小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

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オリ主のヘイローのイメージ考えてなかったな、どうしよ


裏切りの演技③

(ホシノのことだし、何とかして解決策を見つけ出すとは思ってたけど……銃弾殴って弾くのは流石に予想外だぞおい)

 

 目に映る光景があまりにも衝撃的過ぎて、乾いた笑いがこみあげてくる。その後も何度か場所を変えて狙撃を行うが、すべて躱すか弾くかしていなされてしまう。

 

 このまま続けていても変わらないと判断、再び接近戦を仕掛けようかと思考し──黒服から受け取っていたインカムが音を鳴らす。

 

「……準備できたのか?」

『えぇ。それと、頼まれていた通りに鞄についていたバッチはしっかりと外しておきましたよ』

「助かる、それは後で返してくれ」

『……鞄の中に入っていた教材等はどういたしますか?』

「それは、まぁ適当に処分しておいてくれ」

『承知致しました。それでは、健闘を祈ります』

 

 黒服の言葉とともに、通信が切れる。

 

 

 ──リンはもう一度狙撃を行うために銃を構え、引き金を引いた

 

 

 

 

 

(──また懲りずに狙撃ですか。そろそろ諦めてくれませんかね)

 

 自身に迫りくる銃弾を視界に捉えながらそう思う。そして先ほどまでと同じように銃弾を弾こうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「速度は──"重さ"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──遠くで柏手を打つ音が聞こえた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なァ、ホシノ……お前は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──迫る銃弾が別の()へと入れ替わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"音"を超える速度で蹴られた事はあるかい──なんてな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ホシノに向けて、秒速1000mに達する蹴撃──ライダーキックが繰り出された

 

 

 

 

 

 リンの強襲、望んでいたはずの接近戦が、まさかこの様な形で幕を開けるとは思わず面食らう。

 

 咄嗟に両腕を前に構え──衝突、衝撃により大地が鳴動する

 

(───おッもッッ!?!?)

 

 これ迄とは比にらならい程に重たい一撃に襲われる。ホシノの身体が後ろに引きずられ──その前に、大地が悲鳴をあげた。

 

 

 ──アスファルトが砕け散り、地面が大きく陥没する。

 

 

 衝撃に耐えきれず、膝を着く──これ迄攻撃をしのぎ続けてきたホシノが、遂に明確なダメージを負った瞬間であった。

 

 

 

 

 

 ──しかし、リンも無事ではない。全身を襲う痛みに、内心悶え狂っていた。

 

 それも当然のことだろう。秒速1000mという音速の三倍近くもある速度で移動・衝突なんて、例え頑丈なキヴォトスに住まう住人だろうと普通に考えて耐えれるはずがない。

 

 ビナーとの戦闘で神秘の操作性が向上したうえで、全神秘を防御に回してこれなのだ。仮にビナーと戦う前のリンであれば自身の一撃で戦闘不能となっていた。

 

 いくら高火力とは言え、なぜこんな自爆まがいの行動をとったのか──それは、ここまでしないとダメージを与えられないと判断したから。傷つけたくはないが、ここでホシノに負けて殺されるようなことになれば、ビナーに対抗するための契約が結べなくなる。

 

 理由はもう一つある、それは──

 

 

(──防ぐよなァ、やっぱり……流石だよ、ホシノ)

 

 

 ──頼れる後輩ならばここまでやっても確実に耐えてくれるという、一種の信頼故であった

 

 

 

 

 

 ミシミシと、お互いの全身から嫌な音が鳴り始める。このままでは筋肉は断裂し、骨が砕けかねない──しかし、それも唐突に終わりを迎える

 

 防がれ、その場に固定されたことで、リンの勢いが衰え始めた。その事実を察すると、即座にホシノの腕を蹴って距離を取る。

 

 自身に掛かっていた重圧が消えたことで、反撃に打って出ようとするが──その前に柏手の音が()()響き渡った

 

 

 

 一度目、ホシノとリンの位置が入れ替わる

 

 

 二度目、ホシノの位置が──()()()()()

 

 

 

 その事実を認識するとともに、元々自身がいた位置へ目を向けると──目の前には、大量の手榴弾が溢れかえるほどに詰め込まれた学生鞄が

 

 

「───まずッ!?」

 

 

 即座に離脱しようとするも、時既に遅く──ホシノは辺り一体を吹き飛ばす程の爆発に飲み込まれてしまった

 

 

 

 

 

 ──再び、インカムが音を立てる

 

『凄い爆発ですね、相当離れているこちらまで衝撃が伝わってきましたよ』

「……ユメに影響は無いか?」

『えぇ、そこについては問題ないです。……しかし、よろしかったのですか?彼女は貴方の後輩の筈、大切に思ってるのでは無かったのですか?』

 

 ──先ほどの蹴りといい、少しやりすぎなのではないでしょうか

 

 黒服の言葉に対し、しばし無言になる

 

「大切に思ってるさ、今でも傷つけなきゃいけないことに罪悪感は抱いてる。だから手榴弾も念の為に音と範囲は広いけど、威力はそんなに高くないものを用意してもらったんだからな」

 

『……しかし、たとえ一つ一つの威力が低くとも、あれだけの規模だと無事では済まないはずです』

 

 本来であればありえない──黒服のホシノを案ずる言葉に対し、『本当なら俺が心配すべきなんだろうけどな』と思いながら苦笑いを浮かべつつも、言葉を紡ぐ

 

「これで倒れてくれるなら良いんだけどな、さっきの一撃を耐えきったホシノなら必ず耐えるさ」

 

 ──そもそもあれだけやってもダメージを与えれるか怪しいし

 

 そんなことを考え──全身を苛む痛みと倦怠感によって意識を失いそうになるのを耐えながら、目の前の爆煙を見据えていた。

 

 

 

 

 

 ──一方その頃、爆発に飲み込まれたホシノはというと

 

(──さっきの蹴りといい、ほんっとうに、容赦なく殺しに来てますね)

 

 爆煙渦巻く中で、悪態をついていた。そんなホシノの状態はというと──着ていた服は所々焦げ付き、全身煤に覆われて黒ずんではいるものの、爆発によるダメージを負った様子は無かった。それこそ、少し前に受けていた狙撃の方が、影響が大きいまである。

 

 本来、あれだけの爆発に巻き込まれれば、例え耐久面に秀でているホシノであってもそれなりの痛手は負う。にも関わらず差程ダメージを受けた様子が見受けられない理由、それは──

 

 

(──はぁ、まさかあんな裏切り者に教えられていた神秘の操作技術に救われることになるだなんて、癪に障りますね)

 

 

 ──意図的に普段より多くの神秘を放出し、それを体外で留めて鎧のように全身を覆い大幅に耐久力を上昇させてることで、爆発を凌いでいたからであった。

 未だ精密な操作には不慣れなため、その場から動けなくなるというデメリットはあるものの、元々の耐久力もあってほぼすべての攻撃を凌ぎきることを可能としていた。

 

(それでも、さっきの蹴りは凌ぎ切れなかったんですけどね……でも、あれだけの攻撃をしておいて、私より神秘の総量が少ないアイツが無事なはずがない──決めるなら、消耗しているであろう今がチャンスですね)

 

 そう思考すると、爆煙を隠れ蓑にしながら、次で確実に決めるための準備を始めた。

 

 

 

 

 

 しばらくして、爆煙が晴れる──そこに、ホシノの姿はなかった

 

「……どこに行った?」

 

 周囲に視線を巡らせるが、どこにも見当たらない。『もしかして、やりすぎたんじゃ……』と思いながら、探し始める。その際、万が一奇襲を受けても、即座に柏手を打って離脱できるよう狙撃銃は置いていく。

 

 そうして探し始めること約三分、未だに見つからない。次第に焦りを覚え始めたとき──背後で物音がする

 

 咄嗟に振り返るが、そこには何もない。『気のせいか』と思いつつ、再び捜索を始めようと前を向き──視界の端に、銃を手にこちらに向かって駆けてくるホシノの姿を捉えた。

 

 

 

(気付かれましたか……でも、それも想定の内です)

 

 そんなことを考えながら、ホシノはリンに向けて駆けて行く──次の一撃で確実に仕留めるという覚悟を持って

 

 

彼我の距離──20m

 

 

(──そのまま向かってくるな、いったい何を考えてる)

 

 間合いに入る前に能力を発動して距離を取られる、そんなことはわかっているはずなのに、そのままこちらに向かってくるホシノに対して警戒心を抱きながらもその場で見据える。どのような手を使ってきても即座に対応できるように構えながら。

 

 

彼我の距離──17m

 

 

 ホシノは思い出していた──過去にリンに教えられた、神秘の操作とはまた別の技術のことを

 

【──なんですか、今の。柏手打ってなかったですよね?】

【フッフッフ、今のはな、特殊な歩法によって一気に距離を詰めたんだ】

 

 

彼我の距離──15m

 

 

【やり方としては、思いきり倒れるほどに前傾姿勢になって、その勢いにのせて滑らせるように足を前にだす。その際に足にためた神秘を放出することで、まるで一瞬で移動したかのように見えるんだ】

【そんなことが……でも、先輩には必要なくないですか?すぐに距離詰めたいならそれこそ能力使ったらいいわけですし。なんで態々覚えたんですか?】

 

 

彼我の距離──12m

 

 

【なんでってそりゃあ──かっこいいから】

【──確かに……!先輩!それって私もできるんですか!?】

【おう、これはただの技術だからな】

【──っやりたいです、教えてください!!】

 

 

彼我の距離──10m

 

 

【いいぞ、元々教えるつもりだったからな】

【ありがとうございますっ!──ところで、この歩法って名前とかあるんですか?】

【もちろんあるぞ、この歩法の名前、それは──】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼我の距離

 

 

【縮地】

 

 

0m

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────取ったッ!!」

 

 その言葉とともに、リンの心臓部に銃口を突き付けた

 

 

 

 

「────ッ!?」

 

 まだ距離はあった、それなのに一瞬で目の前に現れ、自身に銃口を突き付けたホシノを見て──かつて教えた技術をものにしていたことに対して驚愕する

 

(つい最近まではできてなかったはず、それをまさかこの土壇場で──いや、違うな、隠れてずっと練習してたのかッ!)

 

 一朝一夕でできるようなものではない、それを今この場でやって見せたホシノに対し

 

「魅せてくれるじゃねぇかッ!ホシノォ!!!」

 

 獰猛に、心の底から楽しそうに──後輩の成長を直に感じ取ることができて、嬉しそうに笑みを浮かべた

 

 

 

 

(──この距離なら、私の身体が邪魔をして柏手を打てないッ!)

 

 そう判断し、引き金を引く──その瞬間、視界の端に銀光が閃いた

 目に映るのは、先端の尖った鉄筋を手に持ちこちらに向けて突き出すリンの姿

 

(いつの間にそんなものをっ……まずい、このままじゃ貫かれる──ッ!)

 

 いったん引くべきかと迷いかけるが

 

(────いや、ここで引いたら次はない。最小限の動きで躱して、今ここで決めるッ!!)

 

 即座に迷いを捨て────引き金を引いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 ──勝敗は決した

 

 ホシノは頬に裂傷を負い、リンは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………ぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──左肩から先が、千切れ飛んでいた

 

 

 

 

 ホシノは、自分たちのことを裏切ったリンのことが許せなかった。恨んで、憎んで、殺してやろうとそう思っていた。

 しかし心のどこかでは、キヴォトスの住人であれば銃撃に耐性もあるし、死ぬようなことはないだろうとも思っていた。

 

 

 ──そんなホシノの目に映るリンは、大量の血を流し、今にも死んでしまいそうで

 

 

 ──抱いていたはずの憎しみの仮面が、剥がれかける

 

 

(────いや、アイツはユメ先輩を傷つけた裏切り者なんだ、片腕がなくなって能力も使えなくなった今なら──っ)

 

 

 そんな風に──まるで自身の罪から目をそらすかのように考え、リンに向けて駆けだし──

 

 

 

 

 

 本来であれば銃撃に強い耐性を持つキヴォトスの住人であるリンが、なぜこれほどの重傷を負ったのか

 

(あ゙ー…、やっちまった、勝負を焦りすぎたなぁ……)

 

 リンは、神秘の操作性に長けている。普段であれば全身に満遍なく巡らされている神秘を、意図的に配分を偏らせることが可能なのだ。それにより、先ほどの攻防の際には、ホシノの耐久力を超えるために必要最低限の神秘を鉄筋に、残りの殆どを銃口を突き付けられた心臓部に回していた。

 

 しかし、ホシノが自身が繰り出した攻撃を避けようとした結果、狙いがずれて左肩に着弾──ビナー、及びホシノという、強者との連戦によって、神秘が枯渇していたこともあって、ほぼ一般人と変わらないレベルにまで耐久力が落ちていたために、銃撃に耐え切れず千切れてしまった。

 

(まぁ、でも──)

 

「──この勝負、俺の勝ちだ」

 

 

 

 

 "この勝負、俺の勝ちだ"、そんな言葉が聞こえてきて、『いったい何を』と思ったのもつかの間

 

「………あれ…?」

 

 ──突然、ホシノの視界が霞み、足元が覚束なくなる

 

 

 

 

 リンは、この勝負が始まる前、黒服に三つのものを用意させていた

 

 

 一つ目は、狙撃銃

 

 

 二つ目は、大量の手榴弾

 

 

 三つ目が

 

 

「──毒が回ってきたみたいだな」

 

 ──毒

 

「ど、く…?いつ…の、間に……」

 

「最後の攻防の時、鉄筋に塗っておいたんだよ、いざって時のためにな。………安心しろ、別に死にはしない、ただ少しの間眠るだけだ」

 

 そんな言葉が聞こえてくるが、かなり即効性が強いのか、既に立つことも儘ならず、意識も途切れ途切れになっている。

 

 そんな状態のホシノを一瞥すると、リンは背を向け歩き出した。

 

 

 

………………

 

 

 

 ──リンの背が遠ざかっていく

 

 

 

 

 

 

 

(まて、まだ終わってない……)

 

 

 

 

 

 

(まて、行くな、まて、まて、まて────()()()……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いか……な…いで……せ、ん………ぱ…ぃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉とともに、ホシノは気を失った。

 

 

………………

 

 

 ──リンの目の前に黒服が現れる

 

「リンさん、ご無事……ではないですね、今すぐ手当を「………黒服、例の契約についてなんだが」──っ、今はそれどころではないでしょう!まずは傷を塞がねば──」

 

「いや、……まずは契約だ、多分この後気を失って数日は起きれないかもしれないからな、内容は────」

 

 そう言うと、リンは黒服の制止を無視して契約の内容について話していく。

 

「────って感じのを考えてたんだが……すまん、意識が朦朧としてきたから細かい調整は起きてからにさせてくれ」

 

「あとは…そうだな…はぁ……おれの、ちぎれ…ちまったひだりうで、やるからさ……、ホシノとユメを、病院につれていってやってくれ……」

 

 ────あとは、たのんだ

 

 そう言って、リンは気を失った。その場に残された黒服はというと

 

「────はぁ、仕方ありませんね。今回はとても良い現象を見せていただきましたし、病院に連れていくくらいなら無償でして差し上げます。……腕はまぁ、買い取るという形にいたしましょう」

「……契約を結ぶ前に死なれてしまっては困りますから、まずは先にリンさんの手当てをさせていただきますよ」

 

 その言葉とともに、リン、ホシノ、ユメを順に連れ出していく。

 

 

 ────誰もいなくなったその場所には、夥しい量の血痕だけが残されていた




これにて「裏切りの演技」は終了です。欠損描写ありのタグはこの回のためにありました。
今話3000文字くらいで終わるかと思ってたのに、気付けば5700文字超えてました。
流石にこれだけの量になると、仕事終わりの数時間で一日で仕上げるのは無理ですね、3000文字くらいがちょうどいいですわ。



投稿するたびに多くの方がお気に入り登録してくださり、嬉しいかぎりです。
最近は感想や評価をいただける数も増えており、元々高かったモチベが更に爆上がりしてます、ありがとうございます。
仕事の都合とかもあって、今回みたいに毎日投稿できるわけではありませんが、完結まではひた走ろうと思いますので応援のほどよろしくお願いいたします。





………あ、まだ曇らせのターンは続きます

当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません

  • オネエ
  • 姉御
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