ある程度先の展開が決まり、内容の修正もできましたので、
本日からエデン条約編第三章の投稿を開始します。
──空気を切り裂く様な轟音が轟く。見上げれば其処には、今にも役目を果たさんと迫り来る巡航ミサイルが目に映る。
対空防御システムの迎撃が間に合わぬほどの速度で迫るそれは、名も無き司祭たちが残したオーパーツの一つである。……その事実を知る者は、極わずかだが。
気づいた者は数少ない。たとえ気づいていたとしても、迎撃は間に合わない。
「………」
──今日この日に、襲撃が起きることを予測していた者以外は
『先輩、地点Nにて飛来する物体を捕捉しました。数は三、形状から巡航ミサイルと推測。カメラには捉えれましたがセンサーに反応なし、ステルス機能搭載により対空防御システムが反応しない可能性大です。……通過の余波により地点Nのドローンロスト。10秒後に地点C通過、20秒後に着弾想定』
「了解、アヤネはそのまま残っているドローンによる監視を頼む」
『承知しました。……お気をつけて、先輩』
10、9、8……ゲヘナ学園、
パァン!
柏手の音と共に男の姿が掻き消え──地点Cのドローンと入れ替わるように、巡航ミサイルの真横に姿を現す。
男は通り過ぎる僅かな隙を着いて
一度目、男の姿が再び消える。
二度目、
逸れた巡航ミサイルは残り二発の内の一つとぶつかり合い、着弾するよりも前に爆発、衝撃波を辺り一面に撒き散らし周辺区域の建造物の窓という窓を叩き割る……が、着弾するよりかは遥かにマシな結果に落ち着く。
「きゃあっ!?」
「なに、襲撃!?」
「待って、まだ何か落ちてきてる……!」
空中から不意に襲い来る衝撃に、地上にいる生徒たちは慌てた様子で頭を抑える。
……けれど、まだ終わりではない。残る一発は未だ健在であり、後数秒もすれば着弾し辺り一面に被害を撒き散らすだろう。
迎撃は間に合わない。……ならば、諦めるのか?
「──ユメ!ホシノォ!」
──自分一人で防げないのなら、頼ればいい
瞬間、赤飛リンの呼び掛けに応えるように巡航ミサイルが恐らく着弾するであろう位置にて巨大なシールドが二つ、折り重なり……混じり合うようにして展開され──
ドカアアアァァァァァァンッ!!!!!
巡航ミサイルと衝突する。……幾らホシノやユメであっても、
アビドス決戦時に強化されたビナーの"アツィルトの光雨"すら防いで見せたキヴォトス随一の防御力を誇る二人の合体防御だ。……巡航ミサイル一発程度、防げない道理はなかった。
「──見つけた」
その光景を目にし、喜悦に顔を歪ませる者がいた。
◇◇◇◇◇
『そんな……!全部防がれちゃいましたぁ……!』
『……どうするの、リーダー』
このままでは作戦が失敗に終わるどころか、そもそも作戦を決行する事すらままならない。
もしそうなれば、マダムがどの様な反応を見せるのか……少なくとも全体指揮を申し付けられているアリウススクワッドの自分たちは罰せられる事は間違いないだろうと、植え付けられた恐怖により震える声を押さえつけるように通信機越しに問うヒヨリとミサキに対し、リーダーである錠前サオリの返答は
「問題はない。──全て、作戦通りだ」
◇◇◇◇◇
キィィィン──
「──ッ!?」
離脱後、地上へと降り立ち即次の行動へ移ろうとしていたリンは、爆発音に紛れるようにして耳朶を打つ風切り音に弾かれるように顔を上げ、空を見上げる。
「どうしたんですか?急に空を見上げて……っ、まさか!」
彼の傍にいたゲヘナ学園の生徒二人の内の一人、待機していた際に飛行船に爆弾が仕掛けられていることに気が付いたリンの手によって、一部の爆弾を除去するのに合わせてイブキと共に救出された棗イロハが空を見上げた……その直後
──爆炎を突っ切り、時間差で放たれた巡航ミサイルがその姿を現した。
迎撃は不可能、辛うじて自分とすぐそばに居る二人の身は守れるかもしれないが……周囲の人々を守り切るほどの余裕は、リンは勿論ユメやホシノ、その他警備を担う生徒達にもあるはずも無く
ドカアアアァァァァァァンッ!!!!!
轟音、衝撃、熱波。平和な未来を目指すためのエデン条約機構の締結を目前にして──トリニティが、火と灰に染まる
◇◇◇◇◇
『あんなに一生懸命に守ろうとしていたのに覆されてしまうなんて、辛いですねぇ……やっぱり、何をしても無駄なんですねぇ……』
『まさか、予備があったなんて……』
「マダムがあの人形に作らせたという複製品だ。……これ以上は存在しないが、混乱を齎すという当初の目的は達成できた」
錠前サオリは指示を出す。槌永ヒヨリにはゲヘナ風紀委員長の空崎ヒナの足止めを、戒野ミサキには正義実現委員長剣崎ツルギの妨害を。秤アツコ……姫と呼ばれる彼女には、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を
『……マダムが連れてきたあいつは?』
「奴は奴個人の目的の為にこちら側に着いただけだ。……私達の指示には従わん」
『それって大丈夫なんでしょうか……?その、裏切られたりとか……』
「……マダム曰く、奴は赤飛リンに恨みがあるらしい」
『……それ本当?私には……いや、今はそんな事を話してる場合じゃないか』
サオリの返答に通話越しに怪訝な表情を浮かべるミサキだが、疑うにも信じるにも情報が足りないことに思い当たると即座に話を切り上げる。
……そもそも余計な話をしている余裕なんてものは無いのだから、当然と言えば当然だが
『あ、どうやらチームVが予定通り地下に侵入したみたいです……』
「了解、すぐに合流する」
ヒヨリからの報告を受け、錠前サオリもまた行動を開始する。全てはトリニティ、そしてゲヘナに対する積年の憎悪を晴らす為に──……その憎しみが、植え付けられた偽りの物であるとも、気づかずに
◇◇◇◇◇
……しかし、
「あなたを先に行かせないように言われてるので……すみませんが、これも命令でし……て……?」
「アリウス分校……まさか、本当に攻めてくるなんて」
「…………え?」
警戒対象への脅威度を
「ど、どうして……」
「どうして、殆ど無傷なんですかぁ……!?」
──空崎ヒナに対する脅威度を、致命的な迄に見誤っていた。
「カオナシから神秘操作を習っててよかった。……そうだ、アコは無事?」
「は、はい……ヒナ委員長が庇ってくださったので」
「そう、なら良かった。……それじゃあ、アコは全体への指示と情報共有をお願い。敵は
「承知致しました。ヒナ委員長は如何なさいますか?」
「私は──目の前の相手を、片付けてから向かう」
"バサリ"──羽ばたく音と共に、空崎ヒナの身体が宙を舞う。……アリウスの生徒たちは、ついでに周りにいたトリニティの生徒は、呆然と見上げることしか出来なかった。
(わぁ……人って空を飛べるんですねぇ……あんなにも大きな翼があれば、私たちももっと自由になれたんでしょうか……)
「あなた達にも色々と思うことがあるかも知れないけど、黙ってやられてあげることはできないの」
ガシャン──と重厚な音を立てながら、"終幕:デストロイヤー"の銃口がアリウスの生徒たちへと向けられる。……数の利は未だアリウスにあるが、質は言わずもがな、地の利すらもヒナに奪われたこの状況。
……端的に言おう。
「うわぁん!やっぱり世の中は辛いことばかりですぅ!」
──槌永ヒヨリ、終了のお知らせである。
未来を変えようとする行動が、必ずしも良い結果を齎すとは限らない
なお、悪い結果を齎すとも限らない模様
>マダム曰く、奴は赤飛リンに恨みがあるらしい
???「だから無いと言っておるだろう、蒙昧めが」
起爆前に一部の爆弾を除去したため、万魔殿は爆発による被害は原作より少なめ。ただし、巡航ミサイル撃墜の余波に煽られた為、総合的な被害はそんなに変わらないかもしれない。
全部を撤去しなかった理由はリン曰く──"自業自得の報いは受けるべき"との事。他の何も知らない委員にとってはとばっちりだが、悪いのは悪巧みしていたマコト様なので……
でも流石に罪のない子供も一緒に被害を被るのは看過できなかったので、万魔殿の中でも実はそこそこ接点のあるイロハを保護者役として一緒に離脱させた。
マコト様は何だかんだでしぶといので、原作と同じかちょっと早いくらいのタイミングで目を覚ますかもしれない。
原作との相違点
・赤飛リンを始めとしたアビドス組初手から参戦
・巡航ミサイル三発投下!おかわりもあるぞ!
・何か知らない奴が乱入してくるみたいですね
・着弾タイミングのズレにより、通信のタイミングとヒヨリとヒナの接敵タイミングにズレが生じる
・原作よりも強化されてるヒナちゃんに、時々リンが当番を変わってた影響で休みも取れてメンタルも比較的安定しているつよつよヒナちゃんに──直撃した訳でもない巡航ミサイルが効くわけねぇだろうがッ!
※なお通功の古聖堂に落ちてはいるため、直撃ではないものの割と近くはある模様。……なんで効いてないんですか?