小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

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ついに原作開始です。
先生の性別は、アンケートの通り女性にしようと思います。
よくよく考えたら、先生に変に特殊な要素を足してしまうとキャラが食われかねないですからね。

※前話の設定集について、いくつか記載を追記、修正しました。


1章:原作開始 アビドス対策委員会編
シャーレの先生との出会い


 様々な実験器具が置かれた物々しい部屋───黒服の研究室に、一人の来訪者が訪れる。

 

 コン、コン、コン……

 

「……どうぞお入りください」

 

「失礼する。黒服、義手のメンテに来たぞ。……って、マエストロもいたのか」

 

「久しいな……丁度いい、例のモノの意匠について、要望があれば聞きたいのだが。……必ず取り入れるとは限らないが」

 

「まぁ、そのあたりのセンスはあんたを信用してっから気にしなくていいよ。…それで、要望だっけ?うーん、そうだなぁ──」

 

「……話し込む前に義手を渡してくれませんか?」

 

 

 ──一時間後

 

 

「義手のメンテナンスが終わりましたよ。……また随分と無茶な使い方をされたようですね」

 

「仕方ないだろ、厄介な相手に絡まれたんだから……」

「あ、義手についてはありがとな。……採血ももう終わってるし、そろそろ帰るわ」

 

「……そうか、もっと芸術について語り合っていたかったのだが、何か予定でもあるのか?」

 

 マエストロの言葉に対し、研究室への来訪者──赤飛リンは答える。

 

「まぁ、そうだな──」

 

 ──キヴォトスに先生が来たらしいし、せっかくだから見に行ってこようかと思ってな

 

 

………………

 

 

 連邦捜査部シャーレに向かう道中にて、幾人かの少女たちはキヴォトスに来た先生の指揮のもと戦闘を実施、即席のチームでありながら、普段よりはるかに余裕をもって戦闘を行えていることに対して、先生の指揮能力の高さを実感していた。

 

 その時──

 

「──っ先生!」

 

 ──先生のそばの物陰から、一人の不良生徒が銃を向けて飛び出してきた。

 

(──まずいっ!?)

 

 先生はまだシッテムの箱を手にしていない──故に、単身では身を守ることもままならない。

 

 着任して早々にその命が潰えかける──その時

 

「ぎゃっ!?」

 

 遠方からの狙撃音とともに、先生に向かってきていた不良が撃ち抜かれた。

 

 突如として目の前に迫ってきた不良が倒れたという事実に対し、目を見開く先生。しかし、その後すぐに持ち直した先生は、狙撃を行う生徒について一人心当たりがあったため、その生徒に通信をつなぐ。

 

「──ありがとうハスミちゃん、助かったよ」

 

 現在のメンバーの中で唯一のスナイパーである『羽川ハスミ』に礼を言う先生。しかし──

 

『……いえ、先生、今の狙撃は私のモノではありません』

 

「……え?じゃあいったい誰が…?」

 

 先ほどの狙撃を行ったのがハスミではなかったという事実に、『では一体だれが…?』という疑問に囚われかけるが、今はまだ戦闘中であることを思い出し、疑問を頭の隅に追いやった。

 

 その後、無事に戦闘を終えた先生は、改めて先ほどの狙撃について考えようとした時──先生たちの目の前に一人の人物が現れる。

 

 

 ──その人物は『黒いダボッとしたズボンに黒のフード付きコート』という、体の起伏がわかりずらい服装をしていた。

 また、顔は『白の凹凸のないのっぺりとした仮面*1*2』で隠しているという、それはもう見るからに、まごうことなき不審者であった。

 

 新手の刺客かと、多くの生徒が警戒するなか、一人だけ──早瀬ユウカだけが一切警戒した様子もなく

 

「あれ?カオナシさんじゃない。今日予定があるって言ってなかったかしら?」

 

 ──気さくに話しかけた。

 

『…予定についてはすでに終えている。……キヴォトスに()()という存在が訪れたという情報を耳にして、せっかくだし一目見ておこうと思ったんだ』

 

 ユウカの疑問に対し、カオナシと呼ばれた人物はそう答える。

 

「……ユウカちゃん、この人と知り合いなの?」

 

「えぇ、この人は『カオナシ』って言って、主にミレニアムで活動している便利屋です。私が入学するころにはすでに活動してて、ミレニアムの現生徒会長が依頼を行ったりすることもあります……かくいう私も、時折依頼をすることもありますね」

「見た目は……まぁ、擁護のしようがないほど怪しいですけど、悪い人ではないですよ」

 

 "悪い人ではない"、ユウカが言うのであればそうなんだろうと思うのだが、さすがにこの見た目はちょっとなぁ……と、先生含めユウカ以外の全員がそう思っていると、件のカオナシが自己紹介──という名のセールスを始めた。

 

『初めまして、先生。すでにユウカ嬢から殆どはなされてしまいましたが、改めて──ワタクシは便利屋『カオナシ』、主にミレニアムで活動しておりますが、依頼次第では他の学区に赴くこともあります。──此度は連邦生徒会に勤める先生とのコネクションを作れればと思っt「ねぇカオナシさん」──なんでしょう?』

 

 カオナシの自己紹介の途中で、ユウカに止められる。いったい何事かと訊ねると──

 

「その話し方やめてくれないかしら、普段と違いすぎて鳥肌立ちそうなんだけれど」

 

 "あとユウカ嬢っていうのもやめて"と、すげなくユウカは告げる。

 

『……』

「……」

 

『先生とは初対面だから、少しでも印象を良くしようと丁寧にしゃべってみたんだが……』

 

「胡散臭いだけよ、それ。ただでさえ外見からして不審者然としてるのに」

 

『…………そうか』

 

 ユウカにそう言われたカオナシは、心なしかしょんぼりとしているように見えた。

 

 

………………

 

 

 カオナシの自己紹介が終わった後、先生はカオナシが持つ銃に目を向ける。

 

「ねぇ、カオナシ……くん?ちゃん?」

 

『……呼び捨てでいい』

 

「そっか、じゃあ遠慮なく。……ねぇ、さっき私を守ってくれたのってカオナシ?」

 

『……守った、と言っていいのかはわからんが、不良生徒は撃ち抜いたな』

 

「そうなんだ。……ありがとうね、カオナシ」

 

 そう言って、先生はカオナシに笑顔を向ける。それに対してカオナシは

 

『……気にするな』

 

 ──と、そっぽを向きながら言った。

 そんなカオナシのことを、先生はじっと見つめる。

 

『……なんだ』

 

「照れてる?」

 

『……………照れてない』

 

 

 

………………

 

 

「ねぇ、カオナシはどうしてそんな恰好をしてるの?声も機械音声だし」

 

 カオナシを新たにメンバーに加え、シャーレに歩みを進めている最中、先生はカオナシに対して徐に、そのような疑問をぶつけた。

 

『便利屋って職業上、多方面から恨みを買うことがあるんだ。……まぁ大体は逆恨みなんだが、素顔がバレると私生活にも影響が出るからこうして隠してるんだ』

 

「……危険だってわかってるのに、どうしてそんなことを続けてるの?」

 

 先生の言葉に対し、カオナシは

 

『…………大量の金が要る、それだけだ』

 

 ──と、簡潔に一言だけ告げた。

 その後も先生は理由を聞こうとするが……

 

『先生、それ以上のことは今は答えるつもりはない』

 

 ──と、無碍に切り捨てた。その態度に、まじめな生徒たちは苦言を呈そうとするも

 

「大丈夫だよみんな。カオナシにも事情があるんだろうし、初対面でずけずけと踏み込もうとした私が悪いから。……それに」

 

「──"今は"ってことは、いつかは話してくれるんだよね?」

 

 初対面であるにも関わらず、先ほどからずっとこちらを案じ、また、信じるような言葉を向けてくる先生に対し──カオナシは、ある人物を幻視する。

 

 

 ──もう一年以上あっていない、優しい幼馴染のことを

 

 

『………貴方が信じるに値する人だと判断出来たらな』

 

「そっか、それじゃあ頑張って信頼を得ないとね!」

 

 "よし!皆行こう!"そう言って歩き出す先生──その首根っこを掴むカオナシ

 

「ぐえっ」

 

『……はぁ、この中で一番脆い貴方が一人先行してどうする。……先ほどの戦闘の時もそうだが、せめて一人くらい護衛をそばに置いておけ』

 

 暗に、"もっと自分の身を案ずるように"というカオナシに向けて

 

「……じゃあカオナシが私の事守ってね!」

 

 ──と、先生は言う。

 

『え……前に出て戦いたいんだけど』

 

「……カオナシって意外と戦闘狂?…でもダメだよ、カオナシが言い出したんだから、ちゃんと護衛お願いね!」

 

 そう言って、先生はカオナシの()()を掴む

 

(──あれ?)

 

 先生は違和感を覚える──掴んだ腕が、異様に硬いことに。その硬さはまるで

 

(──なんか、金属みたいな……)

 

『──先生、掴まれてるといざという時に動けないから離してほしいんだが』

 

「あっ、ごめんねっ!」

 

 カオナシの言葉を受け、パッと手を放す。……疑問はある、しかしそれよりもまずはシャーレの奪還をしなくてはならないと意識を切り替え、シャーレに向けて歩みを進める。

 

 

 

 その後は戦闘等を行いつつも、先生は無事にシッテムの箱を手にし、シャーレの奪還に成功、サンクトゥムタワーの制御権も連邦生徒会に移管し終えた。

 

「──みんな、お疲れ様!」

 

 先生のその言葉とともに、ハスミ、スズミ、チナツ、ユウカの順に一言ずつ告げ、各学園に帰っていく。そして、カオナシも帰ろうとしたところで──

 

「あ、待ってカオナシ!」

 

 ──先生に引き留められた。

 

『……なんだ?まだ何か用でもあるのか?』

 

「うん。……実は今のシャーレには、私しかいないんだよね。シャーレの権限として生徒を所属させることもできるらしいんだけど、私はまだあの子たち以外に接点がないし……」

 

『……それで?』

 

「──お願い、人手が足りないから手伝って!机の上に載ってた書類の量を見たけど、あれを一人では無理!」

 

『……それは依頼か?』

 

「……えっと…うん。……支払いはまだ着任したばっかりでお金がないから、お給料入ってからになっちゃうけど……」

 

『……』

「……うぅ」

 

『……はぁ、仕方ない。──その依頼引き受けよう』

 

「……ほんと!?」

 

 "ありがと~!"なんて言いながら、花の咲いたような笑顔をカオナシに向ける。それを見たカオナシは

 

(──容姿は似ても似つかない。……だが、その言動がアイツに似ててつい絆されそうになる。……とんだ人たらしだな、この先生は)

 

 "今後先生と関わる生徒たちは大変だな"なんて、他人事のように考える。

 

『──色々と準備が必要だからな、今日は一旦これにて失礼させていただく。』

 

「うん、明日からよろしくね、カオナシ!」

 

 先生の言葉を聞くとともに、カオナシは帰路につく──

 

(──見極めさせてもらうぞ、先生。貴方の実力を──貴方が、信頼できる人物であるのかを)

 

 ──そんなことを考えながら。

*1
目の部分だけ開いているが、影がかかっているのかどのような目をしているかも見えない

*2
右目の位置から仮面全体に広がるような、黒いひび割れ、もしくは稲妻のような模様が描かれている




便利屋『カオナシ』
・主にミレニアムで活動する便利屋。他学区やブラックマーケットにも依頼次第では赴く。赤飛リンが世を忍ぶ姿。
・金次第でなんでも──やらない。依頼内容や相手をしっかりと事前に調査、吟味したうえで依頼を受けるか判断する。依頼相手の境遇によってはほぼ無償で依頼を請け負ってしまうこともある。
・カイザー系列からの依頼はすべて即座に断っている、残当。
・幾人かはすでに正体を知っているが、口止めされている。

シャーレの先生
・外の世界から訪れた先生、女性。
・容姿は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のヴァイオレットに近い感じ。
・ただし性格面については似ても似つかず、戦闘時はキリッとしているが、それ以外は抜けている。
・第一印象と関わってからの印象が大きくかわる人。

狐坂ワカモ
・ほんとは出す予定だったけど、作者が早くアビドス編に行きたかったからもろもろの戦闘シーンと共に出番がなくなった。裏ではちゃんと原作通りに先生とのやり取り等を行っている。

ついに原作開始です!……まさかここまで来るのに20話以上かかるとは、このリハクの目をもってしても(ry

UA数がついに60,000を超えました。今後とも応援よろしくお願いします!感想等もどしどしお待ちしておりますので、遠慮なく書いていってください!

当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません

  • オネエ
  • 姉御
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