小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

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皆様、お久しぶりです。
思うように書けず、また別のことにモチベを吸われた結果三ヶ月近くも空けてしまいました……

ただ、久しぶりに色んな小説を読んだりした事で執筆に対してのモチベが、周年イベが来たことでブルアカに対してのモチベが復活してきたため、これからまた続きを書いていこうと思います。

皆様、これからもどうかよろしくお願い致しますm(_ _)m


それぞれの立場

 ──赤飛リン(カオナシ)が、リオの側に立っている。……その事実を認識した先生の頬を、一筋の冷や汗が伝う。

 

 ……理由は、明白だろう。彼のことを知っているものならば、彼の持つ()()を知っているものならば真っ先に思い浮かぶ──最悪の可能性。

 

 たった今ネルにしてみせたように、柏手をひとつ打たれるだけで……一切の抵抗すら許されず、問答無用でアリスを連れらされてしまう。

 

 初めてキヴォトスに訪れた時からずっと味方であったはずの彼が、敵に回る。……これまでずっと頼もしい味方であったはずの彼が敵に回ってしまったという事実が、先生に重くのしかかる。

 

 

「……ねぇ」

 

 

 ──だからこそ、先生は赤飛リン(カオナシ)へと問い掛ける。

 

 

「……リンくんは、どうして()()()()立ってるの?」

 

「そういう盟約を結んだからだ」

 

「……リンくんは、リオがアリスちゃんに何をしようとしてるのか知ってるの?」

 

「ああ、全て知った上で俺は今ここに居る」

 

 

 二人の問答は続く。

 

 

「リンくんも、アリスちゃんがビナーと同じだと思ってるの?」

 

「……アリスはまだ、アビドスに対して何かをした訳じゃないからな。完全に同じだとは思ってはいない」

 

「なら、どうしてアリスちゃんを連れていこうとするの?……大切な人を奪われそうになる時の辛さを、君は知ってるはずでしょ?」

 

「……ああ、知ってるさ」

 

「それでも実害が出てしまった以上、放置しておくことは出来ない。……次また暴れだした時に、誰も死なない保証なんて何処にもないからな」

 

 

 二人の問答は続く。

 

 

「ねぇ、リンくん。……ヘイローを壊された子は、死んじゃうんだよね?」

 

「……そうだな」

 

「……リンくん。……君は──」

 

 

 ──アリスちゃんの命を、奪えるの?

 

 

「………」

 

 

 カオナシ(赤飛リン)は暫し口を閉ざした後……ゆっくりと、口を開く。

 

 

「……アビドスに、キヴォトスに害が及ぶ可能性が有るのなら」

 

「例え()()()のレッテルを貼られる事になったとしても、俺が……俺たちが、アリスのヘイローを破壊する。……ただ、それだけだ」

 

「……そっか」

 

 

 二人の問答は──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっぱり、アリスちゃんを渡すことは出来ないかな」

 

 

 ……それ以上、続くことはなかった。

 

 先生はシッテムの箱を片手に、アリスを庇うように前に立つ。……キヴォトスにおいて誰よりも脆い身体で、当たり所によっては銃弾一発で命を落としてしまうその身体で、ゲーム開発部を守るように立ち塞がる。

 

 ……彼の能力の前では盾になるという行動すら無意味だとしても、先生は二人から目を離さない。

 

 

「………」

 

 

 リオはちらりと同盟者(赤飛リン)へと目を向けた後、アリスを捕らえる為にAMASに指示を出そうとし……先生と並び立つように、ミドリとユズは前に出る。

 

 ほんの些細な切っ掛けがあれば、今すぐにでもこの場には銃弾の嵐が飛び交うであろう一触即発の空気が漂う、その空間へと──

 

 

「……もう、辞めてください」

 

 

 ──アリスが先生たちの横を通り過ぎ、歩みでた。

 

 

「……っ!」

 

「「アリスちゃん!?」」

 

 

 何故前に出てきてしまったのか、早く後ろに下がって欲しいと頼み込むゲーム開発部の少女たちの方へとアリスは笑を浮かべながら振り返る。……けれどその瞳は、抑えきれぬ感情が溢れるように揺れていて──

 

 

「……もう、良いんです」

 

「アリスがここに居たら……ミドリやユズ、先生が傷付いてしまいます」

 

「アリスがここに居たら……みんなとお兄様が、争わなくちゃいけなくなります」

 

「アリスちゃん!そんなの気にし「アリスがここに居たらっ!!!」……ッ!?」

 

 

 ──みんなのヘイローを、壊してしまうかもしれないんですっ!!!

 

 

「………それだけは、したくないんです」

 

 

 声を荒らげ、遮るように告げられたアリスの言葉と剣幕に……ミドリは、二の句を継げることが出来なかった。

 

 

「アリス、ちゃん……」

 

「……ミドリ達が気に病む必要はありません。……アリスは、生命体ではないのですから」

 

「アリスはミレニアムの生徒ではないですから。……居なくなっても大丈夫です」

 

「アリスは……勇者、ではないから……アリス、は──」

 

 

 

 

 

 

 

 ──"世界を滅ぼす、魔王だから"

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、アリスと一緒に冒険してくれて、ありがとうございました。アリスは……今まで本当に、幸せでした」

 

 

 アリスは別れの言葉を告げると、一歩、また一歩と歩みを進める。……ゲーム開発部から立ち去るように(自らの意思で処刑台を登るように)、背を向けて。

 

 

「「……っ!ま、待って──」」

 

 

 咄嗟に先生とゲーム開発部の少女たちはアリスを連れ戻そうと手を伸ばすが、遮るように配置されたAMASに邪魔をされ、立ち去るアリスの姿を見ていることしか出来ず……

 

 

「……三日後、私達はアリスのヘイローを破壊する」

 

「もしも、私たちの行動に対して納得ができないというのであれば……」

 

「……いえ、言っても仕方の無い事ね、忘れてちょうだい」

 

 

 ……そうして、只々無力感に打ちひしがれる先生たちの前から、三人は姿を消したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 ──要塞都市エリドゥ、とあるタワーの最上階……無数のモニターが設置された部屋の扉が開き、一人のメイドが足を踏み入れる。

 

 

「……戻りました」

 

「ええ。お帰りなさい、トキ。……ネルの足止め、ご苦労様」

 

 

 振り返るリオの視線の先には、僅かに怪我をしたトキの姿。……彼女はリオの命令により、リンが能力でネルを追い出した後に部室へ戻って来れないよう足止めをしており、無事アリスを連れ出したとの連絡を受け隙を見て離脱、多少のダメージを負いながらも、戻ってきたという次第であった。

 

 

「……どうだったかしら」

 

「……流石はネル先輩、と言ったところでしょうか」

 

 

 リオの前にとある装置を置いた彼女は、備え付けられたソファに向かってスタスタと歩いていき……ぽすりと音を立てて寝転がる。

 

 そんな彼女を横目に、リオは受け取った装置と目の前の端末を接続すると、カタカタとキーボードを手早く打ち込んでいく。

 

 それから暫く無言の時間が続き……ふとした拍子にリオは手を止め、引き出しから箱のようなものを取り出すとトキの居る場所へと歩みを進める。

 

 

「……リオ様?」

 

 

 身を起こ……さずに、寝転がったまま顔だけ向けたトキの視線の先に映る彼女が持っていたものは、包帯や薬などの入った──所謂、医療箱というものであった。

 

 

「……あの、何を?」

 

「何って……手当てをしようと思ったのだけれど」

 

「……リオ様が?」

 

「?それ以外無いでしょう?」

 

 

 無表情で蓋を開け、包帯と消毒液を取り出し……スマホの画面を確認して首を傾げる彼女の様子を、ぽかんとした表情で眺めるトキ。

 

 

「……手当の経験は、有るのですか?」

 

「……ない、けれど。でも大丈夫よ、彼にやり方は聞いているから、その通りにやれば……できる、筈」

 

 

 手元で段々とぐちゃぐちゃになってゆく包帯に眉をしかめ、諦め、新しい包帯を取り出そうとしたところで……耳朶を打つ小さな笑い声に、顔を上げる。

 

 

「……トキ?」

 

「なんでしょう」

 

「……今、笑わなかったかしら」

 

「いえ、笑ってません」

 

「でも、今"ふふっ"って」

 

「すみません、笑いました」

 

「……やっぱり笑っているじゃない」

 

 

 一見すれば両者共に無表情。……でも彼女たちをよく知るものが見れば、一方はムスッと不貞腐れた様子で、もう一方は面白可笑しそうに笑っている。

 

 ──二人の間には、主従関係だけでは無い……確かな絆が存在していた。

 

 

「……手当は、自分でします」

 

「……そう」

 

「なので、リオ様はご自身のやるべき事をしてください」

 

「……ええ、そうね」

 

 

 ──"トキがネルに、勝てるように(私がネル先輩に、勝つ為に)"

 

 

 リオは医療箱を手渡すと、トキから渡された──ネルの戦闘データを記録した装置を手に取り

 

 

「……貴女には三日後、最も大変な役目をになってもらうことになる」

 

「……」

 

「だから今は、ゆっくり休んで英気を養っ………既に養ってるわね」

 

「ふぁい」

 

 

 一体どこから取り出したのか、ポテチを摘んでいる専属メイド(飛鳥馬トキ)の様子に苦笑しながら……アビ・エシュフの最終調整を行う為、部屋を後にするのであった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 一方その頃……リンはアリスを連れて、モニタールームとは別の一室へと赴いていた。

 

 

「アリスには今日から三日間、ここで過ごしてもらうことになる」

 

「……え?」

 

 

 疑問符をうかべる彼女の視線の先には……モニターと、幾つかのゲーム機、カセットが鎮座していた。

 

 他にも、布団や冷蔵庫など、凡そ生活する上で不自由を感じさせないようにするためのものがあり……どうしてこのようなものが置かれているのか理解ができず、困惑してしまう。

 

 

「あの……アリスは、ヘイローを壊されるのでは……?」

 

「そうだな。……ただそれは、さっきから言ってるが今すぐにじゃない。こっちにも色々準備しなきゃいけないことがあるんだよ」

 

 

 "まぁ、その辺の準備をするのは俺じゃなくてリオ達だけどな"とリンは室内に足を踏み入れると、コントローラーを一つ手に取り……未だ扉の前で突っ立っているアリスへと、放り投げた。

 

 ふわりと放物線を描く様な軌道で飛んできたそれを思わずと言った様子でキャッチした彼女に向けて、リンは言葉を投げ掛ける。

 

 

「……アリス、お前の生は三日後には潰える事になる。……俺たちの都合で、お前の命を奪う事になる」

 

「……お兄様達は、悪くありません」

 

「いいや。例えどんな理由であれ、()の命を奪うのは悪い事だ」

 

「……でも、アリスは「だから」」

 

「残り三日、なるべく悔いが残らないようにやりたい事をやっておけ。……可能な限り、応えてやる」

 

 

 遮り、告げられたその言葉に……アリスはほんの一瞬驚いたように目を丸くし、そして迷うように目を伏せる。

 

 

「悔いが、残らないように……本当に、いいんでしょうか」

 

「良いんだよ。……もし負い目を感じてんなら……そうだなぁ」

 

「……三日間ただずっと監視してるのも暇だからな、俺の暇つぶしに付き合ってくれ」

 

 

 そう言って彼がゲームを起動すれば……少し迷った後、アリスは彼の隣に腰を下ろした。

 

 

「……分かりました。それが、アリスに課せられた最後のクエストなのですね」

 

 

 彼女の視線の先、モニターに表示されているゲームタイトルは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『       』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──アリスのヘイロー破壊まで、残り三日。彼女がこのまま生を終えるか、それともまた違った運命を辿ることになるのかは……この先の、()()()の選択次第である。




生まれ方は選べず、過ぎた過去は変えられない。



『       』の中には、皆様の思う好きなゲームを入れてください。

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