小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

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今回ちょっとプロローグの内容と微妙にズレが発生するかもしれないです。そのうちプロローグの方修正しときます


アビドス砂祭りのポスター、忍び寄る不穏な影

 ──利息返済日前日

 

「──遅いッ!ユメ先輩は一体どこをほっつき歩いてるんですか!」

 

 小鳥遊ホシノは苛立っていた。しかし、それも仕方の無いことだろう。ユメは既に二時間も遅刻しており、尚且つこれまでに一切の連絡もない。…まぁ、ただ怒っているだけでも無いのだが

 

 ──もしかしたらユメ先輩の身に何かあったんじゃ

 

 たった二人しかいない、大事な先輩の音信不通は、ホシノの心に一抹の不安を覚えさせていた。いっそ、今から探しに行こうかと思っていると

 

「まぁ落ち着けってホシノ、ユメならもうそろそろ来ると思うぞ?」

 

 のんびりと、何も気に留めてないような様子で、リン先輩がそう言ってきた

 

「……どうしてそう落ち着いていられるんですか?リン先輩は心配じゃないんですかッ!?」

 

 そう言って詰め寄ろうとした時

 

「おはよ〜!ホシノちゃん、リンくん!遅くなってごめんね〜」

 

 いつも通りのほほんとした感じで、教室に入ってきた

 

 

……………

 

「見て見て!これ、アビドス砂祭りの昔のポスター!やっと手に入れたよ~!」

「この時はまだ、前三人で一緒に宝探しをしに行ったオアシスも、湖みたいに広がってたんだよね~。……あ、このポスター、ホシノちゃんにあげるね!」

 

 ──は?ポスター…?()()()()()のために……?

 

「えへへ、すっごく素敵だよね~!もし何か奇跡が起きたら、……ううん、三人で一緒に頑張ったらまた前みたいに人がいっぱい集まって──」

 

 ──この人はッ……!

 

「……あ、あれ?どうしたの?もしかしてまたリンくん何かやった?」

「なんで俺が何かやらかした前提なん?てか、今回は俺っていうより……」

 

 俯いているホシノを見る。前に垂れた髪の毛で表情は見えないが、よく見ると握りしめた手がふるふると震えている

 

「い・・・加…にし…くださ…」

 

「ホ、ホシノちゃん、どうしたの?体調でも悪いの?」

 

 そう言って、手を額に当てようとしたとき──

 

「いい加減にしてくださいッ!!」

 

 私は、差し伸ばされたユメ先輩の手を思いきり払った

 

「──っ」

「ユメ先輩はアビドスの生徒会長なんですよ!?それなのに、二時間も連絡もなしに遅刻して、挙句の果てに理由がポスターって…!ふざけてるんですか!?もう少し、その肩に乗った責任を自覚したらどうなんですかッ!」

 

 そう言うと、ホシノはユメから受け取ったポスターの両端をつかみ

 

 ───ビリビリッ!

 

 バラバラに、破いてしまった

 

「あ……」

「──ごめんね、ホシノちゃん」

 

 ユメ先輩が一言謝った後、私たちは黙りこくってしまった。その空気が気まずくて、──心配、安堵、怒り、罪悪感など色々な感情がごちゃ混ぜになって、自分がどうしたかったのかもわからなくなってしまい、教室から飛び出していこうとしたとき

 

「……何やってんだお前らは」

 ──べしっ

 

 そう言いながら、リン先輩は私たちの頭に手刀を振り下ろした

 

「「あうっ…」」

「はぁ…、おとなしく見守ってようと思ったが、流石にちょっと見過ごせないからな。お節介焼かせてもらうぞ」

 

「まずはユメ、なんで今日遅刻したんだ?」

「えっと、それはポスターを探してたからで……」

 

「…聞き方を変えるか、なんで今日、()()()()()()()()()()()()()()()()()?それも、連絡もよこさずに」

 

 そうリン先輩が聞くと、ユメ先輩はたどたどしく理由を話し始めた

 

「……最近ホシノちゃん、あまり元気がなさそうだったでしょ?それでその、どうやったら元気になってくれるかな~って思ってた時に、ポスターを見つけて……」

「……三人でお祭りについてとか話して盛り上がれれば、元気になってくれるかなって思ったの」

「それで、ポスターを手に取ったはいいんだけど、風に飛ばされちゃって、それを夢中になって追いかけてて、ホシノちゃんが連絡をくれてたのにも気づかなくって……」

「だから、その……」

 

「……つまりユメは、ホシノを元気づけたかった、と」

 

 リン先輩がそうまとめると、ユメ先輩は弱弱しく「…うん」と頷いた

 

「……次はホシノの番だな、なんであそこまで怒ったんだ?」

 

「──私は」

「……私は、心配だったんです。普段ユメ先輩は抜けてるところもあります、むしろ抜けてるところばっかりです」

「…それでも、"報連相"を怠ったことはなかった、万が一遅刻してしまうような場合は、必ず私かリン先輩に連絡がありました」

「それなのに今日はっ…!、二時間たっても連絡がこなくて、もしかしたらユメ先輩に何かあったんじゃないかって思って…!」

「……怖かったんです!たった二人しかいない大事な先輩にもしものことがあったらって思うと、不安で仕方なくて…!」

「ようやく先輩の姿が見れて、安心しました…、なんで連絡してくれなかったんだ、なんでポスターなんかのためにって、怒りが湧いてきました…」

「それで、色んな感情がぐちゃぐちゃになって、訳が分からなくなって、それで……」

 

「……つまりホシノは、ユメが心配だった、と」

 

「……はい」

 その言葉とともに、私は俯いてしまう。すると

 

 ──ぎゅぅ…

 ユメ先輩が、私のことを抱きしめてきた

 

「……ユメ、先輩?」

 

「──ごめんね」

「ごめんねっ、ホシノちゃん…!ホシノちゃんは私のことを心配してくれてたのに、それなのに私はっ…!」

「明日から、ううん、今この時から、もし何かがあったら絶対に連絡する。絶対にホシノちゃんに心配かけないって約束するっ…!」

 

 ──だから私と、仲直りしてくれますか?

 そんなユメ先輩の言葉を聞いて、私は、……いいえ、私の方こそ──

 

「──ごめんなさいっ」

「ユメ先輩は、私のことを思ってポスターを探してくれたのに、それを私は破ってしまった…!取り返しのつかないことをしてしまいました…!」

 

 ──そんな私でも、許してくれますか?

 

「うんっ!これからもよろしくね、ホシノちゃん…!」

「私の方こそ、これからもよろしくお願いします、ユメ先輩…!」

 

 

 

……………

 

 

 

 その後しばらくの間、私とユメ先輩は抱きしめあっていた。そんな私たちを見てリン先輩はうんうんと、したり顔で頷いていました。

 

「……にしても、結構きれいに破いたな、このポスター」

 

 うぐっ……、確かに申し訳ないと思ってますけど、態々傷を抉るようなこと言わないでくれませんかね……!

 

「これ、パズルみたいにくっつけてみるか?ある意味唯一無二だし、いい思い出になるんじゃないか?」

 

 ──私にとっては黒歴史にしかならないんですけど!?

 ……まぁでも、せっかくユメ先輩が私のために見つけてきてくれたものですし

 

「くっつけましょう。……先輩たちも手伝ってくださいね?」

 

 その後、私たちは三人で一緒になって、「あーでもない、こーでもない」と言いながら、破ってしまったポスターをもとに戻しました。……無駄に豪華な額縁に飾ろうとしたリン先輩は蹴っ飛ばしました

 

 

 

……………

 

 

 

 私とユメ先輩の仲がこじれてしまう前に取り持ってくれたリン先輩には感謝していますが、それはそれとして

 

「……リン先輩は私たちの事、どう思ってるんですか?」

「…ん?俺か?」

「確かに、私たちの事だけ聞いて、リンくんが何も言わないのは不公平だよね?」

 

 そう言うとリン先輩は「さっきまで喧嘩してたくせに、仲のいいことで…」なんて言って苦笑いしていた

 

「……そうだなぁ」

「二人とも、俺にとっては大事な奴らだよ」

 ──二人が幸せになってくれるなら、俺の()()()を犠牲にしても構わないくらいに

 

 

 

 

 

 

 

 

……………

 

 ──利息返済日当日

 

 リンとホシノは先日の砂嵐によって破損してしまった窓ガラスを修理していたため、ユメは一人で利息の支払いを行っていた

 

「……お待たせしました。変動金利等をもろもろ適用し、利息は784万9582円ですね」

「全て現金でお支払いいただきました。以上となります」

「カイザーローンとお取引いただき、毎度ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします」

 

 銀行員はいつも通り立ち去ろうとするが、ふと何かを思い出したように立ち止まり

 

「そういえば、先日の砂嵐について妙な噂を耳にしたのですが、ご存じですか?」

「……妙な噂、ですか?」

「はい。なんでも、砂嵐の中に巨大な影が蠢いているのが見えたとか…。もしかしたらこの異常な規模の砂嵐の原因だったりするのでしょうか?」

 

 その言葉を聞いたユメは、考え込むように下を向き

 

(……もしも噂が本当だとしたら、その影の元をどうにかできればアビドスの砂漠化を解決できるかもしれない)

(リンくんやホシノちゃんにも…、ううん、まずは噂が本当かどうかだけでも確かめてみないと……)

(──よし!そうと決まれば明日早速行ってみよう!二人にまた心配かけるといけないし、ちゃんと今回は明日出かけてきます、って伝えておかなくちゃね)

 

 そんなことを考えていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 故に、気付くことができなかった

 ──噂を伝えた銀行員が、悪意に歪んだ笑みを浮かべてこちらを見ていることに




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プロローグの展開が近づいてきましたね。
……普段曇らせ系の小説は、見る分にはいいですし、なんなら好きなんですが、いざ自分で書くってなると「この子たちを曇らせないといけないのか……」って精神的ダメージが来てます。

幸せな日常があるからこそ曇らせが際立つって思って書き始めたはいいものの、曇らせるのがつらい、でも書きたい、その後のハッピーエンドのためにも……!

当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません

  • オネエ
  • 姉御
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