これからまた投稿をしていこうと思いますので、『小鳥遊ホシノの先輩』をどうぞよろしくお願い致します!
それでは本編へどうぞ|´-`)チラッ
"アビ・エシュフ-Ω"──飛鳥馬トキが唱えた直後、彼女を中心として円形のエネルギーシールドが展開され、包み込む。……その様はまるで、羽化の時を待つ蛹のようにも見えた。
(
ネルは銃を構えはするが、手を出すことはしない。……油断や慢心ではない、"今手を出せばやられる"と、これまで培ってきた経験が警鐘を鳴らしていたから、彼女は警戒心を解くことなくじっと見据えたままリロードし準備を整えていく。
◇◇◇◇◇
半透明のシールドの内側で、アビ・エシュフと
『搭乗者を確認……飛鳥馬トキ、クリア』
『バイタルチェック……搭乗者の疲労を検知。再検証……許容範囲内である事を確認、稼働時間に制限を設けることによりクリア。稼働可能時間:15分』
『機体チェック……損傷率17パーセント。外装の傷多数、アビ・エシュフ-αの左腕内部機構の電子回路に不備を検知、パージし、
一つ、また一つと組変わり……やがて、その時は訪れる。
◇◇◇◇◇
「……!」
"バキリ"──音が響く。飛鳥馬トキを包み込むように展開されていたエネルギーシールドがひび割れ……砕け散る。
舞い散る破片はキラキラと、星屑のように輝きを放つ。その中心部で静かに佇む飛鳥馬トキ、彼女の身に纏うアビ・エシュフはその姿を大きく変えていた。
"装甲"と呼べるものは、先端が鋭利にとがった脚部にあしらわれた物のみで、胴体は元より着ていたレオタード状のインナースーツのみ。……先程までの重厚な装甲と比べると遥かに頼りないどころか最早有って無い様なものだが、それ以上に目を引くものが一つ……否、十二。
彼女の背部には均一の距離感を保ちながらも円を描く様に宙に佇む十二機のBIT兵器が存在しており、その様は見ようによっては時計を模しているようにも感じ取れた。
「……それがお前の切り札か」
「……いいえ」
──"私たちの、切り札です"
"バチリ"と電気の弾ける音が響くと、飛鳥馬トキの身体が地面からほんの1、2センチ程浮かび上がる。恐らく電磁浮遊によるものだろうとネルがアタリをつけた……その時であった。
「あ?……ガッ!!?」
音も無く目の前に現れたトキの拳が腹部に突き刺さり、小柄なネルは先の蹴りのお返しと言わんばかりに勢いそのまま殴り飛ばされた。
(速ぇ……見えなかったッ)
腹部に走る鈍痛に苦悶の表情を浮かべながらも空中で体勢を整えたネルは、両の手に握りしめた二丁のSMGの銃口をトキに──
「──ッ!!」
……向けようとしたその時、どこからともなく飛来した二本のレーザーが、持ち上げようとした彼女の腕を撃ち据えその動きを阻害する。視線を向けた先には銃口をこちらに向けたBIT兵器が二機、トキの背後にあったものだと容易に推測が出来……同時に、自身の失策を悟る。
ああ、そうだとも。──見ていてなお姿を捉えられぬ程の速度で動く相手から視線を外すなんて、失策以外の何物でもなかった。
捉えられないながらも危険を感じたネルはその場から離脱しようとしたが、進行方向に
──足を一歩踏み出そうとすると、その先に銃弾が放たれる。
──銃を構えようとすると、押さえつけるように撃ち抜かれる。
──強引に離脱しようとすれば複数機のBITを繋ぐようにして展開されたシールドに阻まれ
──隙を探そうとする彼女の眼前をレーザーが横切り
──不意に訪れるトキ本人の襲撃を、
ありとあらゆる行動の出鼻をくじかれるその様は、まるで自分の
そこに、無慈悲にも更なる追撃の一手が放たれる。
円を描くように囲む十二機のBIT+トキの
◇◇◇◇◇
──場面は移り変わり、エリドゥに建築されたビルのとある一室
「な、んで……どうして、モモイ達が戦ってるんですか……!?」
モニターに不意に映し出された光景……先生の指揮の元、多勢に無勢という言葉すら生温い圧倒的な戦力差を前にして尚果敢に立ち向かうゲーム開発部達の姿と、アビ・エシュフを纏ったトキに苦戦を強いられているネルの姿を目にした少女は、驚愕、焦燥、疑念など、様々な感情が入り交じった声を上げる。
何故、どうして、分からない、でも助けに行かないと………自分で傷付けておいて、どんな顔をして会いに行くというのか?
助けに行きたい、でも、自分にはもうそんな資格はない、でも、でも、でも……と思考の坩堝に嵌りかけていた少女の耳に、部屋の扉が開く音が聞こえてきた。
反射的に振り返った彼女の目に映るのは、つい先程"少し席を外す"と部屋から出て行った赤飛リンの姿。そんな彼へと、少女は──天童アリスは駆け寄り、懇願する。
「っお兄様!モモイ達を、みんなを助けてくださいっ!」
"戦いを止めて欲しい"とアリスは希うが……彼は"それは出来ない相談だな"と、彼女の願いを突っぱねる。
「ど、どうしてですか!?」
「どうして?……んなもん理由は明白だろう」
「あいつらは今、お前を、アリスを取り戻す為に此処に突入してきている。んでもって俺は、それを阻もうとするリオと同盟を結んでる。……忘れているようだから改めて言うが、今の俺はあいつらの"敵"だぞ」
「……!…そん、な……」
今この場において唯一の頼みの綱であると思っていたリンに、頼る事は出来ない。アリスは絶望に打ちひしがれながら再びモニターに目を向けるが、そこには先程と変わらず……否、先程以上にボロボロになっている
「アリスは……アリスは、どうしたら……っ」
迷い、悩み、罪悪感……様々な感情がごちゃ混ぜになり、アリスは膝をつき涙を流す。……そんな彼女の事をリンはじっと見下ろし、モニターに視線を移し……目を伏せた彼の口元が、小さく動いた。
「……伝えても構わないな」
『………あなたが必要だと判断したのなら、構わないわ』
他の誰にも聞き取れないほどの声量で何かを呟いたかと思えば、今度はアリスに背を向け──
──"上から三番目、そこにアリス宛に預かったもんが入ってる"
「……ぇ?」
不意に聞こえてきたその言葉に、溢れる涙をそのままに思わずと言った様子で顔を上げるが、リンはそれ以上は何も言うことなく仮眠用のベットへと向かい腰を下ろす。
その後の彼はじっとこちらを見ているだけで……その目を見れば、これ以上はもう何も言ってくれないのだろうということが理解出来た。
「うえから、三番目……」
──その言葉に思い当たるものが一つ、この部屋にはある。
それは、彼が監視の最中に時間を潰す為のゲームを取り出していた計四つの引き出しで構成された収納チェスト。……言われて思い返してみると、彼は三番目の引き出しは一度も開けていなかった。
そこに何が入っているのかは分からないが、今このタイミングで呟かれたその言葉にはなにか意味があるはずだと、アリスは藁にもすがる思いで近づき、開く。
引き出しの中で何かが倒れたのだろうか……"かさり"という音が、静かな部屋に響く。
「これ、は……手紙、でしょうか……?」
……引き出しの中に入っていたのは、
何が書かれているのかは分からないが……何となく、今読まなければいけないような気がして。彼女は丁寧に封を切り、取り出し、一通目の手紙に目を通す。
「…………!」
内容は一文だけ、しかしそれ以上に目を惹かれたのが……一番初めに大きく書かれた差出人の名であった。大きく目を見開く彼女のそばには、何処か
【アビ・エシュフ-Ω】
未来を予測出来ても動きが追いつかない?なら、もっと速くなればいい。
未来を予測出来ても手数が足りない?なら、もっと増やせばいい。
只々只管に、飛鳥馬トキのやりたい事を押し通す為に未来を予測する"アビ・エシュフ-Ω"、そのコンセプトは──対
※変型時に彼女を覆う様に展開されるエネルギーシールドはかなりの出力を誇る。具体的には、撃ち込まれた銃弾が焼け溶ける位。下手に手を出せば返り討ちに合うというネルの直感は正しいものであった。
※今回はネルの奮闘もあって既にかなりのダメージをおっていたため、一部装甲が足りていない不完全な状態。
万全な状態だと、腕部の装甲に加えて腰周りにはバトルドレス風の装甲が着く。見た目は、メルトリリスの服装を露出度を下げつつより機械的な感じにしたイメージ。膝の棘はない。
※強力な分、当然制約はある。
【二通の手紙】
一通は本文にある通り。もう一通の手紙は飾り気のないとってもシンプルなもの。