最初は数人でもお気に入り登録してくださる方がいたらいいな~って書き始めた小説が、一週間足らずでここまで多くの方に読んでもらえることになるなんて夢にも思ってませんでした。今後とも、ぜひ「小鳥遊ホシノの先輩」をよろしくお願いいたします!
※タイトルに「組手」とありますが、戦闘描写はないです、最初の戦闘描写を書くタイミングはすでに決めているので。
ある日のこと、リンとホシノが校庭にて、一触即発の雰囲気を纏いながら向かい合っていた
「先輩、私に負けて地べたに這いつくばる準備はできましたか?」
「…それはこっちのセリフだ、むしろ今までまともに勝てたためしもないのに、よくそんな口を利けるな?」
鼻で笑いながらそう言ってくる。が、そんな風に余裕をこいていられるのも今の内だ。今回は確実に勝つための秘策も用意した、今まで辛酸をなめさせられてきた分をまとめて返してやる、そう決意した。そして
「それじゃあ、はじめ!」
ユメ先輩の合図と同時に、私はリン先輩に向けて駆け出し──
「また、勝てなかったっ…!」
──私は両手を地面につけてうなだれていた。
「そうは言うけど、今までで一番よかったよ?ホシノちゃんの攻撃が当たりそうな場面も結構あったし。まだ一ヶ月しか経ってないのにあそこまでできるなんてすごいことだと思うよ?」
確かにユメ先輩の言う通り、いくつか当てれそうな時はあった。しかし結局のところ一度も当てられなかったことに変わりはない。ただ、その原因についてはわかっている。
「……その
キヴォトスに住まう私たちは、その身に宿す神秘の総量に応じて身体能力や耐久力、銃撃を行った際の破壊力が上昇する。また、人によって火力面に寄るか、耐久面に寄るかは変わり、中には回復力が上昇するものもいる。
しかし稀に、身体能力では説明がつかないような特殊な能力を持つ者が存在する。その能力は千差万別で、リン先輩曰く予知夢だったり、中には隕石を落としてくるものもいるらしい。
……予知夢はまだギリギリわかりますけど、隕石落とすって何なんですかね?と常々思う。
そして、リン先輩も能力を持っている。先輩曰く銃社会であるキヴォトスでは噛み合いが悪い能力らしい。私も最初に説明されたときにはそう思ったが、実際に対峙してみると全然そのようには感じない。
……まぁ、組手は基本的に、お互いに銃は使わずにやっているからあまり関係ないのだが。
ちなみに銃を使わずに組手を行うのは、銃撃戦については指名手配犯を捕まえたりする際にいやでも経験するから、あとは銃が使えない状況になったとしても戦えるようにするためらしい。
……最初のころは、接近戦に持ち込まれた場合でも私なら十分戦えるし、組手なんて必要ないと思っていたし、実際にそう伝えもした。
しかし、初めての組手で先輩に負けたときに煽られまくったのが悔しくて、最近ではどうやったら先輩を負かして煽り返せるかを考えながら組手を続けている。
……ユメ先輩曰く、万が一にも私に死んでほしくないリン先輩の優しさだというが、組手の内容には全く優しさが感じられない。
「……ズルいとは言うがな、前にも言った通り俺の能力は
……組手の際は散々煽ってくるくせに、いざ組手が終わると申し訳なさそうな顔をするのは少しズルい。そう思いながら先輩をジト目で見ていると
「そう怒るな……あ、そういえば……」
なんて言いながらポケットの中を探るリン先輩、そうして取り出したのは三枚のチケットだった。
「昨日、ちょっと所用でトリニティ自治区に買い出しに行ってな。その時に福引を引いて、最近自治区にできたらしいスイーツ店で使える割引チケットが当たったんだ。ちょうど三人分あるし、一緒に行かないか?」
「……トリニティのスイーツ店の割引チケット?…え、90%OFF!?…早く行こ、ホシノちゃん、リンくん!こんな機会めったにないよ!…ケーキにパフェ、チョコレートにマカロン!えへへ、何食べよっかな~♪」
……まさか甘いもので釣ろうとしてます?そんなことで許すチョロい女だと思われてるなら心外なんですけど。……まぁ
「……それで、いつ行くんですか?」
──ユメ先輩も行きたそうなので行ってあげますけど。……仕方なくですよ?決して私がスイーツが楽しみだとか、そんなことはないです。
そうだな、なんてチケットを確認するリン先輩。しばらくしてとある一点を目にした時、動きが止まった。
「どうしたんですか?」
いやな予感を感じつつそう訊ねると、リン先輩がこちらを見て"……期限今日までだ、これ"と言った。
──いや、さすがにちょっと短すぎません?
──────
あの後、急いで準備をした私たちはトリニティ自治区に来ていた。
スイーツ店のある場所は、どうやらトリニティの中でもかなりのかなりの大きさを誇るショッピングモール内にあるらしい。さすがキヴォトスTOP3に名を連ねるマンモス校の自治区なだけあって、色んなものが売っている。
……ユメ先輩、物珍しくて色々見て回りたい気持ちもわかりますけど、そんなにキョロキョロしないでください。一緒にいるこっちまで恥ずかしくなるじゃないですか……
「はぁ……落ち着けユメ、色々と気になる気持ちははわかるが、まずはスイーツを食べてからだ。今はまだ昼前だし、食べた後にゆっくり見て回ればいいだろ」
そういってユメ先輩の頭に軽く手刀を当てる。しかし、そんなリン先輩もどこかソワソワしていて
「……そんな風に言って、実は一刻も早くスイーツ食べたいだけでしょ?リンくん甘いもの大好きだし、普段からいろんなお菓子持ち歩いてるもんね。……どうしてそんなに食べてるのに太らないの?」
ズルくない?そう言って、リン先輩を恨めしそうな目で見るユメ先輩
「いや、知らんけど…」
「むぅ、ホシノちゃんもズルいって思うよね?」
私に同意を得ようとしてくるユメ先輩。しかし──
「……私も別に太らないんですよね」
「うわぁん!リンくんもホシノちゃんも女の子の敵だ~!」
「おい、人聞きの悪いこと言うな」
──私は私で、逆に食べでも全然大きくならないから困ってるんですけど。なんて、リン先輩の身長と、ユメ先輩の胸部装甲をジト目で見ながらそう思う。まぁ私はまだ一年生ですし?まだまだこれからですけど?
…………
その後も、わちゃわちゃしながらも歩いていき、スイーツ店にたどり着いた。
カランカラン…
「いらっしゃいませ~!…三名様ですね、それでははお席に案内させていただきます!」
…………
店内を見渡すと、オープンしたばかりという割にはかなりの数のお客さんがいた。高まる期待で頬が緩みそうになるのをこらえつつ、店員から受け取ったメニューを見る。
「わぁあ…!すっごくおいしそう!」
ユメ先輩の言う通り、メニューに書いてあるお菓子はどれもおいしそうだった。ラインナップも充実しており、ケーキやパフェなど王道なものもあれば、メレメレなど聞いたことのないようなものもあった。
「…先輩たちは決めました?」
「「うん、決めたよ!/あぁ、決まったぞ」」
「それじゃあ、店員さん呼びますね。」
…………
「ご注文お伺いいたします!」
「私はこの無花果のタルトを、サイズは普通で」
「私はこのメレメレっていうのを一つ!サイズは大──やっぱり普通でお願いします……」
「俺はこのスターフルーツのシャルロット・オ・フリュイ──
──MAXサイズで」
"MAXサイズ"──その言葉を聞いた瞬間、店員の目つきが変わる
「……お客様、当店では食べ残し行為の一切を禁じさせていただいております。MAXサイズを頼まれた場合でも例外なくです。……それでも、ご注文になられますか?」
一店員がそんなに言うなんて、いったいどれほどのサイズなんですか…?キッチンからもとてつもないプレッシャーが放たれていますし……。
先輩にやめておいた方がいいんじゃないかと言おうとしたが──
「はい、MAXサイズでお願いします」
私が言う前にそう答えてしまった。先輩の決意が固いことを確認した店員は、注文内容の確認を行った後にキッチンへと戻って行った。
「先輩、大丈夫なんですか?店員さんがあそこまで言うって、相当やばいんじゃ…」
「大丈夫だ、問題ない」
どうしてそんなにも自信に満ち溢れているのだろうかと疑問に思うが……今はそれよりもスイーツが待ち遠しいため、考えるのをやめた。
しばらくしてから注文していたスイーツが届いたのだが──
「何ですか、これ…?」
「うわぁ、おっきぃ……」
──私たちの目の前には、反対側の席に座るリン先輩が隠れるほどに巨大なケーキが聳え立っていた。
それもただ大きいだけではなく、色合いや果物の配置など、ありとあらゆるものが計算されつくした一種の芸術品とも呼べるものだった。自分が頼んだスイーツもとても美味しそうなはずなのに、目の前のそれの存在感がすごすぎて全然情報が入ってこない。しかしリン先輩は、巨大なケーキを前にしても一切動揺していなかった。
「それじゃあ、食べるとするか」
いただきます。その言葉を聞いて私たちも気を取り直し、それぞれが頼んだスイーツを食べ始めた。
「なにこれ、すっごくおいしい!私こんなにおいしいお菓子食べたことない!」
──パクパク
「ほんとですね、今回は割引チケットがあるから値段を気にせずに食べれてますが、結構高めなので気軽に来れないのが残念でならないくらいおいしいです…!」
──パクパク
「…リンくん食べるのに夢中で全然話に入ってこないね。…こっそり食べちゃう?」
「いいですね、こっそり食べちゃいましょう」
──パクp
「…おい、聞こえてんぞ。…まぁ別に食ってもいいけど」
「えへへ、ありがと~。…そうだ!リンくんもこのメレメレっていうお菓子食べる?すっごくおいしいよ!」
「そうだな、一口貰えるか?」
そんな会話をした後、ユメ先輩はフォークを使って一口分切り分け──
「はい、あ~ん♪」
「あむ…、うまいなこれ」
……そう言って、リン先輩に食べさせた。
「………ちょっと待ってください、今何しました?」
「え?リンくんに私が頼んだお菓子を一口上げただけだけど?」
「どうやって?」
「普通に、〝あ~ん〟って」
なんでそんな『何かおかしいことあった?』みたいな表情してるんですか。私別におかしなこと言ってませんよね?……むぅ、なら私も
「…先輩」
「ん?どうした?」
自身が頼んだケーキを口にしながら言うリン先輩。そんな先輩に対して
「………あーん」
注文したタルトを一口分フォークに刺して差し出した
「?」
「……察しが悪いですね、私も先輩のケーキ貰ったんで、一口あげるって言ってるんです。……早くしてください」
…………
「「「ごちそうさまでした」」」
あの後も私たちはスイーツを食べ進めていき、無事に完食することができた。…リン先輩、あれだけの量をよく食べきれましたね
食後のお茶を飲んでいると、店員がやってきて「おめでとうございます!」と言ってきた
「…何がですか?」
「実は当店では、MAXサイズを完食されたお客様に対して、プレゼントを用意させていただいているんです」
そう言って、店員は三枚のチケットを手渡してきた
「実は当店、半年後にオープン予定の水族館と提携を結んでおりまして。MAXサイズ完食先着10グループ限定で、一度限りですが無料で入館できるチケットをお渡しさせていただいているんです。この水族館の魅力は何と言っても超巨大なアクアリウムで──」
次々と水族館のプレゼンをする店員。…それにしても、なんで水族館なんでしょうか?
「…っと、すいません、つい一人で盛り上がりすぎちゃいました。なんで水族館とスイーツ店が?って思いますよね」
「──実はわたくし、当店のオーナーでして、水族館のオーナーは古くからの友人なのです。お互いの夢をかなえるために協力しようということで、こうして宣伝もかねてプレゼントを用意させていただいてるんです」
水族館がオープンした際にはぜひ行ってみてくださいね!そういって話を締めくくった店員改めスイーツ店のオーナー
その後、会計を終えて私たちは店を後にした
──それにしても、超巨大なアクアリウムですか
「──ユメ先輩、リン先輩!水族館がオープンしたら一緒に行きましょうね!!」
「うん!あそこまで激押しされちゃったら行くしかないよ!聞いてるだけでも『早く行きたい!』って思ったもん!」
「あぁ、俺も正直めちゃくちゃ楽しみだし、また半年後に一緒に来ような」
先輩たちとの約束も取り付けることができました。…いったいどんなお魚がいるんでしょうか?一緒にいろんなお魚を見て回ったり、ショーを見たり、触ったりもできるんでしょうか。もしかすると、クジラとかもいたりして……うへへ、そう考えたら今からすっごく楽しみになってきました!
そんなウキウキとした気持ちを抱きつつも、なるべく表に出さないようにする。……先輩たちに気づかれると、ちょっと恥ずかしいので
(ホシノちゃん、頑張って隠そうとしてるけど全身からワクワクした雰囲気があふれてるね。…かわいい♪)
(そうだな、…今日、ここに来れてよかったよ)
何か話しているようですが、そう大したことではないでしょう。それよりも
「何立ち止まってるんですか先輩!まだまだ時間もありますし、せっかくの機会なんですからいろんなお店見て回りましょう!」
そう声をかけると『今行くよ』と言いながらこちらに向かってくる。
──そうしてそばに来た先輩たちの手を無意識のうちに握りながら、いろんなお店をめぐり、楽しい一日を過ごしました。
最初は組手、及び主人公についての一部情報開示だけのつもりだったのですが、さすがに短すぎたためその後のお出かけについても一話でまとめました。そしたら逆に長めになりました
…お出かけ編で途中展開に納得がいかなくて書き直してたら投稿が遅れることになってしまいました
P.S.本文書き終わった際にはお気に入り登録してくださった方が148人に増えてました!ありがとうございます!
当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません
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男
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女
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オネエ
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姉御