方に最も甘いのは当機かと推測いたしますの」
「わぁ、皆僕に甘くて嬉しいなぁ」
三分の二は海の化身のおかげです!! 嬉しくない……。
「コホン……話を戻しても?」
「? もちろんですミレィ先生」
「私にもかなり興味深い推測です! お聞かせ願いますミレィ先生!」
ノリいいなぁ勇魚。
「調子狂いますねぇ……そして、ではそのユニークシナリオにどう接続するかになります」
「はぁ……」
正直想像もつかない話だ。というかこれ……
「神代とは敗北の歴史です。宇宙からこのリヴァイアサンに乗ってやってきた進みすぎた人類は、この世界に先に根付いていたなんらかの存在に敗北を重ねました」
ミレィさんが世界観にのめり込むように目を見開いて話している。勇魚さんは対照的に目を細めて効いている。神代から生きているであろう彼女はその歴史を実際に見たのだろうか?
心做しか、勇魚さんの表情には苦痛と苛立ちが籠もっているように見える。
「我々ライブラリはこの世界について調べる中で、アリスやジュリウス、エドワードと言う人物名を散見しました」
「…………」
「もちろん、この辺りの世界観は今回出現したココ、リヴァイアサンの最深部で明かされるであろうことなのでぇ……まだ確信を得ているわけではないのですが」
すぅ、と勇魚さんが半歩足を後ろへやった。
おそらく、いや……確実に、僕は今ライブラリがやってきたことの集大成に触れている。そしてそれはかなり的を得ているのだろう。
「話を戻しましょう。彼女達征服人形は2体の例外を除いて、なぜか我々が新大陸に辿り着きジークヴルムを倒した直後に表れはじめましたぁ。それはもちろんゲーム的な進行度合いによるものだという見方もありますがぁ……2体の例外がそれを否定します。おそらくこれはジークヴルムが消えたことによる新大陸の調査のしやすさにより我々が彼女達を見つけただけということです」
小さく息を吸ったミレィさんがただし、と前置きをする。
「確実に、我々の目の届かない新大陸のどこかに彼女達はずっと昔から存在していたのです。ちなみに参考資料的な話ですが最近確認された新大陸の亜人種は彼女達のことを認知していません。つまり……」
あ、やっと少しだけ話が飲み込めた。ミレィさん……話を迂遠にする癖ひどくなってない?
「どこかに彼女達の拠点があると」
「そうですねぇ。そしてそれがユニークシナリオに関係しているのも間違いないと思われますよぉ」
つまり?
「……ここがそうだと?」
「……? あー、いえいえ! 違います! リヴァイアサンではサンラクというプレイヤーが契約したサイナさんがジークヴルム以前からいることに矛盾が生じるのでぇ」
「おおぅ」
外した。恥ずかしい限りである。
「えっとですねぇ、ごめんねシュテルメア君。あのー、その、ここに来た理由はつまり」
「ふむ」
びしっと、普段のミレィさんからは考えられない動きで……いや槍振り回してるときはもっと俊敏だったけど、そんな動きで勇魚さんを指差した。
「彼女は確実にその場所を知っているから、という訳ですねぇ」
「おー……」
パチパチとミレィ先生の講演に拍手をする。
だが、純粋な疑問なのだが……それはカンニングに当たるのではないでしょうか……?
「もちろん、勇魚さんにその場所を聞くという訳ではないですよぉ」
「……この流れで!?!?」
「そもそもそのユニークモンスターにも既に心当たりがありますし」
「へ!?!?」
情報量の多さに頭が爆発しそうである