──リンがアビドスを去ってから、一年の時が経ち
ユメは三年生に、ホシノは二年生になった。またアビドス高等学校には、新たに二人の生徒が入学していた。
「ん、おはよう、ノノミ」
「おはようございます☆シロコちゃん」
彼女たちの名前は『砂狼シロコ』、そして『十六夜ノノミ』。自己紹介についてはまぁ必要ないだろう。
登校中に鉢合わせた二人は、他愛ない会話をしつつ、ともに学校へと歩みを進めていた。
「ん、そう言えば今日って、利息の返済日だったっけ」
「そうですね~、確かお昼ごろに、お金を受け取りに来たはずです」
「普段はユメ先輩やホシノ先輩がメインでやり取りをしてますけど~、今日は二人とも買い出しに出かけてますから、今回は私たちが代わりに対応するんですよね?」
「そうだね、念のためにって、マニュアルとかも渡されたけど……お金渡すだけなのにマニュアルなんているのかな」
「あはは……それだけ私たちのことを心配してくださってるってことですよ」
「……学校に来た銀行員を拉致して──」
「ダメですよ☆」
「…………………………ん、冗談」
その後、学校へとたどり着いたシロコとノノミは、流石に二人だけでは委員会としての活動もままならないと判断し、アビドス対策委員会室で銀行員が来る時間になるまで雑談をしていた。
その中で、とある話題が出てくる。
「……そういえば、今の借金の残りの金額っていくらぐらいだっけ」
「残り金額ですか?確か以前、ホシノ先輩は9億6千万円ほどって言ってたと思いますけど……」
「ん、でもその時は確か『利息の返済で一杯一杯で最近は詳しい金額は聞いてないな~』って言ってた。今日は私たちが対応するんだし、今後の方針を決めるためにも現状を正しく把握しておいた方がいいと思う。……もしも不当に増やされてたら、先輩たちにも教えないといけないし」
「それもそうですね~、それでは今日、返済する際に訊ねてみましょうか☆」
それからまたしばらくたち、利息の回収のために銀行員がやってきた。そこで、借金の残金について訊ねてみると───
「残り金額ですか?……確認しますので少々お待ちください………確認できました、現在の残り金額は───」
「───7億1052万9387円ですね」
「「……え?」」
───ホシノから聞いていた額よりも、2億以上も低い金額が告げられた。
「どうされました?金額におかしいところはないはずですが」
「えっと……、私たち、以前に先輩たちに訊ねたときに9億以上残っているって聞いてたので……」
「おや、そうだったのですね。……見たところ御二方は一年生でしょうか?であれば知らなくても仕方のないことかもしれませんね」
「といっても何か複雑な事情があるとかそういうことはないんですが……確か丁度一年ほど前のころでしたか、匿名で支払いがあったんです。相手口はアビドスの関係者で借金の返済に充てたいとのことでしたので、現在はこの額に」
「………もうよろしいでしょうか?それでは、カイザーローンとお取引いただき、毎度ありがとうございました。来月もよろしくお願いいたします」
そう言って、カイザーローンの銀行員は帰っていった。
「「………」」
聞いていた金額との差が大きく………いい意味で驚きに包まれ、黙りこくってしまうノノミとシロコ
「聞いてた話よりも、大分低かったですね。……それでも高額であることには変わりないんですけど……」
「ん、そうだね。先輩たちもこのことを知らないかもしれないし、明日教えてあげよう」
………………
──次の日
「おはよ~!」「おはよぉ」
「ユメ先輩、ホシノ先輩、おはようございます☆」「おはよう、ユメ先輩、ホシノ先輩」
「ん、実は二人にいい知らせがある」
フンス!と、どや顔を決めながら、シロコはユメとホシノに対してそう告げる。
「シロコちゃんがそこまで言うなんて珍しいねぇ、宝くじでもあたったの?」
「ん、宝くじは当たってないけど、似たようなものかも」
「先輩たちはもしかしたらご存じかもしれないんですけどね~」
そして語りだす、今日、銀行員から聞いたことを。アビドスの借金が大幅に減っていたこと。一年ほど前に、アビドスの関係者を名乗る人が借金の支払いをしてくれていたことを
「匿名だったらしいんですけど、もしかしたら先輩たちのお知り合いの方や、アビドスの卒業生の方がお支払いしてくださったのかもしれませ、ん……ね?───どうされました?」
「ん、ホシノ先輩、顔色が悪い。もしかして、あんまりいいことじゃなかった?」
話をしている最中、二人の方を見ると……ホシノもユメも困惑した表情を──しかし、まったく逆の意味合いの表情を浮かべていた
「ううん、そう言うわけじゃないよ……ただ……」
「一年前って、リンくんがいなくなった時期と同じだよね、ホシノちゃん」
「はい、でもそんな筈は……だってアイツは裏切り者のはずでっ──」
「──ん?リン?」
"リン"という名前を聞き、疑問符を浮かべるシロコに対し『何か気になることでもあるんですか?』とノノミが訊ねる。
「ん、最近どこかでその名前を目にしたような気がする」
腕を組み、目を伏せて思考に耽るほど数分──
「ん、思い出した」
そう言うと、シロコは徐に自身のカバンをあさりだす。そして取り出したものは──ボロボロになった一冊の水色のノートだった
「これに、その"リン"って人の名前が書いてあった。中身を見たら、ユメ先輩やホシノ先輩の名前も書いてあったから、もしかしたら先輩たちの知り合いの落とし物かと思って持ってきた」
「シロコちゃん、それちょっと貸してもらってもいい?」
ユメがそう聞くと、『ん、大丈夫。もともと先輩たちに渡すつもりだった』といってシロコは手渡した。受け取ったユメはノートを見て──そこに書かれている字を見て確信する。
「──間違いない、これ、リンくんが書いてた日記だ……!」
「なんでそんなものが……ねぇシロコちゃん、これ何処で拾ったの?」
ホシノが訊ねると──
「昨日、サイクリング中にあっちの廃墟で落ちてるのを見つけた。ちょっと離れたところにはシャーペンとかの筆記具も落ちてた」
流石にボロボロすぎたからそれは拾ってないけど、とシロコは言う。……シロコが指さした方向、それは──裏切るリンの姿を目撃した場所
「……確認してみよう。もしかしたら、リンくんが本当に裏切ったかどうか分かるかも」
「……どうせ私達を馬鹿にするような内容しか書いてないですよ。だから以前見ようとした時も、私達に頑なに見せようとしなかったんでしょうし」
そう言うとホシノは席を立ち、教室を出ていこうとする。
「まってホシノちゃん!どこに行くの?一緒に日記を──」
「そんなもの見たくありません。あとで結果だけ教えてください」
ホシノはそのまま教室から出て行ってしまった──その姿はまるで、現実から目をそらすように、逃げ出すかのように見えた
「ホシノちゃん……」
「あの~、ユメ先輩、リンっていう方は結局お二人にとってどういう方なんでしょうか?」
ノノミからの疑問を受け、ユメは語りだす。リンとの関係性を──そして、今からちょうど一年前、リンがアビドスを去ったことを
「そんなことがあったんですね、知らなかったです……」
「ん、それはホシノ先輩が怒るのも当然──」
「──だけど、聞いた話とその日記の内容から読み取れる人物像が違いすぎて変な感じがする」
「──どういうこと?シロコちゃん」
「それは……どうせなら見てもらった方が早いかも」
そう言って、シロコはユメが手に持つ日記に目を向ける。シロコの言葉に頷き、ノートをめくる。読み進める度に、ユメの表情は懐かしさから驚愕へと表情が次第に変わっていき、そして──
………………
一方そのころ、教室から出て行ったホシノは仮眠室にいた
(あんなものを読んだところで、どうせ私たちをバカにするような内容が書いてあるに決まってます。そんなもの見る必要は──いえ、ユメ先輩が現実を受け入れるという点においては必要なことですね)
そんなことを考えながら眠りにつこうとするが──眠れない。脳裏に過ぎってしまった"もしも"が、ホシノの睡眠を阻害していた
それからしばらくして、ようやく眠れそうになった時
──バァン!
「ホシノちゃん!」
「──ッ!?」
勢いよく扉を開きながら、ユメが入ってきた。そんなユメに対して文句を言おうとするホシノだが──
「──やっぱりリンくんは裏切ってなんかなかったんだよ!」
"リンは裏切ってなかった"、そんな言葉が聞こえてきて、言葉に詰まってしまい口に出すことができなかった。
毎回一話にまとめようと考えてるのに、気付けば長くなってしまうんですよねぇ……というわけでホシノちゃんが真実を知るのはまた次回。
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当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません
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