小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

124 / 126
番外編四話目!

今回はちょいとオリ要素強めかも……?


【番外編】???

 ピッ……ピッ……ピッ……

 

 

 ──電子音が響く。種々様々な機械の立ち並ぶその場所を目にすれば、多くの者はそこが"研究施設"であると気が付くだろう。

 

 機械の殆どは素人が見ても用途不明なものばかりだが、それでも一つだけ理解できるものがある。

 

 

「………」

 

 

 部屋の中央に位置する寝台に、一人の少女が横たわっている。……呼吸はしていない、しかし死んでいるのかと聞かれると、そういう訳でもない。

 

 一言で言い表すならば……そう

 

 ──機能を停止している

 

 ……ように見える。

 

 容姿は……色で表すならば、"白"だ。髪の毛だけではない、肌の色すらも異常な程に真っ白、まるで陶器を想起させるような人ならざる白である。

 

 

「………」

 

 

 ──唐突に、なんの前触れも無く突然に、横たわっていた少女の二つの眼が開かれる。

 

 周囲を把握するようにキョロキョロと視線を動かすが、斯様な場所に見覚えなどある筈もない。

 

 動こうにも動けない……否、()()()()()()()()()()()()()

 

 

「……ココハ、ドコダ?」

 

 ──我ハ何故、意識ガアル

 

 

 そんな疑問を口にしたその時──ガチャリ、と部屋の扉が開く音がする。

 

 

「おや、どうやらお目覚めになられたようですね」

 

 

 視線を向けた先には、少女とは正反対の──"黒"

 

 全身真っ黒、身に纏うスーツも黒。顔のひび割れから除く光だけが白い光を放つ、異形の男。

 

 未だ謎多き組織──"ゲマトリア"に所属する、"黒服"と呼ばれる存在が、そこに立っていた。

 

 

「……貴様ハ、誰ダ」

 

「私には名前はありません。……が、黒服とお呼びください」

 

 

 じっと見つめる。……見覚えはない、此奴は我の興味の対象ではない。

 

 ……しかし、情報を得るためには訊ねる他ない。

 

 

「……我ハ、何故ココニ居ル」

 

「ふむ……そうですね、気になることは多くあるでしょうし、一つ一つご説明いたしましょう。……疑問は、全てを聞き終えてからで」

 

「……ソレデ構ワン」

 

「それでは、先ず──」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「……成程ナ、矢張リ我ハ、彼ノ者等ニ打チ倒サレテイタカ」

 

「ええ、そうなります」

 

 

 黒服から自身に関する()()を聞いた少女は、静かに目を閉じる。……瞼の裏に過ぎるのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()

 

 ……思うところがない訳では無い。だが──恨みは無い。

 

 持てる全てを用いて、自らの限界すらも超えて戦い敗れたのだ。初めは勿論自らを傷付けた者に対する復讐心はあったが、今は敬意こそ抱けども、憎しみを募らせ続けるほど己は恥知らずではない。

 

 

「……」

 

 

 憎しみはない、敬意は抱いた。……ならば、残る感情は

 

 

「黒服、と言ったな」

 

「(口調が流暢に……)はい、何か気になる事でもありましたか?」

 

「ああ。……我を打ち倒した英雄達は今もあの砂漠にいるのか?」

 

「……復讐でも為さるおつもりでしょうか?」

 

「馬鹿を言え、我は持てる全てを用いて負けたのだ。再戦は望めど、復讐などはせぬ」

 

「……そうですか。……当時あなたと戦った方々は所属がバラバラですので、今はそれぞれの学園に居るかと」

 

「そうか……では、あの星の如き輝きを放っていた英雄は何処に居る。……二年前に我の外殻を破壊せしめた者だ」

 

「ふむ……彼であれば、今もアビドスに居るでしょう。……ただ、数日もすれば諸用により一時的にアビドスから離れる事になるかと」

 

「なに……?」

 

 

 一体何処に行こうと言うのか、少女が黒服に問おうとしたその時

 

 

「面白い話をしていますね、黒服」

 

 

 ……許可なく研究施設に足を踏み入れるものが現れる。

 

 

「……ノックくらいして頂きたいのですが」

 

「あら、同じゲマトリアに属する仲ではありませんか」

 

 

 白、黒ときて……今度は赤色。態度にも、声音にも、視線にも……目に見える全てに傲慢さを孕んだ女は、白き少女へと目を向ける。

 

 

「なるほど、これが例の……」

 

「……あまり不用意なことはしないで頂きたいのですが」

 

「あら、不用意だなんてそんな。私はただこの少女と話をしたいだけです」

 

「我は貴様のような小物に興味はない。疾く失せよ」

 

 

 対する少女は欠片ほどの興味も湧かぬ路傍の石に話を遮られ、不機嫌さを隠そうともせずに吐き捨てる。

 

 "ピキリ"と女は青筋を立てるが、ここで引き下がっては態々足を運んだ意味がない。……何よりも、子供の見た目をした相手に嘗めた態度を取られたまま引き下がるなど、女のプライドが許さなかった。

 

 

「あら、良いのですか?私であれば、あなたを一度殺した男と戦う場を用意してあげることも出来ますが」

 

「……ほう?」

 

「ベアトリーチェ、何を「良い」……!」

 

「発言を許す」

 

 

 先程まで一度も向けられることもなかった少女の目が……蛇を想起させる金色の瞳が、女を射貫く。

 

 傲岸不遜、自らが上位者である事を疑わぬその瞳に対する苛立ちを抑え込み、女は語る。

 

 

「……エデン条約機構の締結日、ゲヘナとトリニティが一堂に会するその日に、あの男もまたトリニティに来るでしょう」

 

「ほう……トリニティか」

 

「ええ、実は私もある目的の為にその日は行動を()()()()()予定なのですが、あの男は恐らく私の計画の邪魔をしてくるでしょう」

 

「ふん……成程な。自分ではどうすることも出来ないから我の力を借りようと言うことか。……やはり小物だな、あの英雄達と比べるまでもない」

 

「………………それで、どうしますか?」

 

 

 ありとあらゆる罵詈雑言を飲み込み、女は問う。対する少女の返答はもちろん否──ではなかった。

 

 

「良いだろう、我もあの者達に問いたい事があるからな。貴様の案に乗ってやる」

 

「ふふ……そうですか。では、当日はよろしくお願いしますね?私もしっかりと、あなたがあの男に復讐する場を整えて差し上げますので」

 

「という事ですので、黒服。彼女を借りますが宜しいですね?」

 

「……お二人が合意したのであれば、構いませんよ」

 

 

 黒服の言葉に女は満足気に頷くと、研究施設を後にする。……再び白と黒の二人だけとなった施設内で黒服は少女に問いかける。

 

 

「……宜しかったのですか?彼女の提案に乗らずとも、私であれば彼の居場所をお教えする事も出来ましたが」

 

「まぁ、だろうな」

 

「……理解していたのなら、何故?」

 

「何故、か。……特に理由は無いが、そうだな。強いて言うなら──」

 

 

 ──そちらの方が、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「……という訳で、我はこの身体に一刻も早く慣れねばならぬ。既に動かすことなら出来るが、この程度で彼の者達の前に立つなど失礼にも程があるからな」

 

「そう、ですか。……では私は、あなたが扱うに足る武器を用意しておきましょう」

 

「うん?……そうか。貴様には毛ほどの興味も無いが、世話になるな」

 

「お気になさらず。……私は、あなたが彼とぶつかる事でどの様な反応が起きるのか興味があるだけですので」

 

「ほう……貴様はあの小物と違って見る目はあるようだな」

 

 

 ──白い少女という有り得ざるイレギュラーが、いったい何を持たすのか。……それは、誰にも分からない。




???「復讐?馬鹿を言うな、何故そのような事をせねばならん」
???「我はただ、もう一度あの英雄たちと戦い……知りたいだけだ」


これにて幕間の番外編は終了です。
来週からはついにエデン条約編開始!……ただし、二章後半からですが|´-`)チラッ


感想、高評価、ここすきお待ちしてます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。