リンはアビドスの未来のため、優しい二人が未練を感じることが無いよう、自らが裏切り者であると示すために演じる──自身の抱いた感情に蓋をして
「ほう、俺を殺す、か……できるのか?今まで俺にまともに勝てたためしがないくせに」
「──できるかどうかじゃないんですよ。お前を殺す、これは決定事項です。……普段の組手と同じだと思ったら痛い目見ますよ?」
「……ククッ、ご忠告痛み入る」
ホシノの言葉に対して嘲笑を浮かべながら言う
「これ以上ユメを傷つけたくはないだろ?……場所を変えるぞ」
そう言ってリンは歩き出す。ホシノは罠かもしれないと思いつつも、リンの言う通りこれ以上ユメが傷つくことは看過できないため、おとなしくその言葉に従い歩き始める。
「黒服、────」
『それは……、いえ、承知しました』
…………………
十分に離れたことを確認した二人は──これで万が一にも戦いの余波がユメに行くことはないだろうと判断、互いに臨戦態勢をとる
(──ホシノは強い。それこそ、生半可な攻撃ではビクともしないだろう。────裏切ったと思わせるには、俺自身も殺す気で戦うしかない、か……)
大切な後輩に傷ついてほしくないがために、傷つけなければならないという矛盾に胸を締め付けられながらも──覚悟を、決める
「それじゃあ──始めようか」
その言葉とともに、柏手を打つ──瞬間、リンの姿がホシノの目の前から掻き消える
しかし、この程度では動揺しない、何故なら散々これまでの組手で経験しているから。落ち着いてリンの居場所を探ろうと視線をずらし──視界に捉えた、自身の右斜め後ろから頭部に目掛け迫りくる上段蹴りを屈むことで回避する。
そのまま後ろを振り返り、空ぶったことで隙を晒したリンに向け引き金を引く──再び、柏手の音が鳴り響く。銃撃を終えた自身の目の前には石ころが一つ
自身に影が差していることを認識すると同時に、振り返った勢いのまま前へ転がり込み──振り下ろされた拳を回避する。神秘の籠められた拳はそのまま地面へと叩き込まれ、風化したアスファルト舗装のされた道路を砕き──その破砕痕に目を見開く。
(──普段よりも威力が高いッ…!やっぱり先輩は……ッ)
ホシノにはまだためらいがあった。もしかしたら、戦闘を始めれば『裏切ったというのは嘘だった』と言ってくれるんじゃないかと、そんな希望を抱いていた。しかし、向けられた攻撃が、自身を殺す気で放たれていると──リンが裏切り者であるという事実を物語ってしまっている。
そしてついにホシノも覚悟を決める──本気でリンを殺す覚悟を
(──ッ!雰囲気が変わった……だが、悪いがこんなところで殺されてやるつもりはないぞ)
リンは手に持っていた瓦礫の破片を放り投げ、柏手を打つ
──ホシノの視点が切り替わる
天は地へ、地は天へ──入れ替えられるとともに体の上下の向きも変えられる
「──ッ!?」
────跳ばされたッ!
気付くとともに体を捩り、自身に向かってくる蹴撃──上下を反転させられているため、上半身に向けて放たれる下段蹴り──に対し、銃を持っていない方の手を添えて身体を持ち上げつつ、蹴撃のベクトルを下方向へとずらす事で回避する。
回避と同時に全身を半回転させ、リンの右側頭部に向けて踵蹴を放つが、これをリンは右腕を構え──更に神秘を集中させる事で防ぐ。
攻撃を防がれた事により、一瞬ホシノの動きが停止した隙をついて、防いだ脚を左手で掴み──そのままホシノを持ち上げ地面に叩きつけようとする。
これに対してホシノは、叩きつけられる前に、全身の筋肉を躍動させ時計回りに回転、そのまま掴んでいては手首を痛め戦闘に支障をきたすと判断したリンは手を離し──ホシノが銃口をこちらに向けていることに気づく。
そしてホシノはそのまま引き金を引く──再び、柏手の音が響く
「──ッグゥッ!!」
互いの位置が入れ替えられ、リンに向けて放たれた弾丸はホシノに直撃する。しかし、引き金を引く直前に柏手を打とうとしているのが見えたホシノは、持ち前の耐久力と併せ、腕を前に構えることで防いでいた。
自身の銃撃によって発生した硝煙を掻き分け、リンの拳が掬い上げるように迫る。
ホシノは両手をクロスするように構え──衝撃
無理な体勢であったため踏ん張りを効かせることができないと察したホシノは、衝撃に逆らわずに殴られた方がダメージが少ないと判断、自ら少し後ろに下がる事で衝撃を和らげつつも──殴り飛ばされその勢いのまま瓦礫の山に突っ込む。
瓦礫が崩れたことで砂塵が舞い、ホシノの姿が見えなくなる。
(……この程度で終わるはずがない。ホシノは必ず──ッ!)
砂塵の中でマズルフラッシュが閃く──狙いは顔、能力の発動は間に合わない
顔を横にそらすが、散弾銃の銃撃範囲の広さ故に躱し切れず、頬をかすめる。しかしヘイローを持つ者は銃撃に対する耐久力が高いため、少し赤くなる程度で血は出ない
──砂塵が晴れたことでホシノの姿が見えてくる。
ホシノは、砂で汚れてこそいるものの、持ち前の耐久力の高さもあって見た目ほどダメージを負ってはいなかった。──否、ダメージ自体殆どなかった
…………………
「……相変わらず、硬い奴だな。あれだけやってもまともにダメージを与えられないとは」
──嫌になるよ、まったく
なんて言いながら、リンは肩をすくめる。そして改めてホシノを見やると
「──俯いてどうした?戦意でも喪失したか?」
ホシノは俯いていた。また、銃を握りしめる手はふるふると震えており、何かを堪えているような様子だった。
「──ざけ…な……」
「もっとはっきり喋りな、聞き取れねぇよ」
嘲りを含んだ様子でリンは言う──ホシノがより自身の事を恨むように、自身が居なくなっても未練を抱かないように。
そしてまた能力を使用するため柏手を打とうとし──
「ふざッけるなァァッ!!!」
──ホシノの怒号に手を止める
顔を上げたホシノの表情は憤怒に塗れていた。何故ホシノがこんなにも怒りを抱いているのか。
──ようやく訪れたリンにダメージを与えるチャンスを逃してしまったから……
──ホシノは、これまでの一連の攻撃をすべて躱す、もしくは防ぐことができたことに、凌ぐことができたことに怒っていた。……何故ならば
「さっきの、さっきまでの動きはッ!」
「いつもの組手の時の動きと、変わらない──ッ!!」
──そう、これまでの動きはすべて、ホシノが銃を使っているため多少の誤差はあれど、普段行っていた組手と同じ動きだった
故に、凌げて当然──凌げなくてはおかしいのだ
(──私は、私たちはお互いを殺すために戦ってるはずなのにッ)
これまでの戦いは、まるで──
──まるで、"最後の稽古をつけてやる"とでも言っているみたいじゃないですかッ……!!
ホシノは、そう叫びそうになるのを抑える。そんなホシノの様子を見たリンは少し目を伏せ
(──ダメだな、俺は。未練を無くしてもらうために戦ってんのに、傷付けたくないって思いが先行してホシノなら全部凌いでくれるだろう何時もの動きをしちまってた。俺自身も、意識を切り替えないと……)
「──あぁ、確かにこれまでの動きは今までお前とやってきた組手の動きと変わらん。そこについては否定するつもりはないが、別に巫山戯てるつもりも無い」
「なら何でッ……!」
「何で、か……ただのウォーミングアップだよ」
「折角の最初で最後の殺し合いだからな、ちゃんと身体は暖めておかないとダメだろう?」
伏せていた目を開いてホシノを見据え
──さぁ、第二ラウンドといこうじゃないか
できる限り悪辣な笑みを浮かべながら、言葉を紡いだ
今回は、なるべくホシノちゃんの強さを損なわず、尚且つオリ主の能力(ほぼ不義遊戯)の厄介さを際立たせる様な戦闘描写になるよう意識してみましたが、どうでしたかね?
……銃社会のキヴォトスなのに三回しか引き金引いてないってマジ?
お気に入り登録してくださった方がついに400人を超えました!いやぁ、嬉しいですねぇ…ウヘヘ
当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません
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