不倶戴天   作:雨傘なななな

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タラルトスクズ、作者が思ってたより強敵です……なんか一向に倒せる気配がない……


封将攻略最終日①

「今日もがんばるかぁ……」

 

 ルルイアス攻略開始から5日。

 途中で魔術を使いたい欲が限界に達し、他の封将を倒しに行ったり無限湧きするゾンビ達に【暴虐の雷獣】をぶっ放してストレス発散をするような事はあったが、ここまでの数日で概ねタラルトスクズの戦闘能力を把握できた。

 ちなみに総挑戦回数は52回。内5回はあの鋭い牙に囚われ喰われる形でのリスポーンである。僕は!!!!クリオネちゃんに喰われたいんです!!!!! お前じゃない!!!

 

 改めて、残りのルルイアス滞在期間は今日を含めて2日。

 明日はクターニッドとの戦闘がある以上、今日でタラルトスクズを攻略し、クターニッドとかたをつけたい。

 

 既に今回でルルイアスに来訪するのは3度目だ。

 その全てで敗北している上、前2回に比べてソロ攻略というハンデまである。

 

「ン〜いつもどおり元気に立ち塞がってんね」

 

 タラルトスクズが大きく唸り声を上げて、最上階に踏み込もうとする僕に対してビームのチャージを始めている。

 

「とりあえず情報の整理から始めよう」

 

 というわけでここまでの挑戦で得た情報や慣れ具合についてなのだが……

 

①ビームはある程度避けられるようになった。

②毒散布は【毒酔】で防げる。

③一定以上に強力なモンスターを素材にした【異形術】の攻撃は通る。

④見た目には表れていないが、背中部には亀の甲羅のような部位がありそちらには③の攻撃もかなり減衰される。

⑤【深淵覗き】は不快感程度で装甲による減衰を減らすことはできない(身動ぎ誘発にはなる)

⑥異形術の固有切り札は恐らく使用可能

⑦過剰チャージによる自爆ビームは激しい戦闘を行いながらでは使用できない。

 

 ここまでは基本的に僕に有利に働く情報だ。52回挑んでこれだけとか……お義父さんさぁ……。

 

⑧タラルトスクズは物理的な耐性に特化している

 

 恐らくだが、魔法耐性は極端に低く設定されているのだろう。……いや聖杯で無効にされるんですけどね!!!

 これは30回目ぐらいの挑戦で物理弓をメインに戦う手を試した時に得たことなのだが、矢によるダメージよりも【特殊エンチャント:火鳥撃】による追加ダメージの方が大きかったのだ。(共鳴の雷杖弓の強化倍率で放ったものに比べれば弱攻撃も弱攻撃なのだが)

 それと、物理弓主体の戦闘は構える→引く→放つの3行程の間に距離を詰められたりビームを溜められたりすることから却下している。ダメージ与える前に死んだら意味がないので……。

 

⑨水揺れ攻撃は体力が低下すると範囲が広がる。

 

 当初はタラルトスクズの周囲2メートル程度だったのだが、半分ほど体力を削ると4メートルに変化した。

 

⑩タラルトスクズのステータスは魔術師職をちょうど簡単に倒せる必要最低限のもので抑えられている。

⑪【異形術】による近接戦闘で押し切ることはかなり難しい

 

 このあたりは良くも悪くもない情報に当たるだろうか?

 シュテルメアというアバターを徹底的に殺しに来ているような構成に半目になってしまうが……致し方あるまいて……この封将を超えずしてクターニッド討伐は実現しない。

 

 これくらいだろうか……?

 ついでに言うとすれば、攻撃モーションとしては前腕の振り下ろし、噛みつき、突進、ビーム、自爆ビーム、水揺れ、尻尾を武器にした回転、咆哮による1秒スタンである。

 

 これはただの推測に過ぎないのだが、⑩の条件によって例えば近接職のプレイヤーやある程度複数人で挑むプレイヤーにはかなり弱い存在になってしまうことを許容してまでリソースを抑えている以上、体力低下でもう数個の攻撃モーションを隠していることが考えられる。それこそ……なんだろう、第二形態とか?

 

 

・挑戦53回目

 

「よし、待たせたね」

 

 タラルトスクズが僕の声に応えるように咆哮を上げ、僕は最上階へと踏み込む。

 初っ端のビームはなし、だがチャージは終わっている、前進あるのみ!!

 

 ここまでの情報を加味して、僕の採る戦術は単純明快!

 

「属性攻撃を持つタイプの異形術での攻め倒しを敢行する!!【異形術・毒酔】加えて!」

 

 前回使おうとした時は【炎雷ノ鯱】の使用中だったため、深海の誇る強者の魂が他の魂を拒絶したことで不発した、そう、

 

「【異形術・古貝騎士】!!! 封将の力を載せる!」

 

 封将であるアンモーン・オトゥームの能力は遠距離攻撃の無効!

 こちらの異形術の起動に一瞬遅れて放たれたビームは直撃するも身体を焼けず、熱線の隙間からタラルトスクズが僅かに目を見開いたのが見えた。封将の異形化ポーションは数は多くない上に効果時間延長用アクセサリーを加味しても持続時間が短い、出来れば速攻で決めたいところ……!!!

 

 咆哮が僕の身体を一瞬スタンさせ、僕を殺して余りある腕の振り下ろし攻撃が襲う。毎回思うけどダメだろこのコンボ!

 瞬刻視界起動、スローモーションで振り下ろされる腕に対してスタンが解けるとほぼ同時に【爆水】が放たれ、吹き飛ばされるような起動で攻撃を回避しながらも弓を取り出し、引く。

 ビームは撃っても意味がないと理解したのか、タラルトスクズが毒散布を行いながら突進モーションを見せている。

 

 【迎撃の剛射】【特殊エンチャント:火鳥撃】「追撃の矢筒」重ねられる弓系スキルを重ねるだけ重ね、タラルトスクズの鼻っ面の少し左を狙う、突進を反らして壁にぶつければコチラの攻撃ターンが来る!

 

「外す気、しない」

 

 【爆水】の効果中、瞬刻視界によりスローモーションとはいえブレる狙いを、それでも最速で制御し、弦にかけていた指を離す!

 

 当たったかの確認はしない、弓の反動も利用して後ろを向き、壁を蹴る、弓は捨てた!

 【古貝騎士】が切れた、僕は方向転換に成功し、突進モーションを止められなかったらしいタラルトスクズは顔面に矢を食らって狙いを外し、壁に激突している!

 

「アドバンテージッ!!!」

 

 タラルトスクズも回転攻撃を方向転換に使ってまでコチラを向いた、クソが、【古貝騎士】の異形化が終わっていることに気付かれた、もうビーム溜めだしてやがる、こちらは……!!!

 

「【異形術・電雷亜竜】!!!」

 

 杖弓の素材となったライトニングワイバーンの素材で作った異形化ポーション!!

 速攻放った放電がタラルトスクズに直撃する、瞬刻視界によりゆっくりと迫りくる苦し紛れのビームを余裕を持って回避し、【毒酔】と瞬刻視界の効果時間を確認する、まだ余裕がある!

 

 苦しげに悲鳴を上げるタラルトスクズに対し、投げ捨てた弓を回収しつつさらに重ねて手札を切る。

 

「クソていうかなんだ10秒程度の封将への異形化ってまぁたしかに長時間遠距離攻撃無効は無法過ぎるだろうけどそれでもピーキー過ぎるでしょ! 「非流動性海水」!」

 

 突進モーションに対し足を1本固めることで不発させる、ライトニングワイバーンすら一瞬止められる。コレは僕にアジャストしたステータスじゃ無視はできないよなぁ!!!

 【異形術・深淵覗き】を5秒起動、「非流動性海水」が切れたことで動き出したタラルトスクズが不快そうに身震いし、水揺れを発生させ……すぐに不快感が消えたことに顔を顰めて警戒するような動きを見せている、人間臭いなおい!

 

「【異形術・蛇金喰らい】!!!」

 

 【金喰らい】による防御上昇を含めても、タラルトスクズにはほとんど意味をなさない。

 伸ばされた3匹の蛇頭はその腕に内2本を叩き切られた、だが1本落とし損ねたな!?

 

 水揺れによる2メートルのスリップダメージはない、タラルトスクズの首元には蛇頭!

 

「これを食らうのも初だよな!?【魂魄撃】ッ!」

 

 ゼロ距離での戦闘を強制する代わりに得た高火力物理攻撃、首元は柔らかいのはここまでの挑戦で確認済み!!!

 

 衝撃が海水を伝い、タラルトスクズに直撃した。

 悲鳴も咆哮も上げる暇もなく、その巨体が宙に浮き、首が微妙にひしゃげている。

 

「残り体力……7割!?」

 

 ……つまり全力の【暴虐の雷獣】ならほぼ一撃で倒せるってことかぁ……なんかアレだな……。












【異形術・雷電亜竜】
腕にワイバーンの鱗が、頭部に雷を司る器官となる角が生えている。
雷関連の能力付与と物理攻撃力の弱上昇が主な効果だが、隠し効果として卑怯な手段での攻撃威力が微上昇する。
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