小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

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当初の予定だと10話くらいで過去編終わるつもりだったのに、気付いたら倍以上書いてました。

……今回曇らせってよりシリアスかもしれない。いや、曇らせか?途中までは間違いなく曇らせのはずなんだが……書いててわかんなくなってきちゃいました。もし期待してた曇らせと違ったら申し訳ない。
でも作者としては納得いく感じになったので投稿します。

今回長めです(当社比)



──すべての真実を知った

 ──仮眠室の扉を勢いよく開けながら入ってきたユメは、開口一番「リンくんは裏切ってなかった」とホシノに告げた

 

「───はい?いったい何を言って……裏切ってなかったなんて、そんなことあるはずが」

「本当だよ!この日記を見たらわかるから!」

 

 ユメはそう言って、ホシノに日記を渡す。渡された日記はボロボロで──かつてはあれだけ見たかったはずなのに、今は見るのが怖くて仕方がない。

 

 それでも期待に満ちたユメの目を視界に捉え、ここで日記を見ないのは不可能だと判断したホシノは、手を震わせながらノートをめくる───その震えは、緊張によるものか、それとも……

 

(……いや、大丈夫。ユメ先輩は抜けてるところがあるから、きっと見落としてるだけのはずなんです)

 

 そんな願望を抱きながら、順に読み進める。その内容は──

 

 

『──XXXX年4月XX日

 俺とユメは、アビドス高等学校へと入学した。折角だし、今日から日記をつけていこうと思う。……三日坊主にならないように気を付ける。

 

 今の学校には、三年生の先輩が二人、二年の先輩が一人、俺とユメ以外の一年が二人。先輩たちが言うには、今年はこれまでよりも入学者が多いらしく、喜んでいた。

 

 ……アビドスには多大な借金がある。大変かもしれないけれど、昔みたいに人がいっぱいいた頃のアビドスを取り戻せるように、頑張っていきたいと思う。

 

 

(──この頃はまだアビドスをどうにかしようと思ってたんですね。……最初から裏切ってたわけではなかったんですか)

 

 

『──XXXX年8月XX日

 ……同級生の娘が一人、別の学校へと転校していった。

 どうやら先日、他の学区に買い出しに行った際に、楽しそうに談笑しながら放課後を過ごす生徒たちを見て、終わりの見えない自分たちの現状が辛くなってしまったらしい。

 彼女は泣きながら"ごめんなさい"と謝っていた。気に病むことなく、どうか新しい学校で楽しく過ごしてほしい。

 

『──XXXX年1月XX日

 また一人、同級生が去っていった。年明けに学校に来た際に、机の上に置手紙が一つ、ただ一言"さようなら"とだけ。

 気付けば一年は俺とユメだけになってしまったが、まだ先輩たちがいるし、なによりもユメがいる。諦めるにはまだ早い。

 

 

(──この頃には、もうユメ先輩の同級生はアイツを除いていなくなってたんですね。……でも、まだアイツはアビドスのことを見捨ててなかった)

 

 

『──XXXX年3月1日

 今日、三年の先輩たちが卒業する。自分たちが在学中に現状を改善することができなかったことを謝っていたが、気にしないでほしい。

 先輩たちがいたおかげで、決して普通の学生生活とは言えないが、楽しい毎日だった。

 来年には後輩が入ってくるだろうし、それまでの一か月間は俺とユメ、先輩の三人で頑張ろう。

 

『──XXXX年3月2日

 先輩がいなくなった。

 

 

 普段は明るいユメでさえ、今の状況には少し参ってしまっているようだ。……でも、諦めた様子はない。

 ──強いな、ユメは。俺もユメがいる限りは、諦めずに頑張り続けよう。

 

 

(──以前先輩に聞いたのと同じ………ここでもまだアイツは諦めていない。……なら何時アイツは裏切った?)

 

 

『──XXXX年3月XX日

 どうやら、来年は一人入学してくれる娘がいるらしい。名前は確か"小鳥遊ホシノ"だったか。……どのような娘だろうか?願わくば、ユメと仲良くしてくれると良いんだが。

 

 

『──XXXX年4月XX日

 今日は入学式を行った。といっても、たった三人しかいないし、式といってよいのか微妙なところだが。

 顔合わせを行ったのだが、自他ともに厳しそうな娘だな……。のんびりしてるユメとはもしかしたらそりが合わないかもしれない。

 ……今日はユメと二人で準備した歓迎会を行う予定なんだが、喜んでくれるんだろうか。

 

 ──厳しそうって書いたけど訂正する、この娘さては結構ノリいいな?

 

 

(──これは、私のことですか。あの時の歓迎会は、先輩たちが頑張って用意してくれたのが伝わってきて……この人たちとならやっていけそうって思ったんですよね。……まぁその後、結構抜けてる先輩たちに対して"もっとしっかりしてくれ"って思ったことも──)

(──っちがう、今はそんなことに浸っている場合じゃない!アイツが裏切った証拠を探さないと……)

 

 過去の楽しかった頃の思い出がよみがえり、抱いた憎しみが消えそうになる。しかし、そんなことはあってはならないと、首を振って雑念を振り払い、続きを読む

 

 

『──XXXX年5月XX日

 今日は借金返済のために、指名手配犯を捕えに他学区に行った。最初はホシノには後ろで見ててもらおうと思ったんだが──ちょっと目を離したら敵陣のど真ん中に突っ込んでってて焦った。

 咄嗟に能力を使おうとして、ホシノの戦いっぷりに驚いた。薄々予感はしてたけど、神秘の総量がとんでもない。それに付随して身体能力も──特に耐久面がすさまじかった。流石に銃撃の嵐の中にためらいなく突っ込んでくとは思わなかった、それでいてさほど痛みを感じた様子もないし。

 

 でも、少し不安だ。自分の力に対して自信を持つことは大事だけど、見ているこっちとしては気が気じゃない。俺たちにとってはたった一人の後輩なんだ、できれば無茶をしてほしくはないが、どうすべきか……

 

 ユメと話し合った結果、ホシノには今以上に強くなってもらって、それ以上に俺たちが強くなろうって結論になった。……うーむ、我ながら脳筋過ぎでは?

 

 

『──XXXX年7月XX日

 ユメが宝の地図を見つけてきた。それも、今までのと違って本物っぽい……証拠になりそうなものとか説明したの俺だけど。

 

 ……ちょっといじりすぎてユメがいじけてしまい、機嫌治してもらうためにホシノと褒めちぎってたらかなり時間が経ってしまったから、行くのは明日になった。

 ……反省はしてるけど別に後悔とかはしてない。

 

 

『──XXXX年7月XX日

 宝の地図は偽物といえば偽物だったし、本物といえば本物だった。期待していたものとは違っていたけど、それでもいい思い出になった。

 入っていたバッチは、三人で同じ場所に付けた。……これだけは、絶対に無くさないようにしないとな。

 

 宝探しを終えた後に三人で見た流れ星は、すごくきれいだったなぁ。何をお願いしたか聞かれたけど、答えなかった。……二人が幸せな学生生活を送れるように願ったなんて、恥ずかしくて言えるわけがない。

 また三人で……いや、今度はまた来年入学する後輩たちも一緒に見に行きたいな。

 

 

『──XXXX年8月XX日

 今日は組手を行った後に、三人でトリニティ自治区のスイーツ店に出かけた。……昨日当てた割引チケットの有効期限が今日までとか流石に短すぎでは?なんて思った。

 ──スイーツはめちゃくちゃ美味かった。金に余裕さえあれば毎日でも行きたいくらいに。

 あとは……MAXサイズを食べきったら、何故か水族館のチケットを貰った、それも半年後オープンの。……せめてもうちょっと開店間近になってからにするべきでは?と思ったけど……まぁホシノが喜んでたしいっか。

 

 

『──XXXX年9月XX日

 ……以前の宝探しの際に見つけた白い金属は、厳密にいえば金属じゃなかった。

 キヴォトスを危機に陥れる存在だの、それがアビドスにいるかもしれないだのと、それに対抗するために同盟を結んだりと……正直頭が混乱しそうだった。

 

 あとは今日、妙な奴にあった。──アイツは自身を黒服とか名乗っていた。なんか魅力的で断り難い提案をしにきたって言ってたけど───』

 

 

(──黒服!この時にアイツは黒服と出会って、そこで私たちをうら、ぎっ…て───え?)

 

 

───誰が結ぶかってんだばーか。何が借金の半額を負担する代わりに生徒としての全権利を譲渡してほしいだばーかばーか!奴隷契約もどきなんて死んでもごめんだね!せめてもっとまともな案を出して来いってんだハゲ!!

 

 いかん、つい怒りのあまり書き殴っちまったけど、日記に書くようなことじゃないわ、消しとこ

 

 

(──断ってる。……それに、消されててちょっと読みにくいけど、ここに書かれてる契約内容って、()()()()()()()()()()()()……?じゃあ、あの時話していた契約って───)

 

 その事実を認識した瞬間、ホシノの背筋を冷汗が伝う。手は震え、呼吸が乱れ、心臓はバクバクと嫌な音を立てながら動悸が激しくなっていく。

 

 ───そんな筈はない、アイツは裏切ったんだと、()()()()()()()()に縋ろうとする。すでに半ば、真実を理解し始めているにもかかわらず、己の罪から目を背けるように。

 

 しかし、そんなホシノを嘲笑うかのように、リンの日記は現実を突き付けてくる。

 

 

『──XXXX年9月XX日

 バレかけた。

 先日、黒服から例の金属について思わせ振りな言葉を聞かされたせいで眠れなかったせいだ。次会ったら確実にシバく。……いややっぱ会いたくないわ。

 ……ホシノやユメにバレかけたってのはちょっと恥ずかしいが……嬉しくもある。それだけ心配してくれてるってことだし。

 

 二人が幸せになってくれるなら、俺はいくらでもこの身を捧げよう。……まぁそれはあくまでも最終手段として、だけど。まだ一緒にいたいし、進んで犠牲になるつもりは無い。

 

 

『──XXXX年11月XX日

 あっっっぶな!!!

 まだ時間あるから大丈夫だろって油断してたら、ホシノに見つかって危うく日記を見られる所だった。途中からはユメも参戦してきやがったし……。

 

 キヴォトスの危機だとか、こんなの見られる訳にはいかない、次からは教室では書かないようにしよう。……見返してみると割と恥ずかしい事書いてるな……もうちょっとでノートも埋まるし、新しいのに買い換えて、これは自宅の引き出しに閉まっておこう、そうしよう。

 

 

『──XXXX年12月XX日

 ユメが連絡も寄越さずに遅刻してきた事に対して、ホシノが怒ってた。かく言う俺も、ホシノに対して"大丈夫"とは言っていたものの、不安を抱いてなかったわけじゃない。

 ……ユメとホシノが仲違いしなくてよかった。お互いを思った結果すれ違うなんて、悲しいからな。二人にはいつまでも仲良くいてほしい。

 

 

『──XXXX年12月XX日

 ユメは明日出かけてくるらしい。俺も黒服に呼ばれて出かけなくちゃいけないから、明日学校にいるのはホシノだけか……

 ほんとは行きたくないけど、アビドスにあるかもしれない脅威について何とかして聞き出す必要があるから、行かないといけない。───借金返済後も二人が何の憂いもなく、安全な日々を過ごせるように。

 必要とあらば、アイツと契約を結ぶことも考えないといけないかもしれない。……まぁ結ぶとしても、アイツから提案された奴隷契約もどきじゃなくて、一年間だけ実験に協力する代わりに、キヴォトスに巣食う脅威に対抗するのに協力してもらうとか。

 ……やっぱないな、アイツと契約結ぶとかないない。

 

 ………さっさと聞き出して学校に行こう。

 

 

 ここで、日記は終わっていた。

 

「ほら、ホシノちゃん!やっぱりリンくんは裏切ってなんかなかったんだよ!……ホシノちゃん?」

 

 ホシノは日記を読み返す。

 

「………ちがう」

 

 ホシノは日記を読み返す。

 

「………そんなはずない」

 

 ホシノは何度も日記を読み返す。

 

「………だって、あのひとはうらぎったはずで」

 

 ホシノは何度も日記を読み返す、ユメがどれだけ制止しても、止まることなく。

 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度何度───

 

 ───ホシノは壊れたロボットみたいに、何度も日記を読み返す。

 ………しかし、どれだけ読み返しても結果は変わらない。読み返すたびに、ホシノに現実を突き付けてくる。

 

 

 

『先輩は、裏切っていなかった』

 

 

 

 ───という現実を、残酷なまでに突き付けてくる。………やがてホシノは

 

 

「ホシノちゃんっ!?」

 

 

 仮眠室を飛び出した。向かう先は───かつてリンが住んでいたアパートの一室。

 

 たどり着いたホシノは、鍵をこじ開け中に入る。そして、室内にあるありとあらゆる引き出しを、クローゼットを、段ボールを開けていく───リンが裏切ったという証拠を探すために。

 

 しかし出てくるものは、三人で一緒に撮った写真や、私とユメ先輩で選んだ服や鞄、おそろいで買った筆記具など───どれもが大切に、丁寧に仕舞われていて……裏切った証拠とは真逆のモノばかりが見つかる。

 

 そうして探し続けて、その度に過去の───楽しかった頃の思い出がよみがえってきて

 

 ……最後に残ったのは、机に備え付けられた、鍵のかかった引き出しが一つ

 

 すでに鍵は見つけている。きっとここに、裏切った証拠があるはずだと思い込みながら開け

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ホシノは、膝から崩れ落ちた

 

 引き出しの中には、蓋の閉じられていない箱が三つあった。

 

 一つは『ユメへ』、二つは『ホシノへ』

 

 『ユメへ』と書かれた箱には、水色のクジラのキーホルダー

 

 『ホシノへ』と書かれた箱のうち、一つは『ユメへ』と書かれた箱に入っていたのと同じ見た目の、ピンク色のクジラのキーホルダー

 

 もう一つの、他より少し大きい箱には───ピンク色のクジラのぬいぐるみ

 

「───あ」

 

 ───ホシノは思い出した、リンがいなくなる数日前の会話を

 

【───なあホシノ、好きな物ってある?食い物でも、生き物でもいいぞ】

【……唐突ですね、なんですか急に】

 

「───あぁっ……」

 

【なんでって言われてもなぁ……】

【それはねホシノちゃん!もうすぐ来るクリスマスとホシノちゃんの誕生日のために──モゴモゴ】

【だぁあッ!バカお前何言ってんだアホ!!】

【……ふふっ、なぁんだ、そう言うことでしたかぁ、それならそうと言ってくださいよ~】

 

「───あぁあっ……!」

 

【そうですねぇ……さかな───いえ、クジラ、ですかね。プレゼント楽しみにしてますね、先輩!】

【───おう、楽しみにしてな、ホシノ】

 

 

「───あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッッ!!!!!」

 

 

 ───先輩は、裏切ってなかった!ずっと、ずっと私たちのことを思って、大切に思ってくれていたっ!!

 

「なのにっ、わたしは──ッ!!」

 

 ───せんぱいのうでをっ……!!

 

「ごめん、なさいっ……」

 

 ───ちがう、腕だけじゃない。先輩の能力は柏手を打つことが発動条件……でも、せんぱいのうでは、わたしが、わたしのせいで、もう──ッ!!

 

「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!!」

 

 わたし、なんてことをっ……!!

 

「ごめんなさい、せんぱいっ……!!わたし、わだじッ!!!───ごめんなさい!ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!!」

 

 

 

………………

 

 

 

 ホシノはそれからもずっと謝り続けていた───そんな時、ホシノの目にあるものが映る。

 

 それは、ホシノが愛用している散弾銃(Eye Of Horus)───リンの腕を奪った、己の罪の証

 

(──そうだ、わたしも、同じように……それだけで許されることではないけど、それでも先輩の腕を奪ってしまった私がそのままなんて……)

 

 そこまで考えると、ホシノは銃を手に取り、自身の左肩に押し付けた。

 

(──頑丈な私は、きっと一回撃っただけじゃ千切れない。何回、何十回撃てばいいのかも分からないけど、それでも……)

 

 そしてホシノは、引き金に手をかけ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホシノちゃんッ!!!」

 

 

 

 ──ホシノの頬に、衝撃が走った。

 一体何が、と思って顔を上げると、そこには──

 

 

「………ゆめ、せんぱい…?」

 

 

 ──涙を流しながらこちらを見る、ユメの姿が

 

「どうして、ここに……?」

 

「そんなの、ホシノちゃんを追いかけてきたからに決まってるじゃん!!ずっと呼び掛けても返事してくれないし、そしたら急に自分に銃を突きつけるしっ……!!」

 

「わたしが言えたことじゃないかもしれないけど……っ、どうしてホシノちゃんも、リンくんも一人で抱え込もうとするの!?」

 

「わたしにも話してよ!一緒に悩まさせてよ!!」

 

「───もう、誰かがいなくなるのは嫌だよっ……!」

 

 涙ながらにホシノに対してそう告げるユメ

 

「………お願い、ホシノちゃん。あの時何があったのか、私に教えて。──一年前には話してくれなかったことも含めて、全部」

 

 ──ユメは気付いていた、一年前ホシノにリンが裏切ったと聞いた時、すべてを話していなかったことを。当時は、どうしても話せないことがあるんだと、ホシノの意思を尊重していた。───しかしそれではだめだと気付いたユメは、ホシノにすべてを話させることを決めた。……たとえどのような内容であろうと、すべてを受け入れる覚悟を持って。

 

 そんなユメの表情を見たホシノは、ぽつぽつと語りだす───己の罪を懺悔するように

 

 

 ──自身は以前から、黒服という存在から契約を持ち掛けられていたこと

 

 

 ──あの日、ユメが怪我を負っているのを見つけたこと

 

 

 ──その場で、リンが黒服と契約を結んでいる光景を見たこと

 

 

 ──リンと戦って………左腕を、奪ってしまったこと

 

 

 その全てを語り終えたホシノに対し、ユメは──

 

「ありがとう、ホシノちゃん」

 

 ホシノのことを、そっと抱きしめた

 

「………ゆめ、せんぱい…?」

 

「ずっと、ずっと辛かったよね、一人で抱え込んで、苦しかったよねっ…!」

 

「わたし、つらくなんか……」

 

「ううん、ホシノちゃんは優しいもん。たとえリンくんが裏切ったんだと思ってたとしても、辛くなかったはずがないよっ……気付いてあげられなくてごめんねっ、ホシノちゃん……!」

 

 自身を抱きしめるユメのぬくもり、包み込む優しい暖かさに──ホシノがつけていた偽りの仮面が溶け落ちていく……否、そんなものはとっくになくなっていた。

 

 

 そこにあるのは、剝き出しとなった──寂しい、悲しいという感情

 

 

「うぅ、あああぁぁあ────ッ!!」

「ごめんなさい!ごめんなさいっ!リンぜんばいっ……ごめんなざいぃ!!あぁ、あああぁぁ────ッ」

 

 

 

 ホシノはその後も泣き続けた。ずっと蓋をしてきた───寂しい、悲しいという感情が、リンの腕を奪ってしまった罪悪感がその両目からあふれていくかのように。

 

 そんなホシノを、ユメは抱きしめ続けた。ホシノの苦しみを少しでも分かち合うように、悲しさや寂しさが和らぐように───ホシノが罪悪感で押しつぶされてしまわないように。




プレゼントの部分は、実は当初は予定になかったんですよね。……書いてる途中でフッと思い浮かんだので、足しました。
………正直書いてる途中で自分で辛くなってしまった。ちゃんとハッピーエンドにするから……!

当初はこの後、黒服から電話がかかってきて、「リンさんはもういませんよ」とか言わせてさらに曇らせようかと思ってたんですが……それをするとただでさえ高いヘイトが天元突破して、如何な理由があっても──それこそ、原作でカイザーにかけられたようなアホみたいな利息があっても、黒服とだけは絶対に契約を結ぶことはなくなりそうだったのと、思ってた以上に綺麗にオチが着いたので、今後の展開も考えてやめました。
後はユメ先輩がそばに居たら、何だかんだホシノちゃん持ち堪えれそうですし。
プレゼントの部分で帳消しってことでよろしくお願いいたします。
……言わせるとしたら原作開始してから、ホシノちゃんが1人だけになってる時ですかねぇ。

書いてて思ったんですが、ユメ先輩があまりにも光属性すぎて、曇らせが程よく中和される。
……ユメ先輩は曇らせの天敵かもしれないですね。

次回は閑話としてリンと黒服の契約内容とか、後は現段階での設定や公開情報を書いて、原作開始ですかね。


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当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません

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