補修授業部に関しての掘り下げは、夏イベ及び三章以降で行う予定です。
今回の展開は昨年のとある時点で既に構想を練り、書いていたものになります。
※今週からまた週一投稿に戻ります。……ストックがめちゃくちゃ溜まったら頻度上げるかも?
それでは、本編へどうぞ
定められた未来に抗う者①
ティーパーティーが一角──パテル分派の聖園ミカと、彼女が招き入れたアリウス生
先生と補習授業部、そして彼女たちが秘密裏に情報を流し支援を要請したシスターフッド
トリニティ総合学園に存在する旧体育館内部にて桐藤ナギサを
ピンと張り詰めた空気、些細なきっかけさえあればすぐにでも銃弾飛び交う線上に早変わりするであろうという状況で──
バンッ!
──唐突に、ひとりでに、両陣営のちょうど中間に位置する体育館の扉が緊張感をぶち壊すように音を立てて開かれた。
生徒たちだけではない、先生ですら予想していなかった未知なる第三者の乱入。
今現在、両者の戦力差は拮抗している。乱入者がトリニティ側の人間であれば均衡は当然先生たちに傾き、ナギサを守りきれる可能性が高まる。……逆にもし現れたのがアリウス側の増援であるのならば、ナギサが殺されてしまう可能性が上がってしまう。
故に、互いに隙を晒すことになりながらも……"確かめなければならない"と両陣営の視線が扉の方へと向けられ──
「──そんなに注目されてしまうと、少し羞恥心を覚えてしまうな」
「「……っ!?」」
──扉の奥から聞こえてきた声、その正体にいの一番に気づいたミカとハナコは驚愕に目を見開いた。
カツ……カツ……と靴音を響かせながら闇夜より近づいてくる乱入者の姿を、旧体育館の内から外へと漏れる光が照らし出す。
腰まで伸びる金糸のようにさらりとした髪の毛、ふわりふわりと歩みとともに揺れ動く狐の尾と、天に向ってぴんと伸びた三角耳。体の線は細く、華奢で儚げ。容姿だけで判断するならば……"このような殺伐とした場に最も似つかわしくない"と評されるであろう
「……セイア、ちゃん?」
──百合園セイアが、姿を現した。
◇◇◇◇◇
「「「
「ど、どうしてこんなところに!?いえそもそも、どうやってこの場所を……っまさか!?」
「答えを言う前に自分で気がつくとは、流石だハナコ。……いろいろと言いたいことはあるかもしれないが、今だけは胸に抱いた疑問をしまっておいてほしい」
「……わかり、ました。……あとでちゃんと、説明してくださいね」
「もちろんだとも」
セイアはハナコとの会話を終えると、先程からずっと、驚愕と困惑の入り混じった視線を向けてくる人物……聖園ミカへと視線を移す。
「久しぶりだね、ミカ。……君に対しては色々と言いたいことがあるんだが……」
「……っ」
「……いや、話すと長くなってしまいそうだからね、それは後にしておこう」
「……え?」
普段であれば耳の痛くなるような小言をいくつも言ってくるようなタイミングでの、すべての小言を脇に除けておくという発言に、彼女のことをよく知るミカは思わず間の抜けた声を漏らしてしまう。
そんな彼女の様子にセイアは彼女と親しい者しか気付けないほどに小さく笑みを浮かべ、ミカへと長い袖に覆われた手を差し伸べながら、ヘイローを破壊されるリスクを冒してまで訪れた理由を、目的を、真意を告げる。
「……ミカ、私と──」
──喧嘩をしようじゃないか
◇◇◇◇◇
「えっ、と……今、なんて言ったの?」
「聞こえなかったのかい?……喧嘩をしよう、といったんだ。もちろん、私と君の二人だけでね」
……どうやら、聞き間違いではないらしい。
……恨み言の一つくらい言われると思っていた。殴られ、絶交を突きつけられる事を……殺意を向けられることすら覚悟していたがゆえに、余計に。
応えることが出来ずに黙り込んでいると、しびれを切らした一人のアリウス生が銃を構えて前に出てきた。
「そんなに喧嘩したいなら、私が相手してやるよ!んでもって今度こそ死──ズダンッ!!──ぐがっ!?」
立て続けに情報を流し込まれ未だ脳の処理が追いついていないミカを置いて、一足先に気を取り直したアリウス生がセイアに向かって銃口を突きつけようとしたが……それよりも早く、誰にも気取られることなく銃を構えたセイアの放った銃弾によって昏倒させられる。
「……私は今、ミカと話をしているんだ」
邪魔をするな
「「「……っ!?」」」
不意に打ち込まれた一撃に怒りを顕にしたアリウス生たちは、黄眼のひと睨みにその身を竦ませる。
復讐心に身を委ね、過酷な訓練を課されてきた彼女たちにとっては本来であれば恐るるに足らぬ相手のはずだ。……しかし、百合園セイアの放つ"人の上に立つ者"としての覇気が──彼女たちに植え付けられた
「……さて、どうやらアリウスの生徒たちも私たちが話し終えるのを待ってくれるみたいだ。……ミカ、君の返答を聞かせてくれるかい?」
「……私が応じるメリットってなにかあるかな?そもそも、私に勝てると思ってるの?」
「ふむ……勝てるかどうかは、
──"私に負けることを、恐れているのかい?"
「……あははっ☆面白いこと言うねセイアちゃん。……私に勝てる
「おや、君には私が寝ているように見えるのかい?……勘違いされたままゴリラの檻に連れ込まれるのは流石に勘弁願いたいな、張り手でもすれば正気に戻るか?」
「「「ふふっ」」」
「ゴリッ……はぁ!?言っていいことと悪いことがあると思うなぁ!?流石にそれはライン超えだよセイアちゃん!!!」
敵も味方もそっちのけで繰り広げられる言葉の応酬は、段々とヒートアップしていく。襲撃事件が起きる前の彼女たちの様子をしっているものは小さく笑みを浮かべながら、二人の言い争いを眺める……以前と比べると随分と子供っぽいやり取りに、若干の苦笑を滲ませながら。
──そして、ついにその時が訪れる。
「あぁもうっ!そんなに喧嘩したいなら相手してあげるよ!セイアちゃん!」
「……!ふふ、ようやくその気になってくれたね、ミカ」
空気が変わる。先程までの何処か緊張感に賭けた空気は鳴りを潜め、二人のやり取りを
……そんな中、一瞬で此度の戦場の中心人物となった百合園セイアだけは銃を構えずに辺りを見渡し──
「……ふむ、喧嘩をするには些か外野が多いな。……手筈通り」
"場所を移そうか"と、誰にでもなくつぶやいた。……瞬間、彼女の呟きに呼応するように"パン!"と何かを叩いたような乾いた音が二度響き渡り──百合園セイア、聖園ミカの両名は、忽然とその姿を消した。
(今の音……リンくんの用事ってこれかぁ)
セイア実装時、セイアちゃんがストライカーだと判明した瞬間からこの展開は決まっていました。
過去話『また廃墟に行くらしい』でリンくんが先約に断りを入れる為の電話をしていた相手先、あれ実はセイアちゃんです。