小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

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赤飛リン、オリ主なのに全然出てこない件について。
……展開的に仕方ないんですけどねぇ。……ユメホシも早く書きたいねぇ……


……戦闘シーン書くの楽しいねぇ( ◜ω◝ )


美甘ネルVS飛鳥馬トキ①

 美甘ネルは元より高い身体能力に、神秘操作による身体能力の強化を併用して一瞬にして十メートルもの距離を詰め……発砲。トキの頭部と胸部に向けて、至近距離から弾丸の嵐を浴びせ掛ける。

 

 これをトキは機腕を前面に構え防ぎながら後退し……唐突に、背後へと振り返った。

 

 

 ──ガァンッ!!!

 

 

 瞬間響くは打撃音、視界が塞がれたほんの一瞬の隙をついて背後に回っていたネルが繰り出した死角からの蹴撃は、まるで未来でも見えているかのような挙動でトキが構えた機腕によって防がれる。

 

 ──ネルの動きが、止まる。

 

 

「──ッ!!」

 

 

 トキは機腕を振るいネルを弾き飛ばすと、空中に位置する彼女へと機関銃を突きつけ──更には計十六門に及ぶグレネードランチャーの砲口を向け、一切の躊躇いなく撃ち放った。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 銃弾の嵐が、炸裂弾の猛威が、己を打ち倒さんと迫り来る。距離もそう離れているわけではない。……瞬きの時さえあれば、数多無数の銃弾が我が身を打ち据え、爆発に飲み込まれることは想像に難くない。

 

 空中という回避不可能な状況下において繰り出された、いっそ過剰とも言えるほどの暴力が迫る光景を前に、美甘ネルは──

 

 

「──ハッ」

 

 

 ──ただ、嗤っていた。

 

 迫りくる銃弾の雨霰を前にして、まるで脅威に感じていないようなネルの様子にさすがのトキも違和感を抱き、眉を顰め……直後に彼女が取った行動に、目を見開いた。

 

 

 "ダンッ"という──()()()()()と共に、美甘ネルが地に降り立つ。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 飛鳥馬トキの身に纏うアビ・エシュフは、要塞都市エリドゥのバックアップを受けることによって、莫大な演算能力による擬似的な未来視を可能とする能力が備わっている。

 

 その精度は凄まじく、死角からの攻撃であろうと既知の攻撃とし対応可能となる機体(アビ・エシュフ)と、それを十全に扱うことが可能な彼女はミレニアム最強である美甘ネルをも上回るほどの戦闘能力を持っている──

 

 

(──迎撃じゃないッ)

 

 

 ……筈、だった。

 

 ……アビ・エシュフによる予知の結果は、彼女が手にするダブルSMGによる迎撃だった。着弾までのほんの僅かな間に八割ほどの攻撃が撃ち落とされ、微々たるダメージしか与えられないという内容で……次につなげるための一手も、既に演算済みであったのだ。

 

 予知(予測)の内容は──決して、空を蹴り射線から離脱するなどという荒唐無稽な芸当では断じてなかった。

 

 予測の内容とは全く異なる結果を目にし、トキの動きが僅かに鈍る。──コールサイン・00(勝利の象徴)は、そのほんの一瞬の僅かな隙を見逃すほど甘くはない。

 

 

 素の脚力×神秘操作による身体能力強化+神秘の放出

 

 

 未来を予測してもなお反応する事が難しい、今の彼女にできる最高速度の歩法。瞬間移動と見紛うほどの一瞬の内に懐に入り込んだネルは勢いそのまま、槍の如き一撃を叩き込む(右脚による蹴撃を繰り出す)

 

 

「……ッ!!!」

 

 

 一切の踏ん張りすら許されることなく蹴り飛ばされたトキは、アビ・エシュフに身を包んでなお殺しきれない衝撃の重さに苦悶の表情を浮かべながらも、追撃と言わんばかりに間髪入れず放たれた銃弾の嵐を凌いでいき……程なくして、"カチカチ"とから回る音が響く。

 

 その隙に体勢を整えたトキは普段の無表情から一転、険しい眼差しでネルを見据える。

 

 

「……驚きました、先輩がまさか空を跳べるようになっているだなんて」

 

「……どうやら、カオナシの奴は黙ってたみてぇだな」

 

「そのようです。……大方、"フェアじゃない"とかそういう理由でしょう。……ですが、もう関係ありません」

 

 

 ──既に、再演算は終わったので

 

 

 そう言って構えるトキの様子を眼にしたネルは、リロードしながら嗤っていた。

 

 

「ハッ、そうかよ。……つまり、こっからが本番ってわけだな」

 

「はい。……いまから先輩にお見せしましょう、リオ様が私のために用意してくださった──」

 

 

 ──アビ・エシュフの、真髄を

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「──ッ!!」

 

 

 ネルはアスファルト舗装された地面を強靭な脚力による踏み込みで砕き、破砕音を轟かせながら凄まじい速度で吶喊し……トキは対象的にその場から一歩も動くことなく迎え撃たんとする。

 

 二十メートル近くあった距離を瞬きの内に詰めたネルは、自らの獲物を相手に向けて突きつけると同時にその引き金を──

 

 

「──チィッ!!」

 

 

 引くことなく直角に方向転換、軌道線上から離脱する。直後──先程まで彼女のいた場所に向けて振り下ろされた機械仕掛けの大剣(スルトの剣)が、アスファルトの大地を破砕する。

 

 奇しくも以前のアリスとの戦闘時の一画のような構図となった、此度の一瞬の攻防……しかし以前とは違い、ネルは自身に向けて振り下ろされた大剣を目にして冷や汗をかいていた。

 

 

(……ッぶねぇ!あと一瞬気づくのが遅れてたら諸にくらうところだった!)

 

 

 いったいいつの間に手にしていたのか。直前になるまで確かに持っていなかったはずのそれが突如として姿を現したことに驚いたものの……流石は、ミレニアム最強と呼ぶべきか。彼女はすぐさま気を取り直すと、お返しと言わんばかりにダブルSMGの銃口を突きつけ無数の銃弾を浴びせ掛ける。

 

 

「──アイギス」

 

 

 その全てが、トキの前面に展開されたエネルギーシールドに阻まれ──

 

 

「オラァッ!!」

 

 

 間髪入れずに叩き込まれた飛び蹴りがシールドを砕き、トキを捉えた。……しかし、蹴られたはずの彼女は先程とは違ってびくともしない。……それもそのはず、なにせ彼女にはそもそも、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 蹴撃に合わせるように……否、蹴撃に合わせてピンポイントで貼られたエネルギーシールドは、展開範囲を絞ったことで先程よりも強固な壁となり、ネルの攻撃を完璧にシャットアウトする。

 

 動きの止まった彼女へと、トキは掬い上げるようにしてスルトの剣を振るい──

 

 

「……ッ!」

 

 

 ──エネルギーシールドの端に靴底の窪みを引っ掛けて、純粋な脚力だけで自らの身体を引き寄せたネルの頭突きが、トキの顔面を捉えた。

 

 

「グッ……!?」

 

 

 しかしトキもまた、やられっぱなしで終わりわしない。不意の衝撃が来ることを()()()()()()彼女は自ら後ろに仰け反ることで受けるダメージを最小限に抑えながら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、半ば無理矢理に距離を詰めたネルはこれをかわせずまともに銃撃を食らってしまう。……両者の距離が開かれ──二人は再び、ぶつかり合う。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 時が経てば経つほど、二人の戦闘は激しさを増していく。時が経てば経つほど……戦局の天秤は、トキの方へと傾いていく。

 

 しかし、それも仕方のないことだろう。なにせエリドゥのバックアップを受けたアビ・エシュフは未来視レベルの演算能力を有し、その高い演算能力がネルとの戦闘を積み重ねるたびに都度都度最適化されていっているのだから。

 

 更には長時間の訓練により機体性能に振り回されることなく、どころか十全以上に性能を引き出すトキが搭乗しているのだ。

 

 故にこそ──戦闘が長引けば長引くほどに戦局がトキの方へと傾いていくのは、必然とも言えた。

 

 

(ちっ、このままじゃジリ貧だな)

 

 

 ネルは戦闘を続けながら、状況を打開するための策を考える。……否、既にあるにはあるのだが。

 

 

(エリドゥはアビ・エシュフとトキに関する全てを演算する。だから高いところから落ちたり、エレベーターを利用したり……あいつにかかる負担を大きくすればするほど、アタシの攻撃を予測するために割かれる演算能力は減っていく)

 

 

 原作とは違ってトキと以前から接点のある彼女は、アビ・エシュフの弱点を既に知っていた。……なんなら、性能テストに関わってすらいた。

 

 故に彼女はアビ・エシュフと対峙した際の対処法を知っており……トキはネルが弱点を知っているということを知っている。

 

 

(エレベーターに押し込むには距離が離れすぎてんな。誘い込もうにも、アタシが少しでも離れる素振りを見せたらこいつは一切の躊躇いなく先生たちのところに向かうだろうし……クソ、やりずれぇ!)

 

 

 他のC&Cのメンバーと連携して戦えば勝てるだろう。……しかし、ネルはその選択肢を取らない。

 

 理由は至極単純、厄介な駒の一つであるトキの足止めと言う役割を既に果たせている以上、戦力を此方に割く必要性がないから。……此方に割くくらいならば、アリス奪還の要である先生たちの方に戦力を割り当てるべきだと、彼女は考えていた。

 

 それでも"勝つ"事を諦めないのは、ひとえに彼女のプライドの高さによるもの。……"やるからには勝つ"、それが彼女の矜恃である。

 

 そうして幾度かの攻防を繰り返し、再び距離が離れたその時、トキが徐に告げた言葉にネルは眉を顰める。

 

 

「……このままでは、ジリ貧ですね」

 

「……あ?」

 

 

 "それはこっちのセリフだ"と内心思っていた彼女は気付く。──アビ・エシュフに搭乗するトキの指先が、僅かに震えている事に。

 

 ネルの気迫に恐怖している、という訳では無い。……単純に、激しい戦闘によって、防御すら容易く貫いてくる重い一撃を何度もくらい続けたことによって、疲労が蓄積している。……ただそれだけの理由。

 

 幾ら予測の精度を上げて受ける攻撃の頻度を減らそうとも、そこに到る迄に積み重ねられた疲労や機体の損傷は消えることは無い。……時間をかける程不利になるとネルが考えていたように、トキもまた、これ以上時間をかけるのは無理だと考えていた。

 

 ……故に

 

 

「……リオ様、使用の許可を」

 

 

 彼女は──否、()()()()は切り札を切る。

 

 

『ええ、許可するわ。……勝って帰ってきなさい、トキ』

 

「はい」

 

 

 トキの纏う空気が変わる。ぶわりと全身の毛が逆立つ様な感覚を覚え、"何かをされる前に止めるべきだ"とネルの理性が叫び、"んな無粋なこと出来るかよ"と本能がねじ伏せる。

 

 頬を伝う冷や汗を無視する様に獰猛な笑みを浮かべるネルの視線のその先で……飛鳥馬トキはただ一言、切り札を呼び起こすための言の葉を紡ぐ。

 

 

「起動、アビ・エシュフ──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ω(OMEGA)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "アビ・エシュフ-Ω"。それは対峙している美甘ネルだけではなく、停戦協定を結んでいた全知の少女(明星ヒマリ)すら知らぬ……キヴォトス全土において三人しか知る者が居ない、秘された切り札。

 

 今此処に──時の女王が、顕現する。




素の戦闘能力だけで未来予測するアビ・エシュフとやり合うネル先輩、だいぶやばいのでは?(書きながら思ってたこと)
まぁこれで終わったら苦労はしないんですけどね!


アイギス
→ アビ・エシュフではなく、変型神話(Deformatio Mythologia)に搭載された防御機構。ビナー戦で見せたトールハンマー→芭蕉扇→スルトの剣の様に、状況に応じて都度変型させる必要がある変型神話(Deformatio Mythologia)の隙を少しでも減らす為に備え付けられたエネルギーシールド。エリドゥの演算のバックアップを受けることも出来、その際はオート防御、マニュアル防御の切替が可能となる。

アビ・エシュフ-Ω
→α(陸戦、通常)、β(空戦)、γ(水中戦)の三種しか存在しないはずのアビ・エシュフの秘された第四の形態。詳細は次回。


※ネルパイセンはアビ・エシュフの性能テスト(という名の模擬戦)については関わっていましたが、変型神話(Deformatio Mythologia)についてはビナー戦の時が初見であり、状況に応じて変型する武器という認識でした。その為、腕輪形態の"ドラウプニル"の存在を知らず、不意を付かれました。……まぁ、躱したんですけどね。
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