小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

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天井したのにケイちゃん交換忘れました
ミレニアム編書いてるのに
もうおわりです

……以上、作者のやらかしでした(´ω`)


……それでは本編へどうぞ!今回は普段より短めです|´-`)チラッ


限界を超えて

 立ち込める煙の中で、瓦礫に身を預ける人影が一つ。……度重なる銃撃、爆撃により最早怪我をしていないところを探す事のが難しかった。

 

 激しい戦闘によって切ってしまったのだろう、頭部から血を流す彼女の、意識は──……

 

 

「……ッ!」

 

(あぶねぇ、一瞬意識飛んだ……!)

 

 

 ……──途切れかけた意識を無理やり叩き起す。

 

 激しい痛みに顔を顰めながら起き上がろうと身体に力を込める彼女は、煙の先にいるであろうトキを睨む。

 

 彼女が身に纏うアビ・エシュフがその姿を変えてからの戦闘は、かの美甘ネルを持ってしても抗うことができないほどに一方的なものであった。

 

 

(……落ち着け、今のまま突っ込んでも勝てねぇのは分かりきってんだろ)

 

 

 "ふぅ"と一つ息を吐く。……自分が意識を取り戻しているのも既に分かっているだろうに、撃ってこないトキに僅かに苛立ちながらも、彼女は現状を打開する為の策を考え続ける。

 

 ──一番分かりやすい手段は、矢張り"時間稼ぎ"だろう。

 

 変型する際に聞こえた機械音声からして、あの形態はそう長くは続かない事は理解出来た。……その短い時間でこの有様だから、本当に手に負えないのだが。

 

 

(経過時間からして……後五、六分くらいか)

 

 

 それだけの時間があれば、彼女は先生たちの方に向かい、戦線を崩壊させることができるだろう。今のトキはそれ程までの脅威を秘めており……それだけの時間を稼ぐ事ができるほどの体力は、残念ながら残ってはいないのだが。

 

 ──やるなら、残された体力全てを注ぎ込んで、超短期決戦で勝たなければならない。

 

 痛む身体に鞭を打ち、立ち上がる。ここ迄の戦いで、変化したアビ・エシュフの未来予知にも等しい予測の突破口は見えてきたが……試すには、如何せん()()()()()()()

 

 

(……あと一分、あと一分で出来るようにならねぇとそこでもう終わりだ。それ以降はあたしの全部を注ぎ込んで……二分持てば良い方か)

 

 

「……ははっ」

 

 

(あぁ、笑っちまうよなぁ……最強だ何だって言われておきながら、蓋を開けてみたらこのザマだ)

 

 

 目を伏せ自嘲気味に笑うネルの姿は、今は誰の目にも映っていない。……故に彼女は隠さない。……隠すことなく全てを吐き出し、認め、受け入れる。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 自身が強いという自負はある、自分以外にも強い者がいることは知っている。……相性による差はあったとしても、誰が相手だろうと初めから勝利を諦めて戦おうだなんてことは一度たりともしたことは無かった。

 

 ……目の前の(トキ)の強さは想像以上だった。……それでも──

 

 

(……少なくともあいつは、絶対に諦めたりしねぇ)

 

 

 ──脳裏に浮かぶのは、リオの側につき、理由も話さないどころか問答無用であたしを追い出し、アリスを連れていった男の姿

 

 自分がまだC&Cに入ってそう長くない頃に、彼に神秘というものの扱い方を学んだ。自身の身に宿る神秘は他者のそれより多くて、その分人より体が頑丈だということも理解して。必ずしも総量だけで勝ち負けが決まるわけではないが、差が大きいほどやっぱり有利ではあると言うことを知り……

 

 

 自分よりも数段劣る神秘総量にも関わらず、このあたしに勝てる程の努力を重ねてきたあいつの事を……素直に、凄いと思ったのだ。

 

 ──イラつく

 

 

(どんだけ厳しい目標(戦い)だろうと……目的の為なら使えるもん全部使って、工夫して、ねぇはずの道すら切り開きやがるのがテメェだろうが……そのくせ何だかんだで困ってるやつを見捨てきれずに手を伸ばしちまうような甘いヤツらが、非情ぶってんじゃねーよ)

 

 

 合理だなんだと言いながらも、何だかんだでお人好しな部分を消しきれない二人のことだ。……きっと、何か別の目的も有るのだろう。

 

 ──ムカつく

 

 

「……ざけんじゃねぇ」

 

(なんでそれをあたしに……あたしたちに話さねぇ……!態々テメェらが敵対しなくても、全員で協力すりゃ解決策だって見つかるかもしれねぇだろ……!)

 

 

 ──溢れんばかりの怒りと共に、神秘が全身を駆け巡る

 

 留めきれずに外へと漏れ出た神秘が──"バンッ"と、炸裂音を轟かせた。

 

 一度や二度では無い、炸裂音は何度も何度も響く。……至近距離で小規模の爆発を受け続けているようなものだ。……当然、痛みはある。

 

 既に消耗は激しく、このままではトキと再び戦う前に倒れてしまうかもしれないというのに……それでも彼女は、溢れ出る神秘を抑え込む素振りすら見せず……寧ろそれを良しとすらしていた。

 

 

 ──一際激しい炸裂音と共に、溢れる神秘が爆煙を吹き飛ばす

 

 

(……はっ、何て姿してやがる)

 

 

 美甘ネルの視線の先には……分かってはいたことだが、飛鳥馬トキが立っていた。

 

 

「………」

 

 ──彼女の体には、至る所に生傷がついていた。

 

 

 覗く素肌は青痣まみれで、所々血を流してすらいる。無事と言える部分は最早何処にもなく……終始こちらを圧倒していたとは思えないほどにボロボロなその姿に、ネルは思わず苦笑してしまう。

 

 

(そうだよな……幾らエリドゥのバックアップがあるっつっても、肉体を保護するための機能が備え付けられていたとしても……あれだけの速さで動いてたら、身体への負担もデケェよなぁ)

 

 

 況してや今のアビ・エシュフの変型は不完全なものだ。……当然、身体にかかる負担はより大きくなるし、下手をすれば足りない演算能力を補う為に脳に負荷が掛かっている可能性だってある。

 

 常日頃から身に纏い訓練してきた彼女が理解してないはずがない。……それでも尚解くことをせず、得物()を構える理由はただ一つ

 

 

 ──負けたくない

 

 

 ……ただ、それだけ。

 

 二人の脳内からは既に、"足止め"という言葉は消え去っていた。……そんな消極的な考えでは、トキ(ネル先輩)には勝てないということを理解していた。

 

 

「「……勝つぞ(勝ちます)」」

 

 

 宣言と同時に、ネル(トキ)トキ(ネル)に向かって駆け出した。




模擬戦ですが、過去にリンはネルに勝っています。……当時は能力が使えない状態だったので、神秘操作と機転と、それから気持ちだけで。
当時のネルはまだ未熟な部分があったとはいえ、それでもミレニアム1強かった事には変わり無く……
神秘についての扱い方を学んだからこそ、意図して扱う事の難しさを知り、彼の技術を見て積み重ねられた努力の大きさを感じ取りました。

どんな事でも才能の差と言うものはあって、良くも悪くもスタートラインは同じじゃない。それでも努力を積み重ねる事で並び、追い越すことが出来ると証明した赤飛リンの事を、ネルは直接言葉にはした事ないものの"凄い"と関心し、ある種の尊敬の念を抱いていました。

彼女にとっての赤飛リンは、端的に表すのなら……"負けたくないライバル"と言った所でしょう。……お互い、近距離が得意だと言うのも有りますしね



【アビ・エシュフ-Ω】
肉体の保護をする機能は当然備え付けられているが、それでも高速で動けば身に纏う者にかかる負荷は大きくなる。
故にリオは、"飛鳥馬トキのやりたい事を押し通す為に未来を予測する"というコンセプトを持たせながらも、なるべくトキが動かずに済むようにと考え……その結果として主武装が十二機のBIT兵器となった。

……並の相手ならそれで十分だし、十全な状態であればある程度は動いても問題はなかった。しかし相手は並どころかキヴォトス全土で見ても並ぶ者が少ない、最上位に位置する者。不完全な状態のオメガで、動かずにBIT兵器に頼り切りで勝てる程……美甘ネルは甘い相手ではなかった。
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