不倶戴天   作:雨傘なななな

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怒涛の強化パートに別れを告げる「破」

 助太刀に入ろうとしたライトニングワイバーン達。

 だがそれを王のプライドが許さないと拒否するかのように、ワイバーンの黒き王が2本の前脚を強く地面に打ち付けた……いやおい違うコレ、放で、

 

「GAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!」

 

「待っっっ、いやッ【魔法待機解除】ッ!!!」

 

 コイツラが雷の属性を持っていることは最初から知っていたのだ、事前に待機させておいた【雷撃の道筋】を反射で発動、自分を避けるように雷の通り道を……!!!

 

「よっしゃこら、二度とやるんじゃねぇ!!!」

 

 口も悪くなる。比較的近くにいたライトニングワイバーン達は焦げて瀕死に陥っている。僕が助かったのはほぼ運だろう。

 

「LUCKも多少は上げたほうが良いかもしれない……なッ!!」

 

 【異形術・魂魄撃】ですらコイツを倒すには足りないらしい。ピンピンしている黒蜥蜴を見据えて、次の魔法の準備を始める。

 振り回される帯電している前脚が地を掠りでもする度に周囲に電気エネルギーを発散させている。おいあれ電池切れとかしないのか?? しないんだろうな……。

 

 ただ雑魚狩りに気を取られる必要がなくなったのはありがたい、存分にコイツに集中できるというか……思っていたよりもヤバい相手だ。集中なしに勝てる気がしない。

 

「【魔法待機】……もっかいありそうだしコレしかないか【雷撃の道筋】……!」

 

 口も悪くなるってもんだ、振り切った腕に沿うような形で3つの竜頭で攻撃、微妙にバランスを崩した、そのまま倒れろ……ッ!

 

「【ハイレート・スペル】!!」

 

 耐えられた! 攻撃が来る、ギッリギリで亀の甲羅を身体の前に出すことで防御、【異形術】に使用した亀の防御力は乾燥していると下がる。バシャリと非流動性海水用に持っていた水をイベントリから取り出しかけることで硬度維持、濡れてさえ入れば甲羅の防御力と【金喰らい】で雷撃以外は防げる!

 

 雷の魔法が使えないのが痛い。ちょいちょい攻撃!って思考になっては雷系の詠唱を始めかけている。というかそもそも近接しながら詠唱するのがキツイんだよ、海中ならもう僕が勝ってる所だ!

 

「ぶっ飛べ、【スプラッシュ・ウォーター】!」

 

 というかなんで僕の得意戦場じゃない上に僕の攻撃だけ効かないんだよそっちも雷を封印してくれフェアな戦いをしよう。

 

「いやだめだそうだコイツラ卑怯上等で水晶群蠍の傍に住んでるんだったクッソが!」

 

 魔法は直撃、効いているのか効いていないのかも分からない、雷撃を試すか? もしも効いたら楽になるが効かなかったら魔力の無駄……!

 

「Grrrrrrr……!!!!!!」

 

 警戒するような声、体力回復ポーションを再び飲んでなけなしのHPを回復しているとき……天啓は降りた。

 

「え? お前ら許容量越えたら雷効くんじゃん」

 

 多分電気は行けるけど熱は無理なんだな???

 だってそういえばさっきコイツの電撃で何体か焼けただろ。今も瀕死のまま転がって……ああだめだ知らん間に他のライトニングワイバーンに食われてら。終わってんなコイツラ。倫理観を持て倫理観を。

 

「ふーーーん、ふーーーーーーーーーん??」

 

 問題はこの他よりも明らかに強力な雷を扱う黒蜥蜴に対してどのレベルの魔法なら効くのかという話だ。

 切り札はある。イベントリから取り出した共鳴の雷短杖を取り出して、一瞬の迷いを挟みつつも使用する魔法を決めた。

 

「見せてやるよ、雷特化の魔法使いの最高峰ってやつを!! 【魔法待機】、【果てまで貫く雷鳴】ッ!」

 

 せっかく待機させておいた【雷撃の道筋】は無駄になったが仕方ない。あのままダラダラ戦闘を続けるよりは随分マシだ。

 アクセサリーは現在水魔法特化、そろそろ異形術師用のアクセサリーも作らねばなどという残念を放棄して、【加算詠唱】【代償詠唱】などのありったけの魔法強化を重ねつつアクセサリーを変更していく。

 

「至金の歯車はそのまま、水瓶は雷の護符に変えて……よっしゃ!」

 

 クリオネちゃんの触手での吹き飛ばしを参考に距離を取りつつダメージを与え、パチンと指をならして【魔法待機】解除。轟音と共に「共鳴」の準備が整った。

 

「詠唱時間は必要ない、一瞬あれば!」

 

 黒蜥蜴が咆哮を上げつつ放電、その前脚は怒りに任せて僕へと迫っているが、僕が腕を叩くほうがはやい!

 ドンと右手で蛇となっても尚ついている左手の甲の腕輪を叩けば、歯車はクルリと周る。さぁさぁ詠唱は終わった。初お披露目だ……!

 

「悪いね、さっき言った最高火力が【魂魄撃】ってのはだぁーいぶ嘘だよ。【暴虐の雷獣】」

 

 指がないから代わりに3頭の竜が雷の行く先を指し示した。

 崩していた体勢からやっと復帰した黒蜥蜴が向けられた竜頭に威嚇するかのように電気を撒き散らしながら吼えるものの、既にお前が警戒しなきゃいけないのは前じゃなくて上!

 

「g.GAAA!!!!!!!!!!!!!」

 

 着弾。空を切り裂いていつもよりも黄金に輝きを強めた獣が堕ちる。

 2種の雷鳴と咆哮が響き、黒蜥蜴の目が分かりやすく焼き切れた。失明状態+火傷!

 さすがに今の僕の強化全乗せした雷の熱は逃がしきれないよな、そんでもって……!

 

「特殊属性:至金!」

 

 黄金の力を魔法に与えるこの効果は、対象の肉質を金に変える。つまりは動きの阻害と重量の増加だろ! 代わりに防御力が上がるんだろうが、金に雷は通るんじゃないのか!?

 

「【この一矢にありったけの勇気を】!!」

 

 倒しきれてはいない。ていうか【異形術・魂魄撃】に強化込み【暴虐の雷獣】に継戦時間分の毒まで喰らってまだ倒れてないとかどんな体力だよ。ミノタウロスもビックリでしょ。

 

 愚痴を浮かべつつも、すかさず魔法をさらに加えていく。今回の弓への浮気で得たものは強化魔法。だがそれは威力のさらなる強化ではなく、高い威力の魔法を連発するための手段。

 

【衝撃の一矢】

【特殊エンチャント:火鳥撃】

「追撃の矢筒」

「スローダウン・アロー」

「ダーティーショット」

アクセサリー変更による「王国弓兵部隊の矢筒」による強化。

共鳴の雷短杖による先の【暴虐の雷獣】との「共鳴」

 

 竜頭で距離を離しつつも長い詠唱をなんとか進め……そして様々な強化を受けた雷の矢が顕現する。

 

「金属になった今のお前は熱に弱い、はず! 威力も十二分!」

 

 そう言い終えると同時に【異形術】が切れた。というか切った。ここで決めると言う決意の表れ!

 

「【雷轟の矢】ッ!!」

 

 引き絞った杖から放たれた矢が、未だ金になった肉質に苦労しつつも僕を殺そうと動き続ける黒蜥蜴を貫いた。

 

「G.a…………!」

 

 暫く耐えるように身体を強張らせていた黒蜥蜴が揺れ……倒れた。その身体はドロップアイテムを遺してゆっくりとポリゴンへと変わっていく。

 

「悪いね。弱肉強食ってやつだ」

 

「gigigiguaaa………」

 

※この後水晶群蠍にボコボコにされて特になにも得ることなく逃げ帰った奴の発言。そうだね弱肉強食だね。お前も喰われる側だけど。










実際のところミノタウロスと黒蜥蜴が戦った場合、余裕で黒蜥蜴が勝つ想定です。ミノタウロスのところってわりとレベル上げ用のフィールドなんで……。
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